風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

紅葉の京都・奈良旅行1

2012-11-23 | 近畿(京都・滋賀)
○ prologue
○ 大原(実光院、勝林院、宝泉院)
○ 赤山禅院「数珠供養」
○ 上賀茂神社「鎧着初め式」「新嘗祭」
○ 深泥池
○ 半木の路
○ 法然院・安楽寺
○ 金戒光明寺・真如堂
○ 外国の京都観光者
○ この日のお気に入り

○ prologue

もはや毎秋恒例となっている京都旅行。3連休のうち1日は奈良に行こうと計画していますが、京都でのプランは特に立てずに出発しました。

初日、京都に降り立つと、小雨が降っており、空もどんより。京都タワーも灰色です。
天気の悪さに、なかなかスタートエンジンがかからず、気付けば9時近くになってしまいました。

この日に奈良観光をするつもりで、京都駅で「奈良・斑鳩1dayチケット」を買おうとしたところ、近鉄では売っていないと教えられました。
地下鉄版ならありますが、私がほしい京阪版は、出町柳辺りまで行かないとだめだそうです。
移動時間を惜しんで、奈良は最終日にし、この日は急遽京都観光をすることにしました。

京都のガイドブックは荷物と一緒に預けてしまって手元にありません。
でも、これまで何度も旅しているので、なんとかなるでしょう。

もう出勤時間ですが、メトロの京都駅で降りる人は誰もいませんでした。代わりに、四条駅でゴッソリ人が降ります。
京都駅で働く人や、電車で出勤する人は少ないんだろうなあと思います。

○ 大原(実行院、勝林院、宝泉院)



奈良のつもりだったため、すぐには京都を観光する気分になっていません。
京都モードにシフトチェンジできるところにしよう、と向かったのは、大原でした。



三千院参道を通って、実光院、勝林院、宝泉院を巡りました。



堂々とした本堂の勝林院は、比叡山の僧侶と浄土宗の法然との宗論(大原問答)が行われた天台宗の寺院です。



紅葉が程良く色づいており、昔そのままののんびりした日本の農村風景に癒されます。
お地蔵さんの横には「一粒の米の大切さを忘れぬよう、日々食することに感謝を!!」と書いてありました。



「京都~大原三千院~♪」でおなじみ、「女ひとり」の歌詞もありました。



お寺もいいですが、このあたりの静かな田園光景にはほっとします。細道をゆっくり歩いていたら、すっかり京都気分になりました。
気持ちの切り替えもできたところで、大原を後にします。



大原は市街地から離れているため、中心地ほどの混雑はないものの、三連休とあってバスには長蛇の列ができています。
行き先にこだわらず、来たバスに乗りこみました。
画像は、谷瀬の辺りの紅葉です。



この日は赤山禅院で、年に一度の数珠供養が行われることを思い出して、行ってみることにしました。

○ 赤山禅院「数珠供養」

バス路線図を見て、一番近そうな「宝ヶ池」で降りましたが、そこからの道がまったくわかりません。
すぐそばに叡電の宝ヶ池駅がありましたが、無人の上に近隣地図がないため、手掛かりがなく大いに困りました。
ちょうど、そばのダスキン会社の駐車場の車から人がぞろぞろ降りてきたため、聞いてみましたが、誰も知りません。
近くの人でも、意外にわからないものなんですね。それともマイナーなお寺なんでしょうか。

業務用の細かい地図を取り出して、探してくれました。
「たしか修学院の隣にあるんです」と言いましたが、この辺り一帯が「修学院○○」という住所なので、さっぱり絞り切れません。
そこに、会社の女性が来て「隣の駅が最寄りよ」と教えてくれたため、ちょうど来たバスに飛び乗りました。
運転手さんに聞いたら、次のバス停だということで、降りて歩きました。
以前来た道と同じになったので、そこからは迷わずに行けました。



ここの紅葉はとてもきれい。山の中のお寺で、あまり観光地化されていない閑静な雰囲気が心地いいです。





前回訪れた時は、閑散としていたお寺でしたが、数珠供養日ということで、この日は信徒さんであふれかえっており、駐車場はいっぱいでした。
茅の輪ならぬ、大きな数珠の輪をくぐりぬけて参拝します。





ここは比叡山延暦寺の別院なので、比叡山の大阿闍梨がありがたいお話を聞かせてくれていましたが、大混雑していたため、邪魔にならないよう、お参りだけして後にします。
日本中から送られてきたお焚き上げ用の数珠が、たくさんダンボール箱に詰められていました。



敷地の奥にある羅漢石仏には、黄色い銀杏の葉がかかっており、ひっそりとして趣がありました。



○ 上賀茂神社「鎧着初め式」「新嘗祭」

京都中心部の北の方にいるため、次は西方面の上賀茂神社に行ってみようと思いました。
出町柳そばにある下鴨神社は、便も良くて行きやすいのですが、上賀茂神社はぐっと上になるため、下鴨神社ほどお参りできていない気がします。



到着し、さあ参拝しようと鳥居の前にさしかかると、遠くから行列がしずしずと近づいてきました。
みんな鎧装束で、出陣前といったいでたち。こういう格好の武者たちを観るのは初めてで、目を見張ります。



「鎧着初め式」がちょうど始まったところでした。
たまたまその場にいられるなんて、ラッキー。成人男子のあとには小さな子供たちもそれぞれ体にあった鎧を身にまとって、行列を成しています。
七五三よりは年上といった年齢でしょうか。



大人も女の子もおり、外国人女性の姿もありました。
こういう行事もあるんですね。



神殿には、みずみずしく青々とした野菜が供えられており、「新嘗祭」という看板が立っていました。
そういえば今日は新嘗祭の日でもありました。



ちょうどいい日に参拝したことになります。
奈良に行かなくて、結果オーライだったかも。





変わらない明神川の清いせせらぎに、ほっとしました。







○ 深泥池

周辺地図をみると、東の方に貴船神社がありました。
鞍馬とはまた別の場所に貴船神社があるのが気になって、行ってみることにしましたが、見つからないままバス通りに出たため、今度はバス停にもある深泥池(みぞろがいけ)に行こうと思いました。
ここは日本を代表する心霊スポットとして知られているそうで、これまで怖くて近寄れずにいました。
バスで通りかかるたびに、いつも緊張していましたが、上賀茂神社にお参りをして心身が澄み切っている今なら、ミステリースポットも大丈夫そう。
それでも、野菜直売所のおばあさんに道を聞いたら「え?池に行きたいの?」とゆっくり念押しされたので、(やっぱりアレなのかしら?)と不安になりました。



池は、傾斜のきつい曲がり角のところにありました。急カーブの車道は、池のせいでしょうか?
交通量も多いため、これは油断をすると、池に落ちるなどの事故につながりそうです。
面積約9haの池自体は自然環境がよく、国の天然記念物に指定されています。



見た感じ、もの静かな池で、名前からイメージされる恐ろしさとは無縁のようですが、水深5mの表示を見つけて(湖面は静かなのに、実は立てない深さだなんて、こわい~)とひやりとしました。
池の底が何層にもなっている底なし沼だと言われているそうです。
あまり長居はせず、やってきたバスに飛び乗りました。

○ 半木(なからぎ)の路

次に半木の路を歩こうと、「植物園前」で降りました。
賀茂川の北大路橋と北山大橋の間の、左岸散策路のことで、「半木」とは、かつて川の隣にあった神社の名前に由来しているそうです。



春は桜の名所だそうですが、今は落ち着いた散策路で、市民の憩いの場所となっていました。



石橋を伝って対岸へと渡ります。
真ん中で足を止めると、まるで賀茂川の中にいるような気分になりました。



○ 法然院・安楽寺

東山へと向かいます。京都に来たらかかさず訪れている場所です。
ツタのからまるおしゃれな洋館にうっとり。個人宅を喫茶店にしているそうです。



いつも静かな環境なのに、今回はツアー団体客も来ていて、押すな押すなの大混雑。
これほどまでにここで人を観たことは今までなかったため、驚きました。
人を入れないように写真を写すのが大変。







隣の安楽寺は、これまで開いていたことがなかったのに、今回はわりと長めの秋の公開期間を設けていました。
ここで有名な入口の石段の落ち紅葉はきれいに片づけられており、残念ながら見られませんでした。



霊鑑寺も駐車場に誘導の人がついていました。
毎年毎年、少しずつ変わっていくものですね。

○ 金戒光明寺・真如堂

それから金戒光明寺と真如堂へ向かいました。
光明寺の山門はまだ工事中で覆いがかかっています。来年秋に完成予定だそうで、あと一年の辛抱です。









高台にある真如堂は日当たりがよい場所なのか、紅葉はもう散り際でした。
そこからさらに永観堂まで行きたかったのですが、やってくるバスがどれもぎゅうぎゅうで、ネズミ一匹乗れなさそうだったため、あきらめて反対側のバス停に行きました。

4時半くらいになると、閉まるお寺が多くなり、閉山間際にあせって駆け込みたくないからです。
下鴨神社に行こうと思いましたが、けっこう暗くなってきたので、これはこわいとあきらめて、北王子駅から地下鉄で京都駅に戻りました。
宿に戻ろうとしましたが、バスが大混雑で、道路も動かない大渋滞。
駅のすぐそばなのに、なかなか着かずに大変な思いをしました。

今回は結構バスに恵まれて、どれもさほど待つことなく乗れました。
それは細かくプランを決めておらず、来たバスに飛び乗り、その路線で行き先を決めてるようにしていたからでしょう。
バスの中では、地元の人が「今年はいちょうともみじの紅葉が一緒のタイミングになったから美しいね」と言っていました。それは嬉しいわ。

○ 外国の京都観光者

旅の途中に、イギリス人のGregとフランス人のVivienと知り合いました。
彼らは2週間のバカンスをとって日本旅行中で、広島や高山も訪れたそうです。
修学院離宮と桂離宮を見学したと、iPadで画像を見せてもらって、うらやましくなりました。
ハイ、外国人旅行者をうらやましがる日本人です!(どんなん)

Gregは、「京都ではGogyoがオイシイ!もう夢中だよ!」と強く勧めてくれました。
どうやらラーメン屋[五行]のよう。「知ってるよね?」と勢いよく聞かれましたが、知りませんでした…。
写真を見て、つゆの色の濃さにビックリ。辛いようです。私はきっと食べられない~。
Vivienは、焼き鳥のIchi-banが好きなようです。

「明日もGogyoに行きたいんだけど、場所が入り組んでいてよくわからないんだ。フィッシュマーケットの近くなんだけど、知らない?」
ええっと、京都の魚市場ってどこじゃい?築地のように有名なんでしょうか?内地なので、あるのかもわかりませーん。
困りましたが、いろいろと話を聞いているうちに、どうやら錦市場のことだとわかってきました。
「大丸デパートメントストアから2本東の通り」と教えてあげられました。
ハイ、外国人旅行者に和食店をお勧めされる日本人です!(いろいろだめじゃん)

彼らは築地のフィッシュマーケットも見学したそうです。
「フィッシャーマンたちのあの指のサイン、すばやくて本当に面白かった」
ふと気になって「イギリスでは、魚はどうやって競るの?」と聞いてみました。
「オークションかな」と言われましたが、イギリスのオークションといったら、サザビーのような高級アンティーク市しか連想できません。
魚もああやってクラシカルに売りさばくんですね。

台南のリンさんともお友達になりました。
彼女は、1年間のワークホリディで、日本滞在中だとのこと。
京都には今月から3カ月いる予定らしく、「一番寒い時に…台湾は温かいのに」と同情しました。
「日本のうどんがおいしい!台湾にはないタイプだから大好き!」と感激していたので、4月からは香川での職探しをお勧めしておきました。

○ この日のお気に入り



この日いちばんのお気に入りは、この小さな神社。
前に参拝した時にしっくりきた、好きな場所です。
寺社と自分との相性や、引かれているような感じが、なんとなくわかるようになってきました。



やっぱりいろいろ慣れていると、旅もなじんだ快適があります。
京都を一人旅行すると、毎日4万歩ほど歩いて、靴をこわしてしまう私ですが、今日は3万歩もいきませんでした。
初日は、京都までの移動もあるため、少し疲れて眠さを感じます。



もうあらかた京都は行き尽くしたから、今年はどうしようかな、いい加減別の場所にしようかな、と、直前まで考えていたけれど、京都の美しい紅葉をみると、やっぱり見に来て良かったなあと思います。
寺社はほとんど参拝しているため、何もかもを網羅しようとせず、自分が好きな場所を選んでいけるというのもいい感じ。
両親も3日間の京都旅行をしていますが、今回は別々の出発となりました。
彼らは私と入れ違いで、この日が旅行最終日。お互い旅の最中ながら、メールで連絡を取り合いました。

2日目へ続きます。

トキに会いたい佐渡ヶ島 index

2012-11-18 | 中部(甲信越)


◇ 1st day 新潟、佐渡
MAXときで向かった新潟。
朱鷺メッセの展望台から、滔々と海に流れゆく信濃川を望みました。
初めて渡った佐渡島、そして開園を待つばかりのトキの森。
空を自由に羽ばたく野生化したトキに、目を奪われました。

◇ 2nd day 佐渡
朝からあいにくの大雨でしたが、予定通り見学を行います。
濡れそぼる棚田の景色もまた、雰囲気がありました。
トキとの共存を目指して作っている自然なお米。
とても遠い印象がありましたが、自然資源にあふれる豊かな島だと知った旅でした。


トキに会いたい佐渡ヶ島2

2012-11-17 | 中部(甲信越)
○ 朝風呂
○ 海岸ドライブ
○ 岩首談義所
○ 養老の滝
○ 棚田見学
○ 昼食は佐渡グルメ
○ 認証米農家と田んぼ
○ 両津郷土資料館
○ 佐渡から帰る
○ epilogue

1日目からの続きです。

○ 朝風呂

この日は朝からあいにくの雨。
部屋の目の前に加茂湖が広がります。湖に浮かんでいるのは、牡蠣筏です。





朝風呂に入り、朝食をいただきます。
トビウオのつみれ汁が出ました。トビウオを食べるのは、これが初めて。
ジェットフォイルに乗ってトビウオを食べて、自分も水の上をヒラヒラ飛べそうな気持ちになってきます。

隣室の二人は、昨日10時に寝たとのこと。
「えっ、私2時ですよ」と驚きました。
「食事の後、することなかったから」と二人。
私は10時過ぎまでゆっくりお茶を飲み、おなかが落ち着いてから再び温泉に入り、12時くらいに部屋に戻り、それから日記を書き、いただいた膨大な資料を読んでいたら、普通に2時になったんですが…。
4時間も睡眠時間が違うなんて。車の中で寝てしまわないといいけれど。

○ 海岸ドライブ

まずは南東海岸部の岩首という集落に向かいます。
1時間のドライブ。佐渡は結構大きな島なんですね。
そういえばここは沖縄の次に面積の広い島でした。

途中、大きな工事用キャタピラ車が、公道を横切って行きました。
人が進行方向にタイヤを置き、その上を車が通って行きます。
「あ~、キャタピラはゴムをつけないと違反なのに」とアンボさんが言い、私はそういうものかとまじまじと観察しました。
キャタピラ自体、縁がない車で、私にとってCaterpillarといったら、いも虫になるので、イメージが違いすぎます。
確かにあの戦車についているような、ベルトコンベアみたいなもの(名前がわからない)では、アスファルト道路に穴があいてしまいそうですね。
のんびりしている島の光景でした。

「ここは国道350号で、唯一海中を通る国道航路でもあるんですよ」と観光協会のダイヤさんが教えてくれました。
なんと!なぜ?それどんな車が通るんですか?
この前参加した「酷道ナイト」でも紹介されませんでした!(あっ酷い道じゃないからか)
 
佐渡は東京23区の1.4倍の面積で、人口は6万3千人。
まったく人混みがなく、暮らしやすそうですが、「バスは1日3本。朝昼晩!」と聞いて、車がないと生きていくのは無理ね~と思いました。

清水寺、長谷寺といった、有名な名前のお寺もありますが、清水寺はせいすいじ、長谷寺はちょうこくじと、ほかとは違う読みになっているのも不思議。

雨模様ながら、海岸線を通っていくので快適。
海の向こうには本州が見えました。なかでもくっきりと見える山の稜線があり、弥彦だそうです。

○ 岩首談義所
 
岩首は、67戸、人口140人余りの小さな集落でした。
載っていない佐渡の地図もあるほどです。



旧岩首小学校の木造廃校舎を利用した地域の交流施設(談義所)の中を見せてもらいました。
木造校舎はすごく味があります。親が小学生の頃にタイムスリップした感じです。
ミシミシいう木張りの廊下を歩いていくと、たくさんの手作り竹灯籠がありました。
荒廃した竹林の再生にも乗り出しているそうです。


 
校舎の前には百年桜もありました。古い校舎の横で咲き誇る大桜。さぞ絵になることでしょう。
トキの写真もたくさん飾られていました。「本物が見られないからって、みんなこの写真を撮っていくんだよ」と言われ、私も撮ってみたら「環境庁に頼めばもらえるのに」と二人に笑われました。
環境庁の画像です。パネルを撮影したため、反射しています。



○ 養老の滝

養老の滝に連れて行ってもらう途中に、金鉱を掘った穴の横を通りました。中は真っ暗で、今は蝙蝠の巣になっているそう。
滝の看板のある道路近くには、砂防ダムがあり、それもなかなか立派なので、養老の滝と勘違いして帰る人が多いとのこと。
いやでも砂防ダムはコンクリですから!
実際には、そこから歩いて少し奥へと入って言った場所にあります。
滝の高さは29m。修験道の修行の場所ということで、確かに凛とした空気が張り詰めていました。





○ 棚田見学

車はどんどん坂を上っていき、標高300mにある学生たちが作ったという展望小屋「空のまめらか家」から棚田と集落を見渡しました。
「まめらかや?」とは「お元気ですか?」という意味だそうです。
登っている時にはよくわかりませんでしたが、上からだと棚田の全貌がよくわかります。
晴れた日には、本州の新潟市の建物まで見えるとのことです。



そもそも佐渡は、金銀山の開発でゴールドラッシュとなり、人々が急増してお米がどんどん必要になったため、平地だけでなく傾斜を使って新田開発が行われるようになったとのこと。
棚田と金山は強い結びつきがあったんですね。
過疎と高齢化、日本人の食生活の変化による減反などで、一旦は半数近く減少したものの、今また努力により増え始めているとのことです。



2011年に日本で初めて、佐渡がFAOに世界農業遺産(GIAHS)として認定されました。
トキと共生を目指す佐渡の里山の農業システムが評価されたのです。



そこで、日本各地から視察団がやってきているとのこと。
先日、姨捨の棚田の収穫風景を見てきたばかりですが、棚田のある姨捨や阿蘇からも見学に来たそうです。
田んぼを手放す人も多いため、後継者問題があると聞いて、姨捨の棚田のオーナー制度の話をしてみました。
あそこはいったん市が買い取っているそうで、こことはシステムが違うようです。
棚田の景観を維持していくために、棚田米のブランド化なども考えられているそうです。

一番美しいのは、田植えが済んで水を張った4~5月とのこと。
まさに「田毎の月」の頃ですね。きれいでしょうね。

○ 昼食は佐渡グルメ

昼食は、町の長三郎というお店で。
前日もここで、みなさん佐渡グルメの「ブリカツ丼」を食べたそうです。
「今日頼んだら?」と言ってもらいましたが、お店はお寿司屋さん。
やっぱりここまで来たら、佐渡のお寿司も食べてみたいものです。
ダイヤさんは、佐渡のブリカツ丼宣伝隊長のようですので、申し訳ないと思いながらも、ブリカツ丼はまたの機会にして、みんなと同じく「寿司とラーメンセット」にしました。
・・・ん?寿司とラーメン?
これまた和中折衷の、すごい取り合わせですね。見たことありません。
そもそも、お寿司屋さんでラーメンを出すって、アリなんですね~。
でも、かなり人気のようで、ほかのテーブルからもこのメニューの注文がよく聞こえました。



出てきた料理にびっくり。お寿司もラーメンも、普通に一人前という感じ。
満腹になる前にお寿司から食べようかしら。でもラーメンものびちゃうし・・・。
など、食べる順番を悩んでしまいました。
お寿司はとっても美味しかったです。ラーメンも食べやすいあっさり味でした。

ここは人気のお店のようで、大盛況。
佐渡でいちばん大勢の人を見た場所でした。

○ 認証米農家と田んぼ

それから、昨日NPOの方に説明を受けた、認証米の生産現場へと行きました。
「朱鷺と暮らす郷米」という認証米を作っている農家のツチヤさんです。

トキの里山として定住させたいというところから、トキのえさ場にもなるように、1.5haの田んぼを10年間整備しているとのこと。
放鳥して5年のうち、ヒナは8羽集まったそうです。

ビオトープや江について説明してもらいました。
このビオトープという言葉、知っているつもりでいましたが、話を聞くと私の考えていたものとは少し違いました。
ぶどう畑とか、ブドウに関係するものかと思っていたのです。おそらくフランス語でぶどうがvigne(ヴィーニュ)、ぶどう畑がvignoble(ヴィノーブル)だからでしょう。
あとはショスタコーヴィチの『ピオネールは木を植える』を、思い出します。
まあ、あのオラトリオは彼が緑化事業をテーマに作ったものだそうなので、当たらずとも遠からずなんですが。

ビオトープとは、生き物が住める水や草木がある田んぼのこと。
江とは、田んぼ内の小川や深みといった水路のこと。



認証米農家は、放鳥されたトキが田んぼでドジョウやカエルを捕れるように「農薬・化学肥料を5割以上削減」「農薬は除草剤のみ」「冬季に水をためる」といった、生き物と共生する農法を守っています。
「今日は雨だから、トキもいないね」と車の中で話していましたが、ツチヤさんは「さっきトキが飛んできたよ」と言っていました。
もうトキのねぐらも知っているそうで、まさに共存生活を送られているんだなあと感じます。

すべての田んぼを、鋤で起こしているとのこと。大変な苦労があることを、目で見て実感しました。
納屋に案内していただくと、何台もの農耕機があり、見たこともないような大型コンバインにびっくり仰天。
これで攻撃されたら、勝ち目はありません。←!?





佐渡の認証米は、手間暇かけて、トキにも人にもとことん優しい作り方をしていることがわかりました。
通販もしているとのことで、今度お取り寄せしてみようと思います。

 

○ 両津郷土資料館

最後に、両津郷土資料館へと向かいました。
今まで一度も本州とつながったことがない佐渡島は、独特の文化が発展しています。

佐渡人形芝居の文弥人形やのろま人形(狂言的)が展示されていました。
ダイヤさんは、学芸会で披露したことがあるそうです。

世界無形文化遺産の能は、もともと、農民が神社へ奉納した神事として広まったものだそう。
佐渡には能舞台が33あり、それは全国の3分の1にもなる多さです。
島の能を盛んにした世阿弥ですが、彼のお墓はここにはないのだとか。
生前中に配流を解かれて、京都へと戻っていったそうです。
ところで世阿弥が佐渡に流されたのは71歳だったとのこと。
そこから7年間佐渡に滞在したそうですが、そんな高齢だったとはビックリです。
おじいさんを寒い場所に島流しにするなんて、時の将軍(6代将軍義教)は無慈悲ですね!

3人の早乙女が、周りながら外へ外へと植えていく「車植え」という苗植え法が紹介されていました。
初めて見る植え方です。まるでストーンサークルを作っているよう。
もっと言うなら、「早乙女」とは人の名字だと思っており、「田植え日に苗を植える女性」という意味さえ知りませんでした。
私は、農業についてほとんど知らないんだなあとつくづく思います。



金山で大勢の人が働いたことで、米が消費されて佐渡の稲作が進み、人が増えたことで能や人形芝居といった伝統芸能も発展したわけですね。
全ての地域産業が結びついていることに気付きます。
やはりそれは、ここが金の島だったからこそです。

「佐渡おけさって、女性が踊るイメージが強いですが、女性だけなんですか?」と聞いたら、「そうでもないですよ」とのこと。
もともとは、島に着いた猟師に、玄人女性が「一緒に踊りましょうよ、こんな風に、さあ」と誘う踊りだったんだとか。
それはびっくり!阿波踊りに似ているけれど、もっとゆっくりしたお上品な踊りだと思っていたのに!

今回、たらい舟に乗れなかったのが少し心残りの私。
佐渡でも、小木という港でしか行われていないようです。
なぜかと聞いたら、小木では入り江が入り組んでいて船が入れないため、小さなたらい船を使って磯の生物を取るからだとか。
バランスを取るのが難しそうなので、「ひっくり返りませんか?」と聞いたら、「聞いたことないなぁ」と観光協会の人たちで顔を見合わせました。
転覆したためしがないのなら、安心!いつか一寸法師ごっこをしてみたいです。

○ 佐渡から帰る

両津港で、観光協会の人たちとお別れしました。
いろいろお世話になりました~!

佐渡島はいろいろと魅力に富んだ場所だというのが、今回の旅でよくわかりました。
個人的に気になる吊り橋は特にないとのことですが、おもしろい地層が島中に見られ、ジオパークとしてもいろいろ魅力に富んでいて、興味シンシン。

また、島には掛け流しの源泉が8つあるそうな。
これは知りませんでした。もっと温泉をアピールしてもよさそうです。

新潟は50Hz、佐渡は60Hzと電力が違うことにもビックリしました。
電力も分け合えないなんて、かなり新潟から独立していますね。
以前は、新潟から佐渡に引っ越ししたら電気製品を買い替えなくてはならず、不便だったことでしょう。



両津港で、おけさ柿の自動販売機を見つけました。
前日夜に食べたおけさ柿。種がなくて、甘くておい~しかったです。
渋抜きをした渋柿なんだとか。
もちろん買いましたよ!うふふ~。



また、佐渡のすかし百合の球根が売られていたので、百合好きの母のお土産にしました。
観光協会の方からは、無名異焼の器をいただきました。
金山山中の土で作ったもので、使い込むほどに光沢が出るそうです。



行きは孤独な行程でしたが、帰りのジェットフォイルでは寝て、新幹線ではアンボさんとおしゃべりをして、楽しく帰途に着きました。
帰りの新幹線では、華やかな舞妓さんたちが前の席にいました。
『雪国』の世界だわ。



○ epilogue

今回は、環境省や市、NPOや農業従事者の方々から説明をしてもらい、トキの野生復帰に向けて、島全体が努力をしていることがよくわかりました。
行くまでは、寒い孤高の離れ島というイメージが強かった佐渡島ですが、実際に訪れてみると、土地も文化も食も豊かでのどかな、暮らしやすそうな島でした。
日本の原風景が残っている佐渡島。またぜひ訪れたいです。

トキに会いたい佐渡ヶ島1

2012-11-16 | 中部(甲信越)
○ prologue
○ MAXとき
○ 新潟駅とワールドカップ2002
○ 信濃川河口付近
○ 朱鷺メッセばかうけ展望台
○ 佐渡汽船ジェットフォイル
○ 佐渡島両津港に到着
○ トキの森公園
○ 野生に放したトキ
○ トキ交流会館にて
○ 佐渡グリーンホテルきらく


○ prologue

このたび、佐渡でトキの野生復帰推進状況を学べることになりました。
佐渡ヶ島に行くのは初めてで、ワクワクしますが、かつては島流しの地だった隠岐の島同様、とっても遠いイメージを持っています。
周囲で佐渡を訪れたことがある人は、両親のみでした。

今回の旅のテーマは、トキ。
日本のトキが絶滅してしまった時には、鳥好きとしてとても悲しい思いをしました。
その後、佐渡ではトキが復活しているのか、この目で見られるのが楽しみです。

○ MAXとき



当日朝、余裕を持って家を出たのに、新宿駅のホーム転落事故で山手線は全線停止。
ラッシュ時の事件だったため、車両もホームもパニックになりそうなほど大混雑しました。
佐渡は寒いと思って、着込んできたため、荷物を抱えて、暑くて大変でした。
復旧に思ったよりも長い時間がかかり、東京駅に着いた時には、乗車予定の便は出てしまっていました。



新幹線に乗り遅れたのは初めてのことで、かなりショックです。
その名も「MAXとき」。もたもたしていたら、つかまえきれずに飛んで行ってしまったのね。
次の便は1時間後。乗る予定だった東京-新潟ノンストップではなかったため、時間がかかりました。

初めての佐渡島に一人で渡り、見知らぬ参加者たちと現地集合するという今回の旅程。
初めてづくしで緊張しており、次の便に乗り込んでも、気が気ではありませんでした。
でも、越後湯沢に着いたら、車両内から「わあ~」と声が挙がったので、顔を上げてみると、手前は紅葉の山々、その後ろには雪をかぶった山々がそびえ、青空に映えてそれは美しかったです。



○ 新潟駅とワールドカップ2002

新潟に着き、タクシー乗り場に行こうと駅前を見まわして、(あっ、この辺り、見覚えがあるわ)と思い出しました。
2002年ワールドカップの時に、ビッグスワンまで観戦に来ていたのです。



あの時は、駅前周辺はとにかくありえないほどの人でごった返していました。
試合は「イングランド vs デンマーク」という華やかなカードだったため、東京発の上越新幹線内も、イングランド人のサポーターでいっぱい。
日本人もほぼ全員がイングランドファンで、みんなユニフォームを身につけ、駅前は赤と白でびっしりと埋め尽くされていました。

こっそりデンマークを応援していた私は、国旗のフェイスペインティングをフーリガンに見とがめられないかと、ドキドキしていたものです。
(ベッカムのウルフヘアがあの試合の雨で割れてから10年たったんだわ)と懐かしく街を見まわしました。



○ 信濃川河口付近

新潟は、スキーではよく来ていましたが、駅に降りたのはその時以来。
タクシーで港へ向かいましたが、船の出航までかなり時間があったため、万代橋を渡ってみました。
日本一長い信濃川。河口付近はかなりの大河になっています。
橋のたもとには、新潟日報の斬新なデザインのガラス張りビルがありました。



天気がよく、川にはクルーザーが等間隔で停泊しています。まるでデュフィの絵のよう。





気持ちよく川沿いを散策していたら、「海難救助隊」のグレーの船がありました。



(まあ、必要だものね)と思ってさらに歩いていくと、今度は「監視船」があり、(拉致防止の?)と一瞬身構えてしまいました。



○ 朱鷺メッセばかうけ展望台

河口そばにそびえ立つ朱鷺メッセ最上階のばかうけ展望台に登ってみました。



ばかうけってすごいネーミング!と思いますが、あのおせんべい、おいしいですからね。
展望台からは、とてもいい眺望が望めます。川の向こうには、10年前に訪れた巨大なビッグスワンが日光に輝いて見えました。



大きな橋がいくつもかかる信濃川の太く堂々と流れを見ていると、豊かさな気持ちになっていきます。



○ 佐渡汽船ジェットフォイル

モダンな朱鷺メッセから佐渡汽船乗り場へ移動すると、ぐっとレトロで一気に昭和に戻った感じ。
乗り場には、佐渡金山のパネル紹介がありました。
佐渡は平安期から金銀鉱山が発見され、ここの金に徳川の繁栄は支えられたとのこと。
年に金400g、銀37トンが掘り起こされ、世界の5%の金が取れたそうです。
平成元年に閉山するまで400年の歴史を誇った佐渡金山。
国内最大の金銀山ということで、土肥よりも金華山よりも高い産出量だったことを知りました。



初めてのジェットフォイル。乗り場は古いものの、改札はチケットのQRコードを当てて読みとらせるという、最新のシステムでした。
操縦士のアナウンスが入り、(飛行機みたい)と思います。
時速80キロなのでシートベルトをつける義務があるとのこと。
ジェットフォイルは、海面から浮上して進んでいくものなんですね。
仕組みがよく分からないけれど、ホバークラフトみたいな感じ?

両親が「船なのにぜんぜん揺れないのよ」と言っていたように、本当に揺れずに快適。
普段ならすぐに船酔いしてしまう私も、気持ちよく乗っていけました。
佐渡といったら思い出すのは「砂山」の歌。
「海は荒海 向こうは佐渡よ~♪」
私はこの歌から、日本海を渡るのはとても大変だというイメージを持っていたため、佐渡はかなりイメージ損をしてきたように思います。

○ 佐渡島両津港に到着





新幹線は1時間後の便だったものの、結局2時間半遅れて佐渡島の両津港に到着。
観光協会のホンマさんにお出迎えいただきました。
「大変だったねえ」と温かくねぎらっていただき、なんだかようやくほっとします。
この日は朝8時に家を出て、12時半に佐渡に着く予定が、到着したのは15時。
7時間の行程にぐったり。ロンドンに行けちゃうわ!



乗せてもらったのは、三菱の電気自動車。環境に気を使っているなあと思います。
車道横には巨大な能面モニュメントが立っており、あまりの迫力にうっと声が詰まりました。
この島は順徳天皇や日蓮聖人、世阿弥の配流地で、世阿弥による能文化が発展した場所。
それはわかりますが、ちょっと怖すぎます~。
佐渡の子供たちもみんな怖がっているとのこと。「ライトアップはもっとこわいよ~。」とホンマさん。
それは肝試しレベルの怖さかも。なぜ点灯するのー?

佐渡では若者がどんどん減っていっているけれど、それでもUターンする人は増えているそうです。

○ トキの森公園

ほかの人たちがいるトキの森公園へと連れて行ってもらいました。
公園内にあり、来年4月にグランドオープンする「トキ資料展示館」と「トキふれあい施設」を見学します。
みんなひとしきり見終わったと聞き、あわてて「トキに会いたいです!」と希望して、連れて行ってもらいました。
だってここまできて、トキを見ずじまいなんて、残念すぎますもの。

資料展示館には、最後の日本のトキ、キンの剥製がありました。
全長78cmと、思ったよりも小柄でした。
2003年にキンが死亡した時には、日本産トキが全滅したと大々的にニュースになったものです。
キンという名前は、金山から取ったんだろうと思ったら、餌づけをした金太郎さんの名前に由来しているそうです。
ほかのトキたちも、何羽か剥製となって、生きているかのようにふわふわの白い羽を見せてくれていました。
白い身体に赤い顔。ニッポニア・ニッポンという名だけあって、トキはまさに日の丸の色合いです。

観察回廊から、トキ保護センターの飼育ケージが見られます。
「トキふれあい施設」という名前なので、よく動物園にあるような、うさぎやヤギにさわれるコーナーを思い浮かべて「ふれあえるんですか?」とホンマさんに聞きましたが、「ふれあえないなあ。」との答え。
あれ?
トキは神経質な鳥なので、あまり近くに人は寄れないそうです。
距離が近くなると、固まって動けなくなるんだそうな。
日傘を広げていても怖がるので禁止だとのこと。

それでも「トキに2cmの距離でふれあえる」としているので、どういうことかと思ったら、マジックミラーを使っているからだとのこと。
なるほど、2cmとはガラスの厚み分なんですね。なかなかそんな近くまで来てくれることもなさそうですが。



トキの森には繁殖ケージがいくつもありました。
少し離れた場所にあるものや、比較的近くにあるものなど。
人に慣れたトキは近いケージに、慣れていないトキは離れに入っているのだそう。



思ったよりもたくさん飼われていました。個体数は増えているようです。
繁殖が着々と軌道に載っているのでしょう。
日本トキの絶滅後、中国トキの人工繁殖に成功して、ヒナが育ち始め、今ではセンターは100羽以上のトキを飼育しています。
中国では、トキはたくさんいるのかと思いきや、やはり乱獲によって7羽にまで減り、そこから保護政策と人工繁殖を行って、今では1000羽以上になっているそうです。

顔が赤ではなく、黒いトキがいました。
幼鳥かなとおもったら、「それは黒トキだよ」と教えてもらいます。
黒トキ?そんな鳥がいるんですか?
まったく知らなかったので、驚きました。

施設のオープンに向けて、この環境が問題ないか、黒トキでお試し中だとのこと。
黒トキは中国や東アジア原産で、ニッポニア・ニッポンではないため、珍種ではありませんが、初めて見る私にとっては十分希少種に思えました。

ほかに「ほんわかトキ」もいると聞いて、ほのぼのしましたが、よく聞くと「ほおあかトキ」の聞き間違いでした。
北アフリカ原産で、こちらも絶滅危惧種だそうです。
この際だから(?)、ほんわかトキにしちゃえばいいのに。ホンワカパッパ。

まだプレオープン中なので、敷地内にいる方々はみんな関係者ばかり。
ここでほかの方々と合流しました。他の参加者は、茨城のアンボさんと戸塚のサノさん。それに観光協会の方3名がついて、計6名のグループで動きます。

○ 野生に放したトキ

皆さんと一緒の車に乗り込みます。



山の木々は少し色づいていますが、佐渡ではもう紅葉は終わったとのこと。
「さっきまで、あそこを見学していたんだよ」と、山裾の巨大な黒いドームのような場所を教えてもらいました。
佐渡トキ保護センターの順化ケージでした。
佐渡トキ保護センターといったら、トキの話題になるとニュースで紹介される場所ですね。



そこはヒナの飛翔や採餌の訓練を行い、野性に適応できる状態になったら放鳥する野生復帰ステーションです。
一般公開されていない場所だけに、見学できなかったのが残念。
肩を落としていたら、「でも中にはトキはいなかったよ」と、ほかの参加者お二人が慰めてくれました。
たしかに、トキがいるところに人がどやどや入っていったら、トキはびっくりして固まってしまいますからね。



ドライブ中に偶然、トキたちが飛んでいるのを見ました。4、5羽がまとまって飛んでいます。
トキは群れる習性があるそうです。
ケージの中だけでなく、すでに野生に放しているとは知らなかったので、感動しました。
今までに日本で放鳥されたトキは78羽。うち佐渡島で確認されたのは、2010年段階で19羽。
富山と新潟にも1羽ずついます。
稲刈り後の秋が一番見つけやすく、観察に向いている季節だそうですが、見られたのは本当にラッキーなことです。



しっかり、羽先のほのかな紅色も見られました。
うわあ、一時は絶滅したけれど、再び佐渡はトキの舞う地になったんですね。
胸が熱くなりました。

○ トキ交流会館にて

トキ交流会館で、トキに携わる「NPOトキどき応援団」「(社)佐渡生きもの語り研究所」のトップの方々にお会いしました。
パワポで活動プレゼンをしていただきます。

放鳥を初めて5年になり、ひなは8羽巣立ったそう。

おなかが濡れる深さでは餌をとらないトキは、サギのように川にはおらず、もっぱら田んぼで餌を採るのだそう。
10cmのくちばしの先まで神経が入っているので、餌を探って採るのに適しているそうです。
トキのすみよい環境を作ることを目的に、里山や水田、生態系の環境整備に努めているという活動について教えていただきました。
耕作放棄地は里山崩壊につながっていきますが、田んぼを守っていくのも並大抵のことではありませんね。

人と環境に優しい農業の実践活動が紹介されました。  
トキを呼ぶためには、生態系を自然の形に戻すことが必要となります。
農薬を制限するなど、農家はさまざまに配慮を重ね、さらに田んぼの生き物調査をして、環境作りに努めています。
ラインセンサスは大がかりな試みなので、ボランティアの助けも必要となるとのこと。
環境重視で手間をかけ、丁寧に作られた佐渡のお米コシヒカリは、認証米とされています。

2015年ごろには、小佐渡(佐渡南部)東部に60羽のトキを定着させる目標を掲げて、努力を重ね、環境整備に努めているそうです。

話を聞きながら、おもむろにおなかがグルグル鳴り始めたので、周りに響きやしないかとあせりました。
この日のランチを食べ損ねましたが、遅れた心配のあまり食欲がわかずにいたのでした。
でも、ようやく合流できたので、安心しておなかがすいてきたようです。
佐渡のコシヒカリなんて、おいしそ~う。

○ 佐渡グリーンホテルきらく

5時にもなると、辺りはすっかり暗くなります。
宿は佐渡グリーンホテルきらく。
私は女性ということで、12畳部屋に一人となりました。
温泉旅館なのに一人泊なんて、初めてでさびしーい。



部屋には、トキじゃなくてタンチョウの絵が飾られていました。
それはどうかと思いましたが、ここは鶴女房(夕鶴)の物語の里なんだとか。
そちらももっとアピールしてもよさそうです。

ほかに、牛の置物を発見しました。
これは、天満宮にある道真の牛では? なぜここにいるの…?
不思議に思いながらも、念入りに撫でておきました。



食事前に、宿の通り向かいにあるはなれの露天風呂に入りました。
ここは椎崎(しいざき)温泉。
気持ちいいお湯につかりながら、絶景がのぞめるはずですが、すでに外は真っ暗で、目の前は湖なのに対岸の明かりしか見えません。
両津湾と砂州で分かれる加茂湖は、新潟県で最大の湖。
去年訪れた奥只見湖もかなりの面積でしたが、そこより大きいんですね。 



夕食時に、3人で合流しました。
豪勢な土地の食事がずらりと並びます。
新鮮なお刺身にカニ、蒸し牡蠣におけさ柿。ほとんどこの日初めての食事になるため、3食分を食べようとはりきったけれど、それでも食べきれませんでした。



カニ!カニ!カニみそ~!



「カキをむく時にはこのナイフを使って下さい」と言われたので、てっきり牡蠣の殻をはがすものかと思いきや、柿の方とわかって、3人で笑いました。
だって同じイントネーションだったんですもの。考えてみれば、牡蠣と柿が並ぶなんて、なかなかないことです。



サノさんとアンボさんは、佐渡のお酒「北雪」で乾杯しました。
二人のジェットフォイルには、玉三郎とTVカメラも乗っていたそう。
玉三郎は佐渡鬼太鼓の鼓童のプロデューサーをしているそうです。
玉様を見そびれたわ~。
ちなみに両親が以前訪れた時には、曽我ひとみさんと同じジェットフォイルだったと言っていました。

いろいろなお話をして、9時半に解散。
今度は内風呂に入りに行きました。
どちらのお風呂も一人きりで、(この日の女性客は私だけなのでは?)と思ったほどでした。

遅刻したために緊張した一日。でも野生のトキが悠々と佐渡の地を舞い飛ぶ様子を見られて、感動しました。
あのひとときのためだけでも、佐渡までやってきた甲斐がありました。

佐渡やトキの資料をごっそりずっしりもらったため、目を通してお勉強していたら、夜更けになってしまいました。
TVをつけたら、「アド街」が深夜1時半頃にやっていました。遅いわー。どうやら一週間遅れの放映のようです。

2日目に続きます。

鎌倉のんびり散策

2012-11-10 | 神奈川
○ 北鎌倉GALLERY NEST
○ 中華風トンネル・好好洞
○ 臨済宗 円覚寺塔頭 雲頂菴
○ 建長寺前の自販機
○ 鶴岡八幡宮
○ 親銀杏・子銀杏
○ ねじれ松
○ ぎんなん売り
○ 裏鎌倉のわんこ1
○ 裏鎌倉のわんこ2
○ 七里ガ浜
○ 横浜みなとみらい・J PASTA


○ GALLERY NEST

天気の良い秋の日に、鎌倉散策に出かけました。
近場なので、無理なプランは組みません。お昼近くになってから、ゆったり出発します。
のんびり気分だったのに、北鎌倉で降りたら、ホームからはみでそうなほどのものすごい人混みで、なかなか改札を抜けられずにびっくり。
この日の鎌倉は、とびきり混んでいそうです。



せっかくの休日ですから、なるべく喧騒を避けたいところ。
人波を避けるように、細い坂道を抜けて、連れのましゃと訪れたのは、隠れ家のようにひっそりとしたたたずまいのGALLERY NEST
手作りニットのアトリエ兼レストランになっている温かみのあるお店で、ランチにしました。



ジャズが流れ、木漏れ日のさしこむ店内。ちょうど、テラス前の席に通されました。
北鎌倉の小高い山々が向こうに見え、心地よい風が吹いてきます。



ましゃはキーマカレー、私は竹の重箱和風弁当にしました。たくさんの具がつまっており、どれも添加物が入っていない、素材の味を活かしたやさしい美味しさ。
スイーツはお芋のパイ。お芋はほくほく、パイはサクサクでした。

  


チャオというとてもなつっこいネコがいて、各テーブルに寄っては、お客さん達にふんだんに愛想を振りまいていました。
時の流れを忘れるようなお店で、ゆっくりと食事を楽しみました。



のんびりランチタイムを過ごしてから、坂を下りて北鎌倉駅まで戻ったところで、私が「探してみたいところがある」とリクエストしました。

○ 中華風トンネル・好好洞

前に参加したイベント『酷道ナイト』で紹介された、鎌倉のマニアックなトンネルの一つがとても気になっていたのです。
「たしか、駅のすぐそばって聞いたんだけど…」
北鎌倉駅はさほど大きくはありませんが、その情報だけを頼りに探すのは、さすがに無謀でしょうか。
あたりをつけて探してみますが、なかなか見当たりません。
(家に帰って、もっとちゃんと場所を確認しておかないとだめかな)と思っていた矢先に、突然そのトンネルが現れました。



「好好洞」(ハオハオドン?)という名の、赤く塗られた中華風のトンネル。
地元では「赤トンネル」と呼ばれているそうです。
左には「御会席・成吉思汗料理」と書いてありますが、チンギス・ハンといったら、モンゴル料理でしょうか?
竜宮城への入り口のようなトンネルは、見ているだけでワクワクします。
(たしか、かつてこの先に、好好亭という料亭があったから、こんな風に作られたんだっけ)と思いながら、未知の世界へつながるようなそのトンネルを通ってみると…



向こう側には、普通の町並みが広がっていました。
もはや、中華料理店の面影は影も形もなく、ちょっと拍子抜け。
もうこのトンネルにしか、昔のよすがは残っていないようです。
これは、通ってきたトンネルを振り返ったところ。



抜け出たのは、人っ子一人通らない裏道でした。
この辺りは小袋谷(こぶくろや)。せっかくなので、こちらを通って駅まで戻ってみようと歩き始めると、どんどん坂道になっていきます。
(おやおや?)と思いながら上っていくと、そこには無人の古い八雲神社がありました。
本殿の木の階段のところで、小学生の女の子が二人、私たちがやってきたことにも気づかないほどなにかの遊びに夢中になっており、ましゃが「子供のころは、神社やお寺って、遊び場だと思ってたんだよね」とつぶやきました。
子供たちを驚かせないように、参拝をせずにそのまま通り過ぎると、今度はお寺が見えてきました。

○ 臨済宗 円覚寺塔頭 雲頂菴

風格のある門構えのお寺で「雲頂菴」と書かれていました。
円覚寺の塔頭だそうです。北鎌倉を見下ろす高台にあり、ぴったり合った名前がすてき。
『境内の拝観はできません』と入口に書かれている非公開寺院ですが、門からはきちんと手入れが行き届いたお庭が少し見えました



ここからまっすぐ下にのびる階段を下りていきます。
階段の途中には、トンネルの先に不思議な門構えが。
個人用のトンネルもちの家なんておもしろいですね。



トンネル王国といったら横須賀ですが、山が多い鎌倉でもあちこちに見かけます。
素掘りのトンネルは、御家人たちが「いざ鎌倉」と向かう感じで、野趣があります。



見とれていたら、掲示板を見たましゃが「今度、鎌倉で大舞踏会をやるらしいよ」と言いました。
なんですって?みんな正装してワルツを踊るの?古都鎌倉は、なんてしゃれたことをするのかしら?
と思ったら、「大武道会」の聞き間違いでした。
ああびっくりした(笑)。

○ 建長寺前の自販機

建長寺のお寺には付属の鎌倉学園中高があり、男子生徒が通っています。
お寺前の自販機で売られていたのは、ほとんどがポカリスエットでした。



お茶もジュースもなく、ミネラルウォーターも2つのみ。
運動部の部員が買うので、すぐに売り切れちゃうんでしょうね。

○ 鶴岡八幡宮の舞殿結婚式

北鎌倉から鎌倉まで、道なりに歩いていきます。
今までにないくらいに、人がたくさん。
観光スタイルの人々だけでなく、登山スタイルの人々も大勢見かけます。
三方を山に囲まれた鎌倉は、登山客にも人気なんでしょう。



鶴岡八幡宮のお参りも、いつも以上に混みこみだと思ったら、この日は11月の休日。
かわいい着物姿の子供たちが、たくさん七五三参りに来ています。
さらに、普段は無人の舞殿に、しずしずと正装した人たちが上がっていきました。
結婚式です。この日はお日柄がよかったようです。



静御前が頼朝の前で舞を披露した奉納舞台は、柱だけなので、四方から人々が見入っていました。
雅楽も入った、古式ゆかしきめでたいお式でした。



○ 親銀杏・子銀杏

かつて鎌倉三代将軍・源実朝がこの木の下で斬られ、時代の変遷を見つめてきた樹齢1000年の大銀杏。
倒れた大銀杏とそこから芽ぶいた小さな銀杏の木は、今では親銀杏・子銀杏として並んでいます。



やっぱり大銀杏がないと、八幡宮参りをしたという気がしないもの。こうして代替わりが行われていく様子が見えると、安心します。
大銀杏の木にたくさんいたリスたちは、今では別の木で遊んでいるのかしら。

○ ねじれ松

八幡宮入口の太鼓橋のたもとにある松の木。
幹がねじれている、私お気に入りのねじれ松です。



いつも青々としていて、見るからにフレッシュ。こちらも元気が出てきます。
『ハリー・ポッター』のホグワーツ城の入口にある「暴れ柳」に、なんだか似ている気がするので、木にいたずらする子供がいたら、おこってブンブン枝を振りまわしそう。

○ ぎんなん売り

この季節の八幡宮の屋台といったら、焼きぎんなん。
小さい頃は苦手でしたが、焼きぎんなんは香ばしくて美味しくて、参拝がてら、たまに買ったりします。



無人の屋台を見かけて、(売り子さんはどこに行ったのかな?)と思ったら、数十メートル先の屋台の方は大盛況で、行列ができていました。
お客がこちらに取られてしまっているから、ふてくされてどこかに行っちゃったのかしら?
境内の銀杏を拾ってるのかな?



○ 裏鎌倉のわんこ・その1

鎌倉の駅前の、小町通りから線路を越えた方を歩きました。
こちらの方が少し人通りは少ないため、勝手に「裏鎌倉」と呼んでいます。
ましゃがふと立ち止まったので、どうしたのかと思ったら、「ダンボールの箱に入った犬がいる・・・」といいました。
えっ、捨て犬かしら?かわいそう。
のぞいてみると、たしかにそこにはダンボールの箱に入った犬が・・・



でも君、捨てられてないよね!満足そうだし、これ、君のおうちなのね!
Fresh Eggsって書いてあるけど~、ま、幸せならいいか(笑)!

ほかの人にもパチパチ写真を撮られていましたが、犬にしてみれば、どうしてみんな自分を撮影するのか、わかっていないでしょうね。

○ 裏鎌倉のわんこ・その2

ダンボール暮らしのわんこから離れると、目の前を不思議な犬が歩いていきました。
あたまがとっても大きいんですけど!



よく見ると、帽子をかぶっていました。ええと、なぜ犬にうさぎ耳の帽子をかぶせるのでしょうかー?
かわいいけれど、なかなかシュールでした。
このわんこも、大勢の人に頼まれては立ち止まって撮影されていましたが、後ろ姿の方がかわいかったので。

○ 七里ガ浜



浜辺の夕焼けを見たいと思って、七里ガ浜に辿り着くと、うす暗く陰りつつある海岸には、すでに大勢のカップルや家族連れや犬を連れた人たちたちが、なにをするでもなく座っていました。
みんな、夕焼けを待っているようです。
海に近い学校に通っていた頃から、日暮れを待つなにもしないひとときが、とても好き。
こういうのんびりした時間って、なにより贅沢ですね。
夕焼けはとてもきれいでした。日が落ちて、暗くなっても、立ち去りがたいほどでした。



○ 横浜みなとみらい・J PASTA

それから横浜みなとみらいへと移動し、クインズスクエアのJ PASTAに入りました。



元町が本店のパスタ屋さん。入るのは初めてでしたが、ハワイアンな感じです。
ハワイアンでイタリアン?
湘南シラスのパスタもありました。和風もアリ? うーん独創的。



マグロとアボガドのパスタにしました。とろとろでおいしかった~。
行列の切れない、大人気のお店でした。
それから、クイーンズスクエアのシンギングツリーが歌うのを聴いて、帰りました。
(歌う木っていいですね。ねじれ松と一緒に、ハリポタにでてきそう)



鎌倉とみなとみらいは、まったく雰囲気が違う場所ながら、そう遠くないため、一度に散策できます。
この日歩いたのは2万歩程度。あまりあちこちを周らずに、ゆったり過ごした、楽しい一日でした。