『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

溶かしてなくして消す

2023-01-29 00:46:40 | 気付き
3か月前から甲野先生が取り組まれている新たな気付き。

両手が協力し合うのではなく、片手は消す。

大将は一人。


という教え。


これをなんとかフルートにと色々と試みてきた3か月でしたが、どうも今一しっくりこない。

ママレードの蓋はすぐに開けやすくなったのだけれど・・・

フルートを吹いている時間の方が、ママレードの蓋を開ける時間より断然多いせいかもしれないけれど、元々、蓋を開ける時の様な力みとは無縁だったせいもある。

片方の力をより抜こうとしてしまうとダボダボになって、抜いた半身の響きが失われてどうも気に入らなかったのだ。

という訳で、一知半解なまま取り入れようとして自滅するよりは、とずっと棚上げにしていたのですが、先日の音楽家講座でのウクレレの方のお試し演奏で、なるほど!
と感じたのと、新たな先生の言葉「溶かしてなくして消す」という言葉、そして別の次元の世界に置く、というような意味のお話から、ようやく・・

講座が終わった時点ではまだ漠然としていた。

ウクレレやギター、ヴァイオリンは右手と左手の動きは全く異なるものだけれど、フルートは両方共にキーを操作する似たような動きだし・・

それに、そもそも右と左と、どちらを消すのが良いのか?

私は左を保持の基本としているので、右を抜いたほうが確かに指の動きは良くなったけれど、ひびきがなあ・・

と、この時も悩んでいた。

でも、ウクレレという楽器のことを考えると、どちらも抜き過ぎてしまったら、そもそも演奏は不可能だ。

左手で弦を押さえ、右手で弾く。

最初に95%と5%という比喩を聞いて、ただ物理的に力の入れ具合を変えようとしていたのが失敗の原因だったのだ。

それは「内観」によるものだからこそ、効果がある。

左右の手の圧は同じ。
でも内観で「溶かしてなくして消す」ということで、その音色と響きは、本当に素晴らしいものに変化するのをウクレレのお手本で知った。

そもそもイメージはわかるけれど「内観」のハードルは高い。

自分が「内観」出来るとは到底思えない。

なので、内観のお話をうかがっても、ちょっとスルーしてしまっていたようなところがあった。最初からあきらめていたので。

甲野先生は「音楽家の人達は、こうしたことはやれるのではないですかねえ」と日頃よく仰っているけれど、やはり私にとっては???だった。

それが、ともかく、現世の物理的な話ではなく、違う世界のものなのだ、と認識したことで、モドキかもしれないけれど、別世界が登場したのでした。

そして、それをお伝えした生徒さん達も、みな同様に・・

催眠術か?と思う程で。

右をなくして左だけの時は、自分の正面から華やかな音が朗々と響き、
左をなくして右だけの時は、自分の中に音が入り込んで、それが身体から出て行くという幽体離脱的な不思議な別世界から聞こえてくるようなしっとりとした響きとなりました。

何もせず両手が働いている時、つまり今までのやり方は、全て現実世界の音。

・・・わかりにくくて申し訳ないけれど、聞いていただければ、その差は歴然・・

曲想によって、この左右を使い分けると、より表現の幅が広がりました。

音色のパレットが急激に増えたし、没入する感覚となったのも不思議です。
なんせ、この世の出来事という感じがしないので、緊張とかとも無縁かも?
一種、自分を飛ばす、アシスタントに徹する、という時の感覚にも似ている。

まだこの操作をするのに結構時間がかかるし、まだレッスンなどで吹く時、うっかりすると両手のままで吹いてしまって、「ごめんね、ちょっと気に入らないのでやり直させてくださいね」となることもあるけれど、それはつまり今までのものと全く違う、というのと、今の片手方式の方が断然いいね、というのを身体が認識しているからこそ。

身体の状態としては、両手だった時は背中が混線していた感じだったのが、片手だと、綺麗に整って「整列!」という感じ。

整列しているのは、ギュスターヴくん。

先日、新聞記事で初めて知って、すぐに絵本を買いました。
ちょっとボッシュの画集を眺める楽しさにも通じてる。

毎晩眺めているせいか、フルートで片手にすると、すぐにワラワラと背中に整列し始める。

頭は猫で、6本の足はタコ、2本の手はヘビ、という・・キメラ?


エジプトの神様にも、頭がワニ、上半身がライオン、下半身がカバのアメミット神というのがあったけれど・・・怖い動物大集合なのも、審判の時、悪人の心臓を食べちゃう神だから、まあ妥当な組み合わせだ。

でも、猫にタコ???蛇??
猫はまあ、実際、「液体」と呼ばれるくらいに、にょろにょろっともしているので、タコや蛇っぽい感じもあるのかな・・?


ワニもリアルで素晴らしい。

著作権の問題もあるので、整列している絵の写真は撮れないけれど、こちらです。
カテゴライズなんてしなくても、もうどうでもいいじゃん、という感じが好き。

https://www.hakusensha.co.jp/books/9784592762003




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