『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第139回 音楽家講座 in鶴見~甲野善紀先生を迎えて~ 10月24日(木)

2024-10-26 12:19:45 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
10月も半ば過ぎたというのに、とても蒸し暑い陽気となりました。
ここ数日も、もう暑いのだか寒いのだか、よくわからない毎日。

そんな中、甲野先生は、日本中を駆け巡っておられて、本当にとんでもない御忙しさのはずなのに、以前のような憔悴された感じは一切なく、何かしら突き抜けられたお元気な様子で、これがこの日の一番の嬉しい驚きでした。

おそらく、旅先の様々な出会い、それに伴う技の進展が、先生のエネルギーの源になっておいでなのかな、と思います。

そうした先生の「波」にシンクロしたかのように、私にも大きな進展がもたらされたので、そのご報告。
これも7月2日に口腔内の変化に気付いたからこそなのですが、それ以降導火線に火がついたかのように変化しています。

今回はフルートを吹いている中、もたらされた気付きですが、その状態で声を出してみたところ、大きな変化がありました。

声に響き、奥行き、ボリュームが出るように。

講座開始前に、控室で歌とフルートを検証していただいたところ、どうも、今回のものは、以前先生がみつけられた声帯に関する気付きと同じような働きをしているのでは、とのこと。

そういえばかつて植村泰一先生からも「フルートは声帯ともとても関連があると思う。」と仰っていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(お話と技の紹介)

前よりも基本的な体力や肉体的な衰えはあるが、身体の使い方、技に関しては50代、
60代の頃よりも、今が一番使える。

今の技は特に、感覚、意識、思考といったものが、どういう構造でこうなっているのか?
凄く複雑だ。

よくやろうと思ったり、上がったりという思いをサっと消してしまう技の一つに、2017年暮れに気付いた「影観法(えいかんほう)」というものがあった。

(体験者を相手に技の解説)
相手を突こうとしたときには、こうして払われてしまう。
しかし、相手に触れているところではなく、触れていないところでやると払われない。

(しかしただそうするのでは何も起こらず)意識の有様が違っているのをどう説明したらいいのかがわからない。

人には皆、とても繊細で精妙な能力があり、次に来るであろう力の方向性を把握し先回りし正確に読んでいる。
こうした機能がないと満員電車に乗ったり、雑踏で人をよけながら歩いたりは出来ない。
人間がスムースに動作出来るのは予測できるから。

しかしこの技はそうした予想から外れているから止められない。

クラッシック音楽でメロディーがわかっていても微妙に心地よく予測を外されるから感動する。

この時、意識が全然違うものになる。

何気なくやっていても、意識は何処にあるかわかっている。その意識がパっと飛んだ時は何もないので予測できない。

(自分ではなく)まるで隣の誰かがやっているような感じで、完全に(意識の)スイッチを切っている。
こうしたこと(影観法)は気配に敏感な人程出来ない。
意識を分離させない。
人間は表の意識と裏の意識が絡み合っている。
パっとやっていることを持続させるといろんなことが違ってくる。
そのへんは、どういう人間の構造になっているのか?
出来る様になると、生き方も人生も変わってくる。
何かをやる時の意識のあり様が大切。
ただただ繰り返すだけでは、上達どころか、むしろヘタになるだけ。
どこかで気持ちをパっと転換する。
自分をパトロールするかのように見回っているもの(意識?)があるので、それをどうやって切り替えるか。過剰に働きすぎないようにするか。

(両手で手をもたれた相手を崩す)ただ上げようとする手と反対の手を操作すると地震の津波が伝わるようになる。ただイメージするのとは違う意識の在り方があえい、動きの質が違う。

これとは別に「階段上り」の応用での突きはこうした(意識の)手続きはいらない。
意識のあり様の違い、何かに気付くという大事さ。
「術と呼べるもの」はただただ反稽古では出来ない。
表にある意識をパっと切り替えている。

ネドじゅん、刑務所で講演した曹洞宗の僧侶、伝説の養護学校教員・山元加津子らの話。

人が生きているということは色々なことに対応すること。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(個別指導)
1.ピアノ
フォーカルジストニアとなり大分回復したが、まだ思う様に右手が利かない。右手のパッセージが速い時、人前で弾く時など、左右のバランスが悪い。

指紐、祓い太刀で、指は軽く、音はふくよかに大きく変化。

2.ピアノ
本番での意識、自我をなんとかしたい。背中がバリバリになっている。

祓い太刀で、大きく変化。

3.ヴァイオリン
前回の受講後大きく変化し、周囲からの評価も上がったとのご報告。
(実際そうでした!)

祓い太刀で更に響きが増す。


4.能管
ナンバ歩きをご指導いただきたい。

膝をのばさない、手をふらない。
現代歩行は踵着地が問題。
クッション性の高いスニーカーはよくない。
「ヌケヌケ症候群」となる場合も。
人の身体は驚くほど精妙で、分厚いコートの上に巻かれたものが丸紐か平紐かを感知するくらい。確実に違いを感知する。
道は実際には硬いはずなのに、足元が柔らかいということで脳が混乱し、身体が理解できなくなり、運動機能そのものがおかしくなる。
裸足が一番。波打ち際の湿ったところを歩く。
具の目歩き
10分かけて45度まわる。「頑張ってやっている」ではなく。
「無構えの構」の稽古は、身体各所がピタっと揃うのが楽しく面白く、いつまでもやっていられる。決して苦労して何かをやる、というのではない。





5.ピアノ

祓い太刀で音に深みと輪郭が。


6.ピアノ
粒がそろわない。

丸紐による四方襷により大きく変化。

7.ウクレレ
肩が痛い。

祓い太刀で、背中が変化し、音が明るく晴々と。


8.ピアノ
身体の節々が痛い

祓い太刀でクリアに変化。

9.うた
喘息が辛い

鎖骨近辺の調整で、より響くように。


10.イタリア歌曲、フルート’白川)
せっかく色々な気付きがあっても、本番での「うまくやってやろう」があると失敗する。
これをなんとかしたい。

祓い太刀
歌、フルート共に変化。

演奏自体は以前よりはマシになったものの、意識はやはり緊張したままで、ベストコンディションではない演奏なのでなんとかしたい。

労宮のツボをへこませる手の内の紹介とその効果を持続させるための方法の紹介。

意識の変容にも結び付くせいか、内心のドキドキが消滅。


時間があったので、追加で個別指導
11.ヒーラー 
先生との対話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これ程沢山の祓い太刀をされたのは、初めてではなかったか、と思います。
いつもより、丁寧に刀の手入れをされておいででした。

何度も受けている祓い太刀ですが、この日は更に威力が増していて、ズドンという衝撃がきました。

この日最初にお会いした時の先生の清明な印象は、更に増し、自分も含め、受講された方々の響きにもうつっていたような気がします。
懇親会も少人数だったせいかよりディープな話題で盛り上がりました。

翌日のお疲れが心配だったのですが、Xで以下のように仰ってくださっていて、とても安心しました。

(引用開始)
『昨日は朝起きた時どうしようかと思うほど気分も悪く、体調が良くなかったが、昨夜、鶴見であった音楽家講座は、私自身にとっても体の調整になったのか、何かが祓われたのか、今日は昨日とは打って変わった調子の良さ。

一人で剣術の稽古をしたくなって木刀を様々に使ったが「今までこれほど気持ちよく木刀を使えたことがあっただろうか」と思うような動きが出た。』(引用終わり)

ご参加くださった皆様、お手伝いくださったNさん、会場スタッフの皆様、
甲野先生、本当にありがとうございました!

次回は11月28日(木)となり、年内最後の音楽家講座となります。
どうぞよろしくお願いいたします。 白川真理











最新の画像もっと見る

コメントを投稿