ある日、波止まえの小屋に切りたての青竹が立てかけてあった。
陽の光のもとで、Sさんが竹をほそながい板状に細工している。
何をしているのかと尋ねると、熊手をつくるのだという。
使うのは、この道具。
板に、長めの木の棒を横づけし、その一端に木の棒を縦づけしたものだ。
ほそながい板状にした竹の、先から10センチくらいの場所を火であぶり、
この道具をもちいて竹板を曲げていく。
したの写真が、成形しおわった竹の板。
曲げていないほうの端から10センチくらいのところに穴をあけ、竹板を紐で綴じる。
そこを軸に、扇のように竹板をひらき、別の竹板と紐で固定すれば、できあがり。
「おや、7本しかないじゃないか」
脇から声があがると、Sさんは空気いっぱいの声で笑った。
熊手はふつう8本手なのに、確かにこれは7本。
見事に完成した熊手。板の数は、すえひろもよし、ラッキーセブンもよし。