☆カツハウス☆

すべり知らず?
カツハウスです。

猫鳴り

2011-11-06 00:59:02 | ☆カツ日記☆




「猫鳴り」  沼田まほかる




子供を流産し哀しみにくれる中年夫婦と瀕死の子猫モン。

まわりと心を通わすことができず、心に闇を抱えた少年と孤高の成猫モン。

年老いた飼い主と老猫モン。

モンを通して前半は‘生き方’を、後半は‘逝き方’を教えてくれる。

特に最終章の描写は圧巻。

その中の心に残った1節。

「こいつはまるで、俺に手本を示しているみたいじゃないか。そう遠くない日に、俺自身が行かなけりゃなんない道を、自分が先に楽々と歩いて俺に見せているみたいだ。なるほど、こいつの様子を見ているかぎりでは、死ぬというのもそれほど恐ろしいものではないのかもしれないな。とうとうその日がきたときに、俺はきっと考えるだろう。モンのヤツが行けたんだから、俺だってちゃんと行けるだろう、と。」

悲しくて切なく、途中残酷な場面も出てくるけれど、なにかホっとする心あったまる1冊です。