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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

予防原則の観点を

2011年08月27日 | 電磁波と基地局
 かながわ《時流自流》この人が語る
 ◇ 予防原則の観点を
 電磁波問題市民研究会事務局長/大久保貞利さん


 これまでに設置を断念させた携帯電話の中継基地局は130基以上。変電所建設も多く頓挫させた。地域住民の求めに応じ、開いた講演会は全国200カ所を超える。1996年の電磁波問題市民研究会立ち上げ以降、電磁波が身体に及ぼす悪影響の可能性を訴え続けてきた。
 今月、そんな市民運動家が、世界を駆け巡ったニュースに驚いた。「これでもう、安全論は完全に崩れた」。世界保健機関(WHO)の専門組織・国際がん研究機関(IARC)が、携帯電話や基地局でも使われる「高周波」の電磁波について、発がんの危険性を限定的ながら認める調査結果を示した。
 調査結果の内容自体も画期的だと思ったが、それ以上に、国内のメディアが結果を報じたことに驚いた。
 「テレビまで流すとは思わなかった」。WHOは2007年、主に家電製品などから発せられる「低周波」について、似た見解をすでに示していた。けれども、当時は「新聞もテレビもほとんど報じなかった」。だから、今回だけ唐突にニュースが出てきた感が否めないという。
 背景として考えられるのは、「安全性を主張する産官学の“電磁波ムラ”の弱体化。中心的な、あの企業に「影響力がなくなったのではないか」。
     ■□■

 大久保さんにとって電磁波問題は、今回の原発事故と「そっくり同じ」に映る。安全の一点張りで、大事故を起こした福島第1原発。「根拠のない安全神話は電磁波も同じ。われわれはそれがおかしいと言っている。海外には危険視する研究論文もたくさんあるので、それを見てほしい」
 電磁波問題を常にリードしてきたのは欧州だった。92年にはスウェーデンの国立研究所が、送電線下に住む43万人を対象に行った疫学調査の結果を公表。小児白血病との関連が疑われる報告となり、スウェーデン政府は3年後、「慎重なる回避政策」として、子どものいる住居や学校近くでの送電線の建設を禁じた。
 07年の欧州連合(EU)の公式調査では、携帯電話や基地局について、3人に2人が健康不安のもとと答えた。「これが欧州の常識。欧州は電磁波の情報であふれているから、みんな知っている」
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 電磁波の健康影響は世界中で大論争の真っただ中で、確定的な答えはまだない。「今回のIARCも可能性であって絶対ではない」。ただ、「逆に言えば、百パーセント安全性が立証されたわけではない。疑わしいのだから、慎重に対応しろと言いたい」。必要なのは予防原則の観点という。
 携帯電話を例に挙げれば、使用時間の規制や、より影響が大きいとされる子どもの使用禁止などが念頭に浮かぶ。安全、危険の両論を併記した形での情報公開も不可欠とする。
 「携帯電話は便利なので、私がギャーギャー言っても、みんな使いますよ。ただし、危険性が分かっていれば、イヤホンを付けて頭から離して使うなど賢いやり方もある。判断材料をきちんと示した上で、あとは国民が自己責任で選ぶ問題だ」。目指すのは、携帯電話の撲滅ではない。
 携帯電話の使用者は全世界で50億人とされる。「原発事故以上に、何かが起きてからでは取り返しがつかない」と感じている。後進的な日本を突き動かすには、「情けないが、WHOという黒船の力を借りないと駄目」。
 今回のIARCの調査結果も、そこに意義を見いだす。「一つの錦の御旗になる」。地歩を固め、草の根で活動を広げていく気概と覚悟が、今後の行方を左右すると思っている。
 ◆IARCの調査結果 WHOの組織として初めて、高周波による脳腫瘍の危険性を指摘。分類では、5段階のうち中間の*「2B(発がん性の可能性あり)」とされた。2Bには、DDTなどの劇物から、コーヒーなどの日用品まで幅広く含まれている。今回の結果を基にWHOは2013~14年ごろ、高周波に関する「環境保健基準」を出す見込み。
 ◆おおくぼ・さだとし</b> コンピューター労働の実態調査などを契機に、20代後半で市民活動に携わるように。ごみ処理やダイオキシンなど、主に環境問題に従事してきた。カネミ油症被害者支援センターの共同代表も務める。電磁波問題では、県内でもこれまで約20カ所で講演した。東京都職員。新宿区出身で、千葉県船橋市在住。62歳。

『神奈川新聞』(2011年6月27日)
http://news.kanaloco.jp/serial/article/1106270001/

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