風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

風のうた

2008年04月28日 12時59分01秒 | エッセイ、随筆、小説






大きな観覧車を、ヨットハーバーを目指して歩こう!
いきなり東京湾の大パノラマが目前に広がる土手沿いのサイクリングコースには
ショールームから抜け出してきたようなロードレーサーたちが
びゅんびゅんと風をきって颯爽と走っていく。
通り過ぎるたびに私と愛犬の髪がさらさらとなびき、
挑発するように海鳥たちも上空から下降して速度を競っているようだ。



風のうたが聞こえる。
がさがさと聴覚を擽るような音色。
これは夢見の合図で、きっと今夜は素敵な夢がみれるだろう、
さて、だれと、どこで、どのような展開が。
最近は眠くてたまらなくて、どれだけ寝てもなにもかもが満足しない状態で、
もちろん夢をみることもなく、それを誘うわけでもなく、
ただ単純に時間が流れていくだけで、
鳥の囀りに起こされて、夜が更けるといつの間にか眠りに就いていた、
そんなどこにでも転がっているような毎日がいつまで続くのだろう・・・と
余計な心配を無駄にすることでより心身は消耗していった。
でも、それは昨晩で終了した。




風から届けられたのはアメリカの友人たちの姿や声だった。
どんな理由を並べようと縁があるのだから堪忍しなさい、と
英語と日本語となぜかスペイン語で言われた。
堪忍するかわりにキューバへ連れていけ!とごねると、
すぐさまキューバ行きのチケットをゲットしてくれた。
私は(奴らは本気だ)と心の中で思って、すこし動揺していたものの、
それを感付かれないように平静を保っている振りをした。
けれど、英語も日本語もスペイン語もしどろもどろで、
なにを言いたいのか、なにを伝えようとしているのか自分でもわからなくなってきたため、
本当に堪忍する以外に方法はないのだと覚悟のカウントダウンに入って
自分を諭し宥めて、なんで今なのだ?と友人たちに悪態をついて
足や手をばたばたさせて、あかんべーをして、くるっと一回転。
「はいはい、キューバでサルサを踊って満ち足りたら堪忍します・・・」と
ぶーたれた。
友人のたくらみはなにかわからない。
けれど、それは私の人生にとって節目であり、岐路であり、変化する時期なのだと
しきりにくり返すので、それを信じることにした。




風のうたが聴こえる。
さて今夜はどんな夢見が舞い降りてくるのだろう。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。