風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

これからのこと

2008年11月25日 09時40分08秒 | エッセイ、随筆、小説

 




もうやめた。
・・・とはいっても、放り出すのではない。
市場原理主義競争の波に乗らず、そこからフェイドアウトするという意味だ。

弁護士は、落胆が大きいのですよ、と言った。
それは当初、考えている補償賠償とは被害者にとって違うものが多い現実だが、
裁判をせず、妥協点を見出せる位置を決めておいてくれるのであれば
弁護は引き受けます、と言ってくれた。
交通事故被害者のエキスパートからの支援は、心にもなかった援護者だと感謝した。


もしもし・・・
誰かわからないのね、私の声では。
おー、まゆみ、と彼は笑う。
私にからかわれてばかりの彼、あと一ヶ月ほどで再会できる。






Kissing you

2008年11月19日 15時57分03秒 | エッセイ、随筆、小説





電話で、キスをした。
と急に泣きたくなってきて、号泣した。

2001年のあのテロ以降、NYでは会ってはいない。
その後、私は交通事故に遭い、飛行機になど乗れる状態ではなくなってしまった。

伝えたの。
ずっと天井をみつめながら、
なにが大切で、なにを必要としていて、なにに向かうべきなのか、と。

その答えのひとつが彼だった。
私はようやく彼に会える。

7年もの月日、その間には4年の想像を絶する闘病を経てだ。

 

 

 


時差

2008年11月18日 04時43分34秒 | エッセイ、随筆、小説
午前3時、
これはニューヨークの時間なので
東京はランチタイム真っ盛りの午後1時。

彼からの電子メールには
頻繁にチェックする癖を持たないけれど
これからは気をつけてみる、
東京からの便りが届かないか、と楽しみにすると
書かれていた。

もちろん、ニューヨーク行も
ステイ先に彼の自宅を用意してくれることにも快諾、
経営するレストランで皿洗いでもさせてもらい
ニューヨークを別の部分からも
楽しめそうな予感。


東京午後3時、
相棒がいないので探しに行くと
弟の部屋にさらわれていた。
私の部屋は3階にあるワンルームで、
弟は2階、隣には両親の部屋がふたつあり
相棒はきょとんとしてこっちをみつめるものの
弟の相棒に行くてをはざまれて身動きができない。

眠れないようなので
こんな夜はジュンパ・ラヒリの
゛その名にちなんで゛を開く。
少し窓を開けると秋というよりも冬の肌寒い空気が部屋中に入り込んで
夜の、まったりしたぬかるみみたいな時間を目覚めさせるように
まるで清浄や浄化するみたいだ。

ロクシタンのレモンフレグランスと
オリーヴのシャンプーの残り香が溶け合って
至福な気持ちに誘ってくれる。

そうだ、さっきまでみていたのは
彼が私の身体を労って
ロクシタンの乳液でマッサージするものだっ。

ならもっと深い眠りに墜ちてもいいはすなのに。


ニューヨークにくるべきだ。僕らの時間を共にシェアするために。

思い出が、彼が、ニューヨークが
私を手招きする。

15年越しの恋

2008年11月16日 19時21分55秒 | エッセイ、随筆、小説





私たちお互いに好きなのに
なぜ次のステップに進まないのかしら?
と、なぜか話が政治から急激に道を逸れて恋に発展した。

僕は・・・と彼は言う。
あの日、君は別の男とクラブに来ていたから・・・と。
それがショックなのだろうとはわかっていたものの、
私はその男とも、彼とも、誰とも当時付き合ってはいない。

だからなに?と言った。
強気で嫌な、あたしという女。

そうだね、なぜ、次のステップに進めないのかといえば、
君をもう二度と手放したくないと思うからじゃないか・・・・と彼は答えた。

なんてロマンチックな男なの?
だから私は彼にずっと恋をしている。

15年越しの恋を思う。
ちょっと涙がこぼれた。
会いたい。
彼に、ニューヨークに、すべてに再び出会いたい。
そして、ぎゅっと抱きしめてもらって、少女のように背伸びして、
抱きしめてもらいたい。





ZEEBRA

2008年11月12日 10時24分12秒 | エッセイ、随筆、小説






シスターのような関係の黒人女性が恋をした。
彼のために、なにか理由をつくっては、ニューヨークから日本にやってきた。
誰?と聞くと、今日、渋谷で待ち合わせしているから紹介するという。

hello?
アフリカ系アメリカ人の男性か?
と思った瞬間、待ち合わせのカフェの席を立ち上がり、友人とはぐしている。
日本人だった。

彼は声も、英語の発音も、日本人離れした才能を当時からもっていた。
代々木でライブがあると聞くと、私も足を運ぶようになった。

自伝を書いた。
今、情報番組で知った。
ZEEBRA 、久しぶりにあなたに書籍から漂う雰囲気によって触れようと思う。
そして、ニューヨークへも贈るわ。


 


無痛

2008年11月11日 18時55分51秒 | エッセイ、随筆、小説
本の内容は敢えて書かない。


私の闘病はたかが四年だ。
で、あるとき、
全能感のように感覚や臭覚が鋭くなり
寝たきりとなり
天井の壁をぼんやり眺めるだけの日々を送った。

生まれると同時に設計されている。
私は主治医に尋ねる。
なにが?といった白々しさは
嘘をごまかす時の癖だ。


主治医もわかっていた。
どんなに軽い病気でも死ぬ運命と
私のように「医療の限界だ」といわれても
しぶとく生き抜ける差異は
行いではなく細胞のエネルギーに所以することを。

私はおそらく五年で闘病を明けるだろう。
ある人は酷似症状で七年とみている。

が、どんな名医に手術をほどこされても
双方の利害や目論みが一致するに過ぎない。

利害とは治せると疑わない医師、
治ると信じる患者、
目論みはそれが医療の本質であるという答えだ。


無痛。
しばらくご無沙汰した感覚だ。

無痛。
それを心まで欲していたとは…

アメリカ大統領選挙

2008年11月06日 11時28分24秒 | 社会(労働問題含む)






黒人初のアメリカ大統領が誕生した・・・と報道がなされる。
が、彼はケニア人の父、白人の母の元に生まれた「ムラトー」
(発音が違うかもしれませんが、白人と黒人のミックス)であり、黒人の血だけではない。
そこから差別が見え隠れするのは私だけでしょうか?

一滴でも黒人の血が入ると、IDには「ブラック」と記される。
一見、白人にみえてもだ。

そこに違和感を感じるのは、私だけなのだろうか・・・と選挙報道を見るたび、
黒人たちの置かれた現状を正確には伝えきれていないと思えてしまうのはどうしてなのだろう。

友人に「おめでとう」コールをする。
熱狂しているNYやCAなどが目前に広がる。

歴史に立ち会えた私たちを待ちわびる次のテーマは、さて、なんであろう。
ふと、JFKが浮かぶ。
なぜか、オバマと重なってみえてしまう。