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インテルCEO退任、AI革命の波乗れず 歴代の失策も重荷

2024-12-03 22:10:06 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


インテルのパット・ゲルシンガーCEOは経営を立て直すための戦略が裏目に出た=ロイター

 

インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が1日付で退任したと発表した。

2021年の就任時はインテルを立て直す救世主として期待されたが、人工知能(AI)革命の波に乗れず成長の道筋を描けなかった。苦境の根底には、歴代の経営トップの失策の積み重ねが招いた競争力の低下がある。

 

 

「今日は当然、ほろ苦い(bittersweet)気持ちだ。この会社は私のキャリアの大半を占めてきた」。ゲルシンガー氏は2日、退任発表に合わせた声明で悔しさをにじませた。

正式な後任は決まっておらず、取締役会はこれから新たなCEOの選定を進める。暫定的な共同CEOには最高財務責任者(CFO)のデビッド・ジンスナー氏と製品責任者であるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が就いた。

 

インテルは8月に約1万5000人の人員削減を発表し、24年7〜9月期決算で過去最大となる166億3900万ドル(約2兆5000億円)の最終赤字を計上した。ゲルシンガー氏は低迷する業績の責任をとった形だ。

 

 

「退任か解任か」、取締役会が選択迫る

米ブルームバーグ通信によると、ゲルシンガー氏は取締役会から自ら退任するか解任されるかの選択を迫られた。

データセンター向けAI半導体で米エヌビディアが独走するなか、対応策の進捗を議論する先週の取締役会で対立が表面化したという。

 

エヌビディアは12年にAIの可能性に着目し、AI向け画像処理半導体(GPU)の開発を続けてきた。

22年に米新興のオープンAIが対話型AI「Chat(チャット)GPT」を出すと、生成AIとともに開発用の半導体のブームに火がついた。

 

 

インテルはAI向けの半導体開発で後手に回り、製品投入が遅れた。

すでにエヌビディアがAI需要の大半を囲い込んでおり、追い上げに苦戦する。技術革新の潮流に乗り遅れ、挽回への道筋を示せていないことが経営トップとしての信頼低下につながった。

 

インテルはパソコン向けCPU(中央演算処理装置)では黄金時代を築き、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)のウィンドウズとともに「ウィンテル」と呼ばれた。

だがその後は成功体験による慢心から技術の潮流を見誤り、失策を繰り返してきた。

 

 

iPhone向け受注逃す、スマホ台頭読めず

象徴的なのはスマートフォンの進化の読み誤りだ。「受注していたら世界は大きく変わっていただろう」。

13年までインテルCEOを務めていたポール・オッテリーニ氏は退任後に米誌アトランティックの取材に対し、米アップルが07年に発売した初代iPhone向け半導体を受注する機会を見送ったことに後悔を示した。

 

当時を知るインテル元社員は「パソコン向け半導体の高い収益性が、未知数のiPhone向けを受注する足かせになった」と振り返る。

出遅れたインテルは挽回に苦戦し、19年にはスマホ用の通信半導体から撤退した。

 

インテルは半導体の設計と製造で分業体制が進む潮流も読み切れなかった。両方を手がける垂直統合モデルに長年こだわってきたからだ。

 

 

 

台湾当局主導で台湾積体電路製造(TSMC)が1987年に設立された際、TSMCの実質的創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏がインテル中興の祖のアンディ・グローブ氏に面会を取り付けた。よちよち歩きだったTSMCへの資金支援の依頼だった。

 

半導体メーカーから広く製造を受託するTSMCの事業モデルを一通り聞いたグローブ氏は「良いアイデアではない」と指摘。半導体産業を代表する辣腕経営者2人の面談は物別れに終わった。

技術の潮流は水平分業に移った。TSMCは幅広い企業から先端半導体を請け負い、ノウハウを磨いた。一方でインテルは自前の半導体だけを手がけてきたことで、10年代後半からTSMCに微細化で差をつけられ始めた。

 

ゲルシンガー氏はTSMCに対する遅れを挽回しようと、自ら受託生産を手がける体制に乗り出した。そのために打ち出したのが米政府の補助金をてこに、米国内を中心に先端半導体の製造能力を増強する戦略だ。

 


インテルが建設する新工場は計画が遅れている(11月、米オハイオ州)

 

だが計画は思うように進んでいない。自社向けの半導体製造と他社からの受託は必要となる製造ノウハウが異なる。

受託事業に参入したばかりのインテルに先端品の製造を任せるのはリスクが高く、大口顧客を開拓できていない。

 

半導体業界に詳しい米ジェイゴールドアソシエイツのジャック・ゴールド社長は「新しいCEOを探すのは容易ではない。業績回復の経験と半導体業界に対する深い理解の両方が求められる」と指摘する。

インテルの正式な経営トップが一時的に不在になるのは初めてではない。18年に不祥事で当時のCEOが辞任した際は、後任が見つからず約7カ月間の暫定体制が続いた。当初は最も適任だと期待されたゲルシンガー氏が退任したことで、インテルの経営の混迷はさらに深まることになる。

(シリコンバレー=清水孝輔、東京=細川幸太郎)

 

 

 
 
 
 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

楠正憲のアバター
楠正憲
デジタル庁統括官 デジタル社会共通機能担当
 
ひとこと解説

盤石といわれたIntelの失策は何度かありました。64bit化では互換性よりも性能の伸び代を優先したVLIWプロセッサが市場から受け入れられず命令セット策定の主導権をAMDに取られたこと。

スマホ向けSoCでも1997年にDECからStrongARMプロセッサを譲り受けて、一時はPDA向けSoCで高いシェアを持っていましたがiPhone登場前夜の2006年Marvellに売却しています。

直近の失策は投資を手控えて微細化技術でTSMCの後塵を拝したことですが、x86のエコシステムに支えられていながらNVIDIAやAMDと比べてソフトウェアを軽視した技術開発のツケも無視できないのではないでしょうか。

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日経記事2024.12.03より引用
 
 
 
 
 
 
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インテル、ゲルシンガーCEOが退任 業績低迷受け

2024-12-03 21:54:56 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


インテルのゲルシンガーCEOは12月1日付で退任を発表した=ロイター

 

【ニューヨーク=川上梓】

インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が1日付で退任したと発表した。

業績低迷を受けて経営体制を刷新し、立て直しを急ぐ。最高財務責任者(CFO)のデビッド・ジンスナー氏と製品責任者であるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定的な共同CEOに就いた。

 

取締役会は今後、新たなCEOを選任する。取締役会議長のフランク・イヤー氏が新CEO選任までの間、暫定的な執行委員長となる。

ゲルシンガー氏は21年からインテルを率いてきた。就任直後から開始した半導体の受託生産事業が苦戦し、顧客獲得が進まない中で市場シェアが縮小。人工知能(AI)市場の開拓も遅れたことで業績が低迷していた。

 

2024年7〜9月期決算は最終損益が166億3900万ドル(約2兆5000億円)と過去最大の赤字となった。新型コロナウイルス下の特需を見込んで過剰投資した半導体の製造設備の損失や従業員の15%削減を柱としたリストラ費用の計上が響いた。

退任したゲルシンガー氏は2日、「厳しい決定を下した挑戦的な年だった。世界中の同僚に永遠に感謝する」との声明を発表した。退任発表を受け、インテルの株価は2日の市場外取引で一時5%上昇した。

 

 

 

インテルは半導体の製造と設計をともに手掛ける米国唯一の企業だ。

バイデン米政権は11月26日、同社が米国の複数の州で投資する半導体工場への補助金が最終決定したと発表していた。先行投資がかさみ、インテルの業績が低迷する中、立て直しに向けて早期に補助金を受ける重要性が高まっていた。

 

経営不振で他社からの買収や出資に関する観測も浮上していた。

9月には米クアルコムがインテルに買収を打診したことが明らかになったほか、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントがインテルに最大50億ドルの出資を打診したと報じられた。

 

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

浅川直輝のアバター
浅川直輝
日経BP 編集委員
 
ひとこと解説

ゲルシンガー氏は就任以来、インテルを技術開発と事業モデルの両面で大胆に変革させようとしました。

「米政府支援に基づく生産拠点拡充」「製造委託事業立ち上げ」「TSMC対抗の新製造プロセス導入」「NVIDIA対抗のAIチップ開発」を同時並行で進めたのです。

ただし、いずれも巨額の投資を要する施策です。

ここに先端CPU需要の鈍化が直撃し、投資と収益のバランスが崩れました。施策はいずれも道半ばで、新製造プロセス(2nm相当の18A)も現時点で良品率に課題を抱えているといいます。

次期暫定CEOの1人はCPU/GPUなど製品の責任者で、今後は製品分野へのリソースの集中が進むことになりそうです。

 
 
 
 
 

パソコンやスマホの半導体や、電気自動車(EV)に使われるパワー半導体とは。TSMCやラピダス、キオクシアなどのメーカーの動向や供給不足、シェア推移など関連業界や市場の最新ニュース・解説をタイムリーに発信します。

 

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日経記事2024.12.02より引用

 

 

 


JDI、イノラックスと車載用有機ELパネル提携 27年量産

2024-12-03 21:49:13 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


JDIのキャロンCEO(中央右)とイノラックスの洪進揚会長が都内で記者会見した
(3日、東京都港区)

 

ジャパンディスプレイ(JDI)は3日、台湾の群創光電(イノラックス)と有機EL技術で戦略提携を結んだと発表した。

イノラックス子会社の車載パネル会社と組み、独自の有機EL技術をつかったパネルを車載向けに販売する。2027年に32型の車載用パネルをJDIの茂原工場(千葉県茂原市)で量産する計画だ。

 

JDIの有機EL技術「eLEAP(イーリープ)」を車載向けに適用し、速度表示やカーナビ画面などを統合した大型の車載パネルとして提供する。

同じ大きさの液晶パネルと比べて15%明るく、消費電力を 76%抑えられるという。内装デザインに合わせて画面を自由にレイアウトできる特長もある。

 

今回の提携では、JDIが車載向けパネルを量産してイノラックス子会社が完成車メーカーに売り込む。スコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)は3日に都内で開いた記者会見で「イーリープを世界に展開する上でイノラックスとの提携が最適だ」と語った。

有機ELパネル以外での協業についても検討するという。

 

パネル産業では中国企業の増産によって供給過多の状況が続く。イノラックスの洪進揚会長は「供給過剰の中でも、どのような価値を顧客に提供できるかが重要。自動車の未来を考えて革命的な技術や材料に投資することが求められる」と話した。

経営再建中のJDIは有機ELの量産のために外部連携を模索してきた。23年から中国の安徽省蕪湖市と交渉をしていたが、10月下旬に白紙撤回した。11年連続の最終赤字を見込む中、有機EL技術を車載にも広げて工場稼働率を高める狙いがある。

 

 

イノラックスはテレビ用液晶パネルで世界大手。23年12月期の売上高は2117億台湾ドル(約1兆円)、最終損益は186億台湾ドルの赤字だった。

テレビ用パネルに比べて収益を確保しやすい車載分野でJDIと組むことで黒字転換を目指す考えだ。

 

 

 
 
 
 
日経記事2024.12.03より引用
 
 
 

TSMC先端投資、台湾に外資呼ぶ 東エレクは1000人拠点

2024-12-03 21:34:10 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


3日竣工した東京エレクトロンの「台南オペレーションセンター」(台南)

 

【台南(台湾南部)=龍元秀明】

東京エレクトロンは3日、台湾南部の台南に半導体製造装置の顧客向けサービス拠点を竣工した。技術者など1000人超が働く見込みだ。

半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が人工知能(AI)需要をにらんだ先端投資を進め、海外勢の関連投資をひき付けている。

 

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「(新拠点の)ポテンシャルを最大限に生かし、台湾の半導体業界の発展に貢献していく」。3日開いた式典で、東京エレクトロンの河合利樹社長は挨拶した。

 

同日竣工した「台南オペレーションセンター」は半導体のテストや装置のメンテナンスの機能を備える。投資額は建設発表時の台湾当局の資料で18億台湾ドル(約80億円)。1000人超を収容でき、同業の拠点として台湾有数の規模となる。


竣工式で挨拶する東京エレクトロンの河合利樹社長(3日、台南)

 

半導体製造装置は工場搬入時や稼働後のメンテナンスに技術者によるきめ細やかなサービスを必要とする。

1990年代に台湾に進出した東京エレクトロンは各地に拠点を設けてきたが、新拠点の竣工を機に台南の体制を大幅に拡充する。

 

狙いは半導体生産で世界をリードするTSMCとの連携にある。新拠点の近くにTSMCの主力工場「ファブ18」がある。回路線幅3〜5ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端品を手掛け、AI半導体大手の米エヌビディアや米アップルなどに供給している。

 

 

「最先端のAI半導体拠点で、生産効率化に貢献」

式典にはTSMCや半導体大手である聯華電子(UMC)の幹部も出席した。東京エレクトロン台湾法人の張天豪社長は同日実施した記者会見で「台南は世界最先端のAI半導体生産拠点であり、顧客の生産効率化に貢献する」と強調した。

東京エレクトロンは半導体製造装置の売上高で世界4位、日本勢では最大手だ。半導体ウエハーに感光剤を塗って現像する「コータ・デベロッパ」で世界のシェアの9割を持つなど、複数の工程で世界首位や2位の製品を抱えている。

 

新拠点では台湾のサプライヤーと協力し、装置の部品の現地加工・修理にも取り組むという。サービスのスピードアップや調達・輸送コストの削減につなげる。

TSMCはエヌビディアなどAI半導体の生産をほぼ総取りしている。AI向け以外の市況回復が遅れた24年の設備投資は会社計画でほぼ前年並みの300億米ドル(約4兆5000億円)強にとどまりそうだが、25年は増加に転じる公算が大きい。

 

 

TSMCは海外工場を建設も、最先端品はまず台湾

TSMCは米日欧の要請に応じ海外工場の建設を進める一方、最先端半導体の研究開発や量産立ち上げを台湾で行う方針を堅持している。25年に台湾北部・新竹、26年に南部・高雄で次世代の回路線幅2ナノ品を量産する見通しだ。

米アリゾナ州の新工場は28年以降に2ナノ品を生産する見込みで、台湾拠点と3年ほどの差がある。製造装置や材料メーカーにとっては引き続き、TSMC台湾拠点との連携が先端品向けのビジネスをつかむ鍵を握る。

 

 

その台湾で投資を増やすのは東京エレクトロンだけではない。半導体製造装置の世界大手をみると、オランダASMLホールディングは北部・新北で26年にも新工場を稼働させる。米ラムリサーチも台湾に研究開発(R&D)センターを新設する計画だ。

 

 

南部の売上高、「台湾のシリコンバレー」上回る

台南を含む南部は台湾当局が半導体サプライチェーン(供給網)の重点整備地域にしており、関連投資が特に活発だ。台湾の主要サイエンスパーク(工業区)のうち南部の売上高は23年に1兆5855億台湾ドルに達し、「台湾のシリコンバレー」と呼ばれる北部の新竹を初めて上回った。

 

 

 

24年3月には住友ベークライトが南部・高雄に半導体の封止材の新工場を竣工した。

8月には米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が台南と高雄にそれぞれ研究開発センターを設ける計画が明らかになった。

 

 

人材争奪戦の過熱必至、TSMCだけで年6000人

今後は技術者など人材の採用が課題となる。業界団体によると台湾の半導体業界で働く人材は30万人強に達するが、不足感が強まる。

TSMCだけで台湾域内で年間6000人規模を新規採用しており、海外勢の拠点が次々に立ち上がれば争奪戦の過熱は必至だ。人材確保の巧拙が、旺盛な投資の成否を左右する一つの要素となりそうだ。

 

 

 
 
 
 

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日経記事2024.12.03より引用

 

 

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富士通、「ブルーカーボン」事業で新会社 社内起業で

2024-12-03 21:27:40 | 環境・エネルギー、資源


BLUABLE(ブルアブル)は藻場の造成に向け、全国16か所の海域で実証実験をしている

 

富士通は3日、海藻に二酸化炭素(CO2)を吸収させて脱炭素につなげる「ブルーカーボン」事業で新会社を設立したと発表した。

社内の新規事業創出プログラムから生まれ、事業化するためにスピンアウト(分離・独立)した。海藻が集まる藻場の造成に向け、全国16か所の海域で実証実験をしている。2025年10月から商談を始めることを目指す。

 

新会社名はBLUABLE(ブルアブル、兵庫県宝塚市)で10月に設立した。大企業に所属しながら新規事業に挑む「出向起業」と呼ぶ形態で、代表取締役の魚谷貴秀氏らは富士通からの出向扱いになる。

ブルアブルは藻場の造成から、海藻類によって海底に吸収・埋没されるCO2の測定、そのCO2吸収量を認証する「Jブルークレジット」の申請まで一貫して手掛けられるようにする。

 

同社が提供する藻場造成キットは、海藻が着生しやすい物質を海へ投下するだけで藻場が造成できる。

設置にあたって重機の利用などが必要ないため、現在一般的に行われている藻場造成方法と比較して短期間で安価に導入できる。今後は海底に吸収・埋没されるCO2の測定に、あらゆるモノがネットにつながるIoTや人工知能(AI)を活用していく。

 

11月にはベンチャーキャピタル(VC)の出向起業スピンアウトキャピタル(東京・中央)から資金調達を実施した。調達額は非公表で、資金は製品開発などの検証に充てる。

 

 

 
日経記事2024.12.03より引用