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[FT]マスク氏とMAGA派対立 テック人材向けビザ火種に

2025-01-11 17:24:41 | 米大統領選2024

トランプ氏はまだ大統領に就任すらしていないが、反移民を掲げる「MAGA(米国を再び偉大に)」派と億万長者のグローバル化推進派というこの奇妙なトランプ氏支持連合に、すでにひびが入り始めた。

 


海外の熟練労働者の就労を認める「H1B」ビザの発給拡大を求めるマスク氏㊧とMAGAの熱烈な支持者
で反移民を掲げるローラ・ルーマー氏は激しく対立している=ロイター

 

直近の原因はトランプ氏が人工知能(AI)の上級政策顧問にスリラム・クリシュナン氏を指名したことだ。

インド系米国人で、トランプ氏ともマスク氏(ツイッターをXに進化させるのに貢献した)とも親密な彼はマスク氏同様、一時的な就労を認める「H1B」ビザで海外の熟練労働者が米国に入国しやすくなればいいと考えている。

 

マスク氏とMAGA派がネット上で大論争

米国ではテック分野の熟練労働者が不足しているため、シリコンバレーのテック各社はH1Bビザを重宝している。だがMAGA支持派は、外国人労働者を優遇することになるうえ、テック分野の賃金が抑えられかねないとして敵視している。

左派系シンクタンクの経済政策研究所が2020年に発表した論文では、H1Bビザ就労者を活用している企業の上位30社で働く外国人労働者の60%は、その地域の同等職種の賃金の中間値を大幅に下回っていた。

 

トランプ氏の同ビザへの考えは二転三転しており(意外ではない)、現時点では支持しているようだが、2016年には「低賃金の労働者を得るためのプログラムだ」と批判していた。

H1Bビザを巡っては、マスク氏とMAGAの熱烈な支持者ローラ・ルーマー氏がオンライン上で激しい議論を展開し、鋭く対立している。

 

ルーマー氏は自身を「誇り高きイスラム嫌い」と公言しており、H1Bビザを持つ外国人労働者が担っている仕事は、科学や技術、工学、数学を専攻する米国人学生に与えるべきだと主張している 

「我々の国は欧州から来た白人が築いた(中略)。インドから来た第三世界の侵略者によってではない」とXに投稿。

 

「私が投票したMAGAの本来の政策実施を求めるのは、インド人への人種差別ではない。私はH1Bビザ発給削減に賛成したのであり、発給拡大ではない」

一方、マスク氏はH1Bビザを擁護し、こうやり返した。

 

「私が今、米国にいて、米国を強くしたスペースXやテスラおよび他の何百もの企業をつくってきた多くの才能ある人々と米国で活躍できたのはH1Bビザのおかげだ。

(ルーマー氏は)ちょっと落ち着いて引っ込んでろ。私はこの問題については徹底して戦うが、おまえたちにその意味は到底理解できないだろう」

 

この意見の対立から学ぶべき教訓は多くある。ただトランプ氏に関連する騒動にありがちだが、問題を指摘する人がこんなにも過激なのは残念だ。

 

 

移民への開放性は米国の強み、だが労働者保護は後手に

ルーマー氏の投稿には「外国人嫌い」がにじみ出ているが、マスク氏に立ち向かうのは勇敢だし、彼女は重要な問題を提起している。

米国がグローバル競争に直面するなか、米労働者を適切な方法で支援するにはどうすればいいのかという問題だ。

 

そもそも米政府が1980年代後半以降、製造業の雇用と賃金の問題にしっかり取り組んでこなかったことが、トランプ政権を誕生させる一因となった。

一方、マスク氏は自分の利益を重じる超資本主義者で、人を脅すのに自分の権力を振りかざすことをかけらも気にしない。

 

ルーマー氏はマスク氏とオンライン上でやり合った後、X上で自分が本人であるという「認証バッジ」を失ったうえ、Xへの投稿から収入を得ることもできなくなったと訴えている。

しかし、米国にはエンジニアが圧倒的に不足しているというマスク氏の主張は正しい。

 

しかも南アフリカ生まれの彼が米国で起業家として成功していることを含め、多数の移民がシリコンバレーの起業家や米企業の経営幹部として活躍している事実は、移民への開放性という米国最大の強みを反映している。

 

 

バイデン政権打倒以外にマスク氏らとMAGA派に共通点なし

2人のこの論争は重要な意味を持つ。それは20日に発足するトランプ新政権内の本質的な対立を反映しており、その深刻化が今後、避けられないからだ。

MAGA支持派とグローバル化推進派は、移民問題だけでなく、国防、雇用、言論の自由を巡っても見解が異なる。

 

両派の最大の共通点はバイデン現政権を倒したいという願望だった。それを実現した今、ほかの問題で彼らが結束できるとは思えない。

H1Bビザを巡る論争に関連して、もう2つ指摘しておきたい。一つは民主党がトランプ派内で生じている分裂を好機として活用しようとすでに動きだしていることだ。

 

1月初めに民主党の弁護士や起業家、学者からなる小さなグループが作成したメモが出回った。そこには「ルーマー氏とマスク氏の対立は、今の共和党内の不満を抱える一派と手を結ぶ貴重なチャンスだ」と記されている。

その不満分子には、米政府と近い関係を築き巨額の利益を上げるテック企業や言論の自由、労働者の権利、国家安全保障などを懸念する人々が含まれる。

 

特に安全保障については国防関係者の間で、マスク氏が中国とビジネス上関係を築いていることや、ロシアのプーチン大統領と何度も連絡を取り合ったと報じられていることでマスク氏への懸念が高まっている。

左派の著名な現職の政府高官および元高官や学者、シンクタンク関係者、労組のアドバイザーたちはこのメモの内容を好ましいと評価している。

 

進歩的左派のバーニー・サンダース上院議員は2日、H1Bビザ問題について、マスク氏は優秀な人材を集めようとしているのではなく、「安く使える」労働者を得るためこのビザを推進しようとしていると非難した。

 

 

トランプ氏、意外にも無料のネット大学創設を提案

この問題は注視していく必要がある。労働者層の支持を得ようとする共和党と民主党の動きはトランプ次期政権の4年間と、それ以降の政治的対立の行方を左右することになる。

もう1つ指摘しておきたいのは、こんなことを書くのは自分でも驚きだが、トランプ氏はテック分野でよい仕事に就ける米国民を増やすための政策案を持っている。

 

トランプ氏は「アメリカンアカデミー」という名前の無料オンライン大学の創設を提案しており、レベルの高い講座を提供し、ほかの大学からの単位の移行も認めたい考えだ。

これは、高騰する学費問題の解決や学費ローンにあえぐ学生への支援につながる。左派系の雑誌「ワシントン・マンスリー」も最近、この構想を称賛した。

 

こうしたオンライン教育や、高校を卒業する際に2年制大学の学位も取得できるプログラムは、テック分野の労働者を確実により多く、より早く育成することにつながる。

ただし、その責任者にはマスク氏でもルーマー氏でもない別の適任者を据えるべきだ。

 

By Rana Foroohar

(2025年1月6日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

 

 

 
 
 
 
ラナ・フォルーハー

Rana Foroohar 米国生まれ。米ニューズウィーク、米タイムを経て2017年3月にFTに移る。米IT(情報技術)企業の事業を通じ蓄積した利用者のデータを駆使した事業モデルの在り方に早くから警鐘を鳴らしてきたことで知られる。米外交問題評議会の生涯会員

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日経記事2025.1.11より引用

 

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