風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

京都・奈良 2018古都の秋 1-2(貴船)

2019-01-24 | 近畿(京都・滋賀)
その1からの続きです。

● 鞍馬寺参り

石段を一歩一歩踏みしめて上りつめ、鞍馬寺の本殿にたどり着きました。
視界がぱっと開けます。山々が遠くまで続いています。



標高584mの鞍馬山の中腹に建つ本殿は、標高約410mの場所にあります。
京都市内よりも、紅葉は少し早い見頃を迎えます。



高いところまでやってきたわ~。上からの見晴らしを堪能します。
寒いからか、下界よりも紅葉の色が鮮やか。
平たい石の上に、コインがぱらぱら載っていました。
お賽銭のようですが、本殿は背後。景色がきれいだから…?



さて、息が整ったところで、本殿をお参りします。

● 魔王降臨

ご本尊は、千手観音菩薩と毘沙門天王と護法魔王尊。
本殿の前に敷き詰められた石の金剛床から、宇宙のエネルギーが出ているといわれます



650年前に護法魔王尊が金星から降りてきたといわれる鞍馬山。
金星からやってきた魔王が守り神ですよ。すごすぎません?
ダイナミックな伝説に包まれている聖地だけに、圧倒的なパワーを感じます。
霊感のない私でさえ、何度か不思議な体験をしたことがある、特別な場所です。



本殿の隣には宝仏殿。
私の好きな兜跋毘沙門天像がいるので、中に入りたい気持ちはありましたが、貴船神社にも向かいたいので、ここはスルー。
また参りますわ~。

● 登山ツアー

トラピックスの参加者は、ケーブルカーに乗らずにみんな歩いて上っているようです。
休憩所にぽつんといた添乗員さんと目が合ったので、挨拶して二言三言交わしました。



名古屋発のツアーで、貴船神社には行かないため、鞍馬山でたっぷり時間を取っているとのこと。
参加者たちが上まで登ってくるのを待っているのでしょう。



九十九折りの道を上まで登るには、小1時間ほどかかります。
私たちは一足先にその場を離れて、石段を下りていきました。



モミジの木の下を通ります。
「モミジは葉裏の輝きが一番きれいなのよ」と母に言われて、下から見上げて撮影しました。



陽の光を受けてキラキラときらめく葉っぱに見とれていると、そのまま吸い込まれそうでした。

● にしんそば

ふたたびケーブルカー乗り場へ行き、多宝塔駅から下山しました。
下りに乗るのは私たちくらいかな?と思いましたが、結構待っている人がいます。
下りの方が足にくるとも言いますからね。



お寺の門前に並ぶお店の一つに入って、昼食にします。
母は初めて食べるという、にしんそばをチョイス。
にしんそばといえば京都や北海道が有名ですが、私は山形のアンテナショップで食べたことがあります。



山に上がって、すっかり身体が冷え切ったので、暖かい月見うどんにしました。

● 叡電きらら

駅に戻ると、オレンジ色の車体がやってきました。
展望列車「きらら」です。「ひえい」よりも長い2両編成。
始発なので、のびのび座れますが、私たちはひと駅だけ乗って、隣の貴船駅で降りました。

ここから貴船神社に向かいます。
駅前から発車する神社への直行バスに乗りました。

● 突然の雨

鞍馬を歩いていた時には、青空が広がるいい天気だったのに、貴船の地に降りたとたん、雨がしとしとと降り出し始めました。
不思議です。水の神様が、初めて訪れる母を歓迎しているのでしょうか。
もしくは嫌がっているのでしょうか…?

バスを降りても、雨は止まずに降り続いています。
降るなんて思っていなかったので、傘はトランクの中に置いてきてしまいました。
母の傘に入れてもらって、川沿いを歩いていきます。



夜になると灯篭ライトアップされる紙灯篭が、川面のあちこちに見えました。
雨でペシャンコにならないのかしら。きっと特殊な紙なんでしょう。

● 貴船神社

貴船神社の石段前に着きました。
鞍馬寺から山を越えて貴船神社に出る山道は、閉鎖されていました。
おそらく台風で道が荒れてしまっているのでしょう。



春雨のようなしとしととした雨が降り続きます。
ザーザーではありませんが、結構降っています。



雨に濡れた石段が滑りやすくなっているので、一歩一歩踏みしめながら登りました。



● 縁結びの神様

ここは縁結びの神様でもあります。
本殿までくると、やはり女性参拝客が目立ちます。



境内の水占みくじは、なかなか文字が見えてきません。
みんな気をもみながら、水に浮かべた紙を眺めていました。



参拝を済ませてバス停までの道を戻る間も、雨はずっと降っていました。
台風で林の木々がなぎ倒されており、自然の猛威をまのあたりにしました。



バスから降りて貴船駅に戻ると、ちょうど出町柳行きの電車がやってきたので、飛び乗ります。
普通列車なので空いており、座っていけました。
貴船を離れると、またあっという間に雨はやみ、青空が戻りました。
う~ん、すごいパワー。なのかな?

● ミリオンタイムズ

終点の出町柳で降り、百万遍交差点に向かいます。
「ひゃーくまんべん♬」とヒロミ・ゴー風に歌いたくなる地名(あれは「おーくせんねん」)。
母のリクエストで、そこから10分ちょっと歩いたところにある知恩寺を訪れました。



京都大学の向かいにある広々としたお寺。
静かで閑散としていました。
割と近い場所に知恩寺と知恩院があるので、ちょっと紛らわしいですね。



風が冷たくなってきました。そろそろ宿に戻ることにします。
東山を通る道路は、京都で一番混むあたり。
普段以上に時間をかけて、バスは駅方面に戻りました。



乗車ドアが開くたびに、どんどん人が乗り込んでくるため、途中のバス停で降りるときには、人をかき分けて前に進まないと降りられません。
ようやくバスの外に出て、ほっとひと息。
はー大変だった。
この日は平日ですが、翌日からの3連休の混雑はどうなるのか、推して知るべしです。

● お寺の宿坊

宿に着いたたのは4時半ごろ。
ちょうど夕焼け空になっていました。
今回泊まるのは、智積院の宿坊。



部屋に通されて、のんびり落ち着きます。
数年前に宿泊したときと比べて、明るくきれいになっていました。



境内の真っ赤なもみじが部屋からも見えました。

● お寺の夕ごはん

お寺ではすべて早めのタイムテーブルです。



部屋でくつろいでいたら、すぐに夕食の時間になりました。
夕食は懐石料理をオーダー。



国産の大豆を使った豆腐は、弾力が違います。



滋賀の赤ぞろえのこんにゃくもありました。


湯葉のお吸い物


やっぱり湯葉は欠かせませんね。
すべてがおいしくて、二人とも満足。

● 京都修行道場

食後も部屋でのんびり過ごします。
TVをつけたら「京都修行道場巡り」という番組をやっていました。
お寺が多い京都ならではですね。
私たちが知らない、地元密着型風のタレントさんが回っていました。

この日は、特に大きな失敗もなかった、まずまずの一日でした。
初日から貴船で雨に当たりましたが、翌日からは天気が良くなるそう。
明日の朝が早いので、真夜中前に就寝しました。

2日目に続きます。


京都・奈良 2018古都の秋 1-1(鞍馬)

2019-01-23 | 近畿(京都・滋賀)


● prologue

すっかり毎年恒例となった、秋の家族旅行。
今年も京都に向かいます。

年に一度の親との旅行なので、都民ならぬ母ファーストで。
京都好きの母がまだ行っていない場所を訪れることにしました。

今回のハイライトは、桂離宮。
長年、紅葉のベストシーズンに行ってみたいと思っていたものの、倍率が高くて、なかなか参加許可をもらえませんでした。
地道に申し込みを重ねて、ようやく抽選に当たり、行けることになりました。

● 朝

5時半に起床。眠い目で支度をして出発。
バスは始発便なのに、10分近く遅れて到着。
新幹線の時間があるので、気をもみましたが、問題なく到着。

● キオスクの新聞

新幹線の駅構内のキオスクには、日経新聞の朝刊が山のように積まれていました。
ワ~、こんな風に束になって重なった新聞を見るのは久しぶり。
みんなスマホで新聞を読むようになって、通勤電車で新聞を広げている人は見なくなりました。



新幹線では、席に座ったらゆっくり新聞を読めます。
だからこんなに売られているんですね。

6時台なのに構内は人でたくさん。
のぞみに乗ると、新横浜でもう車両は満席。
平日なのでスーツ姿の人が目立ちます。みんな出張なのね。
車内で新聞を広げている人が、ちらほらいました。

● 車窓の富士山

新幹線に乗ると雨だったり曇りだったりして、車窓の富士山をなかなか見られない私。
晴れのチャンスがあっても、そういう時に限って眠って見損ねたりしていました。

この日は出発直前まで雨が降っていたので、はなから見えないだろうとあきらめていました。
でも、母が「もしかしてあれ、富士山じゃない?」と言います。
「え・・・?わー、そうね!」
久しぶりに新幹線から富士山を臨みました。



のぞみは速すぎて、私の撮影力ではブレまくりです。
まあそれでも見られたので、安心して寝につきました。

● さっそく町へ

9時に京都着。平日なのに人でごった返しています。
半年ぶりですが、駅のコンコースに展望台への階段、セブンイレブン、外貨両替コーナーと、いろいろなものができていて、かなり変わっていました。



さっそく人並みにもみくちゃにされながらバスに乗って宿へ行き、荷物を預けて身軽になりました。
京都国立博物館の横を通っていきます。



まだ開場時間前なのに、入口前には長蛇の列ができており、塀に沿ってぐるりと周り込んでいました。
目下、刀剣展を開催中。なんか、すごい人なんですけど。

● 豊臣神社ととうらぶ

そのまま鴨川方面に歩いていくと、大仏前交番がありました。
母が「大仏ってここにあったのね!」と反応したので「そう、この辺にあったのよ」と話し、豊臣神社に向かいました。



神社で御朱印をいただいた際に見るとアニメキャラのグッズがいろいろあったので、びっくり。
『刀剣乱舞』(とうらぶ)のキャラクターのようです。



この神社でフィーチャリングしているのは、骨喰(ほねばみ)藤四郎御刀守。
骨喰藤四郎は豊臣家筆頭の守護刀でした。
400年後に、こんなブームがくるなんて、誰も思っていませんでしたよね~。
歴史ってわからない!



お参り後、きびすをかえして境内を出ようとする母を「ちょっとまって、こっちも見て行こう」と引き留めます。

● 方向寺の鐘



神社の隣にあるのは、方向寺。
家康がいちゃもんをつけた大鐘があります。
問題の「国家安康」「君臣豊楽」の箇所が白く囲ってあります。



この鐘がきっかけで大阪冬の陣が起こったんですよねえ。
歴史をそのままのぞいているような気分になります。

● 耳のおはか

そばには、耳塚公園がありました。
なんか物騒な名前~。



公園の隣には、耳塚がありました。
秀吉の朝鮮出兵では、捕らえた朝鮮人たちの耳や鼻を持っていって手柄の証拠としたのです。

ひえっ、おそろしい。
母子で、こわごわと近くに寄りました。



でも、こんもりと土が盛られたお墓はきれいに手入れされ、生花が備えられていました。
きちんと供養されているようです。
私たちも、お墓に手を合わせて拝みました。

塚を囲む石の垣根には、歌舞伎役者の名前がずらりと連なっていました。
なぜかしら?

後に調べてみたところ、この耳塚は明治31年に修復されたもので、石の玉垣は大正4年に作られたものでした。
歌舞伎役者 片岡仁左衛門、浪曲師 桃中軒雲右衛門、俳優 川上音次郎、義太夫 豊竹古靭太夫といった当時の著名な芸人達の寄付で建立されたものだそうです。
当時の芝居興行を仕切っていた侠客の親分が発起人で、彼が秀吉をあがめていたためではないかという話です。

● けいはん

七条の交差点が青になると、反対側で待っていた人々がいっせいにこちらに向かってきます。
そのほぼ全員が女性。年齢層もほぼ統一しています。
(あっ、刀剣女子ね!)
真剣な顔でズンズン速足で来る、その迫力に圧倒されました。
私たちの横をすり抜けて、博物館へと向かっていきましたが、すれ違った時の迫力に心臓がドキドキ。

鴨川沿いの七条駅から京阪に乗ります。
混んでいましたが、次の四条駅と三条駅でごっそり人が降り、終点の出町柳まで座っていきました。

● 叡電ひえい

出町柳から地表に上がり、叡山電鉄のホームへ。
叡電にまだ乗ったことがない母のリクエストです。
周りの人がやけに急ぎ足だと思ったら、次に出発するのは「ひえい」だそう。

座席が大きな窓の方を向いている観光電車です。
予約不要なだけに、乗るのは大変なのです。

クラシックなデザインの車体がホームにやってきました。
カッコイイ!



私も鉄子の母も、一気にテンションが上がって乗り込みました。
一両編成なのに、ありえないほどの乗客が乗り込んで、ぎゅうぎゅうの飽和状態です。
「ひえい」の行き先が八瀬比叡山口だと気づいたのは、動き出した後でした。
鞍馬までは行かないのね~。



行き先が分岐する宝ヶ池駅まで行き、そこで乗り換えます。
無人駅の小さなホームいっぱいに、鞍馬行きを待つ人たちがいました。
阪急トラピックスのツアーグループがおり、よくしゃべる添乗員さんがついています。
お喋り好きじゃないと勤まらない仕事ですね。

この時期の叡電は「秋のもみじ列車」と言われて、車窓から紅葉が楽しめます。
市原駅と二ノ瀬駅の間に紅葉のトンネルがあり、そこにさしかかると電車が減速してゆっくり走ってくれます。
夜にはライトアップもされる、一日中人気のルートです。

● 鞍馬駅の天狗

終点の鞍馬駅に着きました。



古めかしい駅舎の雰囲気が気に入っています。
高尾山に向かう高尾駅の駅舎もレトロ。
天狗のお面が飾られているのも一緒です。



この冬、駅前の天狗の鼻が、雪の重みで折れてしまい、天狗さんは大きな絆創膏を貼っていました。
その後どうなったのか気になっていましたが、長い鼻が復活していたのでひと安心。

母に撮影してもらったら、思いっきりレンズに指が入っています。
親あるあるです。



ここから鞍馬山への坂道になります。
足腰の弱い母に合わせて、石段をゆっくりゆっくり上がります。



参道の家の前に、かわいい苔玉盆栽が並べられていました。
君たちのうちの誰か、うちにお嫁に来ないか~い?

● 鞍馬寺と虎

鞍馬寺の正面入り口が見えてきました。
う~ん、迫力。



お寺の入り口横には、スイスの山荘のような大きな建物があります。
修養道場「歓喜院」です。



門の前でにらみを利かせているのは、狛犬ならぬ一対の虎。
毘沙門天の遣いです。



日本にいない動物なので、そういえば毘沙門天って外国の神様だったなあと思い出します。
エキゾチック~。インド出身だから、神虎はベンガルトラかな?

● 最短ケーブルカー

ケーブルカーに乗りました。正式名称は、鞍馬山鋼索(こうさく)鉄道。
認可鉄道では唯一の、宗教法人が運営するケーブルカー。
たった207mの、日本一短い鉄道です。
でも坂は九十九折れの急勾配なので、これに乗らずして山を上るのは大変です。

時刻表を見ると1時間に3本の運行ですが、ハイシーズンだからか実際には7分おきくらいに動いており、さほど待たずに乗れました。
乗車時間は3分ですが、両側に9月の台風で幹や枝がザックリ折れた杉林が広がり、鞍馬山が受けた被害の大きさを知りました。

● 長い石段

降りたところに出迎えてくれるのは、多宝塔。
山の上まで上がると、気温も下がって紅葉がきれいに色づいています。
青空に映えて一枚の絵のようです。



ケーブルカーを使っても、楽して参拝はできません。
さらに百数十段の石段が待っています。
うわあ、長いわ~。でもあせりは禁物。



まだ旅は始まったばかり。
母が疲れてしまわないよう、ゆっくりゆっくり上っていきます。

● 山紅葉の世界

阿弥陀仏が祀られている転法輪堂の横を通ります。



紅葉のトンネルの向こうには、遠く山々が見えてきました。
結構な標高まできています。



階段の途中で振り返ると、ちょうど光が射しこんで、紅葉が美しく輝いていました。
おお~、神や仏が降臨したようだわ。



ゴールの本堂までもうひと息。
その2に続きます。


根岸と山手の丘歩き index

2019-01-18 | travel
[2018.10.28]

◆  根岸 1-1 ←旅行記へ
 地元の友人と山手・根岸を散策しました。
 根岸には森林公園が広がり、ユーミンのドルフィンや元米軍住宅もあります。
 横浜にある4つの外国人墓地全てを訪れたことになりました。
  ● prologue ● 根岸の外国人墓地 ● 聖光学院
  ● ファイアステーション ● ドルフィンの思い出 ● 米軍住宅
  ● 根岸森林公園 ● アイスリリーとコスモス ● 日本初の競馬場
  ● 米軍居留地のサイン ● 公園のかいぼり ● 南京墓地
  ● 中国のお墓参り ● 4つの外国人墓地



◆  山手 1-2
 山手には、ハロウィンの仮装をした子供たちがたくさんいました。
 洋館巡りをして、中華街で飲茶タイム。
 山下公園で夕暮れをむかえて、この日の散策を終えました。
  ● 根岸の丘から山手の丘へ ● ハロウィンウォーク ● 山手の洋館巡り
  ● ホームパーティ風 ● ゴシック調 ● いるか亭
  ● 坂の下の弓道場 ● 重慶飯店飲茶 ● 夕暮れの山下公園
  ● 赤い靴の少女 ● HARIBOベア ● スタバのカップ ● epilogue





根岸と山手の丘歩き 2(山手)

2019-01-18 | travel
その1からの続きです。

● 根岸の丘から山手の丘へ

南京墓地を出て、ふたたびバス通り沿いに歩きました。
どんどんまっすぐ歩いていくと、山手の丘にさしかかります。
フェリスの辺りに差し掛かったあたりから、(今日はなんだかずいぶん人が多いな)と思うようになりました。

車道脇の歩道を、人が切れずにずっと列を作って歩いています。
そして、ほとんどの人が、仮装をしています。

「あ、そういえば今ってハロウィンだったね!」
ようやく気がつきました。

山手では、いつもハロウィンの仮装をして、洋館巡りをするというイベントが行われます。
その日だったのね~。うわー残念!

人が混んでいるときに来たから残念という意味ではありません。
仮装していないことが悔やまれるのです!
だって、ほとんどの人が楽しく仮装している中に、普通の格好でいるなんて、無粋極まりませんから!
そんな自分がイヤ~!

● ハロウィンウォーク

それにしてもすごいことになっています。
日常からかけ離れた別世界にきたみたい。



渋谷の若者コスプレ騒ぎとは違う、子供メインのイベント。
子どもたちは仮装が板についており、ポージングもとり慣れています。



大人も控えめながらハロウィンの仮装で、みんな上手に着飾っていて、こなれた感じ。
全体的に品が保たれています。

● 山手の洋館巡り

山手の丘にある西洋館は、山手111番館、横浜市イギリス館、山手234番館、エリスマン邸、ベーリック・ホール、外交官の家、ブラフ18番館の8つ。
この8つの洋館が「山手西洋館ハロウィンウォーク」というイベントを毎年開催しています。



ブラフ18番館
の庭には、8つの西洋館のミニチュア版があります。



● ホームパーティ風

普段でも季節折々のテーマごとにコーディネイトされた中を見学できるようになっている洋館。
ハロウィンの内装も、気合が入っています。





フルーツや花をふんだんに使った、華やかなホームパーティ風。
外国のお宅にお邪魔しているみたい。



あっ、妖精が前を通った。





こちらは外交官の家



● ゴシック調

ベーリック・ホールはゴシック調。
黒いテーブルクロスの、大人びたゴスロリの世界です。



あっ、とんがり帽子の妖精がいた。



洋館は、とっても絵になります。
洋館はそれぞれのテーマでハロウィン仕様になっており、どこを見てもインスタ映えする場所ばかり。



山手本通りを歩いていると、楽しそうにパーティをしている人たちがいました。
うーん、夢のような光景ですが、現実です。

● いるか亭

私たちもお茶をしたくなりましたが、チェリーサンドが有名な洋館カフェ、えの木亭は、予想通り大人気。
外から眺めるだけにしました。



根岸のドルフィンも山手のえの木亭も、どちらもすてきなカフェ。
前に別の友達が、どちらかのお店の話をしようとして「あの有名な"いるか亭"がね」と口走ったので、笑ってしまいました。
「名前が混ざってるよ!」
二つのお店の間にいるか亭を建てたら、ギリギリどちらの店にも怒られず、なんとなく両店をイメージさせる効果もあって、人気が出そうな気がします!(あざとい)

● 坂の下の弓道場

いろいろと巡ってきた洋館も終わりになり、ずっと人の流れが切れないので、そろそろ道をそれることにしました。
横浜外国人墓地隣の元町公園に降りる貝殻坂を下っていきます。
(この日は、横浜の4つあるうちの3つの墓地を見たことになります)

エリスマン亭を眺めながらどんどん下に降りていくと、茂みの向こうに弓道場が見えました。
えー、こんなところに?
この道を通るのは初めてだったので、新たな発見でした。



元町公園プールは、夏のみの営業。今は閉鎖されて静かです。
塗装発祥の碑なるものがそびえたっていました。

それから、ジェラール水屋敷地下貯水槽の前を通りました。
先ほど訪れた南京墓地の地蔵王廟の瓦を作ったジェラールさんの、フランス瓦煉瓦製造工場があった場所です。
コイが泳ぐ山手の湧き水を見て少し進むと、もう元町商店街。
にぎわう元町通りに裏から入って、何食わぬ顔をしてショッピングする人々に混ざります。

● 重慶飯店飲茶

山手でお茶をしそこなったので、この辺りでティータイムにしたいところ。
中華街の重慶茶樓本店に向かいます。



ハロウィンで盛り上がる山手の賑わいとはがらりと変わって、静かな空間。



ここで飲茶にしました。



さすがは老舗、サービスが行き届いています。



お茶をポットでおかわりして、たっぷりいただきました。

● 夕暮れの山下公園

飲茶後、中華街を抜けて山下公園へ。
秋バラがきれいに咲いていました。
一年中咲くようにしているんでしょうね。



ちょうど夕暮れ時にさしかかり、空の色が茜色に代わっています。
見慣れた景色も特別な色を帯びる、マジックアワー。



氷川丸を眺めてふりかえると、長い耳を垂らした2匹の犬を連れたおじさんが、ゆっくりと前を歩いていきました。



ハッシュパピーのわんこ!!
ハッシュパピーは犬種名かと思っていたら、あの犬はバセット・ハウンドっていうんですね。
スヌーピーがビーグルだと知った時と同じ驚きがありました。



美しく手入れされている公園の芝生。
赤いコキアがきれいでした。

● 赤い靴の少女

いつも誰かが占領している公園のベンチが珍しくあいていたので、座って一休み。



そのうちに夕日が沈み、辺りは暗くなってきました。



左側にみなとみらいと大桟橋、右側に氷川丸を臨む、赤い靴の少女像。
なかなかのベストポイントに座っている彼女。
少しずつ変わりゆく横浜の港を、静かに眺めています。

● HARIBOベア

公園内にあるナチュラルローソンの中に、黄色いクマがいました。
黄色いクマといったらプーさん?でもどこかにもう一匹いたような…。



ちゃんとロゴが入っていました。
HARIBOのゴールドベアではないですか。
売られていたのは人気フレーバーで、ヨーロッパ人が大好きなタイヤ味の真っ黒な「シュネッケン」はありませんでした。
(残念というか当然というか...)

● スタバのカップ

そこから赤レンガ倉庫を超えて関内まで歩き、駅のそばのスタバに入りました。
「店内で」と言うと「カップで飲まれますか?」と聞かれました。
よくわからないまま「はい」と答えると、いつものプラスチック容器ではなく、陶器のカップに淹れて出してくれました。



わあ、こっちの方がおいしそう。
日本でもプラ撲滅運動が徐々に広まってきているので、スタバでは店内利用の人にカップで出すようになったのでしょうか。
どうやら店舗に寄るようですが、プラよりはやっぱりセラミックの器で飲んだ方がおいしいですね。

● epilogue

ゴールは関内駅。改札前で友人とお別れしました。
この日は、山手駅から根岸の丘に上がり、山手の丘を通って元町と中華街を抜けて、関内駅まで歩きました。
この辺りは横浜でもとっても素敵な界隈。楽しい散策コースです。
今回は、横浜の外国人墓地をたくさん巡れた上に、山手の本格的なハロウィン行事を見ることができました。

横浜、いい町です。歴史のお勉強もできた一日でした。



根岸と山手の丘歩き 1(根岸)

2019-01-17 | travel
● prologue

横浜の友人と、山手・根岸のあたりを散策しました。
待ち合わせは根岸線の山手駅。
石川町駅と根岸駅の間にひっそりとある駅です。

学生の時に家庭教師をしに来ており、この辺りをよく歩いていましたが、久しぶりに降りた駅舎はピカピカに新しくなっていました。
5年前にバリアフリー化されたそうです。
懐かしい道なりに歩いてみることにします。

● 根岸の外国人墓地

まずは、友人に、根岸外国人墓地に案内してもらいました。
有名な山手のほかに、根岸にも外国人墓地があるというのは知っていましたが、いままで詳しいことは知らずに来ました。
市民にもほとんど知られていないのではないでしょうか。
こんな駅からすぐの場所にあったなんて、びっくり。



ここには歴史に名を残す有名人は埋葬されていません。
観光用に開かれておらず、中には入れません。
山手が陽ならこちらは陰。入口の門は固く閉ざされていました。

● 聖光学院

聖光学院高校の周りをぐるりと半周しました。
ここは小田さんはじめ、オフコースのメインメンバーの出身校。
他県にも同じ名前の学校があり、福島の聖光学院は甲子園にも出る野球の強豪校ですが、ここは「神奈川男子私立御三家」の一つとされるエリート校です。



聖光学院のそばにある、家庭教師をしに訪れていた億ションの前を通り、(あの子は元気かなあ)と感慨に浸りながら、バス通りに出て道沿いに歩きます。
じきに、ファイアステーションが見えてきました。

● ファイアステーション

カッコつけて言っているわけではありません。
ここは在日米軍のFIRE STATION No.5。日本名称は、米海軍司令部統合消防隊第5消防署。



現在も現役で、在日米海軍横須賀基地司令部憲兵隊が管理しています。
消防署のガレージには、真っ赤な日本の消防車とはちょっと違う、白と赤の消防車がスタンバイしていますが、この日は見えませんでした。



敷地内にはアメリカ国防総省発行のPacific Stars and Stripes(星条旗新聞)の自販機があります。

● ドルフィンの思い出

FIRE STATIONからほんの少し坂を下ったところに、有名なレストランDolphinがあります。
ユーミンの「海を見ていた午後」という歌で
♬ 山手のドルフィンは 静かなレストラン ♬
と歌われている場所。実際には根岸にあります。



私もかつて、あの歌に憧れてドルフィンに行き、ソーダ水の中を貨物船がとおるのを眺めましたよ!

ところが、ここの思い出はそんなロマンチック体験ではありません。
ここの駐車場は変わっているのです。
坂の途中に建っているため、駐車場内の傾斜が厳しい上に、弧を描いて奥まった形をしています。
免許を取りたてだった私は、あまりに上級者レベル過ぎる駐車場を前に立ち往生してしまい、駐車場の人に中に停めてもらいました。

ついでに車のキーも預ける仕組みで、知らない人に鍵を渡すというのが初めてで、店内に入っても(大丈夫なのかな、どこかに持って行かれちゃわないかな)と相当ドキドキしました。
だから実際には、ソーダ水を前にしても気もそぞろで、ロマンチック気分にひたるどころではありませんでした!

なつかしい~。今もそうしたシステムなのかしら。
この日はまだお店は開いていなかったので、わかりませんでした。

● 米軍住宅

ちょっとした標識も英語表示。
FIRE STATIONがあるように、この辺りには少し前まで根岸米軍住宅がありました。



昭和22年に接収されてから、根岸台の広大な土地は、フェンスで区切られた日本の中のアメリカでした。
その後日本への返還が決まり、住んでいる人は今はもう誰もいません。



ただ、まだなにか整っていないようで、所属がはっきりしない、宙ぶらりんの土地になっているのだそう。
いまだに日本人は中に入れない状況です。

● 根岸森林公園

元米軍接収地に隣接して、根岸森林公園が広がっています。
根岸競馬記念公苑には馬の博物館があります。



森林公園には、広々とした緑の芝生が広がっています。
わあ、こんなに広い場所で、電線がないのって、いいわ~。
家族連れが思い思いにくつろいでいます。
休みの日に、ここで一日ゆっくり過ごせるなんて、なんてすてきなんでしょう。
ここに家から歩いてこれる友人が、うらやましくなります。

● アイスリリーとコスモス

アイスリリーという見慣れぬ花を見かけました。
球根を冷凍処理した百合だそうです。



それって近未来小説に登場する「コールドスリープ(冷凍睡眠)」みたいなもの?
よく花が咲いたのね。



季節は秋。コスモスがきれいに咲いていました。

● 日本初の競馬場

この広い公園の敷地には、日本初の横浜競馬場跡地もあります。



初めは居留外国人専用に作られたもので、現在残る一等馬見所は、近代化産業遺産に認定されています。



クラシカルな建築が人気を呼んで、今ではコスプレイヤーの撮影会もよく開かれているんだとか。
建物をぐるりと囲むフェンスは、以前はなかったそうです。



なんとなく朽ちかけている外観。
修復の手が入っている様子はありません。このまま痛んでいくのはもったいないですね。
こういう建物が好きな人はたくさんいるので、少し予算をかけて、中を見学できるようにしたらいいのになあと思います。



● 米軍居留地のサイン

根岸森林公園は変わった形をしていて、紫丸の芝生広場と競馬場跡地の間に、赤丸の米軍居留地が、入り込むような位置関係です。





公園の途中に居留地が入り組んだ場所があり、そこにはやはり立ち入り禁止のサインがあり、高いフェンスの前には警備員が立っています。



この辺りにいると、もう見慣れた光景ですが、ちょっと独特ですね。



● 公園のかいぼり

再び芝生広場の方へ戻り、スイレン池にやってきました。
「ここの池には亀がいる」と友人が言うとおり、カメが甲羅干しをしていました。
水は少し濁って、どんな魚がいるのかよくわかりません。
「かいぼりしているのかな?」と話しながら周囲を歩いていると、立て看板がありました。

そこには、「池の生き物紹介」とありました。
在来種か外来種かも明記されています。
TV番組「池の水ぜんぶ抜く」を意識しての看板のようでした!



ミシシッピアカミミガメやコイのところには
「池の生態系を崩す外来種指定の生き物なので、新しいお家にお引越ししました」と書かれていました。
「どういう意味だろう?」「なんか気になるね」と友人とひそひそ。
大人になると、勘繰り深くて、やーね。

公園を散策してから、ふたたびバス通りに出て、坂を下っていきました。

● 南京墓地

山元町商店街にさしかかると、友人は花屋で花束を買いました。
そして、なんの変哲もない普通の曲がり角で、ふっと横道に入ります。
少し歩いたところには、また新たな外国人墓地がありました。

ここは中華義荘。またの名を南京墓地。
横浜で暮らした華人、華僑の人たちのお墓です。
友人のご両親もここに眠っており、この日はお墓参りに私も一緒に連れて行ってもらうことにしました。
ベルギーでも、友人がポーランド墓地にお墓参りに行くのに同行したことがあります。

南京墓地も存在は知っていましたが、どこにあるのか、詳しい場所はわかりませんでした。
なにも表示もありません。あてずっぽうに向かっても見つけられなさそう。



中国獅子に守られた入口から入り、長い階段を登り切ったところに、墓地が広がっていました。
お墓は日本のものとそう変わりませんが、中国のお墓事情は、なにもかもわからないことばかり。
訪れたばかりの根岸の旧競馬場が見えました。

● 中国のお墓参り

中国のお墓に行ったことがあるのは、西安の兵馬俑くらい。
そことはずいぶん雰囲気が違います。というかあそこが普通じゃありませんね。
だってあそこ、秦の始皇帝陵(お墓)ですから、そりゃハンパない規模でした。

友人は、木桶に水を汲んでご両親のお墓にお花を供えてお参りしました。
それから3階建の安骨堂(納骨堂)に入りました。
取り出したのは、日本の線香とはまるで違う、長くて太くて黄色い線香。
これに火をつけて、再びお墓のところに戻りました。



線香をお供えしてから、墓地の奥に並んだ墓石のところへ。
ここは、関東大震災などで亡くなった人々のお墓だそう。
そこに、一本ずつお供えしていきます。
お線香を分けてもらって、私もお参りしました。

● 4つの外国人墓地

それから、地蔵王廟という建物の中へ。
真っ赤な建物が中華風。
建物は、横浜市指定有形文化財に指定されています。
建築当初、ジェラール瓦が使われていたというあたりが横浜っぽいです。
ここで、墓地を守るお地蔵様たちに線香をお供えしました。



米軍居留地は、日本の中のアメリカですが、ここもまた、日本の中の中国。
山手はすごいところです。いろんな国が詰まっています。

横浜には4つの外国人墓地があります。
これまで、山手の横浜外国人墓地と保土ケ谷の英連邦戦死者墓地に行ったことはありましたが、この日、残りの2つ、根岸の外国人墓地とここ南京墓地を訪れたことで、市内4か所すべての外国人墓地を訪れることができました。
コンプリート!友人に感謝です。

歴史が浅い横浜でも、この辺りには分厚い近代史が残っています。
こんな感じで根岸の丘をゆるく散策しました。
その2に続きます。