1日目からの続きです。
● 2日目は横浜
この日は地元横浜をガイドする予定。
そこでDanielに、桜木町まで来てもらうことにしました。
ひとりで来れるかな?
ミンさんは今日はお仕事。前日に教えてもらった通り「新橋から京浜東北線に乗るとまっすぐ来れるよ」と伝えます。
ところが、路線検索をすると、表示されるのは山手線や東海道線ばかり。
あれ、おかしいな?
調べてみて、お昼の時間帯には京浜東北線は新橋を通らないことがわかりました。
急いで連絡を取ると、彼は東銀座におり「ここからアサクサ・ラインに乗れるよ」と言います。
浅草線は京急に繋がっており、確かに一本で横浜まで行けます。
(横浜駅で待ち合わせしようかな。でもいつも混んでいるあの駅のどこで落ち合えばいいんだろう?)
しかもDaniel、まだ早い時間なのに、もう横浜に向かって電車に乗り込んだ模様。
それだと、1時間くらい早く着いてしまいます。
私はまだ家で支度中なので、時間が合わなくなりそう。
うーん、どうすればいいの?
● 救世主ミンさん
お知恵拝借のヘルプをしたミンさんは、移動中のDaniel本人と話をして
「横浜から桜木町まで歩くつもりだって」と教えてくれました。
テンパっていて、電話をするということに思い至らなかったわ!
横浜まで来れるかどうかを心配していたので、彼が見知らぬ土地を歩こうとしているとは想定外でした。
そんなわけで、横浜までのアクセスは問題なく、待ち合わせ時間は変更なしと再確認。
支度をしていると、ミンさんから「横浜駅に着いたようなので、東口に誘導しておいたよ」と連絡が入ります。
すごい!すごすぎる!
デキるミンさんの的確な遠隔ナビゲーションにより、Danielはカオスのサグラダファミリア横浜駅から、迷うことなく日産ギャラリーに抜けられた模様。
私では無理だったことでしょう。
神さまミンさま、どうもありがとうございます~(。-人-)。とても助かりました~!
● 僕はここだよ
じきにDanielから画像が送られてきました。
「ここにいるね」
「え?そこどこ?」
それきり連絡は途絶えました。
横浜に住んでいるといっても、横浜のすべてを知っているわけじゃないのよー。
美術館っぽいなあと見当をつけて、とりあえず向かいます。
どどーんとそびえ立つ、横浜美術館。
中に入ると彼がおり「ハーイ、ここだよ」と言いながらハガキを書いていました。
美術館でアンケートに答えたら、もらったそう。
「ダリやマグリットの作品を展示していて、おもしろかったよ」
会うまでてんやわんやでしたが、大きなトラブルなく合流できました!
よかった~。ひとえにミンさんのおかげです。
彼のオフィスの方に向かって「ありがたや~」と手を合わせます。
● クイーンズイースト
「カプセルホテルはどうだった?」
「外国人たちが夜更けまでずっとうるさくて、なかなか寝られなかったよ」
そう言いながらも、かなり旅の疲れは取れた様子。
クイーンズイーストを抜けていきます。
「スヌーピータウン?ディズニーショップ?すごいね、ハハハ」
お店を見つけては笑っています。ヨーロッパにはないのかな?
とあるレストランの前に長蛇の列ができていました。
「月曜日なのに、すごい人気だね。なんのお店?」
聞かれても答えられません。いつの間にかお店が変わっており、タカナシ乳業のマークがついています。
「ここは、地元のミルクプラントのレストランだと思う。まだ出来たてだからかな?」
去年秋にできた
タカナシミルクレストランで、連日行列だそう。いつか行ってみようっと。
● カップヌードルミュージアム
前の日はパレットタウン、この日はコスモクロック観覧車の横を通ります。
向かったのは、
カップヌードルミュージアム横浜。
まだ新しくきれいで、空間を生かしたモダンな建物です。
私も初体験。中に入っていく人たちを眺めては、前から気になっていました。
正面にあるのは壁ではなく、木の階段。
ここを上がって展示コーナーに入ります。
英語のパンフレットはありましたが、展示品はタイトルしか英語になっていません。
説明文も英語版があればいいのに。
歴史的な日本の高度成長期の話は、外国人には少しわかりづらいかもしれません。
今ではカップラーメンが宇宙食になっているという話には、Danielは興味津々。
カップラーメン消費量の図も、食いいるように見ていました。
カップラーメン消費量は、世界的に見てもやはりアジアがダントツの多さ。
ポーランドやベルギーでも売られてはいるそうですが、ほとんどがタイ製なんだとか。
確かに去年バルト三国に行った時も、クノールカップスープはあったけれど、カップヌードルは全く見かけませんでした。
日本のカップヌードルは、まだまだインターナショナルではなさそうです。
ここは発明者の名前を取って、安藤百福発明記念館とも言われます。
彼の決してへこたれないチャレンジ精神には元気づけられます。
様々な事業に失敗しても「Never give up!」精神でめげなかった彼。
小さくまとまりがちな私たちは、見習うところ大です。
● ラグマンとミーゴレン
一通り展示を見学した後で、「NOODLES BAZAAR -ワールド麺ロード-」というイートインコーナーへ向かいました。
ここは人々で大賑わい。
屋台村風になっており、8カ国の麺を食べられます。
メニューはどれもカップヌードルではありません。
ここは徹底して、カップヌードルオンリーにしてもいいのに。
せっかくなので、食べたことがないものにしようっと。
Danielも同じ考えだったようで、カザフスタンのラグマンのハーフサイズにしてみます。
トマトと羊肉とスパイス入りの、エスニックあんかけうどん風。
どこか懐かしい味がして、食べやすかったです。
お次は、インドネシアのミーゴレンのハーフサイズにしました。
こちらはよく味を知っています。ナンプラーの甘辛さが効いて、おいしい~。
● ウォッカとズブロッカ
食事をしながら「リカはお酒弱いから、今回ウォッカは持ってこなかったよ。
去年プレゼントしたボトルは飲んだ?」と聞かれました。
去年「Chopin」というすてきなボトルのウォッカをプレゼントしてもらったことを思い出します。
「あれはまだ飾ってるよ。もっと前にいただいたお酒なら、友達のパーティの時にあけたわ」
「どんなのだっけ?」
「ええとね、大きなバイソンの絵が描かれていて、藁が一本入っていたんだけど、あのお酒、何だっけ」
「ああ、ズブロッカだね」
詳しく説明してもらいました。
ポーランドにある世界遺産の「ビャウォヴィエジャの森」で採れるバイソングラスを漬け込んだウォッカだそうです。
「ビャウォヴィエジャ・フォレスト」というその響きが難しーい!
「え?」「は?」「パードン?」と何度も聞き返しました。
「ズブロッカのラベルに描かれているのは、ヨーロッパバイソン。
ポーランド語でジュブル(Zubr)っていうんだよ。
この森に数百頭しかいない絶滅危惧種なんだ」
《ウォッカ+藁一本=ズブロッカ》だと単純に思っていたので、世界遺産とか絶滅危惧種とか「ビャウォヴィエジャ」という、聞き逃せない言葉が出てくるとは思いませんでした。
ポーランドのスピリッツメーカー一社のみが、バイソングラスを使ってズブロッカを作ることを政府に許可されているのだそう。
ロシアの出番はないんですね。
● ひよこちゃんトミカ
グッズショップの中でも一番かわいいのは、やっぱりチキンラーメンのひよこちゃん。
Danielは「近所の坊やへのプレゼント」といって、ドリームトミカ・ひよこちゃんバスを買いました。
● ノー・スパイボート
建物の外に出ると、突き抜けるような青い空が広がっていました。
「さて、お次は?」
「ノースコリアン・スパイボート!」
赤レンガ倉庫というおしゃれな場所の一角に、北朝鮮の工作船が展示されている、そのアンバランスさをけっこう気に入っています。
これなら政治好きのDanielも興味を持ちそう。
ところがこの日、工作船は見られませんでした。
月曜日は閉館なのね~、残念!
● 大桟橋へ
そこで赤レンガ倉庫の間を抜け、臨港線プロムナードを歩いて大桟橋へと向かいます。
その間もお喋りはずっと続きます。
ずいぶん日本の時事に詳しい彼。私よりも知っているかも。
「日本が好きだから、いつも日本の情報が届くようにネットニュースを設定しているんだよ」とのこと。
日本は、言論の自由があると言っても、あまり自由ではない国。
世界では流れていても、日本のマスコミが大きく採り上げない政治的な報道がけっこうあるようです。
そのため、Danielに日本のことを教えてもらう形になったりします。
「リカに日本のことを説明してるの、なんか変な感じ」と笑うDaniel。
このままだとどっちがガイドしているのかわからなくなってしまうわ。
私ももっと熱心に情報収集しないといけません。
● 低い望遠鏡
月曜日の大桟橋は、人が少なくとても広々としています。
くじらの背中と呼ばれる桟橋の上に連れていくと、海を見渡して「ここは自殺ポイント?」とおびえる彼。
ちょうど“日本人は働きすぎで自殺率が高い”というシビアな話をしていたところでした。
「大丈夫よ~」
安全設計だと知って安心した彼は、コインを入れて、観光望遠鏡で港を眺めました。
でも、望遠鏡との高さが合っていません!
これ、日本人の子どもサイズかも?
かなり苦しそうな体勢になっていました。
のどかな湾岸エリア。
平日の昼下がりは、人が少なくのびのびと眺望を楽しめます。
「あの橋いいね」
「ベイブリッジっていうのよ」
前の日はレインボーブリッジ、この日はベイブリッジ。
二つの大橋を見せたことに気がつきました。
● ルソーの絵
彼の写真を撮りながら(この構図、どこかで見たことがあるような?)と考えます。
アンリ・ルソーの『私自身:肖像=風景』という絵でした。
なんか似てますよね!
● くじらの背中
ここには、キング・クイーン・ジャックと呼ばれる横浜三塔が一度に見えるビューポイントがあります。
上から見下ろすと、ウェディング写真を撮影しているカップルもいました。
いい天気なので、きれいな記念写真が撮れたことでしょう。
この日は雪が降るとか言われていたのに、天気が良くてポカポカ。
まぶしいくらいです。
その2に続きます。