Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

フィガロの結婚@オペラ・バスティーユ、パリ

2010-10-31 19:30:00 | オペラ

「天使の居るところのお天気は良い」とドイツでは言うそうだ。今日のパリは、雨模様が予想されていたのに、青空。ちょっと暑いくらいだ。天使は日焼けしないのだろうか。

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オペラ・バスティーユでの今日の出し物は「フィガロの結婚」。キャストは、Ludovic Tezier (Il Conte d'Almaviva), Barbara Frittoli (La Contessa d'Almaviva), Ekaterina Siurina (Susannna), Luca Pisaroni (Figaro), Karine Deshayes (Cherubino), Ann Murray (Marcellina)ら。

一人挙げるとしたら、個人的には伯爵夫人を演じたBarbara Frittoliが好みだったか。もしかしたら、このオペラハウスの横広な会場が歌手にはつらいのかもしれないが、最初の場面、スザンナの声が今ひとつ出ていない-オケにかき消された-印象があった。それ以外は、全体的になかなか良いレベルにあったと思う。

第3幕目の奥行きのある感じのセットがとても素敵だった。ここでiPhoneなどで写真を撮る人もちらほら。撮影禁止なのだろうが、みんな同じように感じるものだと思った。

モーツァルトオペラは、かなり笑える-コメディーである。字幕がフランス語のため、何箇所か皆が笑っているのに置いてきぼりになってしまったところはあるが、それでも楽しめた。日曜日のマチネにぴったりの演目である。

でも、ただ笑えるだけではない。実はとても良い恋愛講座である。こういうことがきちんと身についていたなら、人生もうちょっと違っただろうな、なんて。今からでも遅くないだろうか?


ブラームスPf協奏曲第2番byアンスネス@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2010-10-31 01:30:00 | コンサート

お気に入りのピアニスト、Leif Ove AndsnesのピアノでブラームスのPf協奏曲第2番と、ベートーベンの交響曲第3番「英雄」をマーラーのアレンジ版で(しかもヨーロッパ初演-何故今頃?)聴けると言うので、楽しみに出かけた。

ブラームスのPf協奏曲は、協奏曲らしくなく4楽章構成、演奏時間にして約50分もかかる。ピアニストにとっても難曲とのこと。ヴァイオリン協奏曲を思い出すようなところ、交響曲を思い出すようなところ、ブラームスの素敵な音楽を集めたような曲だ。Vn協奏曲や交響曲に比べて今まであまり聴いてこなかったことを不思議に思った。

アンスネスのピアノは安心して聴ける。指や手の動きを見ていて、特に「滑らか」である、という感じもしないのだが(海月の襞状の動きのような滑らかさではない、ということ。ブラームスだから?)、確実に正確に動いている風(説明になっていますかね?)。

音も美しかったし、第4楽章のオクターブで右手が動くところだけがなぜかちょっともたついているような印象があったものの、それ以外はとてもきちんと弾けていたように思う。なんだかんだ言っても、きちんと弾ける人は好きだ。「きちんと度」98点、といったところで満足。

マーラー編曲による「英雄」は、とにかくオケが大きい。解説によれば、マーラーの時代の大きなオーケストラ編成になれた人々を満足させるための編曲らしい。オーケストラの楽器配置は誰が決めたのか分からないが、コントラバスが舞台中央の奥に構え、曲を下から支えている感じが良く出ていたように思う。

例えば第一楽章のトランペットの音が変えられているなど、いくつか解説は出ていたし、管楽器が派手に鳴るところはマーラーっぽいと思うけれど、どこが変更されているのかされていないのか素人にはよく分からない部分も多い。BBC Radio3で11月3日19時(GMT)on airで、その後1週間webでも聴けるというから、ベートーベンのスコアと見比べながら聴いてみるのも良いかも。

プログラムからマーラーの編曲に関する情報が得られるかと購入したが、この編曲がいつ行われたのか(年)、評判はどうだったのか、など何も書かれていない。それにヨーロッパ初演、とあったけれど、マーラーが編曲してすぐに演奏されなかったのかしら?(初演というだけあって、楽譜が新しく、ページをめくる音がかなり大きかった。それを気にかけて、fになるの待ってめくったり、と気を使っていたことに好感を持った)、世界初演は何時でどこだったのかしら?と、謎だらけのマーラー編曲ベートーベン「英雄」であった。


イタリア語?-イアン・ボストリッジ@バービカン、ロンドン

2010-10-29 23:00:00 | コンサート

ボストリッジといえば、ドイツリート、と連想されるが、今日はバービカンで「Three Baroque Toneors」と題したコンサート。

午後に「風邪のためコンサート後のレクチャーは中止」というmailが来て、それなら演奏会も中止にした方がよいのではないか、と心配していたが、演奏会が始まって、流石ボストリッジ、やるからにはそれなりの状態なのだと理解した。

前半はCaldara、Vivaldi及びBoyce、後半はScarlatti、Handel(2曲)。一番のお気に入りはVivaldiだったかしら。しかし、彼が歌うと、イタリア語がイタリア語に聞こえないのはなぜだろう?いや、勿論私はイタリア語が話せないから、彼の発音が正しいのか否か判断できる立場には無いが、それでも、イタリア語の雰囲気というのはわかるような気がするのだが。アンコールの説明をするときに普通に話したイタリア語(題名)の方がイタリア語らしく聞こえたのは不思議。

結論から言えば、やっぱりボストリッジはドイツリートを聴きたい。本人はいろいろなことにチャレンジしたいかもしれないけれど。

伴奏のEuropa Galanteは、指揮兼ヴァイオリンのFabio Biondiがちょっといっぱいいっぱいか(バロック弓では速度を出し難いのだろうか?)。CorelliのAdagio-Allegroでは止まるんじゃないかとひやひやした-最後は綺麗にまとめていたけれど。この集団の中で素敵だったのはTheorboという楽器。リュート族の楽器で、ちょっとギターのように使われるが、こんな楽器とともに夕暮れに恋人が窓辺で歌を歌ってくれたら-

ああ、バロック時代のイタリア人になりたい。


作曲家の想像力-ラフマニノフ『死の島』@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2010-10-28 23:00:00 | コンサート

心待ちにしていた黒檀四重奏団(Quatuor Ebene)の演奏会が当日キャンセルとなり、かなり落胆。しかし、折角の木曜日の夜である、すかさずロイヤルフェスティバルホールに鞍替え。先日美味しい思い(?)をしたラフマニノフシリーズ。

アシュケナージ指揮、フィルハーモニアオーケストラで、ラフマニノフ『死の島』、シベリウスVn協奏曲、ラフマニノフ交響曲第3番。

ラフマニノフの『死の島』は、アルノルト・ベックリンの同名の油彩画の白黒の銅版画を見て作曲に取り掛かったと言われている。また、後に原画を見て「もしこれを見ていたらあの曲は書かなかっただろう」と言ったとか。

ベックリンの油彩画は5点作成され、4点が現存しているとのこと。私もベルリン美術館で実物を見たことがある。なかなか印象深いが、題名ほどにはおどろおどろしくない。ただ、びっくりしたのはwikiによると第一次世界大戦後のドイツではこの複製画が一般家庭の多くに飾られていたとか。なぜ?何のために?

最初と最後の曲想は、まさに油彩画そのもののように思われる。ということは中間部はこの絵の中に描かれている棺の中の人が生きてきた人生なのだろうか?私は、印象を受けた絵画と2時間はお喋りできるのが自慢(?)だが、こんな風に作曲できるラフマニノフには脱帽。

続いてワジム・レーピンのヴァイオリンでシベリウスのVn協奏曲。んー、なんだかおかしい気がするのは私だけ?きっと、私だけね。ブラボーしている人もいるし。でも、おかしい。レーピン、昔は天才少年と言われていたのに。。。

後半はラフマニノフ交響曲第3番。リズム感が非常に面白く、また、指揮のアシュケナージも会心の出来なのだろうか、曲の途中からコンマスや奏者に向かって小さなガッツポーズを連発-なぜか内田光子の表情に通じるものを見て取った気がする。

黒檀四重奏団の演奏会で、愉快な週末を迎えたかったけれど、ラフマニノフも悪くない。早くAmazonで注文したこの間のラフマニノフ交響曲第2番のCD届かないかしら。


オネーギン再び@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-25 23:30:00 | バレエ

先日(10月12日)に見たバレエ「オネーギン」が大変に気に入って、ググっているうちに、ちょっと贔屓にしているSteven McRae(Lensky)らがキャストに入っている回もあることを知る。公演最終日の今日、突然約束が反故になってしまい、また一列目のチケットが手に入ったので行ってみた。

相変わらず美しいお顔のSteven。ちょっと女性的すぎるかもしれないけれど-宝塚の「男装の麗人」といった風。バレエ自体は、前回観たとき(吉田さんとの「くるみ割り人形」だったか)より、今ひとつ調子が良くなかったような。でも、とてもやさしい感じがにじみ出ていて、素敵。最後の挨拶の際のTakadaさんを扱う仕草も、極めて紳士的。

前回はオネーギン役のThiago Soaresが圧倒的に上手かったように感じたが、今回は突出するキャストは居なかったが、粒ぞろいな感じ(Onegin: Johan Kobborg、Titiana: Mara Galeazzi、Olga: Akane Takeda)。

第3幕目は、前回の方が圧倒的に印象的だった。最後の手紙を破る場面の恐ろしさと美しさは今でも心に残っている。何が違ったのだろうか。バレエも、踊りもさることながら、「演技力」のようなものが要求されるのだろうか。

こうやって、同じ演目をキャスト違いで観るなんて、相当危険な道に足を踏み入れてしまったような気がする。


Tagliolini ai fungi porucini and Affogate @ Olivomare、ロンドン

2010-10-24 23:30:00 | レストラン

このところ、同僚から友人から、みんなに尋ねて回っている。

イギリスの今の季節の食べ物って何?

同僚は言った。「これからは煮込み料理かしら」

いや、そうじゃなくて、例えば今の季節ならば茸とか栗とか、ジビエとか。

ああ、アップルパイかしら、夏はベリーね。でも、一年中あるから。

そうなのだ、この国は「大英帝国」様だからか、スーパーマーケットには一年中同じ果物が並んでいる。

季節感が恋しい私は、イタリアンレストラン(Olivomare)に連れて行ってもらった今夜、迷わずTagliolini ai fungi poruciniを注文。とても美味しかった。この季節感こそ「食の楽しみ」だ。

でも、にんにくがごろごろ入っていて、ご馳走になった上に、本人は気がついていないが、帰りには悪臭を振りまいていたことだろう。ごめんなさい。

アフォガートもとても美味しかった-思わず声が漏れてしまって(苦笑)。

大変美味しくいただきました。Mit tiefer Dankbarkeit!


リゴレット再び@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-24 01:30:00 | オペラ

「そこを何とかボタン」で関係者席を融通していただき再びリゴレットを鑑賞してきた。

ジルダ役が先日素敵な歌声を聞かせてくれたPatrizia Ciofiに代わってロシア人ソプラノEkaterina Sadovnikovaに。最初はちょっとショックだったけれど、また、声質は2人大分違うようにも思ったけれど、演奏が終わる頃までには彼女の歌も十分楽しむことができた。

先日は1列目かぶりつきだったのだけれど、今日の席は1階(Stall)の後方、舞台に向かって左よりの通路沿い。席を融通して下さった方から、関係者席だから良い席だと思うよ、と言われていたが、確かに音がとてもバランスよく美しく聴こえる。前方で聴くと、歌手の迫力はびんびんと感じるものの、オケに関して言えば、細かい雑な部分まで聴こえたり、バランスが取れていなかったりするのだろう。

最初の序曲から迫力満点。「前回は何を感じていたのだろう、一番前で」と思うくらい、音楽に圧倒されたような気がする。また、歌手についても、今回の方がバランス良く聞こえ、ディミトリー・ホロストフスキーの少しくすんだような声質も、とても魅力的に思えた。マントヴァ公爵のWookyung Kimは相変わらず明るい声で、公爵様の悩みの無い役柄にぴったりに思われた。

後方なので字幕も良く見えた。歌詞を見てしまうと、そちらに思考が引きずられるので、できるだけ見ないようにするのだけれど、どこかで「Crying is no use」という言葉が出てきたときには、妙に納得してしまった。ま、涙の中には神経伝達物質が含まれていて、泣くことによって精神を安定させる作用があると言われているのだけれど、当時の人は知る由もなかったのだろうな。

同じパフォーマンスを違う席で同時に見聞することは不可能なので、どこが私にとってのROHのベストシートなのかわからないけれど、音響的にとてもよい席だったように思う。DEさん、本当にどうもありがとう。


セルゲイ・ハチャトリアン@ウィグモアホール、ロンドン

2010-10-22 23:30:00 | コンサート

今夜はウィグモアホールにて、前半がセルゲイ・ハチャトリアンのヴァイオリンでバッハの無伴奏ソナタ第1番、パルティータ第2番、後半は彼の参加する四重奏団Nairi QuartetでKomitasの14 Armenian folklore miniatures。

ハチャトリアンは2005年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝、日本音楽財団から4年間ストラディヴァリウス「ハギンス」を貸与されていたようだが、彼のサイトによれば今は同財団からのストラディヴァリウス「Lord Newlands」を使用しているとのこと。今日の演奏はこの楽器だったのだろうか。

ヴァイオリンなのにヴィオラに近い感じの音質のする楽器であった。第一ポジションでも、少し篭った感じの-極端に言えば弱音器をつけたような音がする。思わず、駒の先を覗き込んで弱音器がついていないことを確かめてしまったくらい。でも、何とも暖かな音質で、まるで暖炉がパチパチと音を立てている、そんな部屋が思い浮かぶような音だ。

後半はアルメニアの独特の音階を持った音楽で楽しかった。バッハのソナタ第一番プレストなどでも披露された超絶技巧はこういう音楽的な土壌で育てられるのだろうか。

ハチャトリアンは大きなコンクールにも優勝しているし、CDもリリースしているし、もっと堂々としたタイプの演奏家なのかと思っていたら、大変にシャイな人のようであった。演奏を始める前の呼吸の整え方、ソナタ第一番アダージョの最後、pで演奏を終える時の弓がコントロールしきれない位の緊張、演奏家も戦っているのだ。がんばれっ!

この緊張は後半に行くほど解け、カルテットは本人も楽しんでいたようであった。良かった。


ラフマニノフ交響曲第2番他@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2010-10-21 23:30:00 | コンサート

今日のロイヤルフェスティバルホールはアシュケナージの指揮、フィルハーモニアオーケストラで、シベリウス「ペレアスとメリザンド」組曲から、グリーグPf協奏曲(Pfニコライ・ルガンスキー)、ラフマニノフ交響曲第2番と美しい曲ばかり。

シベリウス-この和音がシベリウスだね。勿論先入観とは思うけれど、まるで深い森の中にいるような心地がしてくる。そして、大好きなコールアングレ奏者。彼女の演奏を聴くと、音楽とは天賦の才なのだと思わずにはいられない。お願いだから、私がいる限り、いつまでもロンドンで演奏していてね。ベルリンやウィーンに行ってしまわないでね。

グリーグのPf協奏曲、ルガンスキーのピアノで。カデンツァは流石ラフマニノフ弾き、と言う感じだった。今日は特に第二楽章の弱音が美しかったと思う。

そして、ラフマニノフの交響曲第2番。あまりに有名な第3楽章。ちょっと行き過ぎ(クラシックというより映画音楽)なくらいにシンプルでロマンティック。そうは思うけれど、引き込まれずにはいられない。主題に帰りきらない、そのもどかしさも好き。終盤で主題に帰ってくると、思わず泣きそうになる。ラフマニノフはどこでこのメロディを思いついたのだろう。なぜこんなに胸を締め付けるような音楽を書いたのだろう。

第3楽章が終わったところで拍手をした人がいたけれど、ラフマニノフに対してここで拍手をしたい気持ちはとてもよくわかる。

この曲もいつかGustavoで聴いてみたい-第4楽章はリズムも良いし。


魔法使いを見つける力@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-19 01:30:00 | バレエ

ロイヤルオペラハウス(ROH)友達の転勤が決まり、今日は最後のROH。そこで、知り合いの美容師さんにお願いをして髪をセットしていただいた。我ながら(見た目は)素敵な淑女(?)に変身できたのではないかと思う。友人も「最初わからなかった」と言うし(怒)、他のお客さんの視線も感じる。

別々に取ったチケットをボックスオフィスで隣り合わせの席に変えてもらうようお願いするが、画面上では見つからないらしい。係りのお姉さんは最初「開演直前ならば席がでるだろうから、それまで中に入らずにまた戻ってきて」と言うので、「中のBarで飲み物もいただきたいし・・・」というと、「何とかなるかもしれない」と言ってマネージャーと思しきおば様の所へ。おば様マネージャーの鋭い視線がこちらに向く。ここで怯んではならない、とJapanese Imperial Smileを返す。

果たして、2人並んで座れる席を提供していただいた。ありがとう、親切なお姉さん&おば様マネージャー。

さて、今日の演目はLa Valse、Invitus Invitam、Winter Dreams、Theme and Variations。La Valseは、音楽が大好きなラヴェルのLa Valseなのに、肝心の音楽が。。。非常に残念。今日のオケとこの間Danが振ったオケは同じではないの?あるいは英国のオケにLa Valseは無理なのかしら?

意外と良かったのがInvitus Invitam。音楽も知らないしバレエの内容も知らなかったけれど、今日見た中では一番美しかった。音楽もプーランクの曲をトーマス・アデスが編曲したもので、綺麗だった。

Winter Dreams-音楽はなじみのあるチャイコフスキー。先日のオネーギンで素晴らしい演技を披露してくれたThiago Soaresも出ていたけれど、オネーギンの方がよかったかしら。悲しい話にちょっと疲れてしまい、また友人も翌日出張というので、ここで帰宅。

それにしても、美容師さんって、すごい。まるで、シンデレラが魔女に魔法を掛けてもらったように、私も彼女に魔法を掛けてもらったような気がする。

彼女といい、Gustavoといい、私、もしかしたら魔法使いを見つける才能があるのかも?