「震える牛」 相場英雄
テーマは「食の安全」と「大規模焼き畑商業」。
物語は二年前に起こった未解決の居酒屋強盗殺人事件の継続捜査から始まる。
当初は単純な金目当ての強盗殺人と思われていたが、地道な地取り鑑取りにより捜査は思わぬ展開に進んでいく・・
舞台は新潟、仙台、そして東京。
幹線道路沿いに広がる大規模ショッピングセンターや大手チェーン店とそれに呼応するかのようなシャッター街。
全国どこに行っても同じ風景になっていく昨今。
そしてその大手スーパー、飲食店で売られている激安の加工食品。
デフレ社会の弊害である「食の闇」をこれでもかと描いた衝撃作。
めちゃくちゃ面白い。
一気読み必至!
最後に物語ラストに出てくる昔ながらの商店街での主人公と準主人公の会話。
「なぁ、池」
「なんすか?」
「日本人はこういう人との触れ合いを忘れてしまったんじゃないのかな?」
「そうですね。スーパーやコンビニの買い物カゴに商品を突っ込んでレジで事務的にカネ払って終わりですもんね」
「大きな商業施設に行って、豊かになったつもりでいたんだ。現実は、企業にいいようにカネを吸い取られて演出された幻想を見せられていたんだ。この商店街みたいに身の丈で暮らせるのが一番だと思わんか?」