今日は所属するオケの演奏会。演目は、ワーグナーの「ジークフリート牧歌」とブルックナーの交響曲第7番。
ブルックナーの交響曲第7番の解説を書くように頼まれて、書いたのだけれど、「ですます調」でないということで一旦ボツに。少々心残りなので、ボツになった原稿を備忘録としてここに。
アントン・ブルックナー 交響曲第7番ホ長調
音楽室で肖像画を見た記憶がない。授業中に鑑賞した記憶もない。ブルックナーの交響曲は授業時間に収まりきらないくらい長くて、しつこいから当然か。結果、彼は無名で一般的には不人気な部類の作曲家に属することとなった。が、今日初めてこの曲を聞くあなたも、心配は要らない。ブルックナー史上初めて初演が成功した曲だ。
第一楽章、有名な原始霧(弦のトレモロ)の中から最初の主題が立ち現れる。宇宙の広がりを感じ、その心地良さに続く第二、第三の主題で気を失うかもしれないが、曲のフィナーレかと聞きまごう大音量によって必ずや目覚めるであろう。ここで慌てて拍手されないことをお勧めする。
第二楽章、184小節以降がワーグナーへの葬送音楽と言われる。楽章全体が「英雄の生涯」に聞こえなくもない。荘厳な主要主題 に始まり、その2回目の再現部、繰り返されるヴァイオリンの分散和音は、まるで幾度失敗しても 神を指向する英雄の姿。ついにシンバルの音と共に壁を打ち破る、がそこに聞こえてくるのはワーグナーチューバとホルンによる葬送曲。
第三楽章、スケルツォ。これを物足りない、と感じたなら、あなたにとってブルックナーは既に特別な人だ。
フィナーレはラッタ(付点8分音符+16分音符)のリズム。第一楽章の最初のモチーフが、リズムを変えるだけでこんなに愉快に。そして後にはテンポを変えるだけで重厚に。 展開部ではこのラッタによる「ゴシック様式教会建築」が突如眼前に現れる。ラッタによるヴァリエーション、ブルックナーらしくなくあっさり目なのは、 管楽器奏者を昇天させてはならない、昇天するのはワーグナーだけで十分という彼の心遣いだろうか。
参考文献:ENCYCLOPAEDIA BRITANICA, Wikipedia