石破首相と米国のトランプ次期大統領(右)
石破茂首相が南米のペルーとブラジル訪問に合わせて実現を探っていた米国でのトランプ次期大統領との面会が見送られる方向になった。トランプ氏陣営が日本政府側に2025年1月の正式就任まで原則として外国の首脳に会わないと伝えた。
複数の日本政府関係者が16日、トランプ氏側が「各国から会談の要望があり今は難しい」などと伝達してきたと明らかにした。米国には民間人が米政府の外交問題で外国政府と交渉することを禁じた法律があるという。
日本側はブラジルでの20カ国・地域(G20)首脳会議の後、米フロリダ州などを念頭に会談を打診していた。首相はトランプ氏の就任後、早期の面会をめざすことになる。
トランプ氏が16年の大統領選で当選した際には就任前に当時の安倍晋三首相がニューヨークで面会した。その後の両首脳の関係構築につながった。
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ミレイ大統領は「アルゼンチンのトランプ」と称されています。
トランプ氏は今年の選挙期間中ハンガリーのオルバン首相と二度もあっており、オルバン首相はトランプ氏が勝つとまで宣言し、7月の会見前には中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と会ってウクライナ紛争への「和平イニシャティブ」を推進していると自負しています。
そのような自らを「称賛」する人とは会い、そうでない人は後回しということでしょうか。
石破首相はペルーのAPEC会合の際バイデン大統領とも会談していることから、トランプ氏の優先順位からは程遠いという印象になります。国よりも個人ベースが優先。トランプ2.0劇場の幕開けです。
トランプ氏が安倍元首相との信頼関係を通じて第1期政権時の日米関係を肯定的に捉えていたことは、数々の発言から明らかになっている。
しかし今回の「見送り」でより鮮明になったのは、トランプ氏にとり国と国との関係よりもリーダーの権力掌握とトランプ氏への忠誠・支持こそが問題であり、現状では弱い政治基盤しかもたない石破氏と会う優先度は高くないということだろう。
トランプ氏は、義理に堅い人ではなさそうです。
ご自身の側近でさえも、意見が食い違い始めた途端、切り捨ての憂き目に遭ってきました。
トランプ氏の判断基準は、今も昔も、ご自身への「忠誠度」と「状況対応型」の計算です。
この8年間で我々も学びました。
トランプ氏は8年前に比べて、政治家としての「自信」に溢れています。石破総理に、安倍元総理と同じようなカードを切る環境は、もう存在しません。
環境による条件は、石破氏の責任の範疇外です。また石破総理は、日本版MAGA首相にもなり切れないでしょう。
引き続き、日本の首相として最善を尽くす他ありません。官僚の皆様の国益を追求する本気度と実力も、今こそ試される時でしょう。
①7日のトランプ氏との電話協議後、石破首相は「なるべく早く日程を取って会談しようと一致した」と述べ、「会って話をすることを楽しみにしているということだった。私もそう思っている」と強調していました。それから10日も経っていません。
②その間、トランプ氏は14日、フロリダ州でアルゼンチンのミレイ大統領と会談。「あなたは素晴らしい仕事をした。アルゼンチンを再び偉大な国に」と語っています。「(トランプ氏支持者を指す)MAGAだ」というのです。
③その際、トランプ氏とミレイ大統領は、イーロン・マスク氏も含めて、楽しそうに写真に収まっています。安倍元首相がご存命なら、局面は随分違ったかも知れません。