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世界大戦の主原因は石油 ペルシャの爆弾通告

2023-04-17 14:14:25 | 麻薬・阿片・石油

世界大戦の主原因は石油 トルコ石油(イラク石油会社に改名)と欧米列強
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b201af04b520c07de1e8bbd99fa137a6
からの続き


豪州人ダアシーの労苦と英国諜報部のレイリーの悪知恵によって勝ち得られたペルシャの石油、フィッシャー卿の石油狂のおかげで設立されたアングロ・ペルシャン(英・イラン)石油会社、それは決して安全に守られていた訳ではありませんでした。

ペルシャの北辺には、今や革命ロシアの建設を完成させたソビエトが、再びピーター大帝の夢を追いつつあったからです。しかし、ソビエトがペルシャに関心を持ち始めた時、ペルシャ極北部の開発権はすでに英国に売り渡されていました。

ソビエトは政府の許可なくして譲渡された権利の無効を主張を主張したのに対し、アングロ・ペルシャン(英・イラン)石油会社は、譲渡者であるホストリアなる旧ロシア人はもともとジョージア人であって、現在ジョージアが独立政権を獲得している以上、ソビエトに抗議の権利はないと応酬しました。 英・ソ間の論争は1923年その頂点に達しました。

この年、英国政府を背景に持つアングロ・ペルシャンは、資本を一千百万ポンドの増大し、創立当時の二百万ポンドに比べ:実に7倍となっていました。そして、如何に利益をあげつつあったかは、この年の株主配当額が千ポンドに上っている事実によっても窺い知ることが出来ます。

ロシア人ホストリアから買収した北部ペルシャの利権は別として、ダアシーによって獲得した理研は、1960年まで有効なため、それまではアングロ・ペルシャン石油会社は思う存分地価の資源を汲み取ることができる筈でした。ところが、1932年11月、ペルシャ(イラン)政府は、アングロ・ペルシャン石油会社に対し 、賦与していた権利が無効になった旨を通告してきました。

なお30年の機嫌を残している採掘権の廃棄です。 ペルシャ(イラン)政府の言い分によると、1901年ウド・ディン王によってウィリアム・ノックス・ダアシーに与えられた権利は、多くの欠点を有し、かつ失敗を重ねていてペルシャ(イラン)国民の利益と一致しないし、また憲法制定以前に与えた権利の規定に、ペルシャ(イラン)政府は法律的にも理論的にも拘束されるものではないというのであります。

この爆弾通告が発せられて数日後、ペルシャ(イラン)の首都テヘランで国権回復の祝賀式が興行され、ダアシーに対する採掘権利書は公衆の面前で焼却されたのでした。 もちろん英国政府がこの通牒を受諾する筈がなく、直ちに抗議を提出し、『国際法の没収処分であり、明白な違反である』として、この問題をハーグ国際裁判所に委託しました。

祖かし、ペルシャ(イラン)政府はこれを拒否。 ペルシャ(イラン)建設者リザ・ハーンがペルシャ(イラン)の独裁官になったのは1923年、それ以来彼は国権回復に努力し、顧問政治によって保護領化しようとしていた英国のとの絆を断ち、着々と国内の軍備を強化するとともに、財政改革を断行し始めました。

以来、英国の権益は次第に危機に瀕していましたが、リザ・ハーンが国民の希望を担って皇帝の位に上り、シャー・リザ・パハラヴィと称するに至り、「ペルシャ人のためのペルシャ」建設運動は更に白熱化してきました。 回教を国教として、政教一致による国民の団結を図る一方、大いに西洋の近代文明を取り入れ、強力な軍隊を備えて群雄割拠状態の国内統一を完成しました。

1928年には英国に治外法権を撤回させ、英国駐屯兵を撤兵させました。 そして遂に1932年にはアングロ・ペルシャン(英・イラン)石油会社の契約解消の爆弾声明の発表に至ったのです。 大英帝国を向うに回して一歩も譲歩しようとしないペルシャ(イラン)政府、リザ。パハラヴィ皇帝の強硬な態度には、そのまま受け入れられない何者かがありました。その背後に何者かの強い手が後押ししていることが、明らかに想像されました。

そして、これと時を同じくして、ソビエト政府が英国外務卿ジョン・サイモンの弁明要求に対する回答を巧みに拒絶した事件がありました。 それはソビエトの機関紙イズヴェスチャに「英国外務省はソビエト政府と共産主義インターナショナルとの間に関係が出来上がっているとの資料は、この真偽を問わず収集せよとの指令を英国使臣に発した」との記事が発表されたのに対し、サイモン外務卿が弁明を求めました。これに対してソビエトは言葉巧みに身をかわしました。 

そして、当時イタリアから購入した6隻の軍艦からなる新興ペルシャ(イラン)海軍をペルシャ湾頭に検閲したパハラヴィ皇帝に対し、モスクワから祝電が発せられたことは、何か深い意味がありそうな印象を受けさされたのです。
この印象は、決して単なる印象ではありませんでした。

事実、ペルシャの背後には、ソヴビエトの赤い手が支えていたのです。

 

次の投稿は、「米スタンダード石油とソビエトの天才スパイ・アインホルン」です。

 

 

(参考、 石油の話、今までの投稿)

世界大戦の主原因は石油 トルコ石油(イラク石油会社に改名)と欧米列強
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