湘南ゆるガシ日和 ・・・急がず、休まず

湘南でゆるゆら暮らしココロ赴く先へガシガシ出かけるライター山秋真が更新。updated by Shin Yamaaki

ミジンコの都合をどのくらい理解できるか?

2009-12-03 23:32:22 | ヒント
ドキュメンタリー映画『祝の島』の第2回座談会は
おかげさまで無事に終了した。

今回のゲストだったミュージシャン・坂田明さんの書かれた
『瀬戸内の困ったガキ』と『クラゲの正体』(ともに晶文社)を
事前によんだら、楽しいうえに共感的によめる本だったので
ご本人にお目にかかれるのを楽しみにしていた。



いい言葉が満載の深い本。
なかでも一番わたしの心に響いたのは次の箇所。

   …間がほかの生きものと対等に付き合えるかどうかは、結局のところ、
   相手の都合をどのくらい理解できるか、どこまで引き受けられるか
   にかかってるんですね。
   …でも、僕は飼育ミスやらなにならで、そうとうミジンコを死なせました。
   …ミジンコの都合を理解するために彼らを死なせる。これは矛盾ですよね。
   でも死なすと心が痛むじゃないですか。これじゃいけないと思うから、
   さらに真剣に彼らの都合を知ろうとする。ミジンコを死なせながら
   ミジンコから学ぶしかないと、僕は思ってる…。
   (『クラゲの正体』p.69)

ひとを傷つけながら自分も傷ついて、それでも手放すことができず、
「ありがとう」「ごめんなさい」を心のなかでくり返し唱えながらおこなうのが
「表現する」という行為なのかもしれない、とわたしは思う。

だから、この「ミジンコの都合」の話が響いたんじゃないかな。
…ミジンコ飼育や研究の文脈ではなく表現という文脈ではあるけれど。

そこでこの日、打ちあわせですこし時間があいたとき、
今まで誰にもいえず、ひとりでじっと抱えていたその思いを
わたしは思いきって坂田さんに話してみた。

席をはずしていたハナブサ監督も途中から加わり、大きく頷いている。
彼女もやはり、思うところがある様子。

…坂田節が、わたし(たち)には説法のように聞こえてくる。
漫然と日々をすごして年をとったのではなく、
しっかりと年輪を重ねてきた先達に、出会える幸せを味わった。
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