仕事の合間を縫って、奈良県の吉野と和歌山県の高野山、熊野古道に連れて行っていただきました。
今回のゲストは笛奏者の雲龍さん。
雲龍さんがロンドンに公演にいらっしゃった時、いえいえ、もう少し前になりますが、ペンションモーツアルトで夫が雲龍さんのCDを聞いて感心し、オーナーの西岡さんからそのCDをいただいた時からのおつきあいです。
今回は、吉野と高野山の雲龍さんのゆかりのある地で、吹きたいと思った時、思った場所で笛を奏でる旅にご一緒しました。
雲龍さんが笛を取り出す時は、不思議と人払いされるのです。
誰もいないその空間で、静かに大自然と日本の古い歴史に向き合う瞬間。
そしてその音色は、すべてを結び、宇宙に広がっていくような気がします。
時空を超えたエネルギー、魂のようなものを感じる悠久の時。
ピアノの演奏も、本来このような気持ちで向き合うのではないか、
現代のピアノ教育では、あまりにもテクニックや音楽性にとらわれ、「向き合う心」を無くしているのではないかと、ふと思いました。
音楽を学ぶ人すべてに雲龍さんの吹く姿を見てほしい、そこから生まれる音を聞いてほしいと思いました。
天風先生の「盛大な人生」220~222頁を思い出しました。
カリアッパ師「天の声とは声無き声よ(absolute stillness)」
天風「天の声を聞いたらどうなるんです?」
師「何の音も聞こえない、その天の声を聞いた時に、人の命の中の本然(ほんぜん)の力が湧き出るんだ」
まさにそんな境地に至っている雲龍さんの横で、一緒に天空を味わいました。
いつか蓮見さんにも雲龍さんの笛を聞いてもらいないな~