満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

天才柳沢教授 華子との生活

2006-11-15 | 漫画紹介
 (山下和美作)

9月11日の記事でも紹介した「天才柳沢教授の生活」の番外偏に
この「天才柳沢教授 華子との生活」があります
柳沢教授の長女の奈津子と、そのダンナ幸弘、
二人の間の子供が華子です。
柳沢教授にとっては「孫」にあたります。
幼稚園児の華子と横浜Y大の柳沢教授との
お話をピックアップして、まとめたマンガ本です。

華子はおじいちゃんが大好きです。
何でもマネをします。
歩く姿もマネをして、いつも直角に角を曲がります
しかも、スタスタと規則正しくスムーズに(笑)
難しいお勉強の本も、まだ字が読めないのに…読みます(笑)
逆さまでも読みます!
ナゼって…華子は一日も早く大きくなって…
おじいちゃんに、なりたいのです。

このお話の良いところは
決して、柳沢教授は華子のコトを子供扱いしないトコロです。
華子をいつも一個人として見つめています。
ですから、よくおじいちゃんが孫の相手をする時に使う
「ダメでちゅよ~」的な言葉は出てはきません。
どちらかと言うと
華子に対する態度と
大学で教えている大学生達に対する態度は同じです。
困ったり、悩んだりしていると「ヒント」を出して
考える時間を与えてくれます。
また、間違ったコトをすると
ちゃんと叱ります。
スグに正しい道を教えるのではなく
正しい道を見つけるための糸口を、一緒に探してくれます。
失敗しても、叱らずに一緒にしゃがんで
ナゼ失敗したのかを考えてくれます。
そうして、次は失敗しないで出来るように見守って居てくれます。

大人が子供に対する接し方の理想が、この本に載っています。
子供に対して真っ直ぐに向き合える大人は、どれ位いるでしょうか?
過剰に反応してしまったり、
過剰に愛してしまったり
過剰に叱ってしまったり
過剰に虐待してしまったり…。
日々、縁に触れて怒ったり、泣いたり、笑ったり
一言いった位じゃ言うコトなんて聞きや~しない!
そんな現実の子供相手に、日々接しているお母さんには
所詮、マンガの世界ですが…
でも、柳沢教授の華子への接し方は学ぶトコロが多いと思います。

さて、いつもはネタバレはしない主義で通している
私の本の紹介ですが…
ココからは、私のお気に入りの話しを一つ紹介します。
ネタバレですから…これから読みたい!っと思った方は
読むのを辞めてくださいね

ある日の日曜日
華子ちゃんはママに買ってもらった高級スリップだけを着て
おじいちゃんの家へまっしぐらに走って行きます。
華子はフリルが一杯付いたスリップが大のお気に入りなのです。
何故って…それは…バレリーナみたいだからです。
これを着ておじいちゃんに踊りを踊って見せたいのです。

ところが、おじいちゃんの家に着くと
おじいちゃんは出かける支度をしています。
「華子、残念ながら今日は一緒に、勉強出来なくなりました」
おじいちゃんの言葉に華子はビックリ!
「東京の知り合いの家へ、今から行かなくてはなりません」
実は、柳沢教授の恩師、森田さんの奥様が亡くなられ
そのお葬式に出席することになったのです。

華子は泣いておじいちゃんに、すがり付き、
自分も一緒に行く!っとダダをこねます。
おばあちゃんが華子をなだめます。
「華ちゃん、覚えてな~い?森田さんが亡くなったのよ」
おお泣きしている華子は大声で叫びます。
「亡くなったってなに?森田さんなんて知らないもん!」
その言葉を聴いて、柳沢教授は一つの決断をします。
「華子も一緒に来ますか?」

二人は東京へ電車に乗って出かけて行きます。
電車の中で華子は森田さんの奥さんが昔、バレリーナだったコトを聞きます。
しかも、華子の憧れのオーロラ姫を踊ったこともある人だと知り
華子は有頂天になります。オーロラ姫に会えるんだ!
「華子、申し訳ないが…オーロラ姫はずうっと眠ったままなのです。
 死んでしまったのです」
「大丈夫でちゅ。オーロラ姫は王子様のチューで生き返るのでちゅ」

華子は森田さんのお宅で夢が壊れて行きました。
まず、王子様はヨボヨボのおじちゃんでした。
オーロラ姫もお布団で寝ています。
薄暗い部屋におばあちゃんが寝ています。
決して、王子様のチューでは目覚めそうにありません。
華子は死体の安置されている部屋から逃げ出してしまいます。

柳沢教授は言います
華子にはまだ「死」というものが解っていません
華子は理代子さんが生き返ることを信じていたのです
そして私のことも永遠に存在するものと思っています
今日の事で、私は華子の夢を壊してしまったのかもしれません
ただ、人は死ぬからこそ夢を持てるのだと
命には限りがあるからこそ、今が大切なのだと
いずれ彼女が考えてくれると良いと思います

別室で華子は若かりし頃のオーロラ姫の写真と出会います。
それは、華子が描いていたオーロラ姫より
もっとイキイキとしてキレイでした。
華子にはよくはわかりません。
ただ、悲しくて…涙が出てきました。

「オーロラ姫の眠り」からでした。

人生は始まった以上、必ず終わります。
子供時代には永遠っと考えていた時間が
年と共に日々、早まっています。
子供の頃の一日より、確実に今の一日の方が短く感じます。
多分、年を重ねるごとに一日は短くなって行くのでしょう。
永遠の苦しみは、この世にはありません。
永遠の楽しみも、同じくこの世にはないのです。
先を急がず、立ち止まらず、勝手に終わらせず
のんびり周りを見ながら進むのが
この世の旅路を楽しむ方法だと思います。






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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
偉い!さすがに満天さんですね・・・ (せっちゃん)
2006-11-15 09:45:12
流石に満天さん…良いことおっしゃる…

私たち夫婦も日々そう云うふうに生きて行けたらと思って、孫や子供たちと接しています…おかげで、未だに『せっちゃん』と名前で呼ばれていますが…
‘年を重ねるごとに一日は短くなって行くのでしょう’本当にそう思いますよ…
私たちもこれからの人生 何かのお役に立てれるのなら満更悪くないなと思う今日この頃です・・・(笑)
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生きてるだけで丸儲け。 (くま)
2006-11-15 09:57:59
「天才柳沢教授の生活」以前読んでたんですが、一度まとめて本を失くしてしまってから最近までご無沙汰してました。
面白さの中にも考えさせられる大事なことが描かれていたりする、いい漫画ですよね。

私も子供と接する時は、変に子ども扱いしない、ということを心がけていますが、一緒に遊ぶと結構真剣にやってるのが相手にもわかるようで、同列とみなされるのか割と好いて貰えます。

今日の満天さんの記事を読んでて、「自分が「死」というものを初めて知ったのは何時だったのだろう」と考えてみたんですが、はっきり思い出せません…。
もしかして未だにはっきり分かってないのかも知れません…。
ただ、だからかも知れませんが、「死」というものに対しての興味はとてもある方なんですが、最近やっと段々「死というのは大きな変化なんだな」と思うようになってきました。
「今生きてるってことは、一瞬一瞬が二度と訪れない大事な時で、限りがあるからこそもの凄く貴重で、そして私が死んだ後も世界はちゃんとあるように、一瞬一瞬刻んできた時は残っているだろうし、私という意識は消えてしまっても私だった何かは世界と一緒に変化していくのだろう」って想像してます。

そう思うとホントに生きてることに「ありがとう」と感謝する気持ちになりますが、色んなことにもっと感動したり発見したり役立ったり…は、まだまだ出来てないので、ちょっと焦ってもきます。
一日が長く楽しく感じられるようになりたいです。
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私も好きです~!! (たれぞ~)
2006-11-15 11:23:31
私もこの漫画好きです~!!

ほんと満天さんのレビューは上手いと思います。
まさしくこの漫画の本質を見抜いているような感じがしますね
私もそういう感性を身につけねば・・・

柳沢教授のいいところはどんな年齢、どんな地位の人であめうとそれで人を区別しないとこですよね。
人間の本質と対話している感じがします。
児童虐待やいじめによる自殺など子供をとりまく昨今の環境を教授がみたらなんとおっしゃるのだろう・・・などとふと思ってしまったわ。

たかが漫画、されど漫画。一冊の漫画でも学ぶことって多いですよね


そうそう以前私のブログでも柳沢教授を取り上げたのでトラバ送ってみます。ぴっ!

上手くいくかな?ドキドキ
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うー。 (トミー。猫とマンガとゴルフ~の管理人)
2006-11-15 14:01:42
 連載時はぱらぱら見ていたのですが、まとめて読んだ事無いのです。一気読みすると印象がずいぶん違うような気がします。一つ一つだとただの、のんびりしたほのぼのマンガみたいに思われてしまうのでは。今度マンガ喫茶で読む本のリストに入れておこう。
 あっ、20歳の1年と50歳の1年では20/1と50/1で確実に50/1の方が短いです。これ、実感。
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せっちゃんへ (満天)
2006-11-15 14:03:09
素敵に生きているご夫婦の姿が目に浮かぶようです。

>何かのお役に立てれるのなら満更悪くないな…
私も最近、そう思います。
そんな気張ってスゴイことは出来るような人材ではありませんが…何かささやかなコトでもお役に立てればイイな~っと考えています(笑)

老いを感じる、お年頃なので
「死」を見つめ色々と考えさせられる毎日です(笑)
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この人生の・・・ (長友)
2006-11-15 14:18:43
勉強が出来る内容が漫画なの?凄いわね~。
漫画も侮れないのね。明日、本屋さんに走るわね。
しっかりとメモメモします。
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くまちゃんへ (満天)
2006-11-15 14:24:12
みんな「死」については経験したこと無いから
解らないんですよ~(笑)
経験者からの話しも聞けないしネ。
私が初めて「死」と接したのは、前日夜店で買った金魚が次の日に死んでいた時です。マッチ箱に入れてお墓を作ってあげました(幼稚園の年少さんの頃です)
怖かったですね~こういうコトが全員に起こるって聞かされた時はパニックになりそうでした(ハハハ)
それと、自分が死んでも世の中は存在し続けるって知ったのは21歳の時(遅い)ウスウスは気づいていましたが、21歳の時に「ギックリ腰」になってしまい自分だけが特別じゃないんだ!って感じました(笑)
「腰痛持ちになって始めて気付いた、我普通人」です。
すべての森羅万象が「生と死」をグルグル回っています。
と、いうコトは…我々だけが特別で無い限り、人間は死ぬとまた生まれる訳で…何に何処にの疑問はありますが
多分100%生まれます。M78星雲でウルトラ一家にか?
また地球でカメにとか(ハハハ)ただし、原因と結果論に当てはめると…今生きて生活している姿が後の世に反映されることも確かだと思うのです(笑)
実は次回は「うる星」に生まれて「ランちゃん」になりたい!っと狙っている満天なのです~(笑)
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たれぞ~さんへ (満天)
2006-11-15 14:40:35
トラバありがとうございます。
ちゃんと届きました(笑)なので、ちゃんと「公開」にしておきました(ドキドキ)

>満天さんのレビューは上手いと思います
な~にをおっしゃいますやら(ハハハ)
たれさんには…ないしょで話しますが…
夜中に片手にビールで書きました…
たれさんのトコも読みました!
そっか、たれさんもレビューしてたのね~(喜)
ってか…たれさんも上手いよ~!
こんな感じだもん。
柳沢教授のような人が小学校の教員だったら…
多分、授業が進まないだろうけど…
でも、イイよね。
私も教授の授業を受けて見たいヨ(寝ちゃうケド)

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トミーさんへ (満天)
2006-11-15 14:52:42
「ぞうの時間とネズミの時間」ってタイトルでしたっけ?
ベストセラーなんで読みましたが…
なるほどな~って感心しちゃいました。
時間の感覚って分数なんだ~
分母が年齢なんだ~
体の大きさで時間は違うんだ~
なんて思った記憶が…
ハハハ
最近一度読んだくらいでは覚えられないのだ(泣)
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長友さんへ (満天)
2006-11-15 15:00:58
あちゃー買います?
で、私のネタバレ読んじゃいました?
ごめんね~
華子との生活は1巻しかないから
1話ネタばらししてしまうと…
残りが少ない…ハハハ
しかし、防御線は貼ってあったんですよ
それは…森田さんご夫婦のお話もチョロっと
載っているのですが…それには
出来るだけ触れないように書きました~(ホッ。)
なので少しは楽しめるとおもいますヨ~
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