◆ 都教委「高校生いじめ防止協議会」の"責任者"が、過去に「教員いじめ」

　◆ いじめ防止担当の都教委部長
　　 〝君が代〟再処分発令で教員いじめの過去 （『紙の爆弾』）

　東京都教育委員会は23年度から「子供がいじめ防止について、どのような取組が必要か考え議論する」と、高校生いじめ防止協議会を設置。同年度は都立高校生7人が「しっかりと自分の意見を明確に言えることが大切。嫌なことをしない、互いが意見を伝え合え許容できる意識を持つ」等を提案した。
　24年度も11月2日に都立高生10人が出席。「子供たちがいじめを見逃さない環境を作る。地域との関わりを増やすことで子供たちが気軽にSOSを出せるようになり、いじめ防止や早期発見につなげられる」等意見交換後、「いじめアンケートを電子化し、カウンセリングを電子予約システムにする。いじめ防止を身近に意識できるグッズを配布する」等の提案をした。
　これに対し11月28日の都教委定例会では、〝グッズ〟について、市川茂・指導推進担当部長が「都教委が生徒全員にいじめ防止を記載した消しゴムを配布する意見が出ていた」と説明。宮原京子・高橋純両教育委員が「グッズに相談先等記載を」等述べ、市川氏は「次回の会議で高校生に伝える」と答弁。だが大人らの間ではいじめと人権侵害の議論は深まらなかった。
　それもそのはず、市川氏は〝君が代〟不起立教員に対し、〝いじめ〟をやった過去があるからだ。
　〝君が代〟処分取消1次訴訟で最高裁は12年1月、地方公務員法上の懲戒処分のうち、戒告は容認したが、「減給以上の重い処分は原則違法」とする、教職員側一部勝訴判決を出していた。ところが、11年4月の入学式から連続10回、〝君が代〟不起立を貫いた田中聡史・都立特別支援学校教諭の、13年3・4月の卒・入学式の〝君が代〟時の4・5回目の着席に対し、都教委は違法な減給処分を発令したのだ。
　4次訴訟で19年3月28日、当然ながら最高裁は「都教委の減給処分は違法」と判じ、処分取消しが確定した。田中さんは「代理人弁護士の同席のもと、行政手続法第13条の規定する弁明の機会設定」を求め続けたが、都教委は一切謝罪せず2年近く拒否し続けた。
　そして20年12月25日、2学期終業式を終え教室の清掃・消毒作業をしていた正午、田中さんは突如校長室に呼び出された。そこには都教委人事部の2名がいて、約8年も遡り戒告処分2件を出し直す再処分の発令書を手渡したのだ。
　市川氏はこの時、人事部の主任管理主事（課長級）の職にあり、処分発令の中心人物。田中さんによると、来校の2名は挨拶をせず、勤務中着用が義務付けられている名札も付けず、職・氏名も名乗らなかったという。まさにいじめなので、都民が「来校の2名の一人は大柄な体型や年齢等から市川氏ではないか」と、出張（旅行）命令簿等を情報公開請求したが、都教委は職・氏名欄を黒塗りにし、不明のままだ。
　なお、24年度の高校生いじめ防止協議会提案は「生徒が主体的となる教育活動を推進する」と明記しているが、卒業式等の〝君が代〟起立強制に際しては、都教委も校長らも生徒の意見を一切聞いていない。

（教育ジャーナリスト・永野厚男）

月刊『紙の爆弾』2025年２月号

【補足】

　東京都教育委員会の役人らは、"君が代"や軍事等、国家主義イデオロギーや政治が絡む問題では、生徒や教職員をいじめ、苦しめる性癖がある。
　都教委主導で、都立大島高校２年生を2014年11月26～28日、"宿泊防災訓練"と称し陸上自衛隊武山駐屯地（神奈川県横須賀市）で、①瀧澤健二３等陸佐（当時、自衛隊東京地方協力本部渉外広報室長）の号令一下、行進訓練させたり、②九鬼東一１等陸佐（当時、防衛入学校教授）が「機関銃を手に、鉄帽・迷彩戦闘服で突撃してくる自衛隊員らの写真」【今回、当ブログ『パワー・トゥ・ザ・ピープル!! アーカイブ』に掲載】を見せ、"国防の任務"に言及したり等、防災と無関係の"軍事訓練"を強行。
　都教委が前年度、都立田無工業高校生に朝霞駐屯地で行った"宿泊防災訓練"が同内容だったと、事前に情報を得ていた大島高校２年生は全35人中19人が参加せず（保護者や住民も政治的中立性等の観点から猛反発）、学校で教員の指導下、防災等の課題学習に取り組み、出席扱いとなった。だが、都教委がこういう代替措置を明言したのは、直前の14年11月20日の都議会。これって"立派"ないじめだ。

　※ 詳細は『週刊金曜日』2015年３月６日号の永野厚男さん取材・執筆記事参照。