ブリットの休日

大好きな映画や小説の感想や日々の他愛ない話と、
聴神経腫瘍と診断された私の治療記録。

奥田英郎『空中ブランコ』あらすじと感想

2012年04月15日 | 本(小説)

 全国の本屋の店員さんが、一番売りたい本!ということで選ばれる「本屋大賞」。

こんな賞があったんだねえ。

芥川賞やら直木賞とかいったら、なんか偉い先生方が選考して気取った作品が受賞されるという、堅苦しい先入観があり、あまり気にもしていなかったけど、この「本屋大賞」は一般の小説ファンみんなが選ぶ、本当に人気のある本ってイメージがいい。

最近はどんな本が売れていて、どんな作家がいいのか全然わからなかったので、この「本屋大賞」の過去の受賞作品やその作家たちを手掛かりに、Amazonのレビューなどを読みながら、あれこれ探して本を購入している。

だいたい週1冊ぐらいのペースで読んでるけど、まあはずれはない。

 そんな中でこんなに面白い本があったんだと思った作品が、奥田英郎の『空中ブランコだ。

物語の主人公は、伊良部総合病院の院長のドラ息子にして、同病院の精神科医 伊良部一郎。

その奇抜な療法により、飛べなくなった空中ブランコ乗りや、先端恐怖症のやくざなど数々の患者を、あざやかに?治療していく。

とにかくこの伊良部先生のハチャメチャぶりに振り回される患者たちが可笑しく、そして少しずつ癒されていく姿に、読んでる自分も癒されていくという心地よさ。

この伊良部一郎シリーズ、他に「イン・ザ・プール」と「町長選挙」とあるんだけど、やはりこの「空中ブランコ」が最高によくできてる。

なあんてここまで書いててなんだけど、実は「空中ブランコ」は第131回の直木賞受賞作品なのだ。

あれだけ無視してた賞だったのに、ハハハ。

おまけに「本屋大賞」にも入ってなかったとは。

ちなみに奥田英郎作品としては、2006年の本屋大賞の第2位に「サウスバウンド」が受賞されているだけだった。

この作品から辿って行ったのかなあ。

ついでにその年の第3位に、伊坂幸太郎の「死神の精度」が入ってた。

この作品も大好き(^^)

 そういえば芥川賞と直木賞って何が違うんだろう?

さっそくウィキペディアで調べると、純文学作品に与えられる文学賞が芥川賞で、大衆小説作品に与えられる文学賞が直木賞だって。

今まで気にもしていなかったとはいえ、そんなことも知らなかったとは、ああ 恥ずかしい。

それから他にいろいろネットで調べてたら、賞を選考した選考委員の先生たちの、その作品に対する批評の言葉がいろいろ載ってるサイトがあって、これがまた面白かった。

選考に漏れた作品への痛烈な言葉や、さすがと思える鋭い指摘など、短いコメントながら読みごたえがあった。

中には自分より何倍も売れている作品を酷評する作家の、あなたが言いますか?的なコメントもまた楽しい。

自分が読んだ本との感想と比較し、自分の感性を試すみたいな気分にも浸れるのもいいね。

こうして今いろいろ探し出してはネットで次々と購入していった本が12冊ほど溜まっている。

熱しやすく冷めやすい私は、いつまで本を読み続けられるのだろう?