昔、毎月買っていた映画雑誌「ロードショー」が廃刊となり、ライバルの「スクリーン」に鞍替えしてしばらくはちょこちょこ買っていた。
ただ、表紙に若手の日本人の俳優(イケメン)を使うようになって買わなくなり、ここ最近はたま~に面白そうな特集をやっている時の「POPEYE(ポパイ)」や「&Premiun」に「映画秘宝」なんかを買っている。
今回はそんな中、”沁みる映画”という特集をしていた「BRUTUS(ブルータス)」2024年12月1日号を思わず買ってしまったので、こちらを紹介。
まず沁みる映画って、どういう映画をいうんだろう?
ページをめくっていくとこんな説明が。
”考えさせられる、胸が痛む、不思議な気持ちになる・・・。そんな、観た後も尾を引く感動作”
なるほど、見終わった後もしばらくじ~んって感慨にふけり、余韻を楽しんでしまう映画かな(^^)
そんな沁みる映画について、全国の映画館に通う映画好きにアンケートを行っていて、そのランキング結果がこちら↓
1位:『ニュー・シネマ・パラダイス』
2位:『PERFECT DAYS』(未)
3位:『aftersun/アフターサン』(未)
4位:『Coda コーダ あいのうた』
5位:『夜明けのすべて』(未)
6位:『ショーシャンクの空に』
7位:『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』
8位:『インターステラー』
9位:『君の名前で僕を呼んで』(未)
10位:『チョコレートドーナッツ』(未)、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(未)、『ライフ・イズ・ビューティフル』
なるほど~、半分は観たことない映画だ(^^;)
そこでさっそくAmazonプライムでやってないか調べてみると、なんと一番気になっていた3位の『aftersun/アフターサン』が無料じゃないか、ヤッター!
年明けに絶対に見ねば。
他にも、「沁みる映画案内101」として、ジャンル不問として101本の作品が紹介されていて、なかなかの読み応えあり。
では、今度は新旧併せて私が2024年に観た映画の中で、”沁みる映画”のベスト3を選んでみる。
1位:『遠い空の向こうに』(1999年/アメリカ)
炭鉱の町で、ロケット打ち上げでサイエンスフェア受賞を目指した高校生”ロケット・ボーイズ”たちの、決して夢をあきらめない姿を描いた、実話の青春ドラマ。
久しぶりにラストでぼろ泣きだった。
2位:『リトル・ダンサー』(2009年/イギリス)
こちらも炭鉱の町に育つ少年が、偶然ピアノに合わせてバレエの練習をする少女たちを見て一瞬で心を惹かれ、バレエダンサーを目指すドラマ。
傑作です!
3位:『セラヴィ!』(2017年/フランス)
ベテランのウェディング・プランナーがプロデュースする、ある一夜のトラブル続出の結婚式で繰り広げられる人間ドラマ。
見終わった後、すばらしい幸福感に満たされる作品だった。
なお、この映画3本の感想は、私のもうひとつのブログ「フシのキネマ案内所」にありますので、よかったらそちらも覗いてみてください!
それでは皆さま、来年もよいお年をお迎えください。
毎朝、録画でも見てるように通勤電車がホームに到着すると、降車口にぎゅう詰めになった乗客たちが、まるでところてんのように車両から押しだされ一気に吐き出されていく。
自分もその人並みと一体となってホームに降り立ち、人並みに流されるように歩き、改札口への階段を降りていく。
その階段も当然いっぱいの人混みで、ノロノロと全員が足並みを揃えて進んで行く。
中にはスマホを見ながらや、話をしながらゆっくりと降りていく人に、急いでいるのか列の中を強引に駆け降りていくものもいる。
その中にいる自分は、たった階段を降りていくだけなのに、ゆっくり降りるから前にスペースが空いてるとか、そんなに急いで降りても変わらないよとか、そんな些細なことにわずかなストレスを感じている。
そんな時、2週間ぐらい前のある日の通勤電車で、いつものようにホームに吐き出された私は、この日は一斉に階段へと流されていく列を抜け、ちょっと疲れていたのかそのままひとりホームに残り、遠く外の景色を見ながら”ふう~”っと深呼吸をした。
改めて見る外の景色はきれいな青空でビルの隙間から太陽の光が射しこみ、なんだか心地いい。
ホームが高いところにあるので、そこからついさっき一緒に降りていった人だかりが歩いて行く姿や、駅の方へ走ってくる人なんかも見えてる。
他にもバス停でバスを待ってる人や、何台も並んでいるレンタサイクルの一台を引き出し乗っていく人。
普段は気にもしない俯瞰で見る何気ない景色に、なんだか気持ちが癒されていった。
何だろう?
”いつもと違うことをすると、必ずいつもと違うことが待っている
普段やらないことをすると、必ず普段とは違うことが起きる”
これは何かあると私がよく思うこと(^^)
そしてそれは大抵はいいことにはならないんだけど、この日はここからいいことが起こった。
時間にして3分ぐらいだったと思うが、そろそろ行くかって誰もいなくなったホームから階段へ向かう。
階段の前に来て、下を見下ろしたときに意外な光景が目に入る。
当たり前だけど、あの人でギュウギュウになっていた階段は、誰もいなくなり空っぽになった空間にはただきれいに並んだ階段がむき出しで見えている。
ゆっくりと階段を降りると、改札口の前にもほとんど人はおらず、駅前もがらんとしている。
たったホームで2~3分ぼんやりしてただけで、こんなに情景が変わってしまったことに驚く。
何年も通勤してて、毎朝あの集団と一体になって動いていたのに、たった2~3分スルーするだけで、こんなに穏やかな世界になるんだと、改めて驚く。
そして何でもっと早く気が付かなかったのかと、悔しくなる(笑)
それからは、ホームに降りたらゆっくりと外の景色を観ながら深呼吸をし、マイペースでがらんとした駅を出ていく。
”普段やらないことをやると、必ず普段とは違うことが起きる。”
大抵はいいことはないが、たまにはいいこともある(^^)
2022年の本屋大賞で第2位となった青山美智子さんの『赤と青とエスキース』を、文庫化されるまで流していたので今やっと読む。
今回は「猫のお告げは木の下で」や「お探し物は図書館まで」など過去作品のほっこり感と明らかに違う、洒落たタイトルで「おや?」なんて思わされたが、タイトルのイメージ通り青山美智子さんが新境地へと入った今までとまったく趣の違う作品となっていた。
人と積極的に関われない自分を変えようと、メルボルンへ1年限定の交換留学生としてやってきた女子大生のレイは、ある日バイト先の先輩ユリさんから、公園で行われるバーベキューに誘われる。
ただレイは話しかけられてもオーストラリア訛りの英語が聞き取れず、気がつけば一人きりになってしまったが、日本語で話しかけてきた、みんなからブーと呼ばれる地元の日系人の青年と出会い・・・。
ふたりの若い男女が出会い、恋を育んでいく話にはじまり、額縁工房へ就職し額職人として働く青年に、中年のおっさん漫画家、そして長年一緒に暮らしていたが別居してしまった男女の話と、いつもの青山オムニバスでストーリーが紡がれていく。
そしてこれも青山作品でおなじみの、別の話なんだけど、人や物がこんなとこで登場するのかと話をまたがって現れる。
で、今回の別々のエピソードに共通して現れるのが、「エスキース」という水彩画。
過去作品を読んでいた方は分ると思うんだけど、神がかり的な出来事やキーワードによって、人生の新しい歯車が回り出すというお馴染みのストーリー展開は、今回はありません。
なので物語の奇抜さはなくなってしまったが、代わりにそれぞれの主人公たちの心情がじっくりとリアルに描かれ、読んだ人それぞれが登場人物の誰かに共感させられていく。
私は四章の、輸入雑貨店に働く52歳の女性が、長年連れ添った男性と別居し、さらにパニック障害になってしまうという話で、常に強迫観念にとらわれていたのか、そんな病を抱えつつも休むことなく働くその女性に、雑貨店のオーナーが語りかける言葉が強烈にこころに響いた。
”人生は一度しかないから思いっきり生きよう、ではなく、
人生は何度でもある、どこからでも、どんなふうにでも、新しく始めることが出来る”
そして、
”それを経験できるこの体はひとつしかない、だから無理せずなるべく長持ちさせなきゃ”
そんな、物語の中にちりばめられた珠玉の言葉の数々は、今まで歩んできた人生が長いほど、凝り固まった思考や生き方を、ほんの少し変えるだけで訪れるだろう新しい未来を感じさせる。
ただねえ、私的にはそんな中にさらにユーモアがちりばめられていた前の路線の方が好きかなあ。
あと、絵画をめぐる小説といえば、「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」など私の大好きな原田マハさんの小説がすぐに浮かんでくるんだけど、これら原田マハさんの作品と比べると、今回の青山美智子さんの作品との間には決定的な違いがある。
それは原田マハさんの小説に登場する作品は、ルソーやピカソが描いた本物の名画であり、実際のその作品のイメージからストーリーに思いを馳せることで、より一層の感情移入をすることが出来た。
対して、本作の重要なキーとなる「エスキース」は、小説の中で創作された絵画なので、頭の中に描かれる絵のイメージが曖昧ではっきりせず、話の内容自体までもがちょっとばんやりしてしまった感がある。
ただ、この作品にはそんなことなど物ともしない、ミステリー小説顔負けのとんでもない仕掛けが組み込まれている。
これが本屋大賞第2位となった要因だろうねえ。
本の帯に書いてある、
”二度読み必至の感動作”
は大げさではなく、私も読み終わった後、すぐに続けてもう一回読んでしまった(^^)
これは凄い!
今日は全く別の用事で休みをもらっていたが、ついでに紅葉を見に行こうとなり、もうこの時期だと遅いかなあ、なんて思いながら行ってみた。
とにかく大勢の人が群がる時期に観光地へ行くのが嫌で、だいたい見頃より早かったり遅かったりしてしまうんだけど、今日はどうかなあ(^^)
で、行ってきたところが、室町時代に水墨画家として活躍した「雪舟」が、幼少の頃にお寺に修行に入ったとき柱に縛られ、涙でネズミを描いたというエピソードが有名な宝福寺。
最初場所がちょっと細かいとこまで分らなかったので、ナビで名称「ほうふくじ」っていれて検索したらリストがズラ~っと出てきて、一番上の宝福寺が980とか距離が出て、そんなに近いわけないのになあ、なんて地図を見るとなんと青森の方が出ていた。
この980は980mではなく980kmということだったんだと判り大笑い。
気を取り直しナビに地区を指定してOK。
まず駐車場に到着すると、休日は駐車場に入る道まで長い列が出来るらしいが、今日はほぼ満車ってくらいで2台ほど空きスペースがありなんなく駐車できた。
車から降りると、天気もよく遠くに色鮮やかに紅葉した木々もしっかり見えている、よしよし(^^)
紅葉が早く観たくて、山門からはいらず裏口からまずは「三重塔」へと向かう。
人もそんなにいなかったので、余裕で誰も写っていない写真が撮れた。
ここから遠目で南側の「般若院」の、鮮やかな黄色に色づいた葉が目につき、そちらに移動。
こちらも中には誰もおらず、いい写真が撮れたかな。
そこから今度は北側の建物の方へ階段を降りていく。
ここは年配の人がいっぱいいた(^^;)
離れた所からもう一度振り返って、三重塔と右の「禅堂」が入ったアングルで撮ったが、太陽が雲に掛かり日が陰っていたので、今こうして写真をみると、葉が落ちちゃってる木もありなんだか暗いなあ(^^;)
ここも綺麗に紅葉してたんだけど、自分も含め周りの人もこの撮っている位置に並んで撮影してるのに、なぜか奥の右端におじさんがひとりずっと立ってたため、サイズを修正し右端をカット(笑)
後からネットで知ったが、この写真の左側に雪舟が涙でネズミを描いたという「方丈」という住持の居室があったのに、スルーしてしまってた(^^;)
途中木々の中にひっそりと立つなんだか異様な石碑を発見・・・。
ちょっと近寄りがたかったので、近くの解説の看板をよく読んでみる。
「雪舟碑」と呼ばれるもので、昭和3年に建立された石碑だとのこと。
最後に仏殿に寄るという、反対回りで回ってしまったけど、所々落葉している箇所もあり、ギリギリの見頃でなんとか綺麗な紅葉が観れたかな。
もう遅いかなあ、なんてついでに来たけど、よかったよかった(^^)
なにより人も少なかったしね。