無線のムに濁点

アマチュア無線・BCL・ユーティリィティー受信などなど デジタル絵日記

DXにまつわるエトセトラ <DXサーの条件編>

2015-07-13 11:06:15 | アマチュア無線

土日に【アメリカ版のDXハンドブック】をKindleで何冊か読んでいて,弱い信号を聴く時に【いかにヘッドフォンが役に立つか】そして【オーディオ用のヘッドフォンと無線用のヘッドフォンの違い】に触れているページを見て,HEILのヘッドセットがむちゃくちゃに欲しくなってしまいました。とはいえ,HEILのヘッドセットがDXingの上で絶対条件かというとそうでもなく,ここは冷静に(?)DXサーの条件を考えてみようということで,自分なりの思うところをまとめてみました。

自分の考えるDXサーの条件とその優先順位です。おおいに異論がありそうなところですが,そこはごくごく【個人的見解】ということで・・・

<DXサーの条件その1> オペレーション・テクニック
 テクニックといっても高度なテクニックというのはなく,最低限,各モードでDXと【どうQSOするか】を知らないことには,どんなに良いアンテナと良い送受信機を持っていても宝の持ちぐされで終わってしまいます。DXingのスタイルにもよりますが,DXCCを目指すのであれば,ラバースタンプQSOから入門して,ペディション局との599スタイルのQSOの仕方を知っておく必要があります。 また,スプリット運用も必須となりますが,これはリグの説明書をしっかり読んで,ローカル局にでもつき合ってもらって試せば難しいものではありません。年季が入ってくるとボイスメモリーなどを使って”手抜き”になってきますが,まずは声帯と手を動かしてQSOするやり方を経験することです。

<DXサーの条件その2> シャックにいること
 DXとQSOするにはDXが聞こえている時に【シャックにいる】ことが絶対条件です。昨今はリモート・シャックなるものも登場していますが,これは【市街地に住んでいながらロケーションの良い場所から運用する】という夢をかなえてくれるシステムです。送受信機とコンピューターの高機能化とネット環境の進化で可能となってきました。いずれにしろ,コンディションがいいとき,珍しいDXが出てきたときにシャックにいないことには始まりません。それからそれから,忘れてならないのは【家族の理解】。当局の場合は【理解を得られている】というより【もうあきれて関心さえも失ってくれている】というところです。関心を失わせるところまでもってくるのもDXサーの腕の見せ所です。

<DXサーの条件その3> なにはなくてもアンテナ
 DXingツールは大きく【アンテナ】【受信機】【送信機】【コンピューター】【周辺機器】 の5つに分類できると思います。この中でアンテナが最も重要なツールであることはDXサーのほぼ100%が認めるところだと思います。また,アンテナの中での優先順位は?と問われれば,自分は,①打上角(地上高)②動作の安定性③効率・ゲイン,という順番だと思っています。①はロケーションといってもいいかもしれません。方や多エレメントの八木,方やシンプルなワイヤーアンテナという場合,近距離の局はワイヤーアンテナの方が良く入感するということがあります。しかし,DXにおけるアンテナの真価は遠くから到来する電波を聞いた時に初めて発揮されます。近距離の信号が良く入るという場合,効率の面では優れたアンテナなのかもしれませんが,本当にDX向きかどうかは使いながら検証していかなくてはなりません。また,当局は北海道という厳冬の地に住んでいるということもあり,気象条件等で使えなくなるアンテナ,トラブルの多いアンテナはDXingにおいて大きな障害となり【いざというときに働いてくれるアンテナ】が重要要件です。

<DXサーの条件その4> DXを見つける(含むコンピューター)
 一昔前であれば【ワッチこそ全て】がDXサーの条件その1だったように思いますが,いまや,クラスターにアップされないDXは無いといってもいい時代に突入してきました。そういう意味ではDXを見つける見つけ方そのものが大きく変わってきているように思います。とはいえ,そうはいえ,ところがどっこい,やはり今でも【ワッチこそ全て】はいくつかの意味で生きていると思います。自分はシャックにいるとき,おそらく99%以上の時間を飽きもせずにリグのダイヤルを回しながら過ごしています。単に各バンドの下から上にスイープして聞こえているコールサインをメモするだけですが,季節,時間によって【どこの方面がどういう信号で聞こえるのか】を把握することは,DXを楽しむ意味でも大きなプラスになります。今やDXクラスターが自分のバンドニューに警告を発してくれるので,それはもうコンピューターにお任せして,以前以上にワッチに専念できるようになりました。ちなみに,冒頭で書いたDXハンドブックに,”もし誰かがPZ5XXを間違えてP5XXとクラスターにアップしたら,世界中の何千というコンピューターがアラームを発する”という解説には思わず笑ってしまいました。(自分も何回夜中に起こされたことか)

<DXサーの条件その5> 受信機の性能
 冷静に考えてみるとリグなんて・・・あえて”リグなんて”といいますが・・・5番目くらいかなって思います。とはいえ,やっぱりリグはアマチュア無線の花形です。なにしろ,目の前にある世界への扉ですから!自分にとっての受信機の最優先事項はズバリ【近隣のドッグパイルに影響されずDXのか細い信号が聞こえること】です。2番目は【操作レスポンスが良く使いこなしやすいこと】,3,4が無くて5に選択度,6に感度って感じです。

<DXサーの条件その6> 送信機の性能
  送信機の性能の1番大きな要素は【送信出力】です。JAであれば,50W・100W・200W・500W(自局)・1KWとなるかと思います。難しく考えないで【免許と環境の範囲内で出せるだけ出せるようにしておく】ということに尽きると思います。あえて付け足すとすれば,【DXサーとしての品格を疑われない程度の綺麗な電波を出す】ことくらいでしょうか。といいつつ,【飛ぶ】というのはやはり気持ちがいいことです。DXのモチベーションは,不思議なことに【聞こえる】より【飛ぶ】から生まれてきます。きっと本能的なものがあるのかななんて思います。でもでも【飛ぶ】を生み出す要素は送信出力よりもむしろ,アンテナであり,SSBであればマイクの性能であったりと,送信出力がオナーロールになるための絶対条件では無いことを時々思い出してやらなければなりません。

<DXサーの条件その7> バックアップ・システム
 本気でDXCCを追求ている局はいろいろなシステムを二重化しています。冒頭のDXハンドブックでも,この部分にそれなりのページを割いて解説しており,あらためて考えさせられました。アンテナの二重化は誰しもができることではありませんが,クラシックバンドのアンテナが不調でもワークバンドのアンテナは働いているというようなことも重要です。多くのDXサーは送受信機を二重化しており,最近はフラッグシップ機が2台,3台と並んだシャックの写真をQRZ.COMなどで見かけることも多くなりました。【ここぞって時にリグが調子悪い】というのは,多くのDXサーが必ず通る道です。そして,バックアップ機,バックアップマイク,バックアップリニアなどを準備します。当局が,まともに準備できているのはリグ(IC-7851とIC-9100M)くらいです。昔,BS7Hが出てきたとき,メインリグが不調で,車からIC-706MKIIGを降ろして,50Wで苦労してQSOして以来,リグの二重化を考えるようになりました。常日頃,各モードの付加装置も含めて運用していること,少なくとも珍ペディションの前には各バンド各モードでテスト電波を出して調整しておくことが必須です。

<DXサーの条件その8> できることはMAXやる
 当局は今,ARRLのDXCCチャレンジにチャレンジしています。DXCCチャレンジは160m~6mまでの10バンドでコンファームしたDXCCエンティティーの数を加算していくもので,10バンド×340エンティティー=3,400点満点。現時点で世界一はスペインのEA8AKの3,236点,JAの第一位はJR2KDNの3,111点です。 当局は2,422点で,JA内で現在110番目,JA8で5番目です。DX交信の可能性を少しでも広げるためには,できるだけ多くのバンドにできるだけ多くのモードでQRVすることが必要です。DXCCにおける難度は,Digital>CW>SSBの順番,冒頭のハンドブックにも【SSBを絶対にやりなさい】【工夫の余地が最もあるのはSSB】という内容が述べられています。多くのDXサーが,SSBは飛ばないという【イメージだけ】からみすみすレア・エンティティーを逃しているのはもったいない話です。また,デジタルも,ある一定レベルのDXまでは,競争率が低く,CW以上にパイルが抜きやすいモードです。レア・エンティティーが出てきたとき,CWやSSBはまだなのに,とりあえずRTTYができてしまうというこは誰しもが経験していることです。チャンスを少しでも広げるため,PSKにもJT65にも出られるようしています。

<DXサーの条件その9> 周辺機器
 最後は条件というより【お楽しみ】の部類です。エレキー,マイク,コンピューター,切替器,お守り,などなど,お好きにどうぞって感じです。みなさん,お気にいりの一品と【あこがれの一品】があるのではないでしょうか。昔は,ハムショップで眺めてはため息をついていました。それは多くでも週に1回・・・ 今や,ネットで眺めて毎日ため息をつかねけりゃなりませんから,ため息のほうも大変です。ネットっていうのは【衝動買いの魔術師】みたいなもんで,困ったものです。ああ・・・HEILのヘッドセットが欲しい。

参考書籍:The New DXer's Handbook - Second Edition (English Edition) [Kindle版] 

上記ハンドブックの冒頭の文を紹介します。

"Every accomplished DXer was a beginner at one time" - すべての熟達したDXサーは1度は初心者だった


 にほんブログ村 アマチュア無線
にほんブログ村 その他趣味ブログ アマチュア無線へ にほんブログ村 その他趣味ブログ BCL・ベリカードへ にほんブログ村 その他趣味ブログへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする