しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

雛祭りすら。

2012-03-03 21:27:07 | 日記
ほぼ丸一日中、成績処理の日。
やっと1学年分が終了した。まだあと2年生が残ってる。
数字と格闘し、数字では表せない生徒の良さを所見で。
みんなよく頑張っていたから、1年の平均評定が3.7くらいになる。
美術科は成績甘いよね、と言われるけど、
絶対評価なんだから平均を3にしなきゃいけないわけでもないだろう。
授業に出ている生徒には、1はつけない。取り組みがあれば2以上はつけられる。
逆に、主に5教科が普通に「1」をつけるのが恐ろしい。
「1」って・・・・。教える方の責任だよね、それは。

この作業が一番嫌いだ。
美術科の先生で、これが好きな人なんていないだろうけど・・・。
明確な規準がないと、人の作ったものに成績なんてつけられるもんじゃない。
混色を必ずすること、遠近感を表現すること、建物の立体感を明度差で表すことを技能面では見る。
これだけが生徒との約束事だった。
後は、実物にはない色彩表現もいいし、背景も自由に表現していい。

今回の1年生後期では、地元の、横浜の歴史的建造物を砂絵で表現した。
横浜には美しい建物がたくさんある。モデルには事欠かない。
夏休みの宿題で、スケッチしてもらったのを作品にした。
かなりの細密描写だけど、砂という素材がかなり面白く、
混ぜれば、絵の具ではとても表現できないような空気感のある美しい色彩で、
美術に苦手意識のある子もはまる。かなり制作に集中していた。
こんな綺麗になるとは思わなかった、嬉しい、という感想を、
美術が苦手だと言ってた子が書いていると、こちらもとても嬉しい。
だから、成績で区切るのは、とても辛い作業だ。
愚痴ってしまった。

で、今日の本題は「ひな祭り」。前置き長過ぎ。

今日はひな祭りだったなあ・・と、
1学年分の作業が終わって、買い物に行って気づく。
お正月、建て替えの終わった実家に帰ると、
物置にする予定の部屋に、大きな箱があった。
ひな人形だった。
小さい頃、和室に出したひな人形たちが持っている道具の精密さに感動したものだった。
柄杓、頭の上の飾り、三人官女が持っているもの。
美しいなあ、と思って見ていたら、ふと目線を感じた。
見上げると、おひなさまと目が合った。
それ以来、ひな人形はなんとなく怖い。
で、なんとなくひな祭りは怖い記憶にリンクしてしまう。

北村薫さんの「詩歌の待ち伏せ 1」という本に載っていたある歌を思い出してしまった。
北村薫さんは、語り口がジェントルで、大好きな作家さんだ。
ちょうど本が手元にあった。


『不運つづく隣家がこよひ窓あけて 真緋(まひ)なまなまと てる雛の段』(塚本邦雄)

北村さんの解説はこう。
「不運つづき、普通なら窓を閉ざすべき隣家が、『窓あけて』いることの怖さ。
ぽっかりを開いた口から、悪しき運命がこぼれでてきそうです。
これだけでもう、後に何が続いても怖い。そして『こよひ』の闇の黒を背景とする、
『真緋』の不気味な明るさ。(中略)
満開の桜、雛人形。(中略)
『真緋なまなま』と、くねって来る『ま』の音は、どろりとした血の流れそのものに思えました。
最後の『雛の段』でそれが完結する。そこに来た瞬間、人形は一斉にかっと目を見開き、
異様な祝祭の管弦楽が、フォルティシモで鳴り響く。
この歌からは、そういった感じの、強い印象を受けました。」


これを思い出したんだよね・・・・(´`∥)。ひな祭り、こわーい、である。
とはいえ、ダークだけどロマンティックではある。
土着の、どこか血のにおいがする日本文化。嫌いじゃないよ私。

ひな祭りの感じ方一つにも、いろいろあるんだから、
生徒が思い、感じることの多様さといったらもう。(ここに話を持ってくか!)

なので、機械的な成績処理、不毛だわこれ、もう(笑)。




















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