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絵じゃないかぐるーぷ
平成初めの頃です。
題名変更版
* 知理・芥グループ一同に会す
やっぱり思っていた通り、キヨヒメから迎えに来てくれという頼みのメールが、「縄通」ネットで入ってきた。彼女は一時、整形手術をして、それはそれは面白い格好していたのだが、やっぱり元の姿がいいと言って再手術を受け直している。
だから、今は何の変哲もない蛇の姿に戻っている。キヨヒメとむーみぃ姫、吸ばばの迎えには、万博公園の太陽の塔のタイタイに頼むことにした。わが家のコロも空を飛べるのだが、3人も運ぶには、荷が重すぎる。また、私も愛バイク・Sサヤカで迎えに行ってもいいのだが、御坊市まで往復して生駒まで連れて行くには、ちょっと疲れる。
帰りに送って行ったりすると、1~2日寝込みそうだ。この点、タイタイだと、3人ぐらいなら簡単に運んでくれるだろう。私は、「地獄変」を何度も何度も期日までに読んでみた。漢字が多く用語の意味も、よく分からない。ただ粗筋が頭に入ったので、後は皆の話を聞いていればなんとかなるだろうと思った。
土曜の夕方、私は、例のごとく、
「ちょっと、バイクで一回りしてくる」と、わが妻Oさんに告げて家を出た。Oさんは、夜の8時までは内職しているので、深くは追求してこない。私も、一度家を出れば、鉄砲玉になるタイプである。途中、ラーメン店で、みそラーメンを食った。彼らが、多分ご馳走してくれるであろう「芋粥」は、口に合わないからだ。イモンガーには悪いが、嫌いな物は嫌いなのである。
7時過ぎに、バナイランの家に着いた。神殿の南側に新築の8LDKの豪華な家が建っている。新興宗教は当たればあっという間に大きくなるものだ、と感心して見入っていた。
玄関口には、あかあかと明かりが点いていて、信楽焼きの大狸の置物が置いてある。これは、私が紹介したものだ。信楽焼きのグループ・ヤキダー連の幹部の一員・ナカヤキである。用心棒として、親分ドン・ガラッキーの贅沢な酒代稼ぎのためにアルバイトに来ているのだ。
{ナカヤキはん、今晩は、いつもご苦労さん}
{やあ、オッさん、あんたもご苦労でんなあ。一つ力を貸したってんか}
{わたしなんか、居ても居なくても変わりませんのですが・・・}
{いやいや、そうご謙遜なさらずとも}
彼も大分口が上手になってきた。もともとムスッとした男だったのだが、人中で揉まれているうちに愛想の一つも言えるようになってきたのだろう。彼の後には、何千、何万のヤキダー連が手控えているのだから、バナイランたちも、少々高いアルバイト代を払っても、それで安心が買えると思えば安い買物のはずだ。
「今晩はー」 戸をがらがらと開ける。ガラバァが、すぐ出てきた。
ああっ! 何と艶かしい!
あのシワシワばぁさんが、私とあまり違わない年ごろの女に変わってきているではない か!
つづく