※山本さんがレポートを書いてくださいました。
今日は朝からよく晴れて青空が広がっています。牧丘の道の駅に集まったのは6人です。乙女高原の雪はどんなだろうといいなが身支度をして、途中ヤマアカガエル卵塊調査地の様子を見ていこうと話し合ってから、2台の車に分乗して出発です。
最初の調査地では水は凍っていなくて流れていました。周りの地面は固くなくやわらかで、春の訪れを感じます。次のカエル池に立ち寄ると、シジュウカラやヒガラが何羽か飛び立っていきました。池にはうっすらと氷が張っていましたが、暖かいので帰る頃には融けてしまうだろうといった様相ですが、やはりまだ卵塊は見られません。さらに進んだ林道沿いでホオジロやコガラも見かけました。
林道には一部を除いて雪は無く、乙女高原に着いてみると草原の半分には雪がありませんでした。雪のない草刈り後の草地にはハイゴケなどの緑が目立ちます。カサゴケの仲間もありますが、オオカサゴケなのかカサゴケなのか、それともカサゴケモドキでしょうか。
ミズナラの樹上のミノゴケはナガエミノゴケかもということで、いったん外しておくことになりました。同定してから取り付け直すことにします。ヒムロゴケと名前のついているコケも別物のように思われます。コケの同定は肉眼では判断できず、ルーペで覗いて見ても難しいです。
雪の残っている場所にいくと、白い雪の上を動き回っているものがいました。黒いクモでした。こんな雪の上を走りまわったり時々跳ねたりしているこの黒いクモは何者で、何で雪の上をと不思議です。
雪の残っている林の中を歩いて1月の観察会で見たというオオアカゲラがドラミングしていたという場所に行きました。木枝はかなりつつかれていて、雪の上に木くずが一部残っていました。ということは、雪の降る前につついた木くずは雪に埋もれ、その後雪が降ったあとにも来てつついたということです。かなりたくさんの食痕からしても何度もやってきたということでしょう。エサの虫を取り出すためかと食痕を観察して見ると、はたして虫の穴も見つかりました。やはりエサを見つけるためだったということです。
カケスの声が聞こえました。ほかにも何かの鳥がいる、どこどこといって見た先の大きなモミの大木が枯れているのがわかりました。以前台風で上半分が折れてしまった木で、その後全体が枯れてしまったのでしょう。遷移の一端をうかがわせるものを感じました。
近づいてみると、無数の小さな穴が列になってあいていました。
鳥がつついた穴か、虫が作った穴か、何者があけた穴だろうと近づくと、セミの死骸が見つかりました。
すると、あれがいると嬌声があがりました。ここ何年か湿地帯のミヤマイボタの木で見つかっているゾンビセミと呼んでいたものと同じものを見つけて叫んだ声だったのです。口吻が樹幹に突き刺さって顔の部分だけが残っているものです。セミの形が残っている死骸も口吻を刺しているのかいないのかデジカメで撮って拡大してみたり、ルーペで覗いてみたりと思わぬ観察会になりました。
この先のミズナラにでも見つかり、さらに富士山展望地のズミでも見つかりました。これらすべて一人の人が見つけており、敬服です。この日は完全にセミハンターの目になっていたと言っていいでしょう。
いままではミヤマイボタの木との関連性があるのだろうかとか、こんなことになるのは菌によってゾンビ化したのではないだろうかとか空想していましたが、これだけ見つかるとセミの習性として、たくさんのセミの中でこのような最期を迎えるものがあるのではないかといった結論になりました。真相はわかりません。まだまだ最後の声が根こそぎ拾えてないと思います。
富士山がよく見えていました。
お昼になり、ロッジに戻ってランチをとりながらおしゃべりするのも楽しいです。ヤチボウズを見てから帰ろうと、車を草原わきの駐車場に移し、山梨ロータリークラブが寄贈してくれたヤチボウズの看板のある場所へ行ってみました。雪はなくヤチボウズがよく見えていました。がここで、疑問です。
草刈り以降、何気なく看板の所へ行けるのですが、夏になって草花が繁茂したら、ヤチボウズを見に行くのに踏み荒らしてしまうことに気づいたのです。看板も出して見に来てもらうことにしたのなら踏み圧を最小限にして貴重な植生を維持できるように遊歩道を設けなければいけないのではないでしょうか。それに今ある遊歩道は駐車場から降りるところが急斜面で、階段状に直してもらったばかりなのにもう荒れてきています。階段のところが大雨が降ると道路や駐車場からの水が流れ落ちる場所になっているのです。
ではどのような遊歩道にするのか、いろんな案がでましたが、5月の遊歩道つくりまでに県や市と話し合う課題となりました。こういったことに気づいて話し合うことができたことも観察交流会の意義なのかなと思いました。