風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

入院

2008年11月05日 18時55分16秒 | エッセイ、随筆、小説


このまえ、そういえば入院をした。
とはいっても私の入院プログラムはエステがメインだった。

ストレスケアと名乗っているだけあって期待感満々だったが、
ノックのあと何秒もせず入室してくるスタッフに、
逆いストレスを感じた。

あれ?
ダイニングがあるはずじゃ・・・
あれ?
私の部屋にはキッチンがあるのに調理器がない?
あれはすべてパンフレット用のものだったのだろうか?

数週間だったものの余計に眠れなくなったし、
楽しみといえばエステしかなかった。
が、もっと応用というか柔軟性があってもいいのに・・・と思ったり。


戸惑い

2008年11月05日 18時32分57秒 | 医療




思ったよりも元気そうでよかった、とひとは言う。
心の中で私は”元気そうに振舞っているんじゃん!!”と呟く。
いや、ぼやく。

障害者になったことは、2人の友人にしか知らせていない。
ひとりはこれから障害者になろう盟友と、もうひとりは海の近くに移住した彼女、
特にこれといって反応がないのが、話せた理由とでもいうべきだろうか。

元気そうだから、温泉へ行こう、と言われる。
旅行は?ニューヨークは?初の黒人大統領の登場で盛り上がっているよ、と言われる。
でも・・・と私は口ごもる。
約束した日に元気かどうかの保障が自分でも立てられないためだ。
わからん。
明日になってみなければ、動けるか否か、わからんのだから。

ときに戸惑いが運ばれ、風に乗って飛んでいってしまえと思う。
波に攫われろと思う。
大男にふんずけられてしまえ、と思う。
でもそうもいかない。
なけなしの知恵を振り絞って言い訳を考えるものの、結局は健常ではない、と言ってしまう。
反省する。
たぶん、3日くらい。

生きていくためには戸惑いも必要なのだろうが、こうしたものは無縁でいい。
今日は三日月だ。
月に向かって、この金髪豚やろーと叫んだ。
と、同時に、元上司からレストランに到着したと電話が受信を知らせる。

 

 


 


過去からみた未来への掛橋

2008年11月02日 07時51分56秒 | エッセイ、随筆、小説
どこの出身だ?と
私より3つ歳の若旦那が聞く。
東京は下町生まれで
父は伝統工芸を生業にする江知左衛門です、と
私は小さな声で返す。

なぜここに?
というもんだから
吉原の女子たちとは身分が違うのですが
社会勉強のつもりが
人間の性や業をみる毎日に
ときどき戸惑っておりやす、と胸のうちを明かした。

次の日、若旦那の虎之助が迎えにきてくれた。
おとっさんも一緒だ。
私が客を取るほかの女子とは身分が違ったが
そう簡単にここから出られるわけでもなかった。

虎之助の匂いは懐かしかった。
虎之助の声も温もりも知っていたものだった。