ロイター通信はサウジアラビアがイスラエルとの国交正常化交渉を凍結したと伝えた
(サウジの実力者ムハンマド皇太子)=ロイター
【ドバイ=福冨隼太郎】
ロイター通信は13日、サウジアラビアがイスラエルとの国交正常化交渉を凍結していると報じた。両国は米国の仲介で交渉を進めていたが、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突で協議継続は難しいとの見方が広がっていた。
同通信がサウジ政府の考えに詳しい複数の情報筋の話として伝えた。「協議は今のところ継続できず、協議再開時にはパレスチナに対するイスラエルの譲歩を優先させる必要がある」と指摘したという。
サウジはロイターのコメント要請に応じなかった。
イスラエルのネタニヤフ首相は9月の国連総会で、両国の国交正常化が近づいているとの認識を示していた。サウジの実力者ムハンマド皇太子も同月、正常化が「日々近づいている」と説明していた。
しかし10月7日に、パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスがイスラエルを攻撃。イスラエルは報復としてガザを繰り返し空爆し、地上侵攻の可能性も高まっている。ハマスの攻撃の背景の1つには両国の接近への焦りがあったと指摘されている。
サウジは国交正常化の前提としてパレスチナ問題の解決を掲げていた。今回の衝突でアラブ社会がパレスチナに同情的な見方を示すなか、サウジはパレスチナ人を攻撃するイスラエルとの関係改善を進めることは難しいと判断している可能性がある。
サウジ外務省は10日、ムハンマド皇太子とパレスチナ自治政府のアッバス議長が電話したと発表していた。皇太子は「パレスチナ人が正当な権利を追求し公正で恒久的な平和を達成するため、サウジはパレスチナの側に立っている」と伝えていた。
日経記事 2023.10.14より引用