風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

山陰1200キロ横断ドライブ 6-(2) [移動]

2013-11-19 | 中国(山陰)
● 金持神社(伯耆因幡國開運八社)
● 福成神社(伯耆因幡國開運八社)
● 福栄神社(伯耆因幡國開運八社)
● 石見神社
● 霞神社
● 樂樂福神社(伯耆因幡國開運八社)
● 富益神社
● ふたたびの米子
● epilogue

6-(1)からの続き、いよいよこの旅最後の日記です。

---------------------------------
● 金持神社(開運八社)

いくつもの県を通りぬけ、何回かの通り雨を抜けて、再び鳥取に戻ってきました。
こんな一両電車ともすれ違います。これは伯備線だったかな。あとで鉄子の花音に確認しておかなくちゃ。



これから、2日目に行った伯耆因幡國開運八社のつづきを始めます。
これは巳年という期間限定のもの。
今年もあとちょっとですから、帰る前になんとかコンプリートしたいのです。

まず訪れるのは、金持神社
日本中にここだけというインパクトの強い名前で、(かもち)と読むようです。
以前、京都の御金神社に行ったとき、入り口に立つキンキラキンの鳥居に圧倒されたため、ここもそういう感じかなと思いました。

それにしても、かなりの山の中に入っていきます。
「本日は、鳥取の山間の町を訪れています。この辺りはもうすっかり秋も深くなり、収穫も済んだ静けさが漂っています」
なんて、ふるさと再発見風のナレーションを入れてみました。



さびしい山間の道で、間違っていないか気になりましたが、看板を見つけてひと安心しました。
車を降りると寒さに震えます。山からの冷気を感じます。



神社は、まったくキンピカではなく、むしろ苔むした古いお社でした。
ああ、でも、お参り前に私たちを待ち構えているのは、ドドーンとそびえる石段です。



また今日も石段の一日になりそう。フーフーいいながらも、石段の途中にいた古参の狛犬に、うれしくなります。
こういう古い神社が好き。



ドラゴンボールを持った拝殿上の龍と、バッチリ目が合いました。は、迫力です~。



ここの名前は、別に狙ったわけではなく、もともとこの辺りの谷から砂鉄が多く採取できた事に由来するのだそう。
昔は、砂鉄のことを金と言ったそうです。それほど貴重だったのかもしれませんね。

行きと帰りに、ほかの参拝客と一組ずつすれ違いました。
こんな人里離れた神社を訪れる者同士、(開運巡りですねー)と気持ちが通じて、はにかみながら会釈し合いました。



山の中ながらも参拝者は多いようで、ご神木にも無数のお賽銭がさしてありました。
すごいです。でも木が痛そう~。お賽銭は、賽銭箱にね!
サイトもキンピカではありませんが、「めでたい焼き」や「厄落水」、「金持神社の棚からぼた餅」などの開運グッズが売られているようで、ハッキリとしたご利益を求める人へのニーズにも対応しているようです。ぼた餅食べたい・・・

---------------------------------
● 福成神社(開運八社)

それから福成神社に向かいました。
ここもまた、山と畑しかないようなのどかな場所にありました。
行けども行けどもそれらしいものはなく、人家もまばらで、(本当にこの先、目的物があるの?)と不安になるような道。
花音への信頼感がなかったら、(こんな寂しい場所に連れてきて、練炭でも吸わせる気かしら?)と怪しんだかもしれません。



開運巡りなのに、私ったらなんて不穏なことを考えているんでしょう。
それに考えてみたら、運転して彼女を連れて行ったのは、私の方でした!
もはやデフォルトとなった長い石段に、ため息をつきます。なんだか本当に、毎日石段を登っているわ。



でも、途中に大きな狛犬がいたので、嬉しくなりました。



登った先にも狛犬がいます。
拝殿の横に社務所があり、そこで野焼きが行われていました。
そこまで車で上がってこれるとわかって、ちょっとショック。
今回はそのパターンが、何度かあるのです。
えっちらおっちら石段を登ってから、「あ、車で行けたのね」と気づくことが。
ああ~。でもまあ、石段は登ることに意義がありますからね!(負け惜しみ)



拝殿の龍の木彫が素晴らしかったです。

---------------------------------
● 福栄神社(開運八社)

福成神社の次に訪れたのは、福栄(ふくさかえ)神社。
なんだか名前がごっちゃになってきますが、福が成ったら、次は栄えたいということですね。
ここにも、峠越えして向かいました。
そう、起伏についてあまり書いていませんが、峠も毎日超えています。
一日一峠以上!
峠とか石段とか、障害物てんこ盛り。まあ楽しいからいいんですけど。

途中に「井上靖記念館」がありました。
「井上靖って、何を書いた人だっけ?井上ひさしばっかりでてきちゃう」と花音。
「ええと、"やまんば"みたいなあれよ、あれ」→『しろばんば』でした。
「あと、お姫様が城壁から身投げしちゃう話」→『敦煌』でした。
「うーん、わからないわ」と花音。(そりゃそうでしょう)

あとで調べてみました。『氷壁』や『おろしや国酔夢譚』って言えばよかったんですね。
ここが出身地なのかな?と思いましたが、北海道の人で、この辺りには戦時中、家族を疎開させていたのだそうです。



神社がありました。が、こちらもまた山の中にあるもよう。



車を停め、鳥居の下に立ち、また石段を見上げて、ため息をつきました。
さすがにだんだん、脚が億劫になってきています。



ふうふう言いながら上がっていくと、「あ、狛犬がいるよ」と花音。
花音は、なぜか必ず、私よりも先に狛犬を見つけるのです。
これはなにかに活かせるんじゃないかと、そのたびに思っているんですが。
狛犬の姿を見つけて、毎度のことながら「よーし!」と馬力が出るわたし。我ながら単純だわー(笑)。



苔むした、いい出雲型の狛犬でした。
ここの拝殿もすばらしい木彫の彫刻が施されていました。

---------------------------------
● 石見神社(下石見)

県道211号線から県道8号線に入る交差点の前の高台に鳥居がそびえたっており、予定になかったものの、参拝してみました。



祭神は素戔嗚命ほか18神とたくさん。
すぐそばには、大石見神社もあるようです。



狛犬は現代版のものと、顔がよくわからなくなっているほど風化が進んだものと、出雲型がありました。
境内は無人ながら相撲の土俵があり、神前試合が奉納される由緒ある神社なんだなあと思いました。


 
---------------------------------
● 霞神社

こちらも、ドライブ中に通りかかって、立ち寄った神社。
名前がきれいです。この辺りの地名だそうです。



社殿や狛犬は古いものの、鳥居は新しく、新旧入り混じった、こぎれいな神社。
こちらも総勢21神と、大勢の御祭神を祀っているそうです。



---------------------------------
● 樂樂福神社(開運八社)

次に訪れたのは、樂樂福神社
伯耆因幡國開運八社の中で、一番好きな名前です。これで(ささふく)と読むんだそうです。
看板や地図には「東樂樂福神社」と「西樂樂福神社」とあって、「どっち?」と迷いましたが、今では一つに統合されたとのことで、どっちでもあるようです。

もはや石段はデフォルト・・・登り切ったら、ゆるいスロープがあり、さらにまた石段がありました。
新しい出雲型の狛犬が迎えてくれました。
これまで、古く苔むした出雲型ばかり見てきたので、平成期の新しい出雲型狛犬を見たのが初めてで、新鮮。
画像は古い狛犬です。



参道を進みます。この神社は敷地が広く、神殿の背後に鎮守の森が広がっているような感じ。
緑の中にある木製の拝殿が、とてもいい雰囲気です。



まずは随神門をくぐりました。これもまた、白木の古いつくり。
中には随身様が左右に一体ずつ・・・どころではなく、何人もいました。
しかも神殿狛犬もいました。こちらも2対。
まあ、大所帯だわ。
更に驚いたことに、一人の随身は、狛犬に乗っていました。
まるで普賢菩薩。
えっ、こういうの見るの、初めてなんですけど。
狛犬は人を乗せるものだったかしら?



流れてくる越天楽の調べが耳に心地よくて、(まあいいか)という気持ちになります。
この音楽、境内に入った時から聴こえており、そのメロディに近づいていくような感じ。
演奏しているのかと思いましたが、音楽が流れているようです。
社務所にも人はいなさそうですし、一日中流しているのか、それとも参拝者をセンサー感知して流すのか。
後者だったら、この古社の雰囲気とは違う、なかなかいまどきのオペレーションシステムです。



拝殿は明るく光が灯っており、お賽銭箱前には、小さな獅子舞の獅子がいました。
お賽銭を投げたら、その獅子はてこてことステップを踏んで、踊りだしました。
喜びの舞です。わー(顔に似合わず)かわいい。

新しい出雲型の狛犬は、拝殿近くにも一対いました。
どちらも、この土地出身の東大阪の人が寄進しています。
成功者で信心深い方なのねー。
しかもその方、小ぎれいなお手洗いも寄進していました。
たしかに大切。寄進者は女性なだけに、配慮が行き届いているなあと思いました。

---------------------------------
● 富益神社

樂樂福神社の参拝後、「これで開運八社、全部回ったね!」と言ったら、花音は
「ううん、まだ終わってないのよ」と言いました。
「え?だって八社参拝したじゃない」
「開運八社ってね、八社のほかに、その年の干支ゆかりの神社が入るから、計九社でしょ」

ああっ、そうでした!数え間違えていました。
あら~、これで完成だと思っていたのに。
「それが米子にあるから、しばらく移動になるわ」

ドライブ中の橋チェック。





思ったよりも距離があったのと、この日は何度も雨になったため、日が落ちるのが早く、気がついたら夜になっていました。
「ああ、暗くなっちゃったし、最後の一社は巡れないかしら」
肩を落とす私に「大丈夫よ、そこは町中にあるし、石段はないから」と花音。

いつの間に調べたんでしょう。こういうところがカッコイイです。
米子駅を超え、さらに境港に向かう場所のよう。
かなり海のほうです。

街灯の少ない暗い道を通り、目指す神社を見つけた時には、ホッとしました。
通りを挟んで鳥居が2つ立っており、向かい側は社務所。反対側の神社を参拝します。
画像ほど真っ暗じゃなかったんですよ。ピカピカの真新しい本殿がきちんと見えました。
つい10日前に修繕をしたばかりだそうです。



何体も並んでいる狛犬は、フラッシュ撮影しても影になりそう。
花音がスマホの明かりで照らしてくれました。ありがとう~~。

手前の狛犬は年季が入っていましたが、奥の2体はまだ新参者だったので、正面撮影だけにしておきました。
参拝を済ませ、朱印を押して、これでようやくコンプリート!
開運八社、満願結願です。やったわ~!!



---------------------------------
● ふたたびの米子 

これで旅の参拝は全て終了。ふう、開運八社めぐりにきっちりと時間を使いきりました。
米子を離れるまで、時間はそう残されていません。
1日目の夜に訪れたシャトー・おだかの大浴場"夢の湯"につかって、すっきりします。
そして米子駅前でレンタカーを返却し、ふたたびキャメル号に乗りこみました。



到着した朝には、駅前のお米型のモニュメントが目立っていましたが、夜には闇に沈んでいます。
代わりにきらきら点滅して人目を引く、白鳥のモニュメントに別れを告げて、東京へと帰りました。

---------------------------------
● epilogue

今回は、いい天気に恵まれました。
道中、なんどか雨に降られましたが、車の中にいた時ばかりで、多少のパラパラはあったものの、傘をささずにすみました。
これで、最近怪しまれつつあった「雨女・雪女」の汚名を晴らせたわ!

初めての山陰は、とても味がある、いい場所でした。
米子で車を借り、6日間周って返した時の走行距離が1200キロ以上になっていた、移動の旅。
出雲、伯耆、因幡、但馬、丹後、丹波と、かつての国の一の宮を7社(出雲国は2つ)参拝でき、1府4県に渡る旅ができました。

今回挑戦した霊場巡りは、全国一の宮巡拝、出雲国神仏霊場、丹波古刹十五寺巡り、中国三十三観音、西国三十三観音、巳年伯耆開運八社、但馬五社。
そのうち完成したのは巳年伯耆開運八社のみでしたが、あの広い山陰地方、全てを巡ることはとてもできません。
次回来訪の折まで、とっておこうと思います。

旅行を終えて、まず感謝の気持を捧げたいのが、旅のパートナー、花音。
今回の旅は、とにかく移動距離が長い上に訪れたい場所がたくさんあって、予定だおれになっても仕方がないくらい、プランがてんこ盛りでした。
それを、奇跡的なくらいにほぼ予定通りに周れたのは、心強い友と一緒に旅ができたからです。
おかげで、すてきな思い出がたくさんできました。
楽しい旅を、どうもありがとう!またよろしくね!



そしてこの旅行記を読んでくださった方。
稚拙な文章に長々とお付き合いくださって、どうもありがとうございました!

   -------------------------------------------------
     ◆ 2013 山陰旅行 index
     ◆ 1st day-(1) [米子→出雲]
     ◆ 1st day-(2) [出雲→米子]
     ◆ 2nd day-(1) [米子→大山]
     ◆ 2nd day-(2) [倉吉→鳥取]
     ◆ 3rd day-(1) [鳥取→若桜]
     ◆ 4th day-(2) [宮津→伊根]
     ◆ 5th day-(1) [伊根→丹波]
     ◆ 5th day-(2) [柏原→篠山]
     ◆ 6th day-(1) [篠山→加西]
     ◆ 6th day-(2) [加西→米子]
      (本日の話はここ)

ウサギとカニに出逢う旅(山陰海岸ジオパーク) 3 [城崎]

2013-11-17 | 中国(山陰)
● 楽々浦(G=ジオパーク)
● 玄武洞公園(G)
● 此隅山(G)
● 出石神社(G)(但馬国一の宮)

--------------------------------------------------------
● 楽々浦

朝日がまぶしい、気持ちのよい快晴の日。
ここのところ、旅に出るたびに猛吹雪だったり台風だったりと、あまり(というか全然)天気に恵まれていませんでしたが、今回の旅は、毎日いい天気に恵まれて、嬉しくなります。

城崎温泉駅には、特急こうのとりが停まっていました。
幸せと赤ちゃんを運んでくれそうな名前。これに乗れば、新大阪まで一本です。



昨夜の宿主さんが「城崎の橋を渡った辺りがとてもきれいな入江だよ」と教えてくれました。
ここは楽々浦。ささうらと読みます。
結和橋を渡って、円山川の対岸へと移るときの気持ちよさ。
う~ん、爽やか。窓を開けて、車の中に風をいっぱいに入れました。



結和橋の上からは、こんな光景が見えました。
日本海にほど近いこの辺りは円山川がつくった肥沃な土地。自然の恵みを存分に受けた場所です。



この近くには、『まんが日本昔ばなし』にも登場した、願い事をひとつだけ聞いてくれるという鼻かけ地蔵が祀られているそうです。
・・・子供の頃、その回を見たの覚えていますよ!本当にいるお地蔵さんだったなんて、すごい!

--------------------------------------------------------
● 玄武洞公園

城崎からずっと円山川ぞいに上っていき、山裾にある玄武洞公園に行きました。



国の天然記念物に指定されているという玄武洞は、160万年前の火山活動で流出した溶岩が急速に冷え固まってできたもの。
マグマが冷え固まってできた35mの柱状節理が70mにわたって続いている、なんとも不思議な地形。
理科の授業で地学を選択した私たちには、とても気になる場所です。



ここはジオパークに認定されてから、観光客が激増えたため、ガイドを置くようになったそうです。
ちょうど9時になり、係の人が案内をしてくれました。
目の前にそびえ立つ見慣れぬ岸壁に、足が止まります。うわあ、なんでしょう、ここは。
目を見開いて見入りました。(口も開いていたかもしれません…)



迫り来る岩はもちろん「玄武岩」です。地学の授業を思い出すわ~。
(だから「玄武洞」なのね)と思いましたが、そもそもは「玄武洞」を構成する岩であるため、「玄武岩」と名付けられたとのこと。
命名の順序が逆だったんですね。



ここが玄武洞と命名されたのは1807年、玄武岩の名称が生まれたのが1884年。
じつに80年ほどの差があります。
そして私は今、「玄武岩とは、四神の"北の玄武"から取られた名前なのね~」と気づきました。(遅い)

玄武洞から青龍洞へと向かう道に、祠がありました。
不動明王がお祀りされています。
(玄ブドウだから、フドウ明王なのかしら?)と思いましたが、口にしたら花音に鼻で笑われそうなので、黙っていました。



こちらは青龍洞。五角形や六角形の角柱の玄武岩が積み重なり、大きな岸壁となってせりあがって向かってくるような大迫力。
うねりのある岩紋は今にも動き出しそうで、思わず後ずさりしてしまいます。
また違う感じの柱状節理で、玄武洞の方が迫力がありますが、青龍洞には、より美しさを感じました。



ここには玄武洞だけでなく、北朱雀、南朱雀、白虎、玄武、青龍と四神の名になぞらえた5つの洞窟が並んでいますが、北朱雀、南朱雀、白虎の3つは、足場が悪くて見られませんでした。
ざんね~ん!でも、玄武と青龍だけでも迫力満点で、かなりおなかいっぱいです。
初めて見る光景で、自然の威容を目の当たりにして、ただ圧倒されるばかりでした。



朝早いながらも団体客が続々と訪れて、ガイドの説明に耳を傾けていました。
ここには、対岸から船をわたって訪れることもできるのだそう。
すてき!いつか試してみたいです。



--------------------------------------------------------
● 此隅山

豊岡に向かう途中、標高140メートルの此隅山(このすみやま)を通り過ぎました。



ここには、中世の山城、此隅山城跡があります。但馬を本拠地にして活躍した守護大名、山名氏の本城で、1467年の応仁の乱の時には、山名宗全がここから京都へ出陣したお城。
室町時代に隆盛を極めたものの、戦国時代の1569年に、織田信長の命を受けた羽柴秀吉に攻められて落城しました。
今では石垣の遺構のみが残り、国の史跡に指定されています。



応仁の乱といえば山名宗全。11カ国の守護を兼ねて全国の6分の1を治め、「六分の一殿」と呼ばれたほどの人物です。
うかつにも私、山名氏は京都の人だと思っていました。
但馬の武将だったとはー!まだまだ勉強が足りません。
彼はここから一路京都に向けて挙兵したわけですね。
わ~、気になるじゃないですかー!
がぜん、歴女スイッチが入った私。登りたかったのですが、今回は見るだけとなりました。

--------------------------------------------------------
● 出石神社(一の宮)

但馬国の一の宮、出石神社に着きました。
ここは、「古事記」や[日本書紀」にも記載があるほど歴史の古い神社。
但馬地方の守護大名、山名氏の尊崇が厚かったそうです。
御祭神は、天日槍(あめのひぼこ)命。あまり耳にしない珍しい神様ですが、但馬開発の祖神として、朝鮮半島から日本に渡来した人々が信仰した神様だそうです。



紅葉が美しく、社殿の朱色に生映えていました。



拝殿の前には、靴が沢山並んでいました。
中で七五三の御祈祷が行われています。
私は、木造の神殿狛犬がいることに気がついて、小躍りしながらも、静かに撮影しました。
俯き加減の、なんだかちょっと反省モードの狛犬でした。
(下の画像の中にいるんですよ。見えますか?)
あとで狛犬の本を読んだところ、この狛犬はなかなか有名なようです。
神殿狛犬サイズには少し大きすぎるため、中ではなく、拝殿の縁に置かれているとのことです。



七五三参りに着飾った子供たちがたくさんおり、境内は明るく賑わっていました。
この時期の神社って、紅葉もきれいだし、七五三も華やかだし、境内全体が幸せムード。
訪れるのにとってもいい頃合いですね。



その後、城下町出石の名物皿蕎麦をいただきました。
これは二人分の10皿ですよ。一人でペロリじゃありません。(ちゃんと書いておかなくちゃ)
食べやすいサイズで、男性のお客さんは、こぞって追加注文していました。



おいしいお蕎麦に満足したあとは、山陰海岸ジオパークを離れ、一路京都の方へと抜けました。

● epilogue

今回、初めて訪れた山陰海岸ジオパーク。
豊かな自然が織りなす土地の恵みを、味わいました。
因幡の白兎の神話に沿った場所を尋ねられたのも、楽しい思い出です。

「鳥取二十世紀梨洋風煎餅」と「因幡の白うさぎ」、そして城崎の「カニもなか」を、自分用とおみやげ用に書いました。







ウサギとカメならぬ、ウサギとカニの恵みを受けた、今回の山陰海岸。
見どころがたくさんある、魅力に満ちた場所でした。
瞼を閉じると、あのどこまでも続く美しい海岸線が浮かんできます。
まだまだ見きれなかったところはたくさんあるので、ぜひ、また訪れたいと思います。

     ----------------------------------------------
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 index
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 1st day [鳥取]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 2nd day-(1) [鳥取]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 2nd day-(2) [鳥取→竹野]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 2nd day-(3) [竹野→城崎]

ウサギとカニに出逢う旅(山陰海岸ジオパーク) 2-(3) [竹野]

2013-11-16 | 中国(山陰)
● 佐津駅
● さづっ子橋
● 佐津湾(G)
● 安木海水浴場(G)
● 竹野海岸(G)
● 鷹野神社(G)
● 鋳物師戻峠
● 城崎温泉(G)
● 城崎のカニビール

2-(2)からの続きです。

--------------------------------------------------------
● 佐津駅

今子浦から5.5キロの佐津まで来ました。山陰本線の無人駅です。
兵庫県最北端の駅なんだそう。



そういえば兵庫って、普段はあまり意識していませんが、南は太平洋、北は瀬戸内海に面している、実は南北に長い県なんですよね。
バラエティに富んだ自然やグルメが楽しめそうです。

--------------------------------------------------------
● さづっ子橋

この画像からは見えにくいですが、線路の向こうの赤い橋は、ワイヤーがかかっている吊り橋。
さづっ子橋と呼ばれているそうです。
歩道橋で、夜にはライトアップするんだそう。ああ、歩いてみたーい!



--------------------------------------------------------
● 佐津湾

起伏を上がると、佐津湾が眼下に見えてきました。
佐津海水浴場を西に、安木海水浴場を東に擁する、ぜいたくな地形の湾。
湾の向こう側には、鍋滝洞門があります。見えそうな、見えなさそうな・・・



こんもりとした山が、くじらのように見えました。



--------------------------------------------------------
● 安木海水浴場



佐津湾の東側にある安木海水浴場です。
坂を下って、海岸線と同じ高さまで戻ってきました。
これまではごつごつした岩肌が続きましたが、ここには砂浜が広がってまさにビーチです。
この辺りの複雑な海岸線には、岩浜と砂浜、どちらもあることに、改めて驚きます。



ここから再び道は海岸を離れ、香住から豊岡市の竹野に入っていきます。

--------------------------------------------------------
● 竹野海岸

佐津から10キロ近くのところにある竹野に着きました。
ここでもまた、風光明媚な美しい海が望めます。



兵庫県の最北端にある、猫崎半島の東側に広がる海岸。
関西でも有名なビーチなんだそうです。



夏は海水浴客で大賑わいだっただろう浜辺も、この季節になるともう誰もいません。
今はもう秋 誰もいない海~♪



静かな景観をじっくりと味わいます。
夕暮れ時の海は、翳りゆく陽の光で刻々と雰囲気が変わっていき、いくら見ても見飽きませんでした。



--------------------------------------------------------
● 鷹野神社

竹野町に入り、ジオパークに入っている鷹野神社を参拝しました。
延喜式神名帳に載っている古社ながら、割とこぢんまりしていました。



町の人々に「浜の天神さん」と呼ばれているとのこと。
たしかに、大きな撫で牛の像がいました。
学業成就の神様ですが、頭の神様ということで「マトモな頭になりますように」「ボケませんように」と、二人でせっせと牛さんを撫でさすってきました。



主祭神は武甕槌神。あれ、武甕槌神といったら、鹿島神宮の神様と一緒ですね。
この辺りは、大国主命をはじめとした出雲の国つ神のお膝元。
その力をバランスよく鎮めるために、天つ神をお祀りしているそうです。
神様のパワーバランスなんて、壮大すぎる話だわ・・・

--------------------------------------------------------
● 鋳物師戻峠

それからは、11号の海岸線をそれて9号線を走ります。
途中、「鋳物師戻峠」という峠にさしかかりました。



「いもじ・もどし・とうげ」と、つい二人で声に出して読んでみます。
うーん、すごい名前ですねえ。早口ではとても言えなさそう。
鋳物師が、諦めて戻ってしまうほど急な坂という意味なんでしょう。
カナモノ取り扱い職人の彼らは背負っている商売道具が重そうですからね。

後で調べてみたら、「その昔、京の鋳物師がこの峠で大地震に出合い頭上の大岩が揺れるのを見て恐ろしくなり、後戻りに逃げ帰ったという話によるとつたえられている。」という由来がありました。
心臓破りの峠というわけではなさそうです。
その大岩は、今でもあるんだとか。
今でも、落ちないでまだ残っているんですから、鋳物師はそのまま進んでも大丈夫だったようですね。

--------------------------------------------------------
● 城崎温泉



暗くなってから、この日の宿のある城崎温泉に到着しました。
蟹の季節の土曜日ということで、町全体が賑わっています。



外湯めぐりで知られる城崎温泉は、1400年前にコウノトリが発見したと伝えられる、歴史ある温泉街。
1400年前って~!驚きです。
7つの外湯(さとの湯、地蔵湯、柳湯、一の湯、御所湯、まんだら湯、鴻の湯)があり、それぞれに由来と歴史があります。



川沿いにのんびり城崎散策をして、王の橋を渡ったところにある一の湯に入ることにしました。
歌舞伎座を思い出させるような建物で、『千と千尋の神隠し』の世界に来たような気になります。

温泉から上がってきた人が脱衣所で口々に「あっついやねー」と言っているので、予想はしていましたが、かなり熱いお湯でした。
源泉が熱くて、それに水を足しているのだそう。それでもまだ熱いのです。
長居ができないので、外湯めぐりには向いているのでしょう。
露天の洞窟風呂であたたまり、ほかほかになって上がりました。

宿の夕食はドイツ風。ボリュームたっぷりでした。



--------------------------------------------------------
● 城崎のカニビール

城崎の地ビールで「カニビール」なるものがあると知りました。
「どうする・・・?」「気になるね・・・」「じゃあ、飲んじゃおう!」と、花音と乾杯しました。
ラベルに白いポツポツがついているデザインは、「雪のビール」という名前のためでしょう。



(カニの味がするビールってことかな?)と、こわごわと飲んでみましたが、そんなことはありません。
「カニ」に合うビールとして開発されたものだということで、たしかに食事に合わせやすそうな味でした。
スッキリとして飲みやすかったです。

気がつけばこの日は、鯉の絵が描かれたぶちコーヒーとか、蟹の絵が描かれたカニビールとか、一見ドキーンとするおもしろい土地の飲みものをいただいた日でした。
旅の醍醐味はチャレンジなり~!
海岸線をたどってきたから、魚や海産物の絵に引き寄せられるのかもしれませんね。

ジオパーク3日目に続きます。

     ----------------------------------------------
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 index
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 1st day [鳥取]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 2nd day-(1) [鳥取]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 2nd day-(2) [鳥取→竹野]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 3rd day [城崎→出石]

ウサギとカニに出逢う旅(山陰海岸ジオパーク) 2-(2) [香住]

2013-11-16 | 中国(山陰)
● ジオパークロード
● 浦富海岸(G)
● 中国地方限定GEORGIA
● 余部橋梁(G)
● 下浜(G)
● 香住港(G)
● 今子浦(G)
● 柴山港(G)
● かに一番館のカニ爪
● 佐古谷湾(G)

この日は鳥取市内のジオパークを訪れたのちに若桜に行き、そしてまたジオパーク内に入りました。
若桜から山を超えて但馬方面に行く予定を、道路事情により、鳥取に戻って海沿いに城崎に向かうプランに変更。
そうしたことで、海岸線に多くあるジオパークを、予定以上に訪れることができるようになりました。
    
--------------------------------------------------------
● ジオパークロード

道路を走っていて、「山陰海岸ジオパーク」という標識に目が留まりました。
ふたたびジオパーク内に戻ってきたのです。



さらに「ジオパークロード」という標識もあります。
その名もジオパークロードっていうんですね。なんてわかりやすいんでしょう。
この道を走っていたら、迷うことなくジオパークに辿り着けるんですから。



--------------------------------------------------------
● 浦富海岸

到着したのは、178号線(ジオパークロード)上にある、浦富海岸。
明治27年に開場した、古い歴史を持つビーチです。
向こうに見えるのは、羽尾岬です。



親から強く推薦されていたものの、今回訪れないつもりだった浦富海岸に寄ることができました。
この辺りの遊覧船巡りが印象に強く残っているそうですが、それはまた次の機会にします。
浜辺では、ウェットスーツ姿の4人家族が仲良さそうに写真を撮っていました。



ジオパークロードを実際に通ってみると、海岸線に起伏があって、面白いルート。
アップダウンの激しいくねくね道が延々と続いていきます。
普通はみんな9号線を通るようですが、私たちは海岸沿いの178号線を通っていくことにします。

--------------------------------------------------------
● 中国地方限定GEORGIA

ビーチの風が少し冷たかったので、なにか飲んで温まろうと自動販売機のところに行ったら、見たことのないGEORGIAがありました。
赤地に金の鯉の絵に、大きく金字で「ぶち」と書かれています。
中国地方限定のGEORGIAだそうです。
「甘味しっかり、ぶちウマッ!」と書かれていました。



魚の絵の缶コーヒーが珍しくて、一瞬、名古屋のシャチホコかと思いましたが、それに近い感じでしょうね。
見るからに景気が良さそうなデザインだわ~。
ほかの地方でも売られてもいいのに。
海を見ながら飲むのにぴったりの絵柄です。
「ところで"ぶち"って、veryって意味なのかな?」「プチじゃないよね?」と言いながら、飲んだお味は、ぶちウマかったです。

--------------------------------------------------------
● 余部橋梁

道沿いに走って、余部橋梁にたどり着きました。
平成22年に新たに架け替えられたコンクリートの橋が、はるか頭上を通っています。
見上げていると、首が痛くなりそうな高さ。
そのたもとには、客車転落事故犠牲者の慰霊観音菩薩が立っていました。



明治45年に完成されたかつての橋は、今では数個の橋脚のみ保存され、眺望をのぞめる「空の駅」となっています。



この赤い鉄橋が、かつての余部橋梁。その大きさと高さには驚くばかりでした。
こんなに高いところを、電車は通っているんですね。
高所恐怖症の人は、崖の上にあるような餘部駅にはたどり着けませんね。



前の晩、カニづくし料理を食べてはいますが、(せっかくなので、なにかカニっぽいものを軽く食べたいな)と思います。
道の駅あまるべで、かにクリームコロッケを食べました。
注文してから揚げてくれるので、あつあつ・サクサク・ジューシーでした。

--------------------------------------------------------
● 下浜

178号線は、余部から少し海岸線を離れて内地側を走り、下浜の辺りからまた海沿いになります。
光の加減で、島が那智勝島のラクダ島のように見えました。



美しいリアス式の海岸線が延々と続きます。刻々と表情が変わる光景から目が離せません。



--------------------------------------------------------
● 香住港

余部から8キロ先にある香住港に着きました。
港には活気があり、漁船が何隻も停泊しています。
おいしいカニやアワビといった魚介類がたくさん採れるんでしょうね~。



港近くの米粉神社の前を通りました。
地図を見て、気になっていたこの神社。
「米粉神社って、どういう由来なのかな?」
「あの、お米の粉のこと?」
お米関係者が参拝に訪れるのかしら?う~ん、気になります。



--------------------------------------------------------
● 今子浦

香住から3キロ東に進み、絶景として名高い今子浦に着きました。
左側に見えるのが白石島、右側に出っ張っているのがかえる島、その手前にあるのが黒島。
「そう思ってみると、それらしく見えてくる気がするような?」「う、うーん」
画像の角度からは繋がっているように見えますが、みんな島です。



--------------------------------------------------------
● 柴山港

傾いた西日がまっすぐに海を照らして、キラキラと輝いていました。
あまりの美しさに息をのみ、二人とも言葉を失います。
まさに絵のような光景でした。



--------------------------------------------------------
● かに一番館のカニ爪

柴山駅そばを通った時、巨大な赤いものが道路の向こうに見えてきました。
だんだん近づいてくるそれは、大きなカニ爪だとわかりました。
「かに一番館」と書いてあります。但馬漁業協同組合柴山支所の直営店だそうです。
かなりのインパクトでしたが、完全にブレてしまって、残念~。



この辺りには柴山温泉があるとのこと。温泉も湧くなんて、ゆっくりしてみたい場所です。

--------------------------------------------------------
● 佐古谷湾

柴山を過ぎてから、また山の方へと道は入り、トンネルを抜けて視界が開けたところはまた湾でした。
車からチラッと見えます。
地元の人も、よく見ている割にあまり知らないという、佐古谷湾(さこんだにわん)。



真ん中に見える島は、鬼ヶ島と呼ばれているそうです。
あんまり鬼が住んでいるようには見えませんけれどね。



2-(3)に続きます。

     ----------------------------------------------
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 index
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 1st day [鳥取]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 2nd day-(1) [鳥取]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 2nd day-(3) [竹野→城崎]
     ◆ 山陰海岸ジオパーク旅行 3rd day [城崎→出石]

山陰1200キロ横断ドライブ 3 [若桜]

2013-11-16 | 中国(山陰)
● 福本白兎神社
● 若桜鉄道 若桜駅
● 遠見峠のぼりかけ
● 江嶋神社(若桜弁財天)
● 若桜神社
● 国道482号の悲劇

山陰3日目には、鳥取市内のジオパーク内から若桜に向かいました。

--------------------------------------------------------
● 福本白兎神社
 
鳥取市から南下して、八頭町を訪れました。
因美線がゴトゴトと走っていく、のんびりした場所。
その畑の中に、この福本白兎神社がありました。
近くで農作業をしているおじいさんやおばあさんが、一休みするついでにお参りをするような、土地に根ざした神社。
小さいながらも丁寧に祀られている、村の神社の雰囲気が好きです。



ここにも、白兎海岸前の白兎神社と同じく、因幡の白兎大明神が祀られているため、ぜひ訪れたいと思っていた場所です。
鳥居をくぐると、いかにも新しいウサギの像が、左右にありました。
「わあ、かわいい!」と花音。
「でも阿吽じゃないから、これは狛犬代わりじゃないわ」とむくれる私。
「また狛犬。病膏肓に入る・・・」「なにか言った?」「いえなんでも」



由緒書きを読むと、創設は840年と伝えられているんだそうな。
なんて古い歴史を持つんでしょう!
そして白兎の神様は、なんて長い間、人々に大切にお祀りされてきたんでしょう。

参拝者は、扉を開けて良いと書かれていたので、そろそろと開けてお参りしました。
畑の道を戻って車に乗り込む時に振り返ると、ほかにも地図を見ながら参拝にきていた人がいました。



道路沿いに、迫力のある山肌が見えました。
これはすごいですね。ジオパークっぽいです。





--------------------------------------------------------
● 若桜鉄道 若桜駅

それからさらに南下して、若桜町に着きました。
若桜(ワカサ)とは、きれいな名前ですね。
かつて、播磨や伊瀬への道として栄えた若桜街道沿いの宿場町があった場所です。
若桜鉄道が通っており、バイク好きの聖地、隼駅があると聞いたことがあります。
燕駅とか、蕨駅とか、動物の名前の駅名が好きな私。
(植物のワラビじゃなくて、ワラビー扱いですよ!)
もちろん隼駅という名前も好きです。



到着したのは、若桜鉄道始発の若桜駅でした。
ここには汽車が停まっており、味のある、使い込まれた木の待合室があります。
鉄子の花音は、前に乗ったことがある、好きな鉄道なんだそう。
(応援のあかしに)と、寄付をしていました。



ここには手動式の転車台があり、鉄道ファンが、線路内部に入って、見学していました。
ローカル電車は、どこも運営が大変だとのことですが、ここは根強いファンが多そう。
みんなに支えられて、これからも存続していってほしいものです。



--------------------------------------------------------
● 遠見峠のぼりかけ

今回、若桜を訪れたのは、「因幡伯耆國 開運八社巡り」のためです。
毎年の干支にちなんだ神社が、八社にもう一社加えられ、全部で九社を巡るようになっています。
今年は巳年。弁天様として、この土地にある若桜弁財天が加わっているのです。

神社は山の中にあり、わかりにくそうな道だったため、駅前の観光案内所の人に行き方を聞きました。
教えてもらった看板を見つけたので、「ここで曲がるのね」とハンドルを切って、山道をずんずん進みます。
どんどん細い山道になっていって、心細くなってきました。
でも、事前に観光案内所で場所を聞いた時に、係の人が「不安になるけれど大丈夫ですから」と言っていたことを思い出して、「なら大丈夫だね」とそのまま進みました。
急な勾配をずっとアクセルを踏みながら、カーブを切って進んでいきます。



すると、とつぜん舗装道路が終わりになっていました。
近くには、車が一台停まっています。
ただし、標識は一切ありません。



とりあえず、そこに車を停めて、今度は足で登り始めました。
けれど、行けども行けども標識はなく、倒木があったり溝があったりして、どんどん荒れた道になるばかりだったたため、しばらく行ったものの、あきらめて戻ることにしました。
見渡すかぎり、ひと気を感じられない、完全な山の中に入っていました。
アドベンチャーすぎるわ!



車に戻り、「ほかに道はあったかしら?」と山中に目を凝らしながら気をつけながら降りていくと、先ほどの看板があったところで、曲がるべき道を間違えていたことに気がつきました。
あのまま進んでいたら、遠見峠を越えていたようです。
丸腰のままじゃ、もう帰ってこれないわ~。

かなり緊張しました。
ふう。(こわくてコリゴリ)という気持ちをお互いに抱えていますが、弁天様に行くためには、同じようで違う違う山の中の道をまた行かなくてはなりません。
仕切り直しです。今度は間違えませんように。
弁天社への道は、やはり鬱蒼とした急勾配の山の中でした。
道に落ちた木の枝を掃いている男性を見かけたので、その人に聞いて、この道でいいと教えてもらってひと安心。
「どこから来たのか」と土地の言葉で聞かれ、「東京から」と答えたら、驚かれました。

--------------------------------------------------------
● 江嶋神社(若桜弁財天)



行き着いた先には鳥居があり、そこからは歩いて行くことになります。
この辺りの杉の木には、白文字でメッセージや情報が書かれています。
都心なら、子供やヤンキーが真似をして、いたずら書きしそうですが、そんな悪い人はいないのでしょうか。



ここは、若桜弁財天というのは通称で、正式名称は江嶋神社といいます。
御祭神は、市杵島姫命(いちぎしまひめ)。
山の中に「嶋」という名前がつくのも不思議で、やっぱり「江ノ島の弁天様と関係があるんじゃないかな」と思います。
かなり距離が離れていますけれどね。



石段は結構急で、ゼイゼイ息が切れます。足が重いわ。
でも、流れ落ちる水はとてもきれい。
途中で狛犬がいたので、元気を奮い起こして、ようやく登り切りました。



そこには弁天社があり、ここでスタンプを押します。
ふー、これでやっとスタンプが一つ増えました。



なんてハードな開運巡り。二人で心身ともに消耗しました。
「兎年なら、白兎神社だったんですって」「えー、そっちだったらずっと楽だったのに・・・」

それでも、ここを参拝できてよかったです。
大変な思いをして参拝したという気持ちが強いますが、人里離れたこの場所は、あふれるばかりの豊かな自然に満ち満ちていて、これこそが本当のパワースポットだと感じました。
近世以前は社殿はなく、「弁天岩」という大きな岩がご神体だったとのこと。
そういう、プリミティブなお社が好きです。
こういう機会がないと、知り得なかった場所ですから、ご縁に感謝。

帰り道、下って行くと、ずいぶん離れた先に一の鳥居がありました。
由緒の正しさを感じました。

--------------------------------------------------------
● 若桜神社



江嶋神社から山を下ったところにある神社。ここにもスタンプがあったので、(ここも開運神社だったかな)といったん車に戻って手ぬぐいをもってきましたが、スタンプは江島神社(若桜弁財天)と同じものでした。
入口近にくは、今参拝してきたばかりの江島神社の分社もあります。
あのハードな山奥まで行けない人のために、ここにしつらえているのだろうと思います。



さっきの弁天様で、かなり足腰がくたびれましたが、この神社にもまた、すごい石段がそびえたっていました。
「どうする?」と、ガクガク足同士で相談します。
階段途中には、出雲尾立ちの狛犬がいたので、「とりあえずはあそこまで」と登り始め、結局上までがんばって登りました。
そうしたら、上にも狛犬がいたため、喜びます。必死に上がってよかったわ。



中はがらんどうになっているお社。



龍の木彫が見事です。



敷地は広く、紅葉が美しい場所。
参拝者はほぼ皆無で、紅葉を二人占めしているのが、とてもゼイタクに感じます。
境内を流れる川べりで熱心に撮影をしている人が遠くに見えました。



隣のお寺の三門に、シャチホコがいて、ゴージャスでした。



--------------------------------------------------------
● 国道482号の悲劇

さて、これで若桜を離れます。
これからは国道482号を通って、小代に入り、但馬牛を食べる予定。
ランチの時間に間に合うようにと向かった途中、花音が「ちょっと待って」と言いました。
「今、電光板に通行止めの表示が出ていたの」ということで、彼女が調べる間、車を止めて待ちます。
ネット検索ではらちが明かないようなので、若桜の道の駅に行って確認しようということになりました。

調べてみると、やはり482号は土砂崩れのために、一般車両通行止めだそうです。
なんということでしょう!
しかもその不通は、昨日今日の事故によるものではなく、もう1年近く通れない道となっているのだとか。
なんということでしょう!
綿密にプランを練ってきたはずでしたが、通行止めの情報は入手していませんでした・・・。
二人で肩を落とします。ほかに山越えの迂回ルートはありません。
この日は城崎温泉に宿泊予定。なんとか夕方までに着かないと。

「残念だけど、予定を大幅に変更して、いったん鳥取まで戻るしか無いね」と花音。
ほんとうに残念です。国道482号沿いの棚田や小代物産館、(但馬大仏長楽寺、かすみ・矢田川温泉)に行く予定だったんですが。
でも、旅の予定は変わるもの。気持ちを切り替えていくことも大切です。



とりあえずは、昼の時間をずらさないよう、この若桜駅の隣にある、道の駅「若桜 桜ん坊」でお昼にしました。
腹が減っては、戦ができぬ!
但馬牛ではなく、チキンと、古代米のおにぎりの昼食。



古代米は、健康に良さそう。噛みごたえがありました。



道の駅には「若桜町まちづくり支援自販機」がありました。売上の一部が町に入る仕組みになっているようです。
その横には、「森の贅沢ジビエフェア」の旗が。
旗には、両手をつないだ鹿と猪のマークが描かれていました。
確かにこの辺りなら、ジビエを楽しめるでしょうね。それもいいなあ。



この辺りは柿が名産らしく、至るところに柿の木がたわわに実を下げて、風景に色を添えていました。



--------------------------------------------------------

次は再び鳥取に戻り、海沿いの浦富・香住のジオパークへと向かいます。

   -------------------------------------------------
     ◆ 2013 山陰旅行 index
     ◆ 1st day-(1) [米子→出雲]
     ◆ 1st day-(2) [出雲→米子]
     ◆ 2nd day-(1) [米子→大山]
     ◆ 2nd day-(2) [倉吉→鳥取]
      (本日の話はここ)
     ◆ 4th day-(2) [宮津→伊根]
     ◆ 5th day-(1) [伊根→丹波]
     ◆ 5th day-(2) [柏原→篠山]
     ◆ 6th day-(1) [篠山→加西]
     ◆ 6th day-(2) [加西→米子]