風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

のんびり京都巡り 2-1

2014-10-27 | 近畿(京都・滋賀)
1-2からの続きです。

○ モーニング難民

2日目の朝。アラームで目覚めたけれど、二人とも眠くてすぐに起きられません。
たまった疲れの深さを感じましたが、朝風呂にるとシャッキリ目が覚めました。

関西といえばモーニング。
同志社大学の学食が朝からオープンしていると知って、食べに行きましたが、開いていません。



学内の別の学食も、まだ準備中です。
あれ、おかしいな?
この日は土曜日。平日より遅めに開くとのことでした。がっかり。
後期の大学院入学式の日で、キャンパス内にはスーツ姿の賢そうな学生たちが集っていました。



出町柳駅前でカフェを探したけれど、見つけられず、結局ロッテリアに入りました。
マイコのテンションが落ちていますが、私は(仕方ないもんね)とあまり気にしません。
ほとんどノープランの今回の旅で、完璧をめざすのは無理なのです。

若狭に続く鯖街道を見つけました。


朝のすがすがしい空気に満ちた鴨川を渡って行きました。





駅前のおにぎり屋さんがおいしそうだったので、昼用のおにぎりを買いました。
まずしゃけを選びます。もう一つは、手が滑って落としてしまったものを。
わさびかと思ってドキドキしましたが、わらびでした。山菜だったわ(ホッ)

○ 叡山電鉄・ええきっぷ

この日は叡山電鉄一日乗車券のええきっぷを使って、鞍馬と貴船に行きます。
出町柳から、一路鞍馬に向かいました。
電車はすいています。前に、紅葉電車に乗った時には、通勤ラッシュ以上の混雑で、窓の外の紅葉はほとんど見えないほどでした。
やはり紅葉の季節じゃないからなんでしょうね。



連れがいると、時間がたつのがあっという間。
端から端まで叡山電鉄に乗ったのに、長く感じません。
あと、写真を撮ってもらえるのがいいわ。
一人だと、自分が写り込んだ写真はほぼ皆無なので。
天狗の顔と2ショットを撮ってもらいました。
これで天狗がどれだけ大きいか、わかりますね。



○ 鞍馬ケーブルカー



山門に続く石段を登っただけでも、ヒーヒーの私たち。
「なんか、すでに疲れてるんですけど・・・」
昨日の疲れというより、旅行前にためこんだ疲れの方です。
こんなんで、山の上のお寺まで行けるかしら?



今回は初めてケーブルカーに乗りました。
なぜ?それは、一人でケーブルカーに乗る勇気がなかったからです(涙)!
昨日の男山ケーブルカーにも乗れず、登山して石清水詣でをしました(涙)!
ここは日本でただ一つ、お寺が経営するもの。
男山ケーブルカーも、ほとんど石清水八幡宮のためのものですが、だからといって運営しているのは京阪です。



乗車時間はたった2分間ですが、かなりの勾配。
前は、つづら折りの坂道をうんせうんせと登って行きましたが、これに乗ると、急な坂道を上る必要がなくなりました。
便利だったのねー。

○ お寺の境内でグレゴリオ聖歌

ところで、ケーブルカーの待合室には、なにか男性のコーラスが流れていました。
「これ、グレゴリオ聖歌じゃない?」とマイコ。
耳を傾けてみると、たしかにそのようです。
でも、ここはお寺の敷地内。キリスト教の聖歌は、一番流れてはいけないものでは?



謎すぎてキョロキョロと辺りを見回したら、それらしいCDのポスターがありました。
どうやら、仏教の声明とグレゴリオ聖歌がコラボをしたもののようです。
おもしろい試みをしたんですね。

○ 天狗の鞍馬寺



石段に息切れをするものの、さほど苦労をせずに天狗の鞍馬寺にたどり着きました。
パワーが強いと言われる、中心の岩盤に刻まれた三角形の中で、順番に祈ります。



ここの狛犬は虎。天狗だけでなく、毘沙門天を祀っているからです。
かなり猫背だわ~。



御朱印をいただきました。





ここの灯篭には、弁慶の浮き彫りがされてありました。



見晴らしが良く、とてもいい気持ち。
お弁当を広げている人が大勢いる中で、私たちもベンチに座って、ここでおにぎりを食べました。
気持ちのいい、ランチです。



○ 奥の院への道

ご飯を食べたところで、奥の院へ向かいました。
奥の院へと続く道が近づいてくるにつれ、襟を正す気分になります。
今回、ここを訪れた本当の目的が、これから。
前回、奥の院を通って貴船神社へと抜ける山道を一人で歩いて、遭難しかけたことがあります。
以前のブログにそのことは書きましたが、簡単にまとめると

・貴船神社のライトアップを見たい
・鞍馬寺から午後遅めに山越えすると、夕方近くに貴船到着
・予定通り、日が傾いた頃に山越え開始
・山の中で急に天候が変わり、雨が降りはじめた
・夕暮れ時間がなくなり、一気に夜に
・辺りは真っ暗、どうしよう⇒パニック!

完全に自分の計画の甘さが原因ですが、先が見えず、急速に冷え込んでいく木の根道で一人きり。
ケータイが通じず助けを呼べず、山犬や熊が出てくるかもしれない危険を、ひしひしと感じました。
これまで生きてきた中でも、忘れられないくらいの恐ろしい思いをしました。
1人では、怖くてもう歩けないと思っていた道を、2人で歩いてもらうことで、トラウマを解消したいと思ったのです。

でもやっぱり、こわい・・・。
かつての不安感がよみがえり、ひるみそうになる気持ちを励まして、歩き出します。
マイコが「えー、ここ歩くの?駅に戻ろうよ」とブーブー言うのを、「まあまあ」となだめることで、自分の気持を紛らわせます。

思ったよりも、奥の院への道をゆく人が多くて心強くなります。
人さえいれば、命はなんとかなるもの。
一人きりの時には決して無茶をしてはいけません。(とその時に学びました)

修行時代の義経が、のどをうるおしていたとされる、義経の息つぎの水。



すっかり山の中に入りました。こんな看板を見かけました。



黙っていますが、どんどん不安になってきています。
でも、なにより隣に連れがいることが、こんなにも心強いことなんて。
次第に山道はごつごつした木の根がはびこる歩きづらい道になります。



夕方、雨が降って一気に暗くなり、ほぼ見えなくなった山道で、足を取られそうになりながら必死に道を探して歩いたことを思い出します。



言葉少なになった私に、マイコが「こんなに根っこが出てるのに、踏んづけないでって無理じゃない?」と言いました。
看板に「自然保護のため、木の根は極力踏まないように」と書かれていたからです。
たしかにねー、ふふ。
相手がいると、ほんとうに気が紛れます。

○ かつては恐怖の魔王殿

義経殿を参拝し、なおもしばらく進んで、魔王殿にたどり着きました。
ああ、ここだわ。
以前ここに、よろめきながら来た時の計り知れない恐怖感がよみがえります。
暗い山の中で、魔王と私だけ。



屋根しかないにせよ、建物になっているここで一晩隠れて、獣の襲撃を避けようかとも思いながら、山の寒さに凍死するかもしれないために、先に行くことを選んだ場所です。
ここから貴船への道さえも暗くてなかなか探しだせず、難儀したものでした。

でも、今回、ここには10数名の参拝者がいました。
木々の緑をぬって日光が差し込み、すがすがしい空間になっています。
魔王殿の拝殿には、何人もの人が座って、祈りを捧げていました。
以前感じた怖い場所の雰囲気はなく、今回はすずやかな風が流れています。
あの時とはまったく違う空気でした。



ここに祀られる魔王というのは、650万年前に、金星から地球に降り立った聖なる存在で、私たちの守護神となってくれるもの。
鞍馬寺では、毘沙門天王と千手観世音菩薩と護法魔王尊の三身一体の本尊を合わせて尊天としてお祀りしています。
シューベルトの魔王とは違うんです。

○ チェーンが切れた

ここからは、階段を下って貴船へと向かいます。
前は、真っ暗な中、かろうじて見えるほのかに淡く白く浮き上がる階段の手すりを伝って降りて行きました。
手すりは白いのかと思いましたが、明るい中で見ると、グレーで特に色が浮かぶ風もありません。
でも、これのおかげで、なんとか進むことができたんだなあと考えながら手すりを伝って行くと、突然左腕にひやりとした感触がありました。
見ると、つけていたネックレスが落ちるところでした。
すごく驚きました。
何の前触れもなく、チェーンが切れたのです。



鞍馬山で一番パワーが強いといわれる場所を参拝した後、すぐのことだったので、かなり動揺しました。
霊的なことは信じなさそうなクールなマイコでさえ、
「魔王殿のところで切れるなんて・・・」とつぶやきました。

ペンダントトップが見当たりませんでしたが、跳ねたら下に落ちたので、身体についていたようです。
このネックレスは、小学生の頃に親にもらった、体温で色が変わる、不思議なアクセサリー。
高価なものではありませんが、ずっと大事に持ち続けている、私にとっての宝物です。

自分の身代わりになって、チェーンが切れたんでしょうか。
魔王のパワー・・・?
これで、怖い記憶から開放されたと考えていいのかしら。

○ トラウマさようなら

胸の動悸冷めやらぬまま、さらに山を降りて行くと、かすかに川のせせらぎが聞こえてくました。
貴船が近づいてきたしるしです。もう大丈夫。
山から無事に、舗装の車道に降り立ちました。
やったわ。もう恐怖心はありません。
これで、トラウマを解消できそうです。

2-2へ続きます。

     ◆ のんびり京都巡り index

のんびり京都巡り 1-2

2014-10-27 | 近畿(京都・滋賀)
1-1からの続きです。

○ 光明寺

大原野神社を出てから、光明寺に向かいました。前に、神社から歩いて行ったのと同じルートを取ります。
この辺りは、美しい竹林が多い場所。
森見登美彦の『竹林と美女』の話をマイコにしました。
「タイトルに出てくるのに、結局美女は登場しないの」
「え?」
「たけのこが食べたい人だったの」
「う、うん」
失恋塩焼きの話に続いて、また悩ませてしまいました。



それなりに参拝客もいるかと思いましたが、驚いたことにここも無人。
「そうだ 京都、行こう。」で光明寺が採り上げられた時(2009年秋)、その紅葉の美しさに心奪われて、ここに向かいましたが、同じように胸を熱くした人は日本中にたくさんいたようで、観光バスが駐車場に入りきらずに道路にあふれ出し、人の行列がとぐろを巻いているのに恐れをなして、入るのを断念したことがあります。
そののち、年を改めて行きましたが、やはり紅葉の時は人がいっぱいでした。



紅葉時期でない時は、無料で入れます。
内陣見学はありませんが。
お坊さんと私たちだけのがらんとした内陣で、私は御朱印をいただき、マイコは写経をして奉納しました。
いつも京都には、混雑覚悟で紅葉の時期に訪れる私。
シーズンオフは、こんなに閑散とした静かな場所だったなんて。

○ 乙訓寺

マイコの希望で、乙訓寺へ行きました。地名が気になったそうです。(それだけ?)
木札に入山料が書かれていましたが、やはり紅葉前だからか、ここも無料。そして無人。
観光客で混んでいる京都しか知りませんが、今回はあまりに人の姿が見えません。



「善峯寺の山に登っている間に、戦争でも起こったのかな?」
「核戦争のボタンが押されちゃったのかな?」
私があやしんでブツブツ言っている横で、マイコが
「このくらいすいていたら、京都も悪くないわ」と声を弾ませていました。

○ 長岡天満宮



長岡天満宮は、この辺りではかなり大きな神社ですが、ここも閑散としていました。
平日だから?雨が降っているから?
前は七五三の季節で、子供たちでにぎやかな境内でしたが。
心置きなく、狛犬をチェックできます。
参道横の大きな池をながめてのんびりしました。幹線道路沿いながら、サギやコイや亀がいる、自然いっぱいの場所です。





これで、この辺りの主要寺社は巡りました。
バスと電車を使っていたら、(次はどうしよう)と悩むところですが、車なので簡単です。
淀川を渡って、向こう岸に行けばいいのです。

○ 淀川合流地点

淀川合流地点の辺りは、川を超える電車ルートが無いため、車以外だとめぐるのが大変。
私は以前、てくてく歩いて行きました。
大原野神社からずっと歩き続け、岩清水八幡宮を参拝して、淀駅まで行き、たしか5万歩以上歩いた日でした。
今回は、そんな無茶はしませんよ~。
マイコが京都を嫌いになっちゃいますからね。



せっかくなので、私が好きな京都を、彼女にも好きになってもらいたいなと思う今回の旅行です。



この、桂川や鴨川が淀川に合流する地点は、川がたくさんあって好きな場所。
広々としています。



先ほどチェックした、サントリービール工場の前を通って、八幡市へ向かいました。

○ 走井餅老舗

ここにきたら、やっぱり入るのは、走井餅老舗。





ちょうど小腹が減ってきていたので、うどんと走井餅をいただきました。



見るからにおいしそう!うどんのだしの味わい深さに、2人で声をあげます。
お餅はやわらかくって、おいし~い。
京都っぽいはんなり感。見て満足、食べて満足~!
2人で食べる、うれしさもまたおいしさです。



外は茶釜のある小さな日本庭園。庭を眺めながら、古い日本家屋で江戸時代をしのぶことができるお店です。

○ 男山ケーブルカー

京都の交番のマークが好きです。
紫の馬に乗っている、紫の警官。
白馬に乗った王子様ならぬ、紫の馬に乗ったおまわりさん。
それでもノーブルだわ。



八幡市はエジソンと関係があります。
ここの竹をフィラメントに使って実験をし、彼は白熱電球を実用化したんだとか。
世紀の発明に使われたんですね。



京都は町屋のイメージが強いですが、壁の隙間なくぴったりとつながっている家々がありました。
これ、壁一枚向こうはお隣さん?
マンションと一緒ですね。
避難訓練や消火活動をみっちりやっていることでしょう。



八幡市駅と男山山頂を結ぶケーブルカーに乗りました。



「ここ、年間乗客数の半分が1月に集中しているんですって」とマイコ。
みんな、初詣に行くからなんですね。
社員は1月はてんてこ舞いですね~。



今は10月。というわけで、ケーブルカーは私たちだけの貸し切り。
最前列に乗り込んだ私たちのすぐ横に、運転士が立ってハンドル操作をします。
リアル「電車でGO!」みたい。気分が上がります。



運転士が私たちに向かって解説をしてくれますが、マイコが動画を撮っているので、こちらは無言でうなずくのみでした。



○ 石清水八幡宮

以前訪れた時は、本殿は修繕中で幌をかぶっていましたたが、補修が終わり、きれいになっていました。
檜皮葺の格調高いお社。
マイコは、ここで御朱印を頂きました。



ここは、狛犬はいませんが、そのかわりおびただしい数の灯篭があるところ。
数え切れません。



帰りは石段を延々と下っていきます。
降りたところには、江戸風の私好みの橋が架かっています。
和服で通る方が似合っていますね。時代劇の中に入り込めそう。





夕方になったので、参拝はおしまい。向日駅に戻ります。
長岡京駅付近に、ひときわ目立つガラス張りの高層ビルがありました。
「あれ、何のビルだろうね?」と目を凝らしてロゴを見てみると、村田製作所の本社でした。
あそこなんですねー。
車を返して、阪急で烏丸へ。
それから宿へと向かいました。

○ 天狗ラーメン

今回は、滞在期間中ずっと同じ宿に滞在します。
西陣にあり、駅からは少し距離があるものの、交通の便がよく、観光しやすい場所。
大きなお風呂もあります。

部屋で一息ついてから、夕食に出かけました。
近くでいいよね、と、天狗ラーメンを探していきます。
天狗ラーメンって、名前がいいですね。京都っぽくて。



サイドディッシュに、水餃子を頼みました。



ここはネギ盛りが追加注文できるということで、張り切ってお願いしたら、来ましたよ、青々としたネギが!
気が付くと、ほかのお客さんも、次々とネギを追加しています。
むむ、京都の人はネギ好きなのかしら?九条ネギを食べなれてるから?
ネギ好きとしては気になるところです。



できあがったラーメン。これだけでもおいしそう。



これを、よりおいしく食べるために、豪快にさっきのネギを載せます。



スタンバイOK!いただきまーす!
背脂のだしがきいた塩ラーメン。やわらかいチャーシューもおいしかったです。

「京ラーメン、おいしくって気に入ったわー。細麺が好きなの」とマイコ。
意外なところで京都ラブ(?)になってくれたようで、嬉しくなります。
「だから、京都にいる間、毎日ラーメン食べようよ」
ええっ?そんなにはまったの?ま、毎日…?(汗)

○ 首途八幡宮

天狗ラーメンの斜め向かいには、神社がありました。
「あそこは首途(かどで)八幡宮だわ」と思い出します。
ここは、義経が東北(平泉)に向かう前に、旅の無事を祈った場所。
前に、参拝したことがありました。
ただ、迷いながら行ったため、とっぷりと日が暮れてしまい、この日のように参道が薄暗くなっていて、おっかなびっくり歩いたものです。



今回は、2人なので、前より怖くありません。またお参りすることにします。
八幡宮と行ったら鳩ですね。鎌倉もそうですし。
なぜなんでしょう?
ここの鳩の手水舎がかわいくて気に入っていたので、また見られてうれしかったです。



宿の大浴場に入り、すっかりリラックスして寝じたくをします。
前日まで、二人とも相当寝不足だったため、部屋に戻ったらバタンキュー。
一人で京都に来ると、ついついあれこれ欲張って、急ぎ足で過ごしてしまいますが、今回の旅はゆっくりできて、違う京都が見られそう。

2-1へ続きます。

     ◆ のんびり京都巡り index

のんびり京都巡り 1-1

2014-10-27 | 近畿(京都・滋賀)
○ prologue

しばらくの間、休む暇なく緊張を強いられる日々が続き、多忙で心身とても参っていました。
ようやく一段落がつけることになり、気分転換パワーチャージと療養を兼ねて、どこかに旅行することにしました。

でも、忙しい最中には、旅の計画を立てるどころではありません。
そこで、見知らぬ土地ではなく、毎年行き慣れている京都に行くことにしました。

旅のパートナーは、東京のマイコ。
旅好きながら「京都はあまり好きじゃないの」と言います。
「えっ、なぜ?どうして?」
日本人なら誰もが京都を好きだと思っていたら。
「観光地化してて、すっごく混んでるんだもの。人酔いしちゃう」
「東京だって混んでるじゃない」
「有名どころは修学旅行生だらけなんだもの」
「じゃあ奈良は?」
「奈良は好きよ」
「なんなのー?」
「自分の名前で、よく舞妓ハ~ンってからかわれてきたから、抵抗あるのよ」
そう言われると、何も言えません。
「でも、苦手意識を少しずつ克服したいとは思っているの。
だから京都に一緒に行こう?」

ポリシーをはっきり持っている彼女ですが、それでも今回は、弱った私に合わせて、京都につきあってくれることにしたんでしょう。
自分も忙しい時なのに、ありがとう、マイコ。

いつも一人旅、もしくは家族旅行で訪れる京都。
家族旅行だと、親の希望を叶えるガイド役に徹して、自分の希望は二の次です。
そこで今回は「やりたかったけど、一人ではできなかったこと」をメインにすることにしました。

○ 新幹線にシウマイに富士山

新横浜から8時台の新幹線に乗り込みました。
東京から乗ってきた彼女と、座席で落ち合います。



崎陽軒の特製シウマイをほおばっていると、天気がよい日で、富士山が見えてきました。
同じ車両には、外国人ツアー客も乗っており、ガイドの説明を聞いて「オ~ウ、フジヤマ!」とパシパシ写真を撮っていました。
新幹線にシウマイに富士山、ああ旅行だわー。



そのうち、浜名湖畔も通ります。
「わー、ウナギ食べたいなー」「夜のお菓子ー」



ただ、私たち二人とも、かなりくたくた。
おしゃべりしながらも、うとうとと舟をこぎながら京都に到着しました。

今回は、事前に綿密な計画をたてているわけではない、気ままな旅行。
「あまり京都好きを推さないでね。苦手克服中だから」とマイコから念押しされているため、私が振り回してしまわないよう、彼女に行き先を決めてもらうことにします。

○ サントリー工場の見学は

まずは、サントリー工場の見学に行くことにしました。
山崎にあるサントリーの工場は、ビール工場は京都側、ウイスキー工場は大阪側と、近所ながら二箇所に分かれています。
大山崎山荘の美術館には行ったことがありますが、工場には行ったことはありません。
ビール工場見学は、あちこちでしていますが、ウイスキー工場見学をしたことはないので、ちょっと気になります。
「山崎」というお酒もありますしね。



新幹線の中で決めたため、予約は取っていません。
すぐに移動できるように京都駅から山崎駅まで行ってから電話で確認しましたが、当日の予約は既にいっぱいでした。
残念ー。平日なのに、ウイスキー工場、人気だわ。
NHKの朝ドラ『マッサン』の舞台だからかもしれません。
じゃあ、どうしようかな。
この辺りには、私が前から行きたいと思っていた善峯寺があります。
そこに行こうとちゃっちゃと決めて、向日町駅に移動しました。

新幹線の京都市内JR駅フリーチケットで出ようとしたら、自動改札で抜けられず、精算をしました。
あれ、ここって京都市じゃないの?
向日市(むこうし)でした。読みさえ知らなかったわ。

○ 粉もんヤッホー



東向日駅前に、おいしそうなお好み焼き屋さん「銀の卵」がありました。
おお、関西!なんか食欲をそそられます。



お好み焼きとたこ焼きを食べました。
お好み焼きはネギ大盛りでねっ!



安くて感激~。さすが粉もんの地方です。
焼き立てでおいしいー!ハフハフしながら食べました。

○ 善峯寺(よしみねでら)

善峯寺は、結構な山の中腹にあり、バスは1時間に1本しかこない、不便な場所にあります。
そこで、急遽車を借りることにしました。
予想していなかった展開に、お互いびっくりしますが、この辺りはどこへ移動するにも、交通の便が良くありません。
そして荷物を京都駅のロッカーに入れずに持ってきたため、車のトランクに入れて運べるのが楽。
それにしても、私一人だったら、レンタカーを使おうって発想はなかったわ。

スムーズに手続きは済み、車に乗り込んで出発。
乗っているうちに見る見るうちに空が暗くなり、雨が降り出しました。
山に向かっていくので、憂鬱だわー。

途中、十輪寺の前を通りました。
別名、なりひら寺と呼ばれる、このお寺。
「ここは、平安時代のプレイボーイ、在原業平が、恋に破れて悲しみながら塩を焼いた場所なんですって」と言ったら、説明が足りなすぎて、マイコが「は?失恋したから塩を焼く?」と困っていました。
でも、私も詳しくはわからなかったので、それ以上の解説はしませんでした。(不親切~)

雨はやまぬまま、善峯寺に着きました。
ここに来るのは、ものすごく大変だと思って、今まで尻込みしていましたが、実際には思ったほどでもなく、心細い道でもなく、快適に到着。
あれ、こんなに簡単に来れる場所だったの?
車だから、簡単なんですね。

ただ雨なので、動きが悪くなってしまいます。
最初の訪問地からこうなんて。
少し車の中で雨宿りしましたが、いっこうに止む気配もなかったので、参拝することにしました。
山奥のひなびた古刹ながら、駐車場料金も入山料もきちんとかかり(観光京都っぽいな)と思いました。





とても広い境内なので、くまなく散策したかったのですが、あまり周れません。


日本一の松があると聞いて、どれほど天にそびえる高さなのかと思いましたが、枝が横広に伸びていて、垣根になっているよう。
続いているのか切れているのか、よくわからないほどでした。



幸福地蔵があったので、お参りしようと傍に行ったら、「人のために祈ってください」と書かれていたので、先にお賽銭を入れたマイコが「う、意表を突かれたわ」と言いました。
どうしても、神仏には自分のお願いをしてしまいますが、こういうのもいいですね。
2人で世界平和を祈願しました。

お寺なので、狛犬はいません。でも狛犬デザインのものが屋根の上や花瓶についていたので、それを見つけて喜んでいました。



これは狛犬ではありませんが、木彫りの犬たちがかわいかったのでパチリ。



ここは、京都でも知る人ぞ知る紅葉の名所。
今はまだ紅葉時期ではありません。ここは山なので、ほんのり色づき始めていますが。
だからこそ、ほとんど人がいない、静かな場所でした。





○ 大原野神社

それから大原野神社へ行きました。
ここでも駐車料金が必要でした。こんな奥まった場所で?神社なのに?
前はバスで来たので、気づきませんでしたが、ここも観光京都なのね。



かつて来た時にはまだ狛犬に目覚めていませんでした。
今回は「ここは狛鹿なのよね」と、熱心に写真を撮ります。



手水舎も鹿。くわえている巻物から、水が流れています。



なんだか本物の鹿のよう。つぶらな瞳がいいですね。
雨に誘われて、足元にはかたつむりが出てきていました。



紅葉の時には人もそれなりにいましたが、今回は人っ子一人おらず、参道を独占。





マイコが「草団子を食べたいな」と言いましたが、神社前も境内の茶屋も、平日だからかお休みでした。
人の気配がないくらいに周りはしーんとしており、ここで茶屋が開いていても、キツネがやっているんじゃないかと思えてしまいそうでした。

1-2へ続きます。

     ◆ のんびり京都巡り index