《子どもと教科書全国ネット21ニュースから》
★ 自衛隊名簿提供違憲訴訟(RYU裁判)へのご支援を
自衛隊名簿提供違憲訴訟(RYU裁判)を支援する会 河戸憲次郎(かわとけんじろう)
自衛隊員の数は定員より約1万9000人も不足し、その募集のために、防衛省は全国の自治体に対し、募集対象者情報(18歳、22歳の個人4情報=氏名、住所、生年月日、性別)の提出を求めています。
現在、この要請に応じる自治体が急増し、全国で6割超となっています。奈良市は2022年度まで閲覧対応でしたが、2023年度から紙媒体での名簿提出に変更することを決定し、除外制度の創設と自衛隊との覚書締結を行った後に、2023年2月、6419人の全対象者の情報・本人同意なしの提出を実行しました。
自己に関する情報をコントロールする権利は、憲法13条に基づく基本的人権です。個人情報保護法ならびに住民基本台帳法は、個人情報の外部提供を原則禁止しています。
自衛隊法97条と同施行令120条には提出を義務付ける規定はありません。隊員募集のための、本人同意なし個人情報提出は、憲法及び個人情報保護法制に違反します。
これを許さないと、奈良市の18歳現役高校生RYU(ニックネーム)さんが裁判の原告になることを決意しました。当事者である青年本人が原告となる全国で初めての裁判となります。
23年10月14日に、裁判を支援する会を結成。募金活動などを開始し、13名の強力な弁護団が結成されました。
この間、弁護団では重要なことを決定しました。
一つは、この裁判で国の責任を問うということです。国と奈良市に対し、プライバシー侵害について、それ相当の損害賠償を求めて裁判をたたかいます。
もう一つは、この裁判で自衛隊の違憲状態を立証するということです。
国は、集団的自衛権行使容認の閣議決定、安保法制の強行、安保3文書の改定を行い、敵基地攻撃能力の保有、軍事費2倍化をすすめています。今日の自衛隊の実態はもはや憲法違反が明白であることを、この裁判で正面から主張します。
恵庭、長沼、砂川、イラク裁判などの憲法9条裁判を引き継ぐたたかいです。
訴状の骨子は、
1.法治主義違反。自衛隊法97条1項は募集事務の具体的内容を定めていない。同施行令は地方自治体が行う募集事務を受けたもので、募集対象者情報についての市長の提供義務を定めたものではない。
2.プライバシー権侵害(憲法13条)。個人情報保護法69条1項…市長が保有個人情報を第三者に提供することは原則禁止。2項…例外規定のいずれも該当しない。除外申請制度は原則と例外が逆転、対象者への通知が不十分。違法性は阻却されない。
3.憲法9条違反。違憲の自衛隊に名簿を提供することは違憲。
4.思想良心の自由の侵害。奈良市が、除外規定を作り、名簿を提供する行為は、反戦平和思想を持ち、積極的に自衛隊を忌避する市民の住所氏名などを災り出す効果をともなうものであるから、思想良心の自由(憲法19条)の一つである「沈黙の自由」の侵害となる。
5.慰謝料請求。原告は、被告、奈良市、国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金の支払いを求める。
3月提訴の日程が決まりました。いよいよ裁判が始まります。この裁判を、自衛隊名簿提供違憲訴訟と命名すると決めました。それに従って、支援する会の名称も変更しました。支援する会への募金は100万円を超えました。目標は200万円です。引き続き全国からの支援をお願いします。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 154号』(2024年2月)
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