● prologue
年末も押し迫ってきた12月27日。
休みが合った友人と、帰省ラッシュで高速道路が動かなくなる前に、ドライブに出かけました。
目的地は、初めての沼津。
小学生の頃、2年間清水に住んでいたので、静岡を知っているつもりになっていましたが、静岡は広い県です。
実は焼津と沼津の違いがわかっておらず、そもそもどこにあるのかも把握していません。
それでも、はとバスなどの沼津日帰りツアーが人気と聞いて、新鮮なお魚目当てに行ってみたいと思っていました。
● 目の前でアクシデント
当日朝、友人の車に乗せてもらい、おしゃべりしながら片側1車線の一般道路を走っている時のことです。
運転席の友人が、突然会話をさえぎって「うわっ、危ない!」と叫びました。
助手席の私の席から見えたのは、前方右側の道路沿い、1mほどの高さにある駐車場から、車Aが半分飛び出してグラグラしながらなんとか停まった光景でした。
(ギリギリ落ちずに停まってよかった~)
安心したのもつかの間、反対車線から別の自動車Bがフラフラこちらに近づいてきて、左側のスペースに停まりました。
ボンネットは、ぐにゃりとへしゃげていました。
驚きのあまり、呆然としました。
何が起こったのかわからないままですが、辺りを走っている車はすべて速度を落とし、ノロノロ運転に切り替わっています。
「衝突事故だよ。写真写真」
そう友人に言われて、我に返りますが、気が動転していて、なかなかスマホも取り出せないし、指がもたついて撮影モードにできません。
ようやく撮ったのが、この一枚です。
道路の真ん中に、一台の車Cが横転していました。
胸がつぶれそうな衝撃を受けました。
今まさに、目の前で起こった事故。
助手席からだとよくわかりませんでしたが、運転席の友人は、その瞬間を目撃していました。
「おそらく、A車の運転手が駐車場でアクセルとブレーキを間違えて踏み込んでしまい、A車は車道に落ちずに済んだものの、その反動で、前に停まっていたC車を車道に跳ね飛ばし、C車が走っていたB車のボンネットに当たったのだろうということ。
● 車3台の衝突事故
グーグルストリートビューの画像です。
Aは黄色、Bは青、Cが赤の矢印の動きをして停まりました。
駐車していたC車が道路に放り出されたのなら、中は無人でしょう。
横倒しになった車に人が乗っていたらと考えると、ぞっとします。
不幸中の幸いですが、まだこの自動車の持ち主は、マイカーがこんなことになったことを知らないのです。
● その場判断の迂回ルート
今まさに起こったばかりの事故なので、警察も何も来ていません。
目の前の事故にショックを受けている車の運転手たちの判断で、その場を切り抜けるしかありません。
本当は道をまっすぐ進むはずでしたが、横転車が通せんぼしているためそれはできず、左折してその場を離れました。
左折する時に反対車線を見ると、バスが停まっており、乗客が大勢降りて、事故車の方を見ながら信号を渡っていきました。
● ららぽーと横浜
この日は平日。時間的に出勤する人たちでしょう。
左折して、さらに左折すると、そこはららぽーと横浜でした。
こんな呆然とした気持ちで朝のららぽーとを眺めることになるなんてー。
「この事故、ニュースになるかな?」と言ったら、
「この程度じゃ、ならないでしょう」と友人。
確かに、その後調べてみても、特にニュースになった様子はありませんでした。
数台前で起こった突然の出来事が、私たちが通る時に起こっていたらと思うと、血の気が引きます。
そして乗客を大勢乗せたバスが実被害を受けなかったことに、安心しました。
あのバスは、運行が停まってしまいましたが、きっと運転手が会社経由で警察に通報してくれたことでしょう。
● 高速から富士山
まだ心臓がバクバクしていますが、気持ちを切り替えなくてはなりません。
西へ向かうルートを北向きに変えて、ナビが新たに教えてくれる道を走ります。
高速に入ってスピードを上げて、ようやく気分が変わってきました。
ビュンビュン飛ばして、大和、厚木、秦野と神奈川を通り、御殿場まで来ました。
天気がいい日。富士山が大きく見えます。
もう雪をかぶってまっ白。
横浜から見るのとは、全然大きさが違います。
県境を越えて静岡に入ると、一気に旅気分が増します。
● レトロな沼津港
高速を降りて、沼津港にたどり着きました。
思ったよりも小ぢんまりとした町。昭和な空気が漂っています。
車を停めて、魚市場食堂街を散策しました。
少し早めですが、ここで食事をする予定。
港で水揚げされたての新鮮なお魚を食べたいのです!
● 網元ランチ
ぐるりと一周してから、
漁師寿司 網元武田丸に入りました。
「『真田丸』じゃないんだ~」とか、「武田の本拠地、甲斐は海なし国なのに~」とか、いろいろ気になりましたが、市場内に3店舗ある大きなお店です。
料理を注文し終えたところで、お店の人が
「これ、サービスです。よかったらどうぞ」と大きめのお皿をテーブルまで持ってきてくれました。
「まぐろの煮つけです」
うわ~、大ぶるまい!
かなりのボリュームです。やわらかくて、よくタレが染みていました。
ランチは漁師の海鮮丼にしました。お魚はプリプリでおいしい~!
照りが違います。生しらすと桜えびも乗っていました。
こちらもボリュームたっぷりでした。
大満足で、ニコニコです。
お店を出ると、駐車場の車の上で、三毛猫が悠々とひなたぼっこをしていました。
お魚天国のこの市場に棲みついているこの猫は、ハッピーですね。
野良猫に生まれ変わったなら、私もこういった港町に棲みつこうと思います!
● お正月の買い出し
年末なので、実家用にお正月の酢だこやするめ、チータラなどを買いこみました。
我が家では、酢だこがないと正月を迎えられません!
発泡スチロールの箱に氷と一緒に入れてもらいます。
マンホールはやっぱり富士山。
● 武骨な要塞
「近くにおもしろいタワーがあるみたい」と聞き、港の少し奥まった場所に行ってみました。
たしかに、すごい建物を発見。
武骨な要塞みたい。これはいったい何でしょう。
ショッカーのアジトのようで、ワクワクします。
この角度だと、謎だらけでしたが、これは横から見た姿。
前から見ると、それは巨大な水門になっていました。
正体は、沼津港大型展望水門
びゅうお。
空を見上げると、トンビがゆっくり円を描いていました。
夜になってライトアップされると、とてもファンタジックになるようです。
でも私は、横側から見た無国籍な怪しさの方に惹かれます。
いや~、いいものを見つけました!
● 沼津の海
近くにはほかに深海水族館があり、シーラカンスが展示されているとのこと。
でも職場にシーラカンスの化石があるので、まあいいかなとパスしました。
考えてみると、ちょっと変わった職場かもしれませんね...。
ここは狩野川が海に流れ出る河口。
風のない、凪いだ沼津の海を眺めてから車に乗りました。
● 三島広小路駅
次の目的地は、三島大社。
カーナビの検索を見て、沼津と三島って近いんだなあと気がつきます。
地図を見てきちんと把握しないといけませんね。
途中で見かけた、建物の上にある巨大な富士山。
はま寿司のお店かと思いましたが、
伊豆コレクションというお土産店の建物でした。
映画に出てきそうな渋い小さな駅舎の横を通ります。
ホームには人の姿があるので、現役の駅なんですね。
伊豆箱根鉄道駿豆線・三島広小路駅でした。
● 三島大社
10分ちょっとで三島大社に到着しました。
この神社の周りに町ができて、駅もできたのでしょう。
大きな車道をまっすぐ進むと神社の参道につながります。
かつては駅からずっと参道が続いていたのでしょう。
ここは小6の時、親戚の結婚式で訪れて以来の参拝になります。
なつかし~い。といっても、あまり覚えていません。
買ってもらったばかりの、よそいき用のエナメルの靴が痛くて歩けなくなり、駅前商店街の靴屋で買い直してもらったことだけ覚えています。
境内には庭園があり、紅葉が残っていました。
うーん、美しい、日本の秋。(もう年末ですが)
社務所の廊下には、松と水の入った桶がありました。
手水舎は別にありますが、それとは別に、神事で手を浄める場所かもしれません。
● 新年準備の境内
本殿を参拝しました。
もう謹賀新年の幕がかかってあります。
立派な木彫り彫刻に目を奪われました。
年末なので、参拝客はちらほら。境内は空いています。
でも、お正月に向けて、破魔矢やお守り授与のテントがたくさん準備されていました。
師走に酉の市があるため、熊手は年末に取り換えるものかと思っていましたが、お正月でもいいんですね。
境内には、屋台がずらり。まだほとんど開いておらず、お正月中の場所取り合戦です。
神馬舎には馬の人形がおり、その上には大きな絵馬が飾られていました。
● キンモクセイ
一旦帰りかけましたが、(そうそう)と思い出して、境内の準備の様子を眺めていた神主さんに「キンモクセイはどこですか?」と聞きました。
言った後で(それだけでわかるかな?)と気になりましたが、神主さんは「本殿の横にありますよ」と教えてくれました。
戻ってみると、設置された白いテントの影にありました。
樹齢1200年の、最大最古の大キンモクセイ。国の天然記念物です。
「よく覚えてるね」と友人に言われたので、説明しました。
「バンドのキンモクセイの1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ』のライナーノーツが、メンバーが東京からどこかに向かうストーリー仕立てのフォトアルバムになっていたの。そのゴールがここのキンモクセイの前だったのよ」
「だから思い出したんだ」と答えると、「それはそれでまたよく覚えてるね」と言われました。
キンモクセイ、好きだったからね~。二人のアカボシ~♪
● 三島のうなぎ
神社の周りでは、うなぎ屋さんをよく見かけます。
そういえば沼津に着いた時、友人に「昼食はここの鮮魚にする?それとも三島のうなぎにする?」と聞かれました。
「え?三島のウナギ?」
「有名でしょう」
知りませんでした。静岡でうなぎと言ったら、文句なしの浜松だと思っていました。
友人曰く「富士山の伏流水で育ったうなぎは格別においしい」そうです。
神宮前のうなぎ屋さんで、
うなぎたい焼きが売られていました。おいしいのかな~?
うなぎのかば焼きを特製タレの染み込んだご飯の皮で包み込んだものだそう。
あんこは入っていないようで、安心しました。(でないと味がカオスや~)
試してみたかったのですが、要予約だそう。
それに、まだ沼津のお魚で、おなかはいっぱいでした。
境内の駐車場には、佐野美術館で開催される
刀剣の展覧会「REBORN 蘇る名刀」のポスターが貼られていました。
刀剣女子は日本中に広がっていますね。
その2に続きます。