乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

自然観察交流会  2025年3月1日(土)

2025年03月01日 | 乙女高原観察交流会
※参加された毛利崇行さんがリポートを書いてくださいました。

1   3月1日当日はとても暖かく、標高1700mの乙女高原でも気温10℃もありました。

2 乙女湖は全体的には結氷しておりましたが、暖かさのためか、2月の観察会よりも氷の厚さが薄くなっているようでした。ダムサイトの部分等は氷が溶け、水面が見られました。


3 クリスタルラインの道路は所々アイスバーンや雪面が見られました。2月よりもそのような箇所が多いように感じました。特に水ヶ森林道は全体的に雪に覆われていました。

4 青空の下、富士山、鳳凰三山、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳連峰、中央アルプス等の展望が良好でした。

5 オヤマボクチとハバヤマボクチの見分け方がわかりました。オヤマボクチはウニのようなトゲが特徴です。

6 谷地の小川沿いには、高さ1メートルにもなる霜柱が観察されました。積雪による保温がないことと、小川の水分補給が成長を助長しているとのことでした。土の上かと思いきや、一歩踏み出すとスカスカの霜柱の上なので、落とし穴が待っています。


7 アシナガバチの巣を見つけ、どちらが下向きなのかと、参加者の話題になりました。


8 シカ柵のマス目が大きくなっている所が見られ、そこにシカが首を入れ、柵の外側から柵内の結構な距離までミヤコザサが食べられていることに驚きました。


9 フデリンドウの若芽を見つけました。寒さに負けず、春に花を咲かせようと着々と準備しているようでした。


10 谷地坊主の群落には高く成長した霜柱があるため、近づけませんでした。霜柱が成長している場所は、局地的に気温が低いことを体感できました。


11 青空には巻層雲が見られ、気象に詳しい鈴木さんが巻層雲の成り立ちについて解説してくれました。


12 グリーンロッジ敷地内の排水マスに水が落ちるときの音が、さながら水琴窟のようで、そのきれいな音色に聞き惚れてしまいました。

12 道の駅まきおかで解散後、玉宮のザゼンソウを見に行きました。まだちらほらと咲いているだけで、見頃はもう少し先になりそうです。

13 前回の観察会でも、発見が盛り沢山でしたが、今回の観察会も新たな発見がたくさんあり、乙女高原の自然の引き出しの多さに驚きました。好奇心旺盛な方、是非自然観察会に奮ってご参加ください。


※伊佐治庸子さんもリポートを書いてくださいました。

 下界20℃、乙女高原10℃という季節外れの暖かさでの観察会。さて、どんな一日になるかなと期待に胸膨らませて道の駅を出発した。
 先ずはカエルの池で卵チェック。岩の奥の方にちょっと水が溜まっているだけで卵は無し。「チィチィチィ(高く)、カッカッカッカッ(低く速く)」姿は見えないがルリビタキの地鳴き。
 乙女湖は、雪は被っていないがまだ結氷。しかし端の方は氷が解け始めている。

金峰山を眺めると五丈岩に雪は無し。「チッ、チチチチチチ」ホオジロが鳴く。双眼鏡でキャッチ。頬、白いか?白いのは眉?「フィーフィーフィーフィー」と大きな声のゴジュウカラ。姿は見えない。シジュウカラ、コガラ、ヒガラは前回の観察会で勉強した。親類筋なので外見も似ている。でもゴジュウカラは系統が違うと鈴木さん。シジュウカラとゴジュウカラはどこが違うの?「40代と50代」と植原さん。あ〜あ。
 柳平のゲート前で加藤さんを待つ間、現在は閉校中の笛川小学校柳平分校を見学。ここで発見したのはジャングルジムの植木鉢!ジャングルジムの内側で松やシラカバ計5本がすくすく成長していた。皆で興奮。除草から護られた、まさに箱入り娘たち!

その隣に子供たちが遊んだであろう登り棒があったが、鈴木さんと「なんだか低いなぁ」。私たち、大きくなったんですね。そばで毛利さんが整地用のローラーを年甲斐もなく押そうと頑張っている。

 空を見ると飛行機が何機も行き交っていて、真下から見上げると白いお腹がきれい。尾翼が赤い飛行機が来た。どこの航空会社だろう? ここに角田さんがいたらきっとすぐに調べて教えてくれるはずだ。同じ方角から2機仲良く並んでやって来た。一機は飛行機雲を作りもう一機は飛行機雲無し。この違いは如何に? 並んでいるように見えるが高度に違いがあって湿度・気温の条件が異なっているのだろうと鈴木さんと考察。
 無事加藤さんと合流して乙女高原に到着。毛利さんが嬉しそうに地図を取り出した。「これ、持って行きましょうか♫」金峰山・甲武信の地図だ。ちょうど山の位置と名前を一致させたかったので、毛利さん、ナイス!
 トンビが一羽上空を舞っている。「あっ、この前と同じトンビだ。」と植原さん。尾が白っぽいトンビだそう。どれどれ双眼鏡を覗くと、確かに頭も尾もロマンスグレーだ。これは個体差というよりシニアのトンビでは?と共感を込めて勝手に決めつけた。

 植原さん(隊長)はサクサク飄飄と歩いて行くが突然止まる。これは何かを見つけたサイン。ベージュ色の3,4センチ程の木片を見せてくれた。雪の上のあちこちに落ちている。キツツキが木をつついた削り屑らしい。でもどの木なのかはわからなかった。
 さあ展望台。ここでちょっとした事件が起きる。小学校校庭の重いローラーを動かした力自慢の毛利さんが、地面が盛り上がって開閉しづらくなった鹿柵のゲートを張り切って開けてくれた。「エイヤッ」と見事に扉を外してしまった。(笑)
 お決まりの富士山拝見。すっきりくっきりの富士山だが、なんと例年なら4月から5月にかけて見られる農作業サインの農鳥がもう出現している。ハトサブレーというより鶴に近い細身の農鳥。今年は雪が少ないんだなぁ。でも富士吉田市の公式発表はまだなので、これは農鳥と認めてないのかも。富士山から左方面に目を移すと電波塔が目印の三つ峠もよく見えた。
 前回は会えなかったブナ爺さんに挨拶をしに。5月頃にはアケボノスミレやフデリンドウが顔を出す場所を途中教えてもらう。楽しみだなぁ。ブナ爺さんは子供たちに掛けてもらった落ち葉の掛け布団で静かに冬を過ごしていた。
 水ヶ森林道に出てロッヂへ戻る道すがら見晴らしの良い場所で山観察。さあ、毛利さん、地図の出番よ!「あ、置いてきちゃいました。」地図は、暖かいからと車に置いてきた上着のポケットの中。はぁ~?マイナス1000点!地蔵ヶ岳のオベリスクを頼りに、あれが甲斐駒、なら、あれは仙丈ヶ岳と皆であれこれ言う楽しさよ!でもいつも自分のテリトリーから見ている見慣れた姿と違うので少し戸惑う。

 林道はところどころアイスバーンで普通の長靴底ではツルリと危ない。落ち葉があるところではそこだけ早く雪が溶け、葉っぱの形状にボコッと沈み込んでいる。その様子をしゃがみ込んで写真に撮っている鈴木さん加藤さん毛利さんを、私がパチリと撮影。


 思いの外距離がある林道をとりとめもないお喋りをしながら進む。「チロル知ってますか?」と毛利さん。リーズナブルで美味しいからファンとのこと。横浜在住のあなたがなぜ山梨市駅前の伝説の喫茶店チロルを知っているのか逆に聞きたい。加藤さんと私にとっては青春の想い出。高校時代、入り浸っていた女子学生の聖地(男子だけの入店お断りだった)。名物イタリアン焼きそばとソフトクリームのチロルセットが大人気。あの頃20代の店主夫婦は今や70代か。毛利さん、ナイス!プラス1万点!
 林道の道端にオオウバユリの乾燥した果実がまるでエイリアンが口を開けたような姿で立っている。先に進むと今度は、おっ、綿毛がフワフワ飛んで行く。イケマのケサランパサラン(桐の箱に入れておくとお白い粉を食べると言われていた、あれ)だ。感動したのはその収納術。殻に羽根付きの種が整然と並んで上手に収まっている。

鈴木さんがアサギマダラの幼虫がイケマの葉っぱを好んで食べると教えてくれた。でもイケマには毒があると。へえ、これは興味ある。帰宅後ググる。イケマはアルカロイドを含む毒草で、アサギマダラはこれを食し自らを毒化して敵から身を守る術を身に着けた。幼虫・蛹・成虫いずれもが鮮やかな体色をしているのは毒持ちを敵に知らせる警戒色なんだそう。イケマはアイヌ語で、イはそれ(神様)ケマは大きな根の意味で、アイヌの人々はイケマの毒をコントロールして生活に取り入れていた。時に薬として、お守りとして。
 12時過ぎにロッヂに戻りお昼ご飯。デザートは毛利さんが用意してくれた、かりんとうまんじゅう。あんこたっぷりで美味しい!毛利さん株ウナギ登り!
 食後テーブルの上に毛利さんの地図を広げ山の位置と名前の復習。すると植原さんが気づいてしまった。「あれ、西関(西関東道路)がない!ユニマートがある!(今はもうない店)」見ると地図の発行年が2005年、20年前じゃん!毛利さん株下落(笑)。でも紙の地図はやっぱりわかりやすい。毛利さんのおかげでその良さを再認識したので、帰りに塩山の天真堂に寄り昭文社の山と高原地図「金峰山・甲武信」を購入した。もちろん2025年版をね!
 さあ、午後の部開始。私にとっての本日のメインイベント。1メートルの霜柱グランドキャニオンを観ること。雪の残る斜面をズルズル滑りながら湿地帯へ。先ずは植原さんが足を踏み込む、といきなり視界から下がる。ズボッ!3,40センチ踏み抜いた!なんとここ全面が霜柱地帯、まるで地雷原。私の履いている長靴はそんなに胴が長くない。途中までは植原さんのトレースを辿るが歩幅が広くて届かない。慎重に着地場所を見極め進む。ギャー、ズボッ!加藤さんと大騒ぎしながらも、なんとかグランドキャニオンに辿り着く。

 高さの計測。1メートル以上。触ってみる。全体は硬い。表面はパリッと剥がれる。毛利さんに剥がれた泥の付いた霜柱を手渡すと水で泥をすすぎ落として食べようとしている。え〜っ!泥落ちないよ、やめときましょうよ。写真も撮って満足してロッヂに戻る。するとロッヂの駐車場でもズボッと足がはまる事態に。底なし沼だぁ。地中で泥濘んでいる。いやぁビックリした。膝と腰にくる。
 高原に戻って来た。西側の空からぼんやりとした薄い雲がサァーと広がって来た。ちょっとクールなすじ雲も混ざる。お天気博士の鈴木さんが「巻層雲」と教えてくれる。割り箸を突っ込んでクルクルしたら美味しそうな綿菓子雲ができそうだ。

 高原中腹から山の観察。ロッヂのモミの木右奥が大烏山(多分)、その右が断崖絶壁のひな岩、北東奥のギザギザ岩が乾徳山、東方向茶色の地肌が続くところが大菩薩峠。冬は山観察にもってこい。毛利さんの地図がここで大活躍したことを申し添えておこう。

 植原さんがアシナガバチの巣を拾った。「この巣はどの方向を向いていた?」私は下向きと思ったが植原さんは横向きじゃないかと。そして上から巣を作っていったのだろうと。

気になり帰宅後ググった。アシナガバチといってもその種類によって巣の形と向きが違うらしい。セグロアシナガバチはキノコ傘が下向き、キアシナガバチはお椀が下向き、フタモンアシナガバチはお椀が横向き、コアシナガバチはシャワーヘッドが下向きで端が上に反り返る、キアシナガバチはシャワーヘッドが下向きで黄色い蓋付きetc.結局どれだったんだろう?
 ハバヤマボクチとオヤマボクチの見分け方も教えてもらった。花の後ろのトゲトゲで見分ける。ハバヤマボクチはタワシで、オヤマボクチはウニ。タワシは恐れるに足らず。ウニはトゲが長くて硬い。痛っ!
 遂に来た!前回の学習の成果が役に立つ瞬間。甲高い声で「チーチーチーチー」と聞こえてきた。双眼鏡で観察する。木の枝に逆さまにぶら下がり足で実を押さえてリョウブの実を食べている。さあ、その鳥は?艶のない黒のベレー帽を被り、喉はちょっと黒、お腹は白くて背中はグレー。こ、これはコガラ!植原さんに確認してニンマリ。なんか嬉しい。

 前回の宿題。シカはどうやって鹿柵の外からササを食べるのか?センサーカメラに映っていた若い雌シカが頭を入れた金網フェンスの現場へ。なるほど、金網の下側が少し凹んでいて他のところより若干広がっているようだ。シカが押し広げたのではなく(かなり硬い)元々そうだとしたら、あちこち試してここに決めたのかなぁ。

ここから妄想。「あれ、ここダメ、入らない。あ、ここもキツイ。お、ここなら頭を傾ければなんとかいけそうじゃん!入りさえすれば帰りはどうにかなる!」なんて一人いや一匹思案にくれてたりして。このプロジェクトは大成功。
 植原さんが何やら赤い実の木の前で立ち止まった。「これ、やっと食べてもらえた。ずっと食べられずに残ってたんです。人気なかったんだよね。」ミヤマガマズミの実。どれどれ、どれほど不味いのか食べてみよう。うん、酸味があるが結構滋味溢れる味で好きかも。ブドウも棚に残され天然のドライフルーツと化したものは水分が抜け糖度がギュッと増して美味しくなるから鳥もそれを待ってたんじゃないかなぁ? 鈴木さんもつまんで、「美味しいですね。私、これで果実酒作ってるんです。」ですって!

 またまた植原さんがしゃがみ込んでいる。今度は何を見つけたんですか?「フデリンドウです。この姿のままで冬を越すんですよ。」3,4センチ程の高さで紫色の肉厚スペード型の葉が薔薇の花びらのように重なった姿。本来ならまだ雪の下で見つからないだろう。それにしても枯れ草の中からよく発見できる。植原さんは神の目を持っている。

「訓練ですよ。」ぼーっと歩いていたんじゃダメね。フデリンドウは茎が細くてちょっと横倒しになっていたので少し心配になった。加藤さんと毛利さんが根本に土を寄せ固定させた。これで大丈夫かな。
 あっという間にもう午後3時。雪のお風呂からもう上がってしまった谷地坊主を見て、最後にロッヂ駐車場の排水桝に流れ込む雪解け水が作り出す水琴窟の音色を聞き、春の訪れを思う。「楽しかったですねー。」「次は総会で!」
小ネタ満載、大満足の観察会だった。


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