風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

茨城4市のお寺巡り 1

2017-09-05 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
● prologue

ただいま、日本百観音巡礼中の私。
一週間前は関西地方のお寺を巡り、そして今回は関東のお寺に向かいます。
鎌倉の観音巡礼を済ませて坂東巡りを始めたミライさんと一緒に行きました。

この日までに92寺を回り、いよいよカウントダウンに入ってきています。
軽い気持ちで始めたのですが、なかなか大変な思いをしています。
それでもひとつひとつ周り続けて、坂東のお寺は残すところあと4つとなりました。



前回、八溝山の日輪寺を攻略したことで、ようやく峠を越えた気がします。
ここまでが長かった…。
今回は、笠間近辺のお寺を4つ、訪れる予定です。

● 無理せぬ出発

ミライさんとの待ち合わせ場所には、違う色の車が停まっていました。
(おや?)と思いましたが、運転席には本人がいました。
前の車もピカピカで新車同様だったので、車を変えたと聞いてビックリ。

数日前まで高山旅行に出かけており、毎日歩きづめだったというミライさん。
私も同じ頃に数日間西国観音巡りをして、かなり体力を使いました。
お互い、猛暑の中を動き回った疲労がまだ残っているため、無理はしないことにして、9時くらいに出発。

連日30度越えの猛暑日が続いていますが、この日は珍しく曇り。
太陽がギラギラ照りつける日ではなかったので、ちょっと安心。これなら動きやすそうです。


Apple YTC(アップル研究所)が入るサスティナブル・スマートタウン


中原街道を東京方面へと向かい、途中から高速入りしました。
そんなに早い出発ではありませんでしたが、道路は混んでいません。
夏休みに入ったので、混雑状況が気になりましたが、大丈夫そうです。

● 東京を抜けて



高速から眺める東京タワー、スカイツリー、アサヒビールビル。



メトロポリスをあっという間に通り抜けて、常磐道に入りました。
隅田川で、ボート遊びをする人たちが見えました。
夏休みが始まったのね~。



かなり走ってから「ところでこれからどこに行くんだっけ?」と聞かれました。
「笠間の方」と言うと、「行先・茨城県笠間市」と滑舌よく喋るミライさん。
(?)と思っていると、ナビの液晶に「茨城県笠間市」と文字が浮かび上がり、そこまでのルートが表示されました。

わー、言葉を理解するなんて、Siriみたい。今は車にも、音声認識機能がついたんですね。
いろいろな形のバイクがたくさん走っていきます。



途中、新しい守谷SAで休憩しました。
『ロード・オブ・ザ・リング』好きというミライさんに、
「守谷と聞くと『旅の仲間』編のモリアのシーンを思い出しません?」などと話しながら。

● 筑波の大御堂

そうしてつくばまでやってきました。



区画整備された学園都市。近未来的です。
ちょうど秋葉原からのつくばエクスプレスが到着したところ。



筑波山の中腹には、大御堂(おおみどう)という、坂東の25番目のお寺があります。
「ここまで来たなら、つくばのお寺にも寄っていい?」
「もちろん!」
私はすでに参拝済みですが、ミライさんはまだ。
いい古刹なので、もう一度訪れるのもまた楽しみです。

なんだか次第に空が暗く、雲が厚くなってきました。
筑波山も、上の方が隠れて見えなくなっています。
雨になりそうだと思ったら、じきにポツポツ降ってきました。



この辺りには以前2度訪れて、筑波山登山と筑波神社奥の院、そして筑波神社本殿と大御堂を巡りました。
今回は先があるため、神社には寄らず、大御堂のみを訪れます。
駐車場はあちらこちらにありますが、かつての記憶をたどってお寺のそばに停めようと、敷地前まで行きました。

● ランチタイムあり

実はこのお寺、以前訪れた時にはお昼休みが1時間ありました。
そのタイミングにちょうどかち当たってしまい、近くのレストハウスでランチを食べながら開くのを待っていたことを思い出します。
今は11:45。お昼休みの開始まであと15分。
でも、お寺の真ん前まで来たから、今回は時間的に余裕のはず。

● 消えた本堂

しかし、どういうわけか、お寺がありません。
かつてあった場所から、忽然と消えています。
ブルドーザーがその場にいるため、幻ではないことがわかります。



それにしても、本堂は一体どこへ行ってしまったのでしょう。(以前訪れた大御堂
周りを見回しても、それらしいものはありません。
また、教えてくれる地図や表示もまったくありません。

今回が初めてのミライさんは、そんな状況だということを知りません。
あらいざらい伝えて、不安にさせるのもなんなので、一人で難しい顔をして辺りを見回します。
うーん、15分の猶予時間で、間に合うかしら。



と、その時、石段の下から作務衣姿の女性が出てきました。
「坂東巡りですか?」と聞かれたので「はい」と答えます。
「ではこちらまで降りてきてください」と手招きされました。

その人が出てきたのは、四角いプレハブ。
え?お寺はどこに行ったの?
降りてみたら、そのプレハブは、お寺の仮本堂になっていました。

● 驚きの現状



プレハブになっていたなんて、思いもよらないことでした。
招かれるがままに、ぐるっと回りこんでサッシのドアを開けると、小さなスペースが本殿の代わりになっていました。
所狭しと祭壇が置かれていましたが、ご本尊の観音様は、紙の写真。
うーん、こういうのは初めてだわ。



納経札を書き、めいめい箱に入れます。
隣の小部屋が寺務所になっており、女性のお坊さんが姿を現しました。

以前、私が御朱印を書いてもらったのと同じ方でした。
さらに、以前のおつきの人も女性だったことを思い出します。
実は尼寺なのかしら?

「2020年に再興されます」と教えていただき「また参ります」と言ってあとにしました。
その間に15分は過ぎていたので、どうやらお昼休みはなくなったようです。



ルート途中にあるからと、急きょ立ち寄りを決めたお寺なので、事前に何も調べていなかったのですが。
本堂と寺務所が忽然と消えていたのには、本当に驚きました。

「どこか残して改修するというのなら、よく聞く話だけど」
「でもいっそ、全部取り壊して一から作り直す方がいい場合もあるからね」

神社やお寺は昔からずっとあって、今後もずっとあるという「変わらない」イメージがありますからね。
ああ、ビックリした。



今回は寄りませんでしたが、筑波山の上には筑波神社があります。
その大鳥居をくぐります。



ここを訪れるたびにいつも目がいく、いしはま食堂の看板。
宇宙を飛ぶスペースシップがつくばらしいです。



● 雨の雨引観音

さて、筑波を離れて、桜川市にある24番の楽法寺に移動しました。
雨引観音とも呼ばれているところです。



気が付けば、再びぽつぽつと雨が降っています。
雨引観音に行っても、これ以上雨を引かない方がいいかしら。
でもこの夏は、関東はちょっと雨不足なので、降った方がいいのかしら~。
あれこれと考えているうちに到着しました。

今回、車に乗せてもらったので、お寺の駐車場までスムーズにやって来れましたが、近くには電車の駅も、バス停さえも見当たりません。
今までのように自力で電車とバスだけで来ようとしたら、結構たどり着くのが大変な場所なんじゃないかと思います。

あとで調べたら、やっぱり水戸線岩瀬駅から徒歩で1時間かかるとのことでした。
大変だったのね~。



駐車場に止まっている車は多く、境内には結構な人たちがいるようです。
まずは長い石段がありました。お互い旅先で石段や木の階段を上りつくしたところで、まだちょっと足はだるいのですが、そうも言っていられません。
「う、脚の後ろに響く!」「大臀筋が!」
とか言いながら、普段よりもゆっくりと登っていきました。



● 山門のゾウかバク



朱色に塗られた山門には、立派な彫刻が施されています。



そして天井には、火伏の龍の絵が。



「これ、なんだろう?」とミライさん。
「象じゃない?」と私。
日光東照宮にあるのと同じような、想像の象でしょう。(あるいはバクかな?)



山門をくぐり、龍の手水舎で手を清めます。





境内にはまだアジサイの花が残っていて、浴衣姿で撮影をしている人もいました。

● もぐら叩き・キングキドラ

石段を上り終えると、そこには大きなお堂がありました。
赤と黒のコントラストが緑に映えています。



賽銭箱がとても高い場所にあり、ミライさんは下から投げ入れました。
私は、箱の横にある小さな階段を上って、手を伸ばして入れました。



屋根からは、たくさんの龍が顔を出していました。
「もぐら叩きみたい」という私に、「キングキドラでしょう」というミライ。
お互いの感性の違い?



はめ込まれた彫刻も、どれも生き生きとして精巧なものでした。





● そうだ 茨城、行こう

本堂に上がってみました。ミシミシいう木の廊下がひんやりと気持ちいいです。
薄暗い本堂の中には、何人もの人が座っていました。
周りをぐるりと一周。



チリーン、と鈴の音がして、お坊さんが3人、多宝塔の廊下を歩いていきました。
ポスターに使えそう。


そうだ 茨城、行こう。


その2に続きます。


山の上のお寺と海の傍の神社 index

2017-07-28 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
[2017.6.4]
◆ 八溝山 1 ←旅行記へ
 3県にまたがる山の上にある、お寺巡りの難所に出かけてきました。
 南から北に茨城を縦断して、福島との県境へ。
 それは大変なアトランティスルートでした。
  ● prologue ● 特急ひたちで現地集合 ● 勝田駅からドライブ
  ● 新旧、道の駅 ● ここは福島 ● いよいよ難所越え
  ● 一本道でも迷う道 ● 頂上過ぎて日輪寺 ● 山の上のお寺
  ● 日輪寺について ● 広がる見晴らし ● 名水の里
  ● タクシー巡礼 ● 下界に帰還



◆ 大洗 2
 下山して、風味たっぷりの鮎の天ざる蕎麦を食べました。
 二つ目のお寺には、ぎりぎりすべりこみセーフ。
 日暮れ時に、海辺の神社で夕焼けを見て、帰途につきました。
  ● 奥久慈蕎麦 ● 鮎の天ざる ● 注文後に打つ蕎麦
  ● 観光地をスルー ● 佐竹寺 ● お寺の中ではお寺のルール
  ● 日立のエレベーター塔 ● 大洗磯崎神社 ● 海からの参道
  ● ふんばる狛犬くん ● 海辺の鳥居 ● お互い聖地巡礼中
  ● メヒコ発見 ● それぞれの帰り道 ● epilogue





山の上のお寺と海の傍の神社 2

2017-07-28 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その1からの続きです。

● 奥久慈蕎麦

八溝山を無事に下山したら、安心して急におなかが空いてきました。
気が付けば、もうお昼も過ぎた頃。
そこで「打ちたてそば処 待月(まちつき)」に向かいました。



お昼しか開いていないお店に、14時少し前に着いたので、(まだ大丈夫かな)とドキドキしながら扉を開けます。
土日は15時まで営業中でした。
「ああ、よかった~」と口々に言いながら、中に入ります。



平屋の古民家を改築したお店。靴を脱いで座敷に上がりました。

● 鮎の天ざる

「ふう」と一息つく私たちに、「まずはご注文を伺いますねー」とお店のおかみさん。
「は、はい」とメニューを開けながらも、壁に貼ってあった「鮎天ざる」の字が気になります。



「私、あそこに書いてる鮎天ざるの蕎麦にしようかな」
「あ、私も気になってたんだ」
結局3人とも、それにしました。

このお店は、注文を受けてから蕎麦を打つそうです。
それで、すぐにオーダーを聞かれたんですね。
おなかペコペコだし、楽しみ~。

古民家のおちついた空間でくつろぎながら、しばし待ちました。
お店の横を、八溝山に水源を持つ清流、久慈川が流れていました。

● 注文後に打つ蕎麦

「お待たせしました」



やってきました~。うわあ、おいしそう!
そしてすごい量です。


打ちたてほやほや!


手切りの不揃いな蕎麦に嬉しくなります。
ほのかに香る麺。コシはありすぎず、優しい食べやすさです。


揚げたてほやほや!


どれもサックサクです。食べると、シャクシャクと軽やかな音がしました。
野菜はどれもちゃんと味があって、新鮮。地元で採れたものなんでしょう。

メインの鮎は、籠の一番奥にありました。
思ったよりもビッグです。
そういえば、これまで塩焼きで食べることが多く、天ぷらは初めて。
衣の分、一回り大きくなっているんですね。

天ぷらはどれもおいしく、悔いを残さないように全部いただきました。
とってもボリュームがあって、おなかははちきれんばかりにパンパン。
奥久慈の食材の美味しさを堪能できました。

● 観光地をスルー

お店を出たのは、閉店ぎりぎりの15時。
満腹で動けませんが、もう一つお寺に行きたいので、あまりのんびりはしていられません。
奥久慈から一路、常陸太田に向かいました。

途中には、日本三大名瀑の袋田の滝や龍神大吊り橋といった有名な見どころポイントがいくつかありますが、今回優先するのはお寺。
ぎゅっと目をつぶって、楽しいところを通り過ぎます!



鉄橋がありました。この辺りを通っているのは、茨城の水戸と福島の郡山を結ぶ水郡線。
奥久慈清流ラインと言われているそうですから、久慈川沿いにきれいな景色が見られるんでしょうね。



山は山で美しく、平地は平地できれい。
自然って素晴らしいです。
この辺りは見渡す限り、高い建物はありません。

● 坂東三十三観音霊場二十二番札所 佐竹寺

佐竹寺に到着したのは、16時40分過ぎ。
「17時には間に合ったけど…」と言いながら、急ぎ足で仁王門をくぐり、境内に入りました。
金の日の丸の扇が飾られている、立派な門です。



門をくぐってまっすぐ奥にある本堂も、また立派なものでした。
かやぶき屋根に温かみを感じます。
狛犬は山犬でした。



● お寺の中ではお寺のルール

でも、納経小屋は閑散としており、人の気配がありません。
誰も中にいないのかな、とそばまで行ってみました。
「4時半まで」と書いた札が下がっていました・・・。

「えー、そんなあ」「5時じゃなかったなんて」
がっくりと肩を落とす私たち。
ここまで来て・・・たった10分遅れで・・・orz



でもお寺の中は、お寺ルール。
たとえ1分でも、時間が過ぎたら受け付けてもらえなかったりします。
それでも修行の身である以上、文句は言えません。人生はキビシイのです。

でも今回は、私たちの気配が聞こえたのか、奥の庫裏からお寺の奥様が現れて「どうぞ」と言っていただきました。
庫裏に行き、恐縮しながら、御朱印をいただきました。
わあ、ありがとうございます~。人生はバラ色だわ!



ここは千葉の名門佐竹氏18代の佐竹義昭が、佐竹城(太田城)の鬼門除けとして庇護したお寺。
古めかしい境内には、何匹もの猫がいて、のびのびとくつろぐ様子に癒されました。

● 日立のエレベーター塔

それから、朝に集合した勝田の町へと向かいました。
行きの時から気になっていた建物がまた見えたので、聞いてみます。
「あのまっすぐ伸びているタワーみたいなの、なに?」



この辺出身のアコリンが教えてくれました。
「あれは、日立のエレベーター試験塔」
G1(ジーワン)TOWERといって、エレベーターの研究や開発に使っているそうです。

「以前は、横にある紅白の方だったんだ」
確かに、もう一つ背が高いタワーがあると思っていましたが、どちらもエレベーター試験塔だったとは。
白い現役のタワーは213.5mで、先代は90m。
ずいぶん高さが違うと思ったら、新しいG1TOWERは世界一高いエレベーター研究塔なんだそうです。

こんなところに世界一が!
G1TOWERといい、牛久大仏といい、茨城には世界一の建築物が多いのかもしれませんね。
龍神大吊り橋もなかなかの迫力ですし。

私が「ああ、あの上から下をのぞいてみたいな」とため息交じりに言ったら、「え~!」と声が上がりました。
2人とも高所恐怖症だそうです。あらもったいない。



車はそのまま、海の方へと向かいます。
久慈川流域からはもう離れ、この辺りを流れる川は、那珂川に代わっています。
大橋から見える空から、そろそろ夕方にさしかかっていることがわかります。

● 大洗磯崎神社

着いた先は、大洗磯崎神社。
前々から訪れたいと思っていた場所です。



本殿横に、今年の干支、酉の大きな絵馬がありました。
その横にあるのは、ガルパン(ガールス・パンツァー)の大絵馬。



迫力に圧倒されますが、以前『らき☆すた』の聖地として盛り上がる鷲宮神社(埼玉)を参拝したので、もう驚きません。
大洗はガルパンの聖地ですからね。

● 海からの参道

本殿の楼門から、白い鳥居が見えます。
更にその向こうに、まっすぐ海が臨めます。



参道を戻り、小さな白い鳥居のところで振り返りました。
楼門の奥に本殿が見えます。
備前焼の狛犬が護っていました。



● ふんばる狛犬くん

小さな白い鳥居から、海に続く石段を下りて行きます。
下まで降りてから、海沿いの大きな白い鳥居の下まで行きました。



大鳥居の下で、神社を振り返りました。
降りてきたばかりの迫力のある石段が見えます。



石段を降りたところにいる狛犬は、とっても大変そう。
参拝者たちが、海岸で拾った石を乗っけているようです。


(うう、重い・・・)



がんばれ、狛犬くんたち!


海岸の石は平たいものが多いから、乗っけやすいんでしょうね。
もうほとんど石と同化していました。

● 海辺の鳥居

ここが、私たちが訪れたかった、海辺の神磯の鳥居。
美しい光景です。


風と波の音しか聞こえません。




ここは日の出が望める太平洋岸。
そのため、お日様は海に沈みません。
それでもほんのり美しい夕焼けが広がります。


そばにいる友の声さえ、かき消されて遠くなります



しばらく自然の音に耳を傾けていました



風と波の音しかしない、静かなひと時でした。


● お互い聖地巡礼中

駐車場には、ガルパンの車が停まっていました。
聖地巡礼中ですね。



私たちも巡礼中ですが、お互いちょっと、聖地の意味が違うんですよね~。
スタイリッシュなデザインでした。

● メヒコ発見

帰り道の道路沿いに、メヒコを発見!
「あ、メヒコ!」と反応する私。
茨城近辺で展開しているシーフードレストランで、茨城に住んでいた幼稚園時の頃に入っていました。



ここのカニピラフ、食べたいな~。
でも昼の天ぷらで、まだおなかいっぱいです。


美しい夕焼け。この日は一日いい天気でした。


● それぞれの帰り道

勝田駅に戻ったのは、19時過ぎ。
レンタカー屋の受付の人と整備の人、それぞれに「八溝山はどうでしたか?」と聞かれました。
借りた時はピカピカだった白いデミオも、胸突き八丁の山登りをしたので、かなり土埃をかぶったことでしょう。



駅で、それぞれ解散します。
アコリンは近くのご実家へ、アキポンは館林へ。
私が水戸経由で横浜の家に帰宅した時には、23時近くになっていました。

● epilogue

この日は、日輪寺と佐竹寺という坂東観音巡りの2つのお寺のほか、大洗磯前神社を参拝しました。
なかなかたどり着けずに手をこまねいていたアクセス困難なお寺に、とうとうお参りできて、数年越しの悲願達成!
そして、ずっとこの目で見てみたかった、夕暮れ時の磯に立つ鳥居も見られました。
車移動でしたが、山と海をワイルドに堪能できた一日。

そして、その場に行かないと味わえない八溝山の湧水と、奥久慈の手打ち蕎麦と鮎を堪能できました。
さらに、同行の2人とも朗らかで話題が豊富でフットワークが軽くて、車の中でもずっとハッピーに過ごせました。
そんな、盛りだくさんの充実した一日でした。


山の上のお寺と海の傍の神社 1

2017-07-27 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
● prologue

「坂東三十三箇所」という、関東地方にある33のお寺巡りをしている私。
その中でも、一番の難所と言われる場所が、日輪寺(にちりんじ)というお寺です。
茨城県と福島県と栃木県の三県にまたがる八溝山(やみぞさん)の上にあります。
標高1022mの、高野山より高い八溝山。
あまりの過酷さに、古くからここまで足を運ばずに遠くから拝むだけで済ませてしまった巡礼者も多かったよう。
『八溝知らずの偽坂東(やみぞしらずのにせばんどう)』という言葉もあるほどです。

山にバスは通っておらず、車でもアクセスは大変そう。
(これは一人では絶対無理!)ということで、茨城出身の友人アコリンを誘いました。

地元で有名な山かと思いましたが、茨城でもあまり知られていないようです。
茨城県民にとって県の山といったら、日本百名山にも選ばれている筑波山。
たしかにいつ行っても、登山客でいっぱいです。
でも、茨城県の最高峰は、実はこの八溝山なんですよ。
つまり隠れたラスボスです。

不慣れな場所で不安でしたが、アキポンさんが館林からジョインしてくれるとのこと。
彼女はすでに日輪寺に行ったことがある強者。
栃木の方から別ルートで訪れたそうです。
寺好きの3人で、目指すことになりました。

茨城でも北端近くになり、横浜からは往復350キロ!
全部車にすると、運転で疲れてしまうため、近くまで電車で行って水戸付近で集合し、そこからレンタカーで向かうことにしました。

前日、天気予報を見ると、翌日は晴れ。
茨城は気温24度でした。
でも八溝山は15度だそう。下界と10度も違うなんて。
温度差に気を付けないといけません。

● 特急ひたちで現地集合


この日の移動ルート

当日は6時半に出発。
東横線で渋谷まで出て、JRに乗り換えて上野駅で特急ひたちに乗る予定でしたが、早起きしてぼーっとしていたら、乗り換えしそこなって明治神宮前駅まで行ってしまいました。
駅員さんに相談したところ「千代田線は常磐線と繋がっているので、ここから柏駅まで行けば特急ひたちに乗れますよ」と教えてくれました。
戻らずにすむので、そのルートで行くことに。
ドタバタでしたが、柏駅から無事特急に乗れて、アコリンと車内で落ち合いました。
結果的に、乗り換え回数は一番少なく済んだようです。
今度から水戸に行く時、このルートで行こうかしら。

● 勝田駅からドライブ

特急ひたちの終点、勝田駅は、水戸のひとつ向こうの新しい駅です。
9時半に到着して、アキポンさんと落ち合いました。
レンタカー屋さんが探せないため、交番で聞こうとしたら、ドアに鍵がかかっていました。
交番に入れないなんて~!
留守の時には、電話でおまわりさんに繋がるものじゃなかった?


駅前交番はクローズ中


レンタカー屋は駅の向こう側にありました。
係の人も「どこまで行かれるんですか?え、やみぞさん・・・?」と知らない様子。
まあそうかもしれませんね。ここは県南で、八溝山は県北。
長い茨城県を、これから縦断するのです。



水戸はやっぱり黄門さまの国ですね。
「お酒の遊園地」ですって。新しもの好きの黄門さまなら、ワインも飲んでいたかも!?
そして印籠が大きすぎ…(笑)

● 新旧道の駅



道の駅ひたちおおた。クリーンで新しい感じ。
でもここには停まらず、素通りします。



停まったのは常陸太田の道の駅さとみ
先ほどとは打って変わってグッとレトロ。かかしが飾られていました。
右側には、なぜかバーベルを持ち上げる選手の像が。手作り感満載です。



建物の中には、去年のかかし祭りの優秀作品が飾られていました。
そっくりのトトロがいますが、かかし感が全く感じられません。

● ここは福島

「棚倉町」という表示を見て(ふーん)と思っていましたが、ここは福島県でした。
あれ、いつの間に越境したんだろう?
横浜から、一体いくつの都と県を越えて来たのか、わからなくなりました。
神奈川・東京・埼玉・千葉・茨城・福島・・・六つめ!



この辺りの住所は、福島県東白川郡棚倉町八槻松岡。
「字」の字が多い!かなり奥まったところまで来ています。
私たちは南から山に向かっているはずなのに、棚倉町は、山の北東にある場所。
不思議ですが、山に入るルートが限られているからでしょう。
この辺りは県境地域なので、その後も茨城・栃木・福島を出たり入ったりしながら、八溝山に向かっていきました。

● いよいよ難所越え

大きな木の鳥居の前で、停まります。「延喜式内 八溝嶺神社」と書かれています。
木一本を丸太状態でそのまま鳥居にしていて、雰囲気たっぷり。



ここが八溝口といわれる八溝山への登山道。
大きな鳥居をくぐって、聖なる山に入ります。
バスの人は、この辺りからあとはひたすら歩くのみ。
ここから徒歩で約2時間かかると言われていますが、私ならその3倍くらいかかりそう。
かつて巡礼者は、もっと遠い大子(だいご)町から40キロ歩いてお参りしたようです。



いよいよ、道は舗装がなくなり、砂利の細道になりました。
山肌の反対側にガードレールはなく、落ちたら大事故になります。

延々と続くくねくね道。周りには何もなし。
もうネットもラジオも通じません。
平均斜度が10パーセントぐらいの道が、何キロも続きます。



蝶々がひらひら飛んできました。
わあ・・・とほのぼのしていると「人の魂だね」とアキポン。
えっ、蝶を見て、いつもそう考えてるの?
白や黄色、黒い羽根でひらひらと飛んでいる蝶たちが、やけに気になり出しました。



かなり山道を登ってきましたが、その間人っ子一人通りません。
看板も表示も全くないので、本当にこの道で合っているのか、気になります。
まあ、一本道なので、前に進むしかありませんが。



● 一本道でも迷う道

細道を抜けて、合流点に出ました。栃木からのルートと出合う場所のようです。
私たちは、茨城から来たはずなのに、やってきた道は福島側でした。
3県にまたがる山だからかしらー。
でもここで方向がわからなくなり、しばし辺りをぐるぐる。

休憩している車が二台あったので、近い方の車に乗っていた人に方向を聞いてみました。
「日輪寺?だったらあっちじゃないかな」
ここまで来る人は、みんなお寺を目指しているのかと思いましたが、そういうわけでもなさそうです。


帰り道で見かけた地図。行きに見たかったわ~


方角がわかったところで、再び、車1台しか通れなさそうな細い山道を登って行きます。
木の枝が通せんぼしていている所もあり、カーブの続く道をうねるように上がっていきます。
ずっと辺りに目を配って、なにか標識がないかと探していますが、相変わらず、道案内版は全くありません。
ああ、無事到着できるのか、不安です!

● 頂上過ぎて日輪寺



日輪寺は、山の頂上を過ぎてから、高度差で150mほど下ったところにあります。
ようやく、なにやら小さな標識が見えました。
なんと手描きー!でもこれがないと、そのまま進んで迷ってしまうところでした。



急勾配の下りの途中で、かなり鋭角のルート!削るようにエッジを効かせるアコリン。
実は走り屋だったのかしら?(失礼な) 私にはとても通れません。

● 山の上のお寺



よ、ようやく、お寺に着きました~!
嘘のようで、実感がわきません。
車に乗っていただけなのに、なぜかハーハーと息が荒くなっています。



とうとう来れました…。
読んでくださっている方々は、ピンとこないと思いますが、実際にご自身がこのお寺に行くことになったら、「え~」と途方に暮れることと思います。
ここは「どうしても行かなくちゃ」と思わない限りは、行けない場所です。

● 日輪寺について

日輪寺は、7世紀後半に修験道の開祖、役小角(えんのおづぬ)が創建したと伝えられる天台宗の寺院。
その昔、月輪寺という対になる寺も近くにあったそうです。
その後すたれて廃寺となっていましたが、807年に弘法大師空海がみずから刻んだ十一面観世音の霊像を本尊として再興したそうです。
平安から鎌倉にかけて、修験者など行者がここを霊場化し、鎌倉時代から坂東二十一番札所となりました。
江戸時代には、光圀公も援助したといわれています。

中に上がり、観音様を前にお線香を上げます。
あまりに呆然として、感覚も麻痺しており、般若心経を読むどころか、お数珠を取り出すことさえ忘れていました!
ほかに、バイクに乗った男性たちが数名やってきていました。
みんな御朱印をもらっている、巡礼ライダーでした。


偽坂東じゃないですよ~


本堂は再建されていますが、隣にあったこのお堂は古~い。
夜に見たら怖気づきそうです。
これは、新しい観音堂(つまり本堂)ができるまで、ご本尊の観音様を安置していた祠。
大正4年に建てられた仮の観音堂だそうです。



弁天様とお馬。白い奉納馬を見るのは初めて。
身体のサイズに合わない小さなよだれかけがかわいいです。
そもそも、よだれかけをつけたお馬さんを、初めて見ました。



● 広がる見晴らし

お寺から展望台に出て、臨む下界。快晴ではるか遠くまで世界が広がります。
昔の人はここまで足で登ったんですね。いったいどのくらいの月日がかかったんでしょう。



ここで、車中の人に話しかけられました。
「福島ルートは道が広いですか?」
顔を見ると、先程の栃木ルートからの合流点にいた、二台の車のもう一台に乗っていたご夫妻でした。

その人たちは、相当大変な思いをして那須塩原ルートを通ってきたそうです。
両方を知っているアキポンさんが「広いとはいえません。きっとそんなに変わらないでしょう」と答えます。

那須塩原ルートは距離的には近いので、以前そちらから行こうかと検討したことがありますが、ほぼ道なき道を走ることになると知って、あきらめました。
でも、福島ルートも結構大変だったし、「どちらも大変」と言っているのですから。
技術の進歩で、昔とは比べ物にならないくらい移動が楽になったとはいえ、やはり今でも、ここは誰にとっても大変なルートなのです。



八溝山に登るには、3県からの3つのルートがあり、大抵は、茨城ルートの大子町側から上がって来るそう。
私たちもそのルートを取ったはずが、なぜか福島からのアプローチをとっていました。
裏の棚倉町側から来るのは珍しいようです。
私たちを導いたカーナビが、マニアックな道が好きなんでしょう。
● 名水の里

昭和60年に環境庁が「八溝川湧水群」を日本の名水百選に選定しました。
この山には金精水・銀精水・白毛水などといった湧水があちこちにあります。
「やっぱり金でしょう」
標識を見て、山の中の登山道を下りて行きます。



しかし、行けども行けども、水が湧いている気配はありません。
車を上に置いてどんどん階段を下りていくので、帰りに登れるか心配になっていました。


写真だと分かりませんが、結構下っています


「よし、あきらめよう」
自然の中では、諦めが肝心。再び上に上ります。
改めて仕切り直し。すぐそばにある白毛水に行きました。



これってもしかして「あなたが落としたのは金の斧?銀の斧?」状態だったんでしょうか。
あなたが飲みたいのは金精水?銀精水?
それなら、初めから控えめに、白を選んでおくべきだったのかな?



再び展望台に戻りました。角度を変えても見晴らしがいいわ~。
湧き水を飲んで元気を出して、ふたたび車に乗り込んで、ハードな砂利道を下まで下りました。

● タクシー巡礼

その途中で、山道を登っていくタクシーとすれ違いました。
後部座席には乗客が一人。タクシーでの参拝者でしょう。
ここは、車以外では相当過酷な山。自分で運転できず、山を登る体力もない人は、タクシーに乗っていくしか方法はありません。
運転手さんも、ハードな道での安全運転には、並々ならぬ集中力が必要でしょう。
私のおっかなびっくり運転で、たどり着ける自信はありません。アコリンがいてくれてよかったわ~。



山の頂上には八溝神社がありますが、山裾の鳥居の横には、月讀神や馬大神の石碑と龍虎神の祠がありました。
龍虎神って、とにかく強そう。パワーをもらえるようお祈りしました。



● 下界に帰還

とうとう山を下りて、広い車道に出ましたよ。
緊張続きの山道を抜けて、無事に下界に戻ってこれました。
車道沿いからも湧水が出ています。
飲んでみると、まろやかな美味しさでした。



足元を流れていく、久慈川の清流。澄んでいて、ここの水もおいしそう。



快適な普通道を走りながら、今降りてきた山を見上げました。
こんもりとしていて、どこが頂上なのか、下からはよくわかりません。
何もなさそうなこの山ですが、実際には巡礼者たちが苦労をして日々目指しているんですね。



その2に続きます。


クリスマス期に巨大仏 2

2016-03-16 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その1からの続きです。

○ イントゥ・ザ・大仏

牛久大仏の足元までやってきました。いよいよ大仏の中に入ります!
頭で考えると「せんとくん」の着ぐるみを着るような感じですが、全然違うんですよ。
なんてったって牛久大仏、入り口もビッグ。
一度に何十人も入ります。
靴を脱いで建物内に入ると、すこし待たされ、それから扉があいて、中に通されました。
ホーンテッドマンションみたいなシステムになっています。
つまり、外からは覗けません。そこはアナザーワールドでした。



○ まさかのサイバー空間

係の人が扉を開け、中にうながしてくれましたが、そこからの案内はありません。
自分たちでおそるおそる先に進んでいきます。
お香の香りが立ち込めて、ろうそくがぽつぽつ灯っており、お経の声が流れているといった、よくあるお寺の様子をイメージしていましたが、全く違いました。
壁にはカラフルな光が当てられており、きれいです。



イルミネーション上に、般若心経が浮かび上がりました。
お経の文字が移動して行きます。動きが速くて、うまく写真に撮れない~。

誰が想像できたことでしょう。
仏像の中は、カラフルなサイバー空間でした。
1階は「光の世界」。浄土の世界を思い描く、観想の間だそうです。



みんな、口を開けたまま、言葉もありません。
まるで『2001年宇宙の旅』の世界にいるようです。
私たち、宇宙に来ちゃったの?
きょろきょろ、おどおどしながらも少しずつ進んでいくと、エレベーターが私たちを待っていました。
聞いてよ奥さん、大仏の中にエレベーターがありましたのよ!

なにがどうなっているのやら、かなり感覚が麻痺してきています。
それでも靴を脱いだままなので、なんというか、大仏様の中にお邪魔している感はあります。
まるで『ミクロの決死圏』みたい。
あるいは『マルコヴィッチの穴』とか『インセプション』とか。
もしくは子どもが中に入って遊ぶ、空気を膨らませたエア遊具とか…。
鯨に飲み込まれたピノキオとか、『ドリトル先生不思議な旅』で先生を殻に乗せたピンクの大カタツムリを思い出しました。
とにかく不思議な感覚です。

○ 大仏の中から世を見下ろす

一番上の4・5階は、霊鷲山の間。
ここには仏舎利(釈尊の遺骨)が安置されています。
5階ときいて(なんだ、そんなに高くないじゃない)と思わないでくださいね。
ここは地上85mの展望台。普通のビルとは違うんです。



上まで上ると、長細い窓が3つ並んだ場所がありました。
あ、あれは大仏の胸のところにあいた3本の線の場所ですね。
その隙間から外を眺めました。さっき歩いてきた参道が下に見えます。人が豆粒サイズです。



ここのほかにも四方に窓があり、360度の眺望を見渡せます。
周りに高い建物はまったくありません。

○ 無双感マックス

とても堅牢なシェルターの中にいるみたい。
ここにいれば、どんな天変地異が起こっても大丈夫そうな安心感があります。
逆に言えば、この大仏が倒れた時にはハルマゲドン、いえ末法の世がやってきそう。
おお、こうやって宗教心は芽生えるものなのかもしれません。

○ ビッグな足指

展示コーナーには、パネルや骨組みのミニチュアがあり、施工の様子が紹介されていました。
建築会社にとっても、これほどまでに巨大なものを手掛けるのは初めてのこと。
失敗したら被害甚大です。慎重に作られていったんですね。



このぷんとした丸いの、なに?
等身サイズの足の親指でした。うわ~大きい!
指先でちょいちょいとひねりつぶされそう。



○ ギネスの証明書

ここで再びギネスブックの証明書を発見しました。
先ほど外で見かけたのはレプリカで、こちらが本物です。



読んでみると、確かに「世界一の大きさのブロンズ製仏像」として登録されていました。



○ ゴールデンフロア

再びエレベーターに乗り、今度は3階へ。
フロア全体がどこもかしこもキンキラキンで、まばゆい~。

ここは蓮華蔵世界。画像の一つ一つの枠の中に、無数の金の胎内仏がずらりと並んでいました。
永代供養用の場所です。
大仏の中に仏像があるって、マトリョーシカみたい…。



○ 写経 in 大仏

2階に降りました。ここは知恩報徳の世界と言われ、念仏と写経をする場所。
私たちの今回の目的は「牛久大仏を訪れる」「牛久大仏の中に入る」そしてもう一つ、「牛久大仏の中で写経をする」の3つ。

大仏様の中での写経なんて、ここでしかできないことだから、やってみたかったのよねー!
さあ、使命を果たしましょう。
このフロアもまた広いスペース。大仏の内側の壁のゆるいカーブに沿って席が設けられていました。



全部で77席。余裕をもって座れます。
メンバーのみんな、黙々と取り組んでいます。
みんなが壁に向かって書くため、周りの動きに気持ちを乱されることがない、考えられた空間です。





習字机が白く光っていることに、お気づきでしょうか。
机の下からライトが当たっており、なぞる薄文字、そして書いた自分の文字が見やすくなっています。
こんな最新の写経を行ったのは初めてです。



写経の種類は何種類かあり、長いお経を選んだ人もいましたが、私は短いものを集中して書こうと、回向文を選びました。
子どもの時から、長距離走より短距離走の方が得意だったしね。(関係ある?)

みんなで書き上げたものを、納経しました。
これで全てのミッションクリア!

○ 全てが大仏の中に

そういえば、エレベーターに乗った時にアナウンスではっと気づいたことがありました。
大仏の中に入れてそこで写経ができると、テンションが上がっていたけれど、ここにはお寺の建物はありません。
普通、仏像はお寺の敷地内にあるもの。
でもここには、お寺の建物はないのです。
本堂がないお寺なんて、あるの?

じつは本堂は、この大仏の中にあるのです。
この辺りにあるのは、大きな大仏と広大な墓地だけ。
お寺の機能は、全て大仏の中にあるという、発想の転換が新しいです。
全部飲み込んじゃったみたい。大きなブラックホールでしょうか。

○ 芝生のデザイン

使命を果たしたすがすがしい達成感を胸に、大仏の外に出ました。
大仏の周りを囲む芝生のデザインがとっても凝っていました。
こんなの、剪定職人はどうやって作ったの?



大仏の足下には、少し金箔が貼られていました。
ちょっとずつ貼っていって、アジアの仏像のように信者の寄進で金色に変えていくのでしょうか。

今の姿は、あと50~100年後には、青銅になるそうです。
その頃にはまた世界も変わっているでしょうけれど、この大仏はほぼ変わらずに残っているんでしょう。

○ レアな御朱印

帰りがけに、お願いしておいた御朱印を頂きました。
先ほども書きましたが、ここは浄土真宗のお寺。
最近ご朱印集めがはやっていますが、実は浄土真宗のお寺では、ご朱印はいただけません。
でもここでは書いてもらえるのです。ここの本家の東本願寺も、そのライバルの西本願寺も、書かないのですが。
私のご朱印コレクションの中でも、浄土真宗のものはこれが初めてです。
レアだわ~。



再びバスに乗り込みます。
車で現地集合した牛久からの参加者もおり、その車と抜きつ抜かれつしながら、駅に着きました。

○ かっぱのあんぱん

ここから東京までまたちょっと距離があるので、みんなでお茶にしようと、駅に併設したハースブラウン(Hearth Brown)というベーカリーカフェに入りました。
Heart(ハート)でもないしHeath(ヒースの花)でもないし、Hearthってなんだろうと思ったら、窯の炉の床部分のことだそうです。知らない…。



ここのパンの一番人気は、生クリーム入りのプレミアムあんぱん。
カッパの焼き印がついていました。



○ あちこちにかっぱ

あれ、これさっき外で見たなあ。
バスに乗るところでこの標識を見かけて(かっぱ口?)と不思議に思ったんでした。
アヒル口に似てる口かな?
ちなみに反対側はシャトー口というそうです。
かっぱとシャトーではかなり感じが違いますが、シャトー・カミヤ方面ということでしょうか。



同じ柄はマンホールにもありました。
あんぱんと標識とマンホール、どれも同じイラストです。
この町は、カッパで知られているのかしら?

そう、近くにある牛久沼はカッパが棲んでいると言われているんだとか。
それでカッパが町のシンボルになっているそうです。
かっぱ口は、牛久沼に近い側の出口だとのこと。



えー、牛久の町のアイドルは、大仏じゃないのね~。
カッパに負けているなんて。大仏しっかり!
でも個別の宗教関係のものを一般化させるのは、なにかと難しいんでしょう。
その点、せんとくんとはちょっと違います。

○ オフ会っぽく

みんなでテーブルを囲んで、ぐるりと座ります。
せっかく集まったことだし、ここはサークルっぽくいきたいところ。
「今年訪れて印象に残ったお勧めの寺社を、紹介するのはどうでしょう」と提案すると、
  ・山寺(山形)
  ・深大寺(東京)
  ・広隆寺(京都)
  ・六道珍皇寺(京都)
  ・書写山圓教寺(兵庫)
  ・高野山奥の院(和歌山)
など、いろいろ出ました。
さすが仏教サークル、みんなあちこち訪れています。

私が出したのは、愛宕神社(京都)。
神社をあげたのは私だけ~。
仏教サークルといっても神社もアリ。その辺は大らかなんです。

はんにゃ会メンバーをしても、京都の愛宕神社詣でをした人はほかにいませんでした。
「東京だけじゃなくて、京都にもあるの?」という声も出ました。
修行が足らーん!(なんの?)
話に上った寺社を全て訪れたことがあるのは私だけで、ちょっとしたマニア扱いをされました。
サークル自体がマニアなのに!(いえ、光栄です!)

空海好きが高じて高野山の本まで出しているアッコさんは「また高野山に行きたくなっちゃった。明日のイブに行っちゃおうかな」と言っていました。
フットワーク軽いわ~。クリスマスは眼中にないのね~(笑)。

奈良出身の人は「仏像巡りにことかかない場所で、いいな~」とみんなにうらやましがられていました。
「それが、向こうにいる時には全然興味なくって」
うーん、もったいない。でも人生、そういうものですよね。

「はんにゃ会で、来年はどこの七福神巡りをしようかな。もうあちこち行ってるから」とエッコさん。
「六地蔵巡りは?」「あ、それもやるつもり。下見しとかなくっちゃ」
牛久大仏オフ会は大いに盛り上がりましたが、ちょっと周りの人は入ってこれなかったかもしれません。

○ 寺社つながり

行きの常磐線ではうつらうつらしていましたが、みんなが打ち解けた帰りの車内では、楽しいおしゃべりが続きます。
SNSでつながった人のアイコンを見て「あ、これ熊野磨崖仏(大分)へ向かう石段じゃないですか!」と反応した私。
こういう間柄だからこそ、わかることってありますね。見つけた方も、見つけられた方も、大喜び。
「私もこの前行ってきたところ。あそこを上っていくの、すごく大変でしたよね~」とさらに話に花が咲きました。

先ほどマニア認定されたためか、個別にお勧めの寺社を聞かれたりします。
奈良出身の人に、奈良の「そんな観光スポットじゃないところ」でのおすすめを聞かれて、玉置神社(十津川村)を挙げました。

戸塚の人には「富塚八幡宮がいいですよ。特に狛犬が」と話しました。
うっかり狛犬のことを語りすぎたので、ちょっと引かれたかも~。
ほかの人の話も聞けて、いろいろと情報交換ができました。これがサークルのいいところですね。

電車が東京に着いた時には、もう夜になっていました。
次回のイベントは、新年でしょう。みんなで笑顔で、解散しました。

○ epilogue

冬らしくどんよりした寒空の下の牛久行でしたが、次第にみんな打ち解けて楽しい時間を過ごせました。
仏教サークルといっても、真面目で真剣な勉強会ではなく、楽しくワイワイと体験しようがモットーなので、難しさはありません。
興味が同じ人たちの集まりは、ディープで楽しいものです。
今回、参加できてよかったなあと思いました。

牛久は東京から日帰り圏内の距離ですが、一人で牛久大仏を観に行くといったら周りに心配されそう(もしくは笑われそう)。
でも、一人で自分を見つめ直したい時に、あの超巨大仏に会いに行ったら、小さな悩みが吹き飛んで、いい気分転換になるでしょう。
牛久大仏の中は、非日常感たっぷりで、お勧めですよ。

そんなこんなで、2015年の旅は、牛久が締めとなりました。
大きな怪我も病気もせず、元気に旅行ができたことに感謝します。
牛久大仏さん、来年もまたつつがなく旅ができるように、そのビッグなパワーでお守りください(-人-)。