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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* キヨヒメの整形手術
オレは、蛇たちの親睦組織「蛇ん蛇ん連合」のキヨヒメ議長から「縄通」ネットで頼まれている事がある。それは、蛇族のイメージ・アップを人間社会で展開して欲しいと言う事である。
寄りによって、蛇のダイ! 大嫌いな、このオレがと思うのだが、これも付き合いだから致し方あるまい。無下に断るわけにもいかない弱みもある。何しろ彼らに「縄通ネットを通じて色々と教えて貰ったり、問い合わせをしたりしているものだから、頭も上がらない。それに彼らの言い分にも一理はある。
同じ地球上に住む者同士、もう少し暖かい接し方をしてくれてもいいのでは、と言うのである。キヨヒメは、もと人間社会に住んだ事もある蛇だから両者の立場がよく解るのだろう。
ツーリングで道路を走っていると、5月頃から数か月の間、蛇が道の真ん中に殺されて晒されている姿によく出くわす。彼らが道を横切っていて車に引かれたものか、また田圃や畔道で殺されて道路に投げ捨てられたものか、事情はよく解らないが、とにかく一日の走りで数匹は見かける。
干物のように干涸びて道路を枕に長々と伸び切っているのであるオレはそういう姿を見かけると何となく寂しくなる。何で道路などで死なねばならぬのかと問いかけたくもなる。
蛇よ何で お前は殺され ねばならぬ
血もて道路に 放り晒されて
ち ふ
蛇とて好き好んで、ああいうグロテスクな姿を選んだのではないだろうにと思う。思いはするが、どうも馴染めない。オレは、「蛇ん蛇ん連合」とワープロ通信はしているが、出来ることなら彼らの姿は見たくはない。
別に小さい時からこの歳まで、彼らに噛まれた事などは無いし、彼らがオレに迷惑をかけたという事もない。それを何故これほどまでに毛嫌いしてしまうのか、先ずは自己改造から始めなければならないだろう。
かといって、蛇を今更好きになるなど、よっぽどの大異変でも起こらない限り無理と言うものだ。困った頼まれ事を引き受けたものだ頭が痛い。でも、何か一言でも弁護してやらねば彼らに顔向けができないように思う。
オレは、「聖書物語」を子供の頃に読んだことがある。その中で確か「蛇」が悪者扱いされていたはずだ。「聖書物語」と言えば、古い書物だ。古くから伝わる悪いイメージを分析してみなければ、蛇族のイメージ・アップは計れない。もう一回、あの本を読んでみよう。そう思ったオレは、その物語を捜しに古本屋にわがバイク・Sサヤカで出掛けた。幸いなことに同じ題名の本があったので買って帰った。約300頁で100円であった。安い買物である。
つづく