米英政府の経済制裁はウクライナ侵略の戦費調達となるエネルギー収入を削る狙いがある=ロイター
【ワシントン=高見浩輔】
米英の両政府は10日、ロシア石油大手のガスプロムネフチとスルグトネフテガスを制裁対象に加えたと発表した。
米政府は制裁逃れに使われていた「影の船団」と呼ばれるタンカー183隻や保険会社も新たに指定。ウクライナ侵略を続けるロシアのエネルギー収入を削る狙いがある。
制裁は米国の政権交代の10日前に公表された。米財務省高官は「制裁をいつ、どのような条件で解除するかはすべて新政権次第」と説明した。
ロシアのエネルギー収入を削減する取り組みは和平交渉で新政権とウクライナの立場を強めるものだと強調した。
英政府によると、2社は合わせて1日100万バレル以上の石油を生産し、価格は足元の水準で年間約230億ドル(3.5兆円)に相当する。
ロイター通信によると、ガスプロムネフチは10日の声明で、すでに制裁に備えており事業継続は可能との見方を示した。
主要7か国(G7)を中心とした西側諸国は国際エネルギー市場の価格高騰を招くロシア産石油の全面禁輸には踏み切らず、ロシア産に上限価格を設けて収入を削る措置を2022年から導入してきた。
米財務省は国際価格が安定したため、追加の制裁を導入できる状況になったと説明した。ロシアは古いタンカーを使うなど制裁逃れを続けてきた。
今後も制裁逃れは続く見通しだが使える船舶が減ればロシアはより多くのコストを支払うことになる。
日経記事2025.1.11より引用