第二十一回太宰治賞受賞作。
≪身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい―就職が決まった大学四年生のだるい日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…?≫
これは、素直に面白くて、素直に切実で、素直に哀しみ溢れるお話でした。辛辣な文章にニヤニヤしつつも、その隙間に見え隠れする人間の卑しさ、驕り、哀れさがその身を締め付ける。
この処女作からすでに津村女史の空気は完成されていて、その後の『カソウスキの行方』『ミュージック・ブレス・ユー!!』へとユルリユルリと流れてゆく。
彼女の描く主人公に共通した『ぐだぐだ』的な考えは呆れを通り越して、本当に愛おしくなる。
他人には理解しがたいかもしれないけれど、自分自身が秘かに培っているかすかな希望。自分でも馬鹿馬鹿しく思えるときもあるけれど、その胸に宿った希望は、生きていくうえでとても大切な力になりえるのだと、思う。そんなことを、ゆる~いカンジで教えられた、ような気がする。
≪身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい―就職が決まった大学四年生のだるい日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…?≫
これは、素直に面白くて、素直に切実で、素直に哀しみ溢れるお話でした。辛辣な文章にニヤニヤしつつも、その隙間に見え隠れする人間の卑しさ、驕り、哀れさがその身を締め付ける。
この処女作からすでに津村女史の空気は完成されていて、その後の『カソウスキの行方』『ミュージック・ブレス・ユー!!』へとユルリユルリと流れてゆく。
彼女の描く主人公に共通した『ぐだぐだ』的な考えは呆れを通り越して、本当に愛おしくなる。
他人には理解しがたいかもしれないけれど、自分自身が秘かに培っているかすかな希望。自分でも馬鹿馬鹿しく思えるときもあるけれど、その胸に宿った希望は、生きていくうえでとても大切な力になりえるのだと、思う。そんなことを、ゆる~いカンジで教えられた、ような気がする。