ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

昨日の月、チベットの文革

2011-01-11 20:59:27 | Weblog
昨日の月の写真で、光が当たっていない側もうっすらと写った理由を、朝の通勤電車で考えてみた。
もちろん理系ではないので、根拠は適当。高校までの理科のうろおぼえな知識による。

・月の重力で、太陽光が引きつけられているから。
 ならば、月から地球を見たとき、地球は月よりもっと重力が大きいので、
 光が当たってない側が、さらに明るく見えたりするのだろうか。

・地球に当たった太陽光が反射し、月に当たっているから。
 でも、地球も同じ側に光が当たり、同じ側がカゲになっているはずだ。
 地球のほうが大きいから、月のカゲの部分もカバーしたりするのだろうか。
 太陽光が大気層に乱反射し、それが月に届いているとか。

・意外に宇宙空間は明るいから。
 宇宙人は、サングラスをかけている・・・みたいな目でよく描かれるし。

・月に天文台を建設しようとしている中国が、
 こっそりと光線を照射しているから。「万里の長城ビーム!」みたいな感じで。
 毛沢東の顔とか、月に写ってなくてよかった。


さて、昨日までの三連休で、本を一冊読んだ。
『殺劫 ーシャーチェー チベットの文化大革命』

中国在住のチベット人が、人民解放軍のカメラマンであった父親が残した文革時代の写真と、
みずから取材し書いた文章を、なんと実名で発表している。
中華人民共和国での出版は不可能だから、台湾の出版社から原書は出されている。

父親は、当時、中共の機関紙に投稿するために撮影していたので、
つくられた、偏った内容の写真ばかりだけど、解説文は非常にバランスがいい。
そして、これまでに多かったチベット人側の個人体験談をまとめたチベットの文革の本とは、明らかに違って、
北京との連動など、政治的、中国全体的な視点が含まれている。

1959年に、ダライ・ラマ14世が亡命し、チベットの政治・経済は大きく変わった。
文革では、文化や精神性が大きく破壊された。
「宗教は民衆のアヘンだ」と言った毛沢東みずからが、
「神」となって、チベット土着の宗教に取って代わった。
多くの寺や仏像が壊され、仏典が焼かれ、僧が迫害された。
壊滅的な悲劇だった。

そして、当時、紅衛兵として積極的に破壊活動を行ったチベット人のなかには、
いま退官し、経験な仏教徒に戻っている人も多いという。
私が2000年にチベットへ行ったときに見たデプン寺の
「毛主席万歳」の壁画は、2004年に塗りつぶされたらしい。

文革の傷跡は、表面的には消えつつあるのかもしれないけれど、
迫害はいまでも続いている。
資料がほとんどないチベットの文革時代を知るには、とてもいい本だ。