小林製薬に対し物言う株主が経営改善への要求を強めている
紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントによる健康被害問題を受け、小林製薬が香港の投資ファンドから前会長らに対し、会社に与えた損害の賠償を求め提訴するよう請求されたことがわかった。
創業家出身の小林一雅前会長ら7人を対象に100億円超の支払いを求めている。
小林製薬の株式を7%超保有するオアシス・マネジメントが11月下旬に請求した。対象は、小林前会長のほか、前社長の小林章浩取締役、山根聡社長、一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏やイー・ウーマン社長の佐々木かをり氏ら社外取締役4人で、問題発覚時の全取締役だ。
小林製薬は2024年1〜9月期に同問題を受けて生じた費用など100億円超の特別損失を計上している。
大量保有報告書によると、オアシスは小林製薬株を買い増しており、7.54%を保有している。6月末時点の株主構成から勘案すると、筆頭株主の小林前社長らに次ぐ4位株主になったとみられる。
会社を代表して監査役が訴えを起こさない場合、オアシスは25年1月下旬に株主代表訴訟を提起できる。
小林製薬は2日、オアシスからこの問題の調査などについて現在の体制では不備があるとし、臨時株主総会の開催を求められたことを明らかにした
。会社法に基づく業務・財産の調査者や、新たに社外取締役3人を選任するためだ。
オアシスは臨時総会の招集を求めた書面で「(小林製薬の)抜本的改革は、既存の経営陣にのみ委ねることでは期待できない」と指摘した。現経営陣に対して「創業家依存からの脱却を進める意思があるのか疑わしい」などと批判している。
物言う株主として知られるオアシスは、投資先に経営改善を迫るため様々な要求をしている。7月、クスリのアオキホールディングスの創業家出身社長らの解任を求めるなど複数の株主提案をした。
ストックオプション(株式購入権)の扱いを巡り株主代表訴訟も起こした。8月の定時株主総会でオアシスの提案は全て否決されている。
小林製薬は2024年3月22日、紅麹(こうじ)を使った機能性表示食品を自主回収すると発表しました。摂取した消費者から腎疾患などの健康被害が発生したためです。最新ニュースや解説記事をまとめています。
日経記事2024.12.03より引用