風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

高崎だるまと観音さま index

2017-09-11 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
[2017.8.1]
◆ 渋川 1 ←旅行記へ
 夏休みに入り、群馬の高崎に向かいました。
 通勤ラッシュに当たってしまい、東京を抜けるのにひと苦労。
 お昼は、水澤うどんのなめらかさに舌鼓を打ちました。
  ● prologue ● 東京越えに一苦労 ● 上里SA
  ● スマートIC初体験 ● 五徳山 水澤寺(No.16) ● 名物水澤うどん
  ● 白岩山 長谷寺(No.15) ● 江戸期の狛犬 ● うすさま明王



◆ 高崎 2
 高崎に来たからには、ダルマと大観音を見ずしては帰れません。
 どちらも圧倒的迫力。さらに洞窟にもぐって観音様に会いに行きました。
 帰りは大雨に逢いましたが、見どころの多い一日でした。
  ● 高崎といえば ● こけしのメッセージ ● 群馬八幡駅
  ● だるまのお寺 ● 大観音対決 ● 思いつきで洞窟観音
  ● 徳蔵さんはすごい人 ● 陽気な鬼と閻魔 ● つじうらを引く
  ● 山徳記念館 ● 早目の帰途に ● 大雨の事故
  ● 渋滞を抜けて ● epilogue




高崎だるまと観音さま 2

2017-09-11 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その1からの続きです。

● 高崎といえば

目的だった2つのお寺を訪れたあとの予定は、特に決めていませんでした。
「さて、これからどうしよう?」
「達磨寺に行ってみたいな」とミカンさん。
祈祷してもらったダルマを、家に飾りたいそうです。

たしかに、高崎といえばダルマ。
毎年、年末近くなると、だるまの作成にいそしむ高崎のニュースが流れます。
もちろん異存はありません。参りましょう!

● こけしのメッセージ

途中の道路脇に、こけしが等間隔に立っていました。
(うわっ、どうしてこけし?)と胸がザワつきます。



よく見ると、胴体に文字が書いてあります。
「ゆ・っ・く・り・走・ろ・う」
こけしのインパクトの強さに驚いているうちに、通り過ぎてしまいそう。
ドライバーは、すぐにメッセージに気づくのかしら。

● 群馬八幡駅

小さな駅の前を通りました。
「なんていう駅かな?」
一瞬「郡上八幡駅」かと思いました。
でもあれは岐阜県。そんなはずないわね。
正解は「群馬八幡駅」でした。似てるー。

名前から察するに、そばには八幡宮があるということですね。
大きな鳥居の奥に、立派そうな社殿が見えました。
看板に「上野国一宮八幡宮」と書かれていた気がして、おやっと思います。
日本一ノ宮巡りもしている私。
群馬の一ノ宮、貫前神社は参拝しましたが、ほかにも一ノ宮があるのかしら?

あとで調べてみると「上野国一社八幡宮」だったとわかりました。
群馬八幡に続き、こちらもまぎらわしいな~。
というより、見間違えるのは私の目が悪いせいですね。

● だるまのお寺

目指すだるま寺は、山の方にありました。
川に架かった橋の欄干に、なにか赤いものが見えます。
あれはもしや、リンゴ?



いいえ、ダルマの後姿です。



橋を渡って着いたのは、少林山達磨寺。
略して少林寺、ではありません。
黄檗宗(おうばくしゅう)の、きっちりとした禅宗寺院です。
境内には、凛とした空気が張り詰めていました。

鐘楼。下は通り道になっています。
鐘が「ゴーン」と鳴った時に下にいたら、すごい音響でしょうね。



観音堂。雰囲気があるかやぶき屋根。さらにそこから若草が生えています。
境内には、建築家ブルーノ・タウトが、2年の間過ごした家も残されています。



本堂へ向かうと、なにか赤いものがごそっとうず高く積まれているのが、遠くから見えました。
なんだろうと思って近づいてみると、そこにあったのは、ダルマ!



あふれんばかりの大小さまざまなダルマが、みっちりと詰まっていました。
おびただしい数の、色とりどりのダルマに圧倒されます。



どのダルマにも、両方の目が入っています。
願いが叶った人々がお礼参りに訪れて、奉納しているのでしょう。



大きなダルマには、JRや森永といったメジャーな会社や、地元の野球チームなどの名前が書かれていました。



軒下には、雨宿りをしているトトロのような、大きなダルマがいました。
いろいろなサイズのダルマが飾られていました。みんな白目でちょっと怖いです。
ミカンさんは、小ぶりのダルマをひとつ選び、お坊さんに祈祷をお願いしました。
「では頭をお下げ下さい」とお坊さんが小声で穏やかに言ったかと思うと、突然朗々と響く声でお経を読みだしたので、一緒に頭を下げていた私もビクッとしました。



このお寺では、そうやってダルマに念を込めてくれるんですね。
これでミカンさんの願いも叶うことでしょう。



ピンとした空気の漂う達磨寺の境内に、「だるだる」という名前の甘味処があって、ちょっと脱力しました。
高崎観音は高さ41.8m。大船観音は25mなので、大きさでは高崎に軍配が上がります。
大船は胸像で「本体は地面に埋まっている」という都市伝説もありますが。(あくまで伝説)
どちらの像も優しい感じで、両方好きな巨大仏です。

戦前に造られた高崎の観音様はとにかく目立つため、戦時中は「空襲の標的となる」という理由で、取り壊しが検討されたそうです。
でも、市民からの強い反対で取り壊されずに済んだのだとか。それで、私たちも今こうして見られているわけです。
今も昔も、住民の心の支えなんでしょう。

そばまで行って満足し、また山を下りました。



群馬に来るたびに、この2人のポスターを見かけます。
すっかり群馬代表ですね。

● 思いつきで洞窟観音

ダルマに別れを告げて「次は、こんにゃくパークに行ってみようか」と、下仁田方面へと向かいました。
途中にあった「洞窟観音」の看板に目が留まります。
「今の見た?」
「洞窟観音って書いてたね?」
洞窟の中に観音様がいるんでしょうか?

なんだか気になります。そう遠くなかったので、こんにゃくパークから方向転換して、そちらに行ってみることにしました。
よくわからないまま、中に入ってみると、ひんやりした空気に包まれます。
洞窟の中は常に17度くらいなんだそうです。自然の冷蔵空間。
外のじめじめした空気は一気になくなりました。



これまで入った洞窟は、どこもみんな暗くて、明かりがないと先に進むのも一苦労といったところばかりでした。
ここも真っ暗かと思いましたが、歩くのに問題ない程度の明かりがついています。

少し行くと、御影石の観音像がありました。
通路沿いにいくつも洞があり、その中に観音さまが一体ずつ入っています。
33の姿に変化をすると言われている観音様。
その一つ一つの観音様の像が彫られているようです。


衆宝観音



徳王観音


観音様の御顔は端正で涼しげな美しさ。一つ一つのクオリティがとても高く、見とれます。
周りには誰一人としていません。時折、洞窟のどこかから人の話し声がぼんやりと聞こえてきますが、姿は見えないので、ずいぶん遠いところにいるようです。



完全な異空間ですが、居心地は悪くありません。
ゆっくり進んでいくと、曲がりながらもなお洞窟は先にのびています。



そのうちに大きな洞があり、何体もの観音像が洞にありました。
迫力!
人が銅像の前でくつろぎながら瞑想できるように作られた「瞑想の場」がありました。



冷気が洞窟の奥からやってきます。
涼しくて、避暑にうってつけの場所です。



観音様の周りの石は、浅間山から持ってきた溶岩石だそう。
通路を進んでいくと、途中で通路が左に曲がっていくところがあり、その辺りから雰囲気が変わっていきます。
コンクリートの坑道が素彫りの洞窟に変わり、小さかった通路横の小部屋も急にダイナミックになります。

滝観音。奥に大きな滝を模して削った岩がありました。20mもの高さだそうです。



外に出て来た時には、本当に別世界から戻ってきた感覚。



隣には礼拝堂があり、ろうそくの光が灯っていました。
洞窟の中なので、換気穴がしっかりありました。



● 徳蔵さんはすごい人

ここは、大正時代に呉服で財を成した山田徳蔵という商人が、当時のお金で私財200億円を投じ、88才で亡くなるまで50年間かけてつくりあげた洞窟。
多くの人々が共に楽しめる霊場、楽天地を目指して、ここを作ったそうです。

機械のない時代、人の手でここまで作ったということに、驚き、そして感動します。
徳蔵爺の邸宅の下にはかつての防空壕がありましたが、崩壊の危険があるとかで途中までしか入れませんでした。

総長400mを越えた、十分長い洞窟ですが、「この倍は掘りたかった!」という徳蔵さんのコメントが載っており、彼の無念さが偲ばれます。
とっても見がいがあって、大満足。
おもしろい体験ができました。

● 陽気な鬼と閻魔

敷地は広く、隣には回遊式日本庭園が広がっています。
北関東一のスケールの大きさだそう。



群馬の三波石をはじめ、日本中の巨岩が集められています。
よく計算された配置の名園ですが、ここに、笑い閻魔と笑い鬼の像がありました。
ワッハッハ!明るい気持ちになります。



また、観音像第1号の像もありました。
ビギナーの作品というような荒削りの感じ。
でも十分上手です。私にはとても真似できません。



池にいるのは浦島太郎?一寸法師?
亀の上に乗っているので、浦島太郎の方でしょう。





● つじうらを引く

庭園を散策していると、山田徳蔵さんが「霊力が籠っているとして、祈り奉った」という大きな石がありました。
そのそばに、なぜかおみくじの引き出しも。
おみくじって、お寺や神社で引くものじゃないの?
1番目の引き出しは、通常のおみくじ。
二番目は、英語版のようです。
3番目に、「つじうら」と書いてありました。
つじうら?初めて見ます。
よくわかりませんが、なんだかおもしろそうなので、引いてみることにしました。



気になる結果は…
大吉!
やったあ!
でも、よく読むと「情事ご注意」なんて書いてありました。



「つじうら」とは、かつていた辻占い師のことのようです。
なので、これは神託としての「おみくじ」とは違って、もっと俗世的なことがかかれていました。
「デイト:早目にせよ」とか(笑)。

● 山徳記念館

庭園内には記念館があり、山田徳蔵氏のコレクションが展示されています。



「のらくろ」の作者、北沢楽天氏の作品や日本の歴代首相のイラストなどが飾られていました。
なかなか堪能できた面白い場所。
庭園も美しく、秋には美しい紅葉が楽しめるようです。

● 早目の帰途に

「つじうら」について聞いてみようと、先程の発券所の人のところへ行くと、閉園間際でもう閉まっていました。
さびしーい。



ここは「ぐるたび2016年」で「群馬県の日本庭園注目ランキング」第1位に選ばれたそうです。
しかし、ぐるたびというものがあると、これまで知りませんでした。
なんだか雨足が強くなってきたように感じます。
まだ時間はありますが、変な天気なので、そろそろ帰途に着くことにしました。



高速に乗ると、徐々に雨が強くなり、とうとうものすごい雨になりました。
前を走る車が両脇に水を飛ばし、タイヤの辺りは水しぶきでもうもうと白くなるため、車間距離が曖昧になります。
こわいわ~。



どの車も、一様に減速します。
声を交わさなくてもわかりあっている優しい世界。。。
なんてことを言っている場合ではありません。
かなり危険度が高い場所にいるので、それぞれにできる防災をしているわけです。

● 大雨の事故

大雨の中でも、初めのうちは道路はそれなりに動いていましたが、とうとう渋滞になりました。
道路脇を、埼玉県警の警察カーが走り抜けていきます。
どうやら先の地点で事故が起こった模様。
おそらく大雨の視界不良やスリップしやすさで事故が起きてしまったんでしょう。



ナビを見ると、さっきまで白かった高速道路が、黄色と赤色になっています。
黄色は渋滞、赤色は暴風雨区域とのこと。
いよいよ嵐の中に突入し、ワイパーを高速で動かしても、雨が打ち付けて前が見えません。



「わあ、怖い。こんな時に高速は運転できないわ~」と言うと、
「それでも下の道路よりは全然楽」とミカンさん。
確かに、交差点での事故が起こりやすいですね。
それに人や自転車は死角に入りやすいし、急な動きの予想がつかないからですね。

じりじりと車は進み、いよいよ事故現場の横を通り過ぎました。
青い車が横向きで停まっており、運転席の窓ガラスが割れていました・・・。
どうか、乗っていた人が無事でありますように!

● 渋滞を抜けて

そこを過ぎると、今までの込み具合が嘘のように道路は空き、暴風雨区域からも外れたようで雨も収まってきました。
一斉にびゅんびゅん飛ばしはじめる周りの車の中で、
隣を目立つバスが走っていきました。
武蔵ヒートベアーズという、埼玉県のプロ野球球団でした。





雨も降ったり止んだり。「またいつ大雨になるかわからないので、もうちょっと東京に近くなってから休憩しよう」と言っているうちに、横浜まで来てしまいました。
こういった日は、暗くなるのも早いもの。
この日は誕生日だったため、ケーキをいただきました。





● epilogue

年に一度の誕生日までお寺巡りにあてるなんて、私もすっかり巡礼者…と思いますが、百観音巡りもまた一つ歩が進み、残すところあと5寺になりました。
ゴールが近づいてきたわ~。

一人で行くと、黙々とお参りばかりをして、真面目な修行という意味合いの方が強くなりますが、だれかと一緒だと、道中楽しくおしゃべりができるし、その土地の食べ物や近隣の観光などもできるので、満喫したと気持ちが上がります。
高崎も、ダルマだけではなくいろいろな見どころ、食べどころがありました。
残りのお寺もこれまで通り、ひとつひとつ地道に進んでいこうと思います。


高崎だるまと観音さま 1

2017-09-08 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
● prologue

8月に入りました。
世の中夏休みシーズンだし、私もどこかでリゾート気分を味わおうかな。
と思いながら、またもやお寺巡りに行くことに。

この夏は、集中的にお寺を訪れています。
数年間かけて挑戦中の、百観音巡礼のコンプリートまで、あともうちょっとになってきたからです。
ゴールが見えてきたので、謎の元気が出て、ラストスパートをかけ始めたところ。

今回の目的は、坂東三十三箇所の水澤観音と白岩観音。
坂東巡り仲間のミカンさんと一緒に向かいました。

● 東京越えに一苦労群馬に

高崎駅までなら電車でも行けますが、目的地はそこからさらに距離があるため、車で行きます。
学校は夏休みですが、この日は平日なので、うっかり朝の通勤ラッシュにはまってしまいました。
箱根や伊豆方面に行く時には影響をうけませんが、東京を越えていく時は道路がなかなか動きません。
用賀を越えても渋滞は続きます。高井戸を越えてから、ようやく動き始めました。



● 上里SA

上里SAでいったん休憩。
お土産エリアには、関東近辺のさまざまな食べ物が並んでいます。
見ているうちに、今どこにいるのかわからなくなってきました。



「あれ、ここって何県だっけ?」
「上里=上田の里」のイメージで、長野かと思ったら、埼玉なんですね。
埼玉と言うのは意外でしたが、県境近くにあり、車を走らせるとすぐに群馬に入りました。

● スマートIC初体験

ところで最近は、スマートICという高速の出口があるんですね。
高速を降りる時に知りました。
SAの中にあるようで、SAの奥まで回り込んでみると、本当に建物の裏側にひっそりと出口がありました。



そこを出るとすぐに一般道。
わあ、便利。バリアフリーみたい。(違うけど)
もちろん入り口にもなっています。
運転して高速に入るのがコワい私にとっては、入りやすそうです。

群馬に入ると、山が多いなあと感じます。
見慣れない、ゴツゴツした形の山。
ひとつの山に起伏があるというよりも、たくさんの山が重なり合って見えているんでしょう。



● 五徳山 水澤寺(No.16)

水澤観音と白岩観音、どちらを先に廻ろうかと考えます。
どちらもきれいな名前のイメージ。
「ランチに水澤うどんを食べたいね」というのが決め手になって、先に水澤寺に行くことになりました。



坂東巡り16番目のお寺、水澤寺。
参拝者の鳴らす鐘の音が境内に響きます。



以前榛名山に行く途中にここをお参りし、すでに御朱印もいただいているので、今回は参拝のみ。



古めかしく重々しい雰囲気がよく、また訪れたいお寺でした。



人がすっぽりと入るほど大きな提灯が下がっています。
天井には龍。その両脇には天女。迦陵頻伽(かりょうびんが)かも。



うどんが有名なように、水がとても豊か。
みずみずしい気持ちになります。



以前訪れた時は参拝客でごった返しており、六角経堂の経蔵を回したいなと思っても、長い行列ができていたので、あきらめました。
今回は人が少なかったので、心ゆくまで回すことができました。



● 名物水澤うどん

お寺を参拝した後は、お待ちかねのうどん。
門前町のように数々の水澤うどん店が立ち並んでいる中から、前にミカンさんが入ったという田丸屋に入りました。



1582年創業の老舗。入り口には金屏風のようにあつらえた靴入れがあります。
大きなお店で、中は広々としています。
『千と千尋の神隠し』の湯屋のような贅沢感。


胡麻と醤油の二色つゆの布袋様福膳


私はばらのりうどんを注文。
うどんとは思えないくらいの細麺でした。
しっかりコシがあり、味わっていただきました。
うどんつゆではない、塩味の薄味つゆがシンプルで、麺のおいしさが引き立ちました。


ばらのりうどん


群馬では、ソウルフードの「おっきりこみ」や、「ひもかわ」という薄くてとても太い麺を食べてみたいと思っていましたが、やっぱり水澤まで来たら水澤うどんですね。
「帰りのSAで買えるんじゃない?」
そう、お土産に売っているものよりも、その場所で食べるべきものを優先しましょう。

水澤うどん、本当においしいです。
久しぶりに大きく感激したうどんでした。

● 白岩山 長谷寺(No.15)

ゆっくりしていたら、もう午後になりましたが、まだ一つしかお寺を訪れていません。
「じゃあ、次は白岩観音ね」
連日の猛暑が一段落した、曇りの動きやすい日でしたが、車に乗っている間も雨がポツポツと降ったり止んだりしています。

渋川から高崎方面に戻りましたが、その間にほかの車と一台もすれ違わず、スイスイと次のお寺へ到着しました。
ここが坂東巡り15番目のお寺、長谷寺(ちょうこくじ)。



それほど大きな境内ではありませんが、ちょっと独特な形の赤い仁王門がありました。
横に小窓がついており、開けられるようになっています。
なんのため?撮影用?

全体的に網がかかっているので、うまく撮れないという撮影者の気持ちを汲んで作ってくれたのかもしれません。
そんなわけで、ドアを開けて迫力のある赤い仁王さまをパチリ。



仁王門の先には、こちらも赤い観音堂がありました。
全体的に赤く、どこか異国情緒の漂うお寺です。



● 江戸期の狛犬

ここはお寺ですが、狛犬が護っていました。
しかも古い型だったので、喜んでじっくり観察。
江戸時代に作られたもので、ところどころ補強されていました。
(白くなっている部分です)





御朱印をいただきながら住職に狛犬のことを伺うと、「あれは新しいですよ。百五十年くらい前のもののようですから」と言われました。
それで新しいなんて、時代の流れが悠久だわ~。

● うすさま明王



このお寺にはトイレとシモの神さま、烏枢沙摩(うすさま)明王像もあり、御影とお守りも配布しています。
歌だと「それはそれはきれいな女神さま~」なんですが、お寺でときどき出会ううすさまは、こわい顔をした男の明王。
う~ん、何かが違うわ。
ところが、境内のトイレはシャッターが下りて、使えないようになっていました。
実際のうすさま明王はシャッターの奥に閉じ込められてる~。
おそらく普段は閉まっていて、お寺の祭りのときなどにのみ、開けられるのでしょう。

ちなみにこのお寺には、脳天龍王も祀られています。
こちらは、うすさまとは逆に、首から上を司る神様です。

湿気が上がって、とても蒸し暑くなってきました。
参拝を終えて車に戻り、走り出すと、じきにザーッとスコールのような雨が降り出しました。

その2に続きます。


茨城4市のお寺巡り index

2017-09-06 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
[2017.7.23]
◆ つくば 1 ←旅行記へ
 茨城にある4つのお寺を巡りに行きました。
 快適なドライブでしたが、目的地に近づくにつれて不穏な空模様に。
 お寺が忽然と消えていたり、雨の中を雨乞いのお寺に行ったりしました。
  ● prologue ● 無理せぬ出発 ● 東京を抜けて
  ● 筑波の大御堂 ● ランチタイムあり ● 消えた本堂
  ● 驚きの現状 ● 雨の雨引観音 ● 山門のゾウかバク
  ● もぐら叩き・キングキドラ ● そうだ 茨城、行こう



◆ 笠間 2
 訪れたお寺には、動物がいっぱいいてにぎやかでした。
 笠間の名物ってなんでしょうね?わからないままランチにします。
 雨は降ったりやんだり。帰りには雲間からちらっと虹が見えました。
  ● バッタ、ニワトリ、クジャクにコイ ● 小さな力持ち ● 謎の観音様
  ● 笠間の名物は ● ランチタイム ● 笠間の正福寺 ● 巡礼者トーク
  ● 土浦の清瀧寺 ● のぶ代さん千社札 ● 車と電車バス
  ● 雲からちょっと虹 ● 普通車のホンダビート ● epilogue





茨城4市のお寺巡り 2

2017-09-06 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その1からの続きです。 

お寺や神社といったら、日常の喧騒から離れて静かな時が流れている、落ち着いた場所。
でも雨引観音にはたくさんの動物がいて、なかなかにぎやかでした。

● バッタ、ニワトリ、クジャクにコイ

まず見つけたのは、本殿の金の宝珠に停まっていた大きなバッタ。
そばにいた赤ちゃんが、ママの腕の中から身を乗り出して、興味津々でのぞきこんでいました。
将来は虫好きになるんでしょう。



突然、多宝塔の方から「コケーコッコー!」と高らかな鳴き声が響き渡りました。
きょろきょろすると、ニワトリがテントの上に飛び乗って、時を告げていました。
お寺にニワトリがいるの?しかも、放し飼いになっているの?



気が付くと、境内にはその一羽だけでなく、何羽もニワトリがいました。
山の斜面のところにたむろしています。ニワトリって傾斜が好きなんでしょうか。
トサカ持ちばかりで、みんなオスでした。
男子会をしているみたい!



ニワトリのグループに驚きながら歩いていると、今度はクジャクに出会いました。
放し飼いされていたので、びっくり。
お寺にクジャクって、あまりイメージが湧きませんが、これはインドクジャクで、仏教はインドから来たから、ルーツが同じでイイということかしら。
それにしても賑やかで華やかなお寺です。



こちらもオス。まさかとは思うけれど、かつてお寺が女人禁制だったから?



クジャクは、私たちに目もくれずに一心に羽づくろいをしていましたが、私たちが「きれい~」とため息交じりに言うと、そのたびに顔をあげてこちらを見ました。



2人で思わず吹きます。
「絶対自分のことだってわかってるね!」「言われ慣れてる!」



人にも慣れていて、近寄っても逃げませんでした。



池には金色の鯉がたくさん。カモよりも大きいサイズに育っています。
カモが小さいのではありません。



● 小さな力持ち

本堂前で「あっ!」と香炉に駆け寄って、しゃがみこみました。



突然の行動にミライさんは驚いたかもしれませんが、私が見つけたのは、香炉を支えるこの人たちです。
邪鬼でしょうか、力士でしょうか?



一人は、つま先立ちして支えていますね。芸が細かいわー。

● 謎の観音様

境内にある格納庫のような建物の軒下に、観音様の胴像が立っているのが気になりました。



なぜ外に置いてあるんでしょう。
中に入れ忘れたわけじゃないでしょうし…。
なにも説明がありませんが、よく見ると、観音像の足元に「延命観世音前立為」と書かれていました。
なるほど、この建物の中には、延命観世音さまの像があり、これはそのお前立なんですね。



本堂の横にある建物なので、本堂にあがった時に、横から見られました。
なんと、観音像はレールの上に立っていました。



なるほど、いつも真正面にあったら、扉を開ける時に邪魔なので、可動式にしてずらせるようになっているんですね。
便利なカラクリがわかりました。

見どころがいろいろある楽しいお寺でした。坂東観音巡りの巡礼者だけでなく、観光気分で家族でやってくるのもわかります。
女性の方にとても流麗な字で御朱印を書いていただき、見てうっとりしました。


境内からの眺望


お寺は結構な山の上にあり、緑が続くいい見晴らしが望めました。

● 笠間の名物は

お寺を出て、次は笠間に向かいました。
JRでは、2駅分隣になります。



途中で、何かの行列を見かけました。
提灯を持った大人が交通整理をしています。
おそろいの青いはっぴを着た、子供みこしでした。



時間は2時近く。そろそろお昼にしないと、タイミングを逃してしまいそうです。
事前に、母に「笠間で有名なものと言ったら、なに?」と聞いたら「笠間稲荷」と言われました。
「じゃなくって、食べ物とかで」
「うーん、特にわからないわ。笠間稲荷しか」
「ほかにはないの?」
「秋には菊祭りが有名よ」
「・・・」

きっと母が知らないだけだろうと思って、笠間の特産を調べてみたら「笠間焼」と出ました。
・・・じゃなくて、食べ物~!
結局、見つけられませんでした。

● ランチタイム

その話をミライさんにしたら「うーん、じゃあ蕎麦かなあ」
そこで手打ちそば屋の「そば処のざわ」に入りました。



ミライさんは、お店お勧めの美明豚の肉汁つけ、私は鴨南蛮盛り。
美明豚(びめいとん)とは行方産の良質のSPF豚肉です。



鴨南蛮は好きですが、盛りそばと一緒に食べたことがなかったので、新鮮でした。
ふぞろいの手打ちそばは、やっぱりおいしいです。
お互い、手打ちそば体験をしたことがあると判明。
「力がいって大変だった~」「腕がつった~」と言い合いました。

● 笠間の正福寺

さて、ランチを済ませて、お次は笠間のお寺へ向かいます。



道路にかかる大きな鳥居をくぐって、笠間稲荷の神域に入りました。
ここは日本三大稲荷の一つで、大きな門前町ができています。
でも今回の目的は、お稲荷さんではなく、その傍にあるお寺。車中からの参拝となりました。



鳥居の横には、ワイヤーで作られた大きなお狐さんがいました。
なんだかアートだわ。トリエンナーレの作品にありそう。



次に向かう坂東23番目の正福寺は、笠間稲荷の陰にひっそりとたたずんでいるお寺。
車を停めて、またもや石段を上っていきました。



小さめのお堂で、辺りはとても静か。
数名の参拝者は、みんな坂東の巡礼者で、御朱印を待つ列ができました。



● 巡礼者トーク

ご年配夫婦の番になり、旦那さんが住職に「坂東を周ってるんだけど、周り終えたらなにか証明してもらえるのかな」と聞きました。
ただ、うまく伝わらなかったようで、おじさんはいろいろ説明してみます。
すると、私たちの前にいた別のおじさんが「御礼参りもあるからね」と言いました。
「善光寺と北向観音にも行かないと」

「この前善光寺には行ったけど、北向観音には行かなかったわ」とおじさんの奥さん。
話がそれかけたので、私が「坂東33所を巡った証明は、最後の那古寺でいただけますよ。ちょっとお金がかかりますが」と言いました。
すると、住職が席を立って奥に行き、戻ってきて「うちでもこういうのを出していますよ」とサンプルを見せてくれました。
質問したおじさんは、「おお~」と見入ります。

「いやね、この前善光寺でその証明をもらおうとしたんだけど、そばにいた人が百観音を巡ったと聞いたら、頼む気無くしちゃって…」
黙り込んだ私の横で、ミライさんが「この人、百観音巡ってるんですよ」と言いました。
キャー、流れ的に黙っておこうと思ったら~。
時すでに遅し、そばにいたみんなが一斉に私を見ます。
おじさんが(この小娘が?)という当惑の表情で「百・・・?」とつぶやいたので、慌てて「まだ途中なんですよ。もう大変で」と言いました。

まあそれで逆に会話は進み、「私らは十数年かけて周ったんですよ」「この前やっと、一番遠い小田原の方まで行ってきた」という話を聞きました。
そうか、ここは茨城。この辺りの人たちからすると、小田原はとっても遠い場所なんですね。
神奈川県民の私にしてみれば、こちらに来る方がずっと遠いんですが。

おじさんが今回聞いたのは「坂東のお寺もいろいろあることだし、せっかくなので自分が好きなお寺から証明書をもらいたい。このお寺で出してもらえるのなら、それがほしい」という気持ちからのようでした。

このお寺でも発行してもらえるとわかった二人は、「ありがとう!」とスッキリした表情。
「これからもお互いがんばりましょう」と言い合って、お別れしました。

順番の最後になった私たちが御朱印をいただき、石段を下りて車道に着いたところで、プップーとクラクションが鳴りました。
そちらを見ると、先程のご夫婦が車の中から手を振ってくれていました。
2人とも振りかえします。「お元気で~!」

● 土浦の清瀧寺

さて、このエリアには、もう一つお寺があります。
土浦市の26番、清瀧寺です。
「ここも行けそうなら行っていい?」とミライさん。
「もちろん!」と言いながら、私は以前このお寺を訪れた時のことを、思い出していました。

その時は、この日最初に訪れたつくばの大御堂からバスで土浦の方まで来て、そこからコミュニティバスに乗り換える予定でした。
ただ、その年からコミュニティバスが無くなっており、タクシーも通らないため、お寺まで1時間の距離を歩くことになったのでした。
初めからわかっていたら、まだ覚悟もしていましたが、その場で知ったため、落胆で足取りが重く、郊外すぎて、ほかに歩いている人もいません。
工場やお店もぽつぽつとしかないため、コンビニを見かけるたびに、お寺の場所を聞いてみました。

ただ、地元の人にもほとんど知られていないお寺で、かなり不安な思いをしながら、なんとかたどり着いたお寺。
お寺の人に帰り方を聞いても、やっぱり歩くしかないとのことで、結局同じ道をまた1時間かけて戻ったのでした。
あれは心身きつかったわ~。
思い出して、ちょっとしびれます。

「そんなハードな思い出のところにまた連れて行くなんて、申し訳ない」
「いいえ、こっちも記憶の塗り替えをしたいところだから」

ただ、なんということでしょう。車だとスーッと、あっさり着いちゃいました。
ええ、もう、サーッと。
遠くから「あの山のふもと辺り」と言いましたが、気がつけばもうお寺の駐車場に到着していました。


仁王門・表


車って、なんて楽なのかしら~!
前回の西国巡礼の観音立寺でも思いましたが、車と公共機関で巡る人とでは、体感するハードさがかなり違います。


仁王門・裏


まあ、そんなわけで、今回は大変な思いもせずに到着できました。
ほかに境内に参拝者はおらず、私たちだけ。



山の中の静かな場所なので、鐘を鳴らします。
重々しい音が朗々と響き渡りました。



ここはかなり渋い場所で、巡礼以外の目的で来る人はあまりいなさそう。
それでも、坂東の札所になっているので、参拝者が切れることはないでしょう。



境内には、前に見た時と同様に、古い狛犬さんたちがいました。
引退狛犬ホームみたい。



● のぶ代さん千社札

先日、鎌倉にある2番札所の岩殿寺まで自転車で出かけたというミライさんに「大山のぶ代の千社札、見つけた?」と聞きましたが、「NO」とのことでした。
たしかこのお寺にもあったはず…。
探し出して、ミライさんに教えてあげます。



「坂東のお寺では、時々見つけるのよ」
彼女も巡礼していたのかもしれません。
長い間、ドラえもんの声で子供たちを幸せにしてきたのぶ代さん。彼女も幸せになりますように。

● 車と電車バス

参拝を終えると、時間は16:45。
通常、お寺は17時に閉まるので、頃合いもピッタリです。

この日は4つのお寺を参拝しました。
なんて効率がよかったんでしょう。
やはり車は違うわ・・・ (´;ω;`)ブワッ

でもミライさん、「お寺の寺務所に『車で巡る坂東三十三観音巡礼』という本がよくあるけれど、それは買わないでおこうと思ってるんだ」と、ポリシーはあるようです。
自転車巡礼もしている人なので、大丈夫。

さて、あとは帰途に着くことにします。
目的を済ませたあとは、急ぐ旅ではないので、のんびり。

と思いましたが、とつぜん道路が混んで、じりじり動かなくなりました。
高速情報から、常磐道で事故が起こり、通行止めになったと知ります。
それで車が普通道路に降りてきて、混んでいるのでしょう。

様子を見てみても、ずっと混雑は続きそうなので、コースアウトして別のルートを取ることにしました。
そのうちスムーズに動くようになったので「今のうちに常磐道を抜けよう」と先を急ぎ、帰りは休憩なしで横浜まで着きました。



● 雲からちょっと虹

茨城にいる間はずっと、小雨が降ったりやんだりしていましたが、東京に入るとピタッと雨は止みました。
雨引観音の雨を降らせるパワーだったのかしら。
東京は、今年は雨不足問題は大丈夫かしら。



雲の隙間から、ほんのちょっとだけ虹が見えました。
おお、レインボー!

● 普通車のホンダビート

信号待ちの時に、ふと目の前の車に目が留まりました。
ミライさんの車に比べて、ずいぶん車幅が違います。
とても小さくて、まるで軽みたい。
「前の車、小さそうだけれど、あれでも軽じゃないのね」
そう言うと「あれはホンダのビート。もともとは軽だね」と教えてもらいます。



「ビートって軽?」「そう」
「それを、軽じゃなくしたの?」「そう」
よくわからずに黙り込むと「普通車用のエンジンに変えて、馬力を上げたので、ナンバープレートも換えたってことだね」と説明してくれます。
「へえ、そういうことって、できるのね~」
「できるけど、普通はあんまりしないね。いろいろ大変だし」
手間もお金もかかるようです。
「それでもビートを普通車にしたってことは、これはもう、持ち主の愛なのね」
「そうだねー」

ビートなら、確かにファンが多そう。エンジンを変えると乗るのも楽になりますしね。
初めて見た、バージョンアップ版。
青信号になったら、パワフルになったビートは一気に加速度をあげて走っていきました。

● epilogue

猛暑が続く暑い夏でしたが、珍しく曇りで動きやすかったこの日。
お互い、前の旅の疲れが多少身体に残っており、あまり外出向きではありませんでしたが、ドライブは快適で、長時間でもこたえることはありませんでした。



今回は、茨城県内のつくば市・桜川市・笠間市・土浦市にある4つのお寺を訪れました。
新しいお寺2つに、かつて詣でたお寺2つ。地図の青い星のところです。
再訪したお寺の一つは、以前あったお堂が忽然と消えてプレハブになっていたことにビックリ。
もう一つは、ものすごくアクセスが大変でしたが、車で行くとスムーズだったことにビックリ。
でも何より驚いたのは、ミライさんが新車を買い換えて、違う色の車でやってきたことでした!

これで94/100観音。坂東のお寺巡りは、残すところあと2つ。
ようやく、ゴールが見えて来たようです。