Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

オペラでもスト La Traviata @ Opera Bastille in Paris

2016-05-26 20:30:00 | オペラ

出張中、ドイツの休日を挟んだので、ロンドンへの移動と合わせ、休日をいただきパリへ。今回の目的はオペラ、La Traviata。

友人とお茶をした後、オペラに行こうとホテルの部屋に戻ってメールをチェックすると、何とストライキで「演奏会形式」になるという。オペラでストライキなんて、聞いたことない。払い戻しや振替もあり、悩んだけれど、珍しい経験、と行ってみた。

想像通り、客席は半分以下の埋まり具合。プログラム売りの声が虚しく響く。。。演奏会は、どんな感じなのだろうか、こんなに客席がまばらだと、歌手も辛いのではないか。。。

しかし、心配は杞憂に終わった。プロはプロ。特にヴィオレッタ役のMaria Agrestaが熱演。ハイトーンまでしっかり。スタッカートのように飛ばすところの歌い方が好みではなかったけれど、声量もあり、目の前で歌われると(それでもオーケストラピットを挟んでいるから、そんなに至近距離ではないけれど)耳がジンジンする感じ。おぢさんたち熱狂。まあ、これだけ歌えたら、熱狂するよね、うんうん。どうやっても肺病で死んだりしそうにない体型ではあることはまあよしとしよう。Zeljko Lucicも安定した深みのある声。もっと出番があれば良いのに。。。一方、この二人と比べると、Bryan Hymelはちょっと新入社員級かな。。。演奏家は実力が素人にも一目瞭然だから辛いだろうな、なんて、素人に言われたくないだろうけれど。

このままパリに残って、ちゃんとしたオペラで観たい。こういうオペラを見ると、NYかロンドンかパリに住みたい病が発症する。すでに次回のパリ行きのチケットを探す危険な自分。。。

 


トリスタンとイゾルデ@ベルリンオペラ

2011-04-03 16:00:00 | オペラ
ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」をベルリンオペラで観た。会場が、ちょっと寂しい。緞帳ではなく、カーテンが左右に「きい、きい」と言いながら開いたときには、小学校の講堂か?と思わず笑ってしまった。

演出が現代的で、舞台が一体どういう場面なのかが理解できない(普通の家の応接間のようなのだがーキッチンや洗面所、寝室も舞台の奥にある)。原作がどのように置き換えられたのかー結局最後までよくわからなかった。パンクみたいなお兄ちゃん、裸の男女、妊婦、いろいろ出てくるのだけれど、その意味もよくわからない。妊婦は、トリスタンを身ごもっていた時のトリスタンの母親なのだろうか。しかし、それほど悲壮な感じはない。

劇中を通じて、棺桶が常に舞台のどこかに置かれていた。一幕目は応接室のテーブルが棺桶で、一幕目の最後、ここだけにライトが当る。これは昔東京文化会館でみたローエングリンの第二幕の最後のシーンを思い起こさせた。このオペラに通底する「死」の象徴なのだろうけれど、ちょっと直截的すぎませんか?

第三幕目、最初の場面はちょっとつまらないから、寝るかも~なんて話をしながら演奏に入る。トリスタンが一人一生懸命歌う、歌う。寝なかったけれど、起伏に欠けることはやむを得まい。歌手の問題というよりは、元々の台本の問題だろう。

トリスタンの死が、ちょっと不思議。イゾルデの腕の中で死を迎えると思っていたのだけれど、舞台裏(袖、ではなく裏)側に一人消えてゆく。最後に現れたイゾルデ、髪が金髪だ。原作はこのイゾルデは「金髪のイゾルデ」なのだから、最初赤毛だったことが不思議なのだがーなぜ?

有名な「愛の死」で幕。ふと友人をみると、笑っている!どうしたの?どうだった?と聞くと、「やっぱりワーグナーって最後の5分だね」という。彼曰く、ワーグナーのオペラを観に来る度、途中までは「ああ、なんでこんなもの観に来ちゃったんだろう(特に会場の椅子が安楽でないと)」と思うのだけれど、どこかに5分か10分、素晴らしい場面があって、それを観ると「ああ、観に来て良かった、流石ワーグナー」と思うのだそうだ。

私はと言えば、そう、その最後の5分、心が揺さぶられて(決して今日のソプラノが良かった訳ではない。心の中で別のー理想のーソプラノを聴いていた自分に気がついている)、そんな友人の話を聞きながら、涙が頬を伝ってしまった。


アイーダ@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2011-03-26 19:00:00 | オペラ
アイーダがロイヤルオペラハウスで掛かっていたので、行ってみることにした。最近は、お買い物がてら歩いてゆくのが習慣。いつものコーヒー屋で豆を買い、おやつはLa Maison du Chocolatにしようか源吉兆庵にしようか、なんて考えながらピカデリーサーカスへ向かうと、何と道が機動隊のような人々によって封鎖されている。裏道から行っても、やはりどちらにもたどり着けない。なんてこと!これでは明日のおやつがない。。。

今日のアイーダはMicaela Carosiが妊娠のため降板、Liudmyla Monastyrskaが代役(Websiteも更新しよう!)。ということでちょっと不安を感じていた。果たしてー

私はMonastyrskaの声はなかなか好きだ。声質も声量もあって素敵。ただ、見た目がー最近のオペラ歌手は見た目もスレンダーで美しい人が多のだけれどーしかもバレエとのコンビでの演出では、ダンサーの恐ろしく美しい肢体とあまりに違って。。。

それにも増して見た目がっかりだったのはアムネリス役のOlga Borodina。エジプトのお姫様(20歳)というよりはお母さん。あー、エジプトのお姫様は格好いい役回りだと聞いていたのに、これじゃ。。。

そして、さらに、見た目も声もがっかりだったのがラダメス、Carlo Ventre。私の苦手な部類の声質のテノール。絞り出すようで声量が少ない感じ。最初からエンジンをかけるのが難しいのは理解するけれど、最初のアリアでオペラ全体への期待感が決まるのだからもう少しがんばってほしかった。。。それに、Monastyrskaとの二重唱でも、ほとんど声がかき消されていた。

一方、アイーダの父親、エチオピア王のCarlos Almeguerはなかなか良い声質と声量だった。

生まれながらにして与えられてしまった地位に見合わない論理力、精神力しか持ち合わせない人々の悲劇。歌手の力がもっとあって、劇中に引き込まれていたら別だろうけれど、客観的に観てしまうと、論理の破綻がひどくて、字幕を読んでいて思わず吹き出してしまった。最後、二人で洞窟で死んでゆくのは良いけれど、アイーダ、エチオピアのお姫様だったら毒薬の用意くらい訳ないでしょう?それを呷ることをお勧めするわ。いくら愛する人とはいえ、餓死するまでには時間がかかる。お互い、どんな異臭を発するようになるか、想像しただけでも恐ろしい。。。

と、まるでオペラにのめり込むこと無く、帰宅。いつもの通りチャーリングクロス駅へ向かうと、なんとトラファルガー広場は暴徒と機動隊、およびその見物客でごった返していた。さらに駅は封鎖。一瞬血の気が引いた。が、幸いにも家の近くを通るバスに飛び乗ることができた。いやいや、オペラどころではない土曜日になってしまった。


フィガロの結婚@オペラ・バスティーユ、パリ

2010-10-31 19:30:00 | オペラ

「天使の居るところのお天気は良い」とドイツでは言うそうだ。今日のパリは、雨模様が予想されていたのに、青空。ちょっと暑いくらいだ。天使は日焼けしないのだろうか。

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オペラ・バスティーユでの今日の出し物は「フィガロの結婚」。キャストは、Ludovic Tezier (Il Conte d'Almaviva), Barbara Frittoli (La Contessa d'Almaviva), Ekaterina Siurina (Susannna), Luca Pisaroni (Figaro), Karine Deshayes (Cherubino), Ann Murray (Marcellina)ら。

一人挙げるとしたら、個人的には伯爵夫人を演じたBarbara Frittoliが好みだったか。もしかしたら、このオペラハウスの横広な会場が歌手にはつらいのかもしれないが、最初の場面、スザンナの声が今ひとつ出ていない-オケにかき消された-印象があった。それ以外は、全体的になかなか良いレベルにあったと思う。

第3幕目の奥行きのある感じのセットがとても素敵だった。ここでiPhoneなどで写真を撮る人もちらほら。撮影禁止なのだろうが、みんな同じように感じるものだと思った。

モーツァルトオペラは、かなり笑える-コメディーである。字幕がフランス語のため、何箇所か皆が笑っているのに置いてきぼりになってしまったところはあるが、それでも楽しめた。日曜日のマチネにぴったりの演目である。

でも、ただ笑えるだけではない。実はとても良い恋愛講座である。こういうことがきちんと身についていたなら、人生もうちょっと違っただろうな、なんて。今からでも遅くないだろうか?


リゴレット再び@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-24 01:30:00 | オペラ

「そこを何とかボタン」で関係者席を融通していただき再びリゴレットを鑑賞してきた。

ジルダ役が先日素敵な歌声を聞かせてくれたPatrizia Ciofiに代わってロシア人ソプラノEkaterina Sadovnikovaに。最初はちょっとショックだったけれど、また、声質は2人大分違うようにも思ったけれど、演奏が終わる頃までには彼女の歌も十分楽しむことができた。

先日は1列目かぶりつきだったのだけれど、今日の席は1階(Stall)の後方、舞台に向かって左よりの通路沿い。席を融通して下さった方から、関係者席だから良い席だと思うよ、と言われていたが、確かに音がとてもバランスよく美しく聴こえる。前方で聴くと、歌手の迫力はびんびんと感じるものの、オケに関して言えば、細かい雑な部分まで聴こえたり、バランスが取れていなかったりするのだろう。

最初の序曲から迫力満点。「前回は何を感じていたのだろう、一番前で」と思うくらい、音楽に圧倒されたような気がする。また、歌手についても、今回の方がバランス良く聞こえ、ディミトリー・ホロストフスキーの少しくすんだような声質も、とても魅力的に思えた。マントヴァ公爵のWookyung Kimは相変わらず明るい声で、公爵様の悩みの無い役柄にぴったりに思われた。

後方なので字幕も良く見えた。歌詞を見てしまうと、そちらに思考が引きずられるので、できるだけ見ないようにするのだけれど、どこかで「Crying is no use」という言葉が出てきたときには、妙に納得してしまった。ま、涙の中には神経伝達物質が含まれていて、泣くことによって精神を安定させる作用があると言われているのだけれど、当時の人は知る由もなかったのだろうな。

同じパフォーマンスを違う席で同時に見聞することは不可能なので、どこが私にとってのROHのベストシートなのかわからないけれど、音響的にとてもよい席だったように思う。DEさん、本当にどうもありがとう。


貴公子がせむしに!?-リゴレット@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-15 00:30:00 | オペラ

ヴェルディのリゴレットをロイヤルオペラで観た。本当は再来週のはずだったのだが、なんとなく今日行きたくなり、空席を見たら1列目に空きがあったので、即決断。

これまで、前から2列目で観たことはあったけれど、1列目と2列目では全然違う!歌手と指揮者とオケすべてを視野に入れながら観られるのは素晴らしかった。

また、今日は歌手も素晴らしい!ウィグモアホールでの「貴公子様」から「せむし(リゴレット)」に転向されたディミトリー・ホロストフスキー、相変わらず声質は少しくすんでいるのだけれど、上手い。それにしてもオペラって恐ろしい。あの貴公子様がせむしになって登場なのだから。

マントヴァ公爵のWookyung Kimは声量もあるし声質も澄んで2009年(Francesco Meliがマントヴァ公爵)に納得できなかった「日立の冷凍冷蔵庫」ことLa donna a mobileも素晴らしかった。ジルダのPatrizia Ciofiも、既に40代で体もとても細いのに、これだけの声量が出るのだと関心(なぜ昔のオペラ歌手は皆体格が良かったのか?)。張りがあって、輝かしい声質-素敵。願わくば最高音まで同じ声質/声量だったら-。

指揮のダン・エッティンガーも熱演(熱唱?)。彼自身が楽しんでいるように見受けられたし、オケと歌手をとても上手くコントロールしていた。歌手としても活躍していた彼、オペラの指揮は得意なのだろうか。なかなか素敵だったので、Gustavoのカルメンを観に行きたくなってしまった。

リゴレットは、ストーリーの現実性(実在可能性)が薄い分、先日のオネーギンほどは心は泣かずに済んだ。今日は本当に指揮と歌手を楽しめて素晴らしい舞台だった。ありがとう、Dan & Singers!!


Niobe, Regina di Tebe@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-09-30 00:30:00 | オペラ

ステファーニ(Steffani)というイタリア人作曲家のオペラ。1688年初演、というから既に300年を超えている。当時は大変人気のある作曲家だったらしいが、今では殆ど忘れられている。それを、今回も指揮をしたThomas Hengelbrock氏とディレクターのLukas Hemleb氏が再発見した、ということらしい。

17世紀のオペラであるから、演奏もBalthasar Neumann Ensembleというドイツの合奏団。後から見に行ったところ、ビオラ・ダ・ガンバやハープシコード、ハープなど、古楽器が勢揃い(そのほかの弦楽器奏者は既に退場していたので不明)。ファンファーレのトランペットも古楽器のように見えた。そのためか、少し演奏しづらいようで、出来も今一つ?

ストーリーは単純といえば単純で、自由奔放な王妃が神の逆鱗に触れ、子供4人は雷に打たれて死に、夫(王)は自殺、最後には本人も石になってしまう、というもの。

舞台装置は基本的にシンプルだが、そこにフラッシュが焚かれたり、巨大な風船が幾つも舞台に現れたり(最後は割られてしまう-一つ欲しいんだけれど)、これまた巨大なミラーボールが舞台の上でぐるぐるしたり、火が焚かれたり。

王(Anfione)のLaszczkowski(どう発音するのだ子音が4つ繋がって??)はソプラニスタということになるのだろうか。他にもカウンターテナーの男声など、全体的に皆声が高い。これは17世紀の頃のオペラの特徴なのだろうか。

また、ステファーニはイタリア人でドイツで活躍したらしいが、舞曲のような曲も多く、中にはケルト音楽ではないか、というようなリズムのものも。また、ヘンデルの頃の人だからなのか、「私を泣かせてください(Lascia Ch'io Pianga)」を思い出させるような曲想もあったり。

全く知らないオペラではあったが、音楽が非常に楽しく、飽きることなく鑑賞することができた。それにしても、300年前の人々は、どんな思いを胸にこのオペラを鑑賞したのだろう。神の怒りを買わないように、品行方正に生きよう、と心に誓ったりしたのだろうか?


Don Pasquale@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-09-22 01:30:00 | オペラ

ドニゼッティのオペラ、Don Pasquale。Dramma Buffo=コミックオペラである。

序曲がちょっと長い。比べてはいけないけれど、モーツァルトやヴェルディ、ワーグナーのように面白い曲ともいえないし、序曲で期待が膨らむ、というよりはしぼんでしまう感じ(ごめんね、ドニゼッティ)。

さて、歌手陣。エルネスト役のBarry Banks。イギリス人のテノール歌手。Wikiによればテノーレ・リリコとあるが、私にはテノーレ・レッジェーロのように思われた。登場したときはズボン役?という感じがして(顔がまん丸で小柄だったからか)、声を聞いてもまだズボン役かもしれない、なんて思っていた。

ノリーナ役はIride Martinez。コスタリカ生まれのソプラノ歌手。小柄で、こういうコミカルな役-特にDon Pasqualeを騙す役柄には向いているように思われた。

Don Pasquale役のPaolo Gavanelli。イタリア人バリトン。一部ブーイングが出ていたらしいけれど-そこまでひどかったかしら?

Dr. Malatesta役はJacques Imbrailo。南アフリカ生まれのバリトン。えー、彼が32歳なんて信じられない!どう見ても40代以上。役になりきっていた、ともいえるのか?

全体としてRoyal Opera House級ではないように思われた。English National Operaとか、そのあたりならば納得するかもしれないが。。。コミックオペラは楽しいから笑えるし、その分「損をした!」と思うことは少ないけれど、Royal Opera Houseに期待するものは、もう少し高いところにあるような気がした。


Cosi Fan Tutte@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-09-11 01:00:00 | オペラ

ロイヤルオペラハウスの2010/2011シーズンの開幕。有名なモーツァルトのCosi Fan Tutte。

Tube(地下鉄)駅の広告写真からも、現代的な演出になることが分かっていたので、多少心配をしていた-現代演出でオペラを楽しめたことがあまりないのである(以下、ネタばれになります)。

しかし、そんな心配は無用だった。最初から笑う、笑う-Da Ponteの絶妙な会話+小道具に。iPhone、Nokiaの着信音、スタバのラテ、クリスピークリーム(?)ドーナッツ、CNN&UN(これらは苦情が来なかったのだろうか)、そして毒薬の代用品(毒薬をあおる振りをする)の代用品はM&Mチョコレート。現代の「記号」に満たされたモーツァルト。

2人の出征したはずの恋人達が扮したのは、ラッパー(?)風の若者で、その登場に会場は爆笑。ちなみにグリエルモはこちらのほうが似合っていたと思う。フェルランドに扮したブレスリクは、声質こそざらざら感がほんの少しながらあったものの、見た目も悪くない(ちょっとデカプリオ似?)し、運動神経も良いし、ちょっと心が動いた(!?)。

時代を超えて普遍的なテーマ「Cosi fan tutte」を時代を反映した演出で楽しませる試みは方向性として良いと思う。私自身、笑い、楽しんだが、ふと、この演出でもう一度観たらどうだろう?、と思った。この演出で見るのが2度目という友人は疲れもあったのだとはいうが「半分寝ていた」らしい。また、CNNによる出征取材など、90年代ならば受け入れられたかもしれないが、今は疑問だ。この演出が最初に使用されたのは15年ほど前。現代において15年は長すぎる時間なのかもしれない。


サロメ-今シーズン最後のオペラ@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-07-13 02:00:00 | オペラ

今シーズン(私にとって)最後のオペラはサロメ。シーズンの最後にするにはちょっと?なオペラかとも思ったが。しかも、その凄惨な演出に、注意書きすら出ていたらしい。

しかし、結果として、前日のラ・トラヴィアータを最後にするよりは、こちらが最後でよかった。出ずっぱりのソプラノはアンジェラ・デノケ。2008年にパリでCardillacを観た時も良い印象を持ったが、その時以上に声が澄んでいるような気がした。

舞台に関しては、どうもドイツ物には色気が感じられない私で、全裸や半裸の男女が舞台に出ていても、ニュートラルな感じがして、エロティック、というところへ行き着かない。デルヴォーの絵画のような-いや、もっと中性的か。

従って、デノケの声は素晴らしく、聴いていて楽しいのだが彼女と周りとのつながりを感じることができず、「彼女の声&背景としての舞台」というような気がしなくも無かった。

それにしても、サロメの気持ちは良く分かる。美しいものを、何時までも独り占めしたい、というその気持ち。しかも、ヨハネに目をつけるなんて、なかなかお目が高い。