『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第127回 音楽家講座~甲野善紀先生を迎えて~in鶴見 3月22日(水)

2023-03-24 22:20:53 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
桜も咲いた3月。
更に御忙しさを増した先生に毎月お願いするのも心苦しいのですが、こうして開催させていただけることが有難いです。

先生と出会ってこの3月27日で20年。
本当に早いものです。

今回も、大勢の皆様にご参加いただきました。
ありがとうございました!

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(お話)
ここのところ忙しすぎて

最新刊の本『古武術に学ぶ子どものこころとからだの育て方』

の献本リストも、先月から頼まれているというのに、まだ出版社に送れていない有様。

2009年に『この日の学校』を一緒に開催した森田くん(森田真生氏)と先日3年ぶりにリアル開催の『この日の学校』を開催し、興味深い話を沢山聞いた。

彼は教えるのが物凄く上手い。
これからの時代を見通す人。

チャットGPT4というのがあり、この汎用性が凄いそう。
どんなにわかりずらい事でも、その子に合わせた教え方で根気よくわかりやすいように教えることができる。

人間みたいに、途中でキレて怒ったりせず、できるまで繰り返す。

これの前に、GPT3.5というのがあったが、それよりも格段に進化し、その進化は今も加速度的になっている。

恐ろしい程の速さで。

事務処理能力、計算力だけでなく、小説、絵画、音楽という分野にまで進出している。

このような時代に、人が人であるとはどういうことなのか。

(竹刀での打ち合い)
剣道の常識では、茶巾絞りの手で、小指から締め、左6(7)、右4(3)で構えるのが大基本。

実際、立ち合った時、両手であれば止まるが片手だとやられる。

しかし、両手が協力し合うのではなく、このような左手にすることで、かなりの重さで相手が崩れる。

この時の左手がどうなっているのかは、チャットGPT4でもわからない。

左手を右手と同じに働かせるとだめ。

合気道を辞めて、独自に研究することをやってから今年の秋で45年となる。

この間、気付いたこと全て、どれをもふっとばした最大の驚き。

15年寄せて使ってきた手を今は離して使う様に。

最大の気付き。

普通、片手より両手がラクという延長上で考えてしまう。

でも協力し合うのがダメ。
二人三脚で走るのは遅くなる。
足よりも手を繋いだ方が走りやすい。

この「謎の左手」にすると何故か、私の身体が竹刀に乗る。

左手を普通に働かせないようにする。

これはある程度、やり込んだ人間出あれば、ほぼ誰でも出来る。

人間の特性という不思議さ。倒れまいとするところ。

人の機能は色々ある。

(手刀で斬り合う)

斬り手、突き手、止め手、というのがある。

人は相手が次にどうするかが正確にわかる能力を持っている。
それをお互い感じ合う。しかし「斬り手」は読めない。
読めない状態は、停電になった時や、リンゴの重さを測ろうとする時の状態で(センサーモード)次にどうなるかがわからないので、つい調べようとしてしまい崩される。

予測が外れる、というのは新鮮。

同じ楽曲でも、ある人がやるととても感動する、ということがある。

感動出来るのは人間の予測が面白く外されるから。
心地よく予測を外されたい。

初めて生まれた様に立ち上がってくるものがある。

それを身体でどう表現していくか。

今やAIが事務処理のみならず、原発問題も解決していこうという時代。

その時代に、人が生きているとはどういうことか、という哲学的課題が重要になる。

これから凄まじい速さで変化する中で正気を保つにはどうすればよいか?

芸術にもAIは進出している。

電波の弊害。

当然、悪用はされることになるだろうし、それを国がやれば「防衛」ということになる。

空想も出来ない程の弊害がいっぱい生まれるだろう。

そういう時代の中で人が人であることとは?生きているとは?

人工知能が恐ろしい速さで凌駕しようとしている時代に。

将棋もスポーツも、映画『ターミネーター』みたいな世界が近づいている。

現実問題で、良い悪いの価値判断自体が変わってくる。

今のところ『身体』は聖域。

(今回の最大の気付きは)混乱しているのと同時に、わかってくる。
混乱するとわかる、というのも不思議。

しかし、言葉には出来ない。
こんなのは初めて。

斬り手で払う。

触れた瞬間に情報がわからないから、(センサーモードとなり)力を抜いたままにしてしまう。

斬り手は情報がない。



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(個別指導)
1.ヴァイオリン
自分なりに考え編み出した指の為のトレーニング方法をみて欲しい。
先生からのご助言が欲しい。


ヴァイオリンという楽器は頸椎4番にとても影響があり、その為に耳が聞こえなくなってしまうこともある程。
そこに凝りがこないように、身体全体で構えられるように。
まだまだ無意識下で「落としてはいけない」という気持ちが働いていて、それが邪魔している。感覚的にヴァイオリンが空中に浮かんでいるような感じにする。

支えているということをやっていないに等しく、フワっとあるように。
こうするにはどうすればよいか?と工夫する。
どこかで支えつつやっている状態から解放されるようになると変われる。

「落としちゃいけない」というのが凄くある。
大前提としてそれがある。
そこを変える。


2.健康
腸が捻じれていることで、お腹が痛くなることが多い。特に食事の後。

昔、筋骨矯正術の井上仲子という人が居たが、その人のやり方の一つの治療法は、
寝そべってお腹に垂直に棒の先をゆっくり押し当てていくと、とても痛い箇所があるから、そこを押す、というのが、腸もそうだけれど、全身が整って良いと思う。

その後祓い太刀で、呼吸と声、顔色が変化。


3.飲食店経営
いつもお客様の気配や様子をうかがって、良いタイミングでサービスするようにしているのだけれど、一定数、どうしてもそのタイミングがつかめないお客様が居る、
それをつかみ、タイミングを合わせるにはどうすればよいか?

お店の開店前に四隅の舌から上まで気を通しておいて、店の中を何の意味も目的もなく歩く。
人間、何の意味もなく戻る、というのはとても難しく、出来ない。

ゆっくりと10分くらい畳の目一つずつくらいで動く。

こうしたことをやっていると、お客の方がこちらに合わせてくるようになる。

ある、売り上げを伸ばしたいという店で、スタッフをただ立たせておくようにしただけで、売り上げが上がったというところもある。

思いがけない行動は潜在的なものに働きかける。
AIではなく人間だからこそ。



4.シンガーソングライター
ゾーンに入って、人の心に届く歌を歌いたい。

あれこれ考えるとそれは出来ないし、届かない。もっとラクに。

丸紐の四方襷で変化。



5.水墨画
筆圧、筆の操作への助言が欲しい。

指紐で力みが取れる。


6.ピアノ
以前は演奏もしていたが、そのご中断。今また改めて「自分のピアノ」に取り組みたい。

指紐と丸紐四方襷で力みが取れ劇変。


7.ピアノ
習った先生が、立ち方と座り方を教えてくれたが、甲野先生の助言が欲しい。

祓い太刀で緩みが整い激変。


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(所感)
いつものことながら、先生の技がまた大きく変化されていて驚いた。
「ヘンな左手」がとても自然だった。

個別指導の方々へのご助言は全て、自分にも役に立つものばかりで、色々やってみようと思う。

今回ピアノの御二人が対照的で、とても参考になった。

最高のバランス、究極のニュートラルというのは、誰にとっても難しい課題で、人それぞれみなどちらかに振れてしまうし、それはその時々でも違うのだろう、と思う。

最初の方は力み側、次の方は緩み側に振れていたのが、紐や祓い太刀により身体が変化することで、そのバランスが整い、音が整い、よりピアノと仲良くなれた響きと感じられた。

自分を振り返るに、やはり「頭先行」となりがちで、それはどちらかというと力みに繋がるのかな?と。かといって「これが良い」と何かしらみつけたものにもたれすぎてしまうと、それはグタっとした緩みに繋がり、茫洋となりすぎて、それもまた力み同様に響きを損なう。

紐や払い太刀は頭を飛び越えて身体と心、メンタルに届くのを改めて再発見。


・・・もっと紐付けて暮らそう・・

開始前にフルートを楽屋で先生にお聴きいただき、久々に緊張したのだけれど、「左右の腕を曲想に応じて消す」「息を使って構える」という新たな進展もあり、思い通りの演奏は出来た。曲は川崎優先生編曲の『柴の折戸』。

ご助言は・・

以前と同じもの。
「あとは、人としてどう生きるかですね。」

こんなにあれこれやっているのに、そこが全くわからない。
昨年5月に逝去されたフルートの師・植村泰一先生からもずっと言われていたのが
「もっと人間を磨け!」

植村先生が逝去されてから、私の笛を聴いてそんなことを言って下さるのは甲野先生だけで、その事がただただ有難い。

でも、果たして、到達できる日は来るのだろうか・・?
フルートのために、無理に人間磨いて、というのも違う気がする。
まあ、人には器というものがあるから、コツコツと吹き続ける中で捜していくしかないのだろう。

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ご参加くださった皆様、会場スタッフの皆様、スタッフの忍者・五十嵐くん、鈴木さん、そして甲野先生、本当にありがとうございました!

次回は同会場時刻で、4月20日(木)です。
どうぞお越しくださいませ!
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新刊の御本をいただいて記念撮影。



にこやかに、「ヘンな左手」で相手を崩す先生。








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