米中央情報局(CIA)の元職員が1日、内部告発プラットフォーム「ウィキリークス」にハッキングのツールを流出させたとして、禁錮40年の刑を言い渡された。
ジョシュア・シュルティ被告(35)は、スパイ行為、コンピューター・ハッキング、法廷侮辱、米連邦捜査局(FBI)への虚偽供述、児童虐待画像所持の罪について、量刑の言い渡しを受けた。
同被告は、CIAのツール「ヴォルト7」を流出させたなどとして起訴された。このツールは、スマートフォンをハッキングし、盗聴器として機能させることができる。
米司法省は、同被告が2017年にウィキリークスに文書8761点を流出させたと主張。CIA最大規模のデータ漏えいだとした。
デイミアン・ウィリアムズ連邦検事は、同被告が「アメリカ史上最も大胆で凶悪なスパイ犯罪を犯し、祖国を裏切った」と述べた。
シュルティ被告は起訴内容を否認した。しかし、ニューヨークの連邦裁判所で2020年と2022年、2023年に開かれた三つの裁判で、さまざまな罪状について有罪判決を受けた。
職場でのもめ事が発端か
裁判で明らかにされた証拠によると、シュルティ被告は、テロ組織や外国政府に対するサイバースパイ活動を行う「サイバー・インテリジェンス・センター」で、ソフトウェア開発者として雇われていた。
検察によると、同被告は2016年、盗んだ情報をウィキリークスに送信した。その後、流出についてFBI捜査官にうそを述べた。
検察は犯行の動機について、職場でのもめ事をめぐる怒りとみられるとした。
検察によると、シュルティ被告は仕事で締め切りを守るのに苦労していた。担当プロジェクトの一つが予定より大幅に遅れてしまい、「漂流する締め切り」というあだ名がつけられたという。
検察は同被告について、自分を不当に扱った人たちを罰したいと思うようになり、「その仕返しを実行するなかで、この国の国家安全保障に膨大な損害を与えた」とした。
逮捕後も送信試みる
ウィキリークスは2017年、受け取ったファイル内の機密データを公表し始めた。
検察はこのリークについて、「アメリカの敵対国に対するCIAの情報収集能力を、即座にそして甚大に損なった。
CIAの人員、プログラム、資産を直接的な危険にさらした。CIAに数億ドルの損害を与えた」と主張した。
ウィキリークスが機密データを公表した後、FBIは数回、シュルティ被告に事情を聴いた。被告は責任を否定したという。
検察によると、同被告のアパートを捜索したところ、「児童性的虐待の画像が何万枚も」見つかったという。
また、シュルティ被告は逮捕後、情報をさらに送信しようとしたという。被告はこっそりと勾留施設に携帯電話を運び入れ、CIAのサイバー・グループに関する情報を記者に送ろうとしたされる。
さらに、映画の主人公「ジェイソン・ボーン」の名前で、CIAのサイバー・ツールに関する情報を含むX(旧ツイッター)への投稿の下書きを書いたとされる。
シュルティ被告は2018年から勾留されている。