ブリットの休日

大好きな映画や小説の感想や日々の他愛ない話と、
聴神経腫瘍と診断された私の治療記録。

NHK連続テレビ小説『マッサン』

2014年10月15日 | TV(ドラマ)

 始まってすぐに吉高由里子嬢に、目に生気がないなどといってしまったが、あののほほん感に毎日癒されていた「花子とアン」が終わっちゃいました。
やはりNHKの連続テレビ小説は、半年間見続けてしまうのでかなりの愛着が育っていて、毎回終了してしまうとしばらく寂しい。

その寂しさを紛らわすために、毎回メイキングの本を買ってしまうんだけど、今回も「花子とアン メモリアルブック (NHKウイークリーステラ臨時増刊 10月31日号」を買ってしまった。

振り返ると「花子とアン」って、あんまりキャラ立ちした人物がいなかったんだけど、やはり嘉納伝助が際立って魅力的なキャラクターでしたねえ。
彼が出てこなくなると、急にドラマも失速した感がありました。

そして仲間由紀恵演じる白蓮ですね。
男を見る目のなさと、すぐに人のせいにするわがままさに、友も平気で裏切る薄情さと、「トリック」とかで好きだった仲間由紀恵自体が嫌いになっちゃいました。
どちらも脚本の中園ミホさんの好みが出たんでしょうねえ。


 そして新たにスタートした「マッサン」ももう3週目に入ったのかな、観てますが今回は男性が主人公で、ヒロインにアメリカ出身の女優さんを抜擢するという、思い切った新路線にちょっと戸惑ってますね。

まだ始まったばかりなんだけど、今のところほとんど癒しとパルピテーションを感じられないのは、一体どうしたんだろう?聞きなれている広島弁を、変に誇張して喋る主人公にも違和感があり、一言であんまりパッとしない。

まあこれも毎回感じることだけど、前の作品への愛着から、「なんかまえの方が面白かったなあ」的な気分で見ているので、仕方ないかな。
ここはエリー役のシャーロット・ケイト・フォックス嬢の奮闘を期待するしかないね。

話はまた「花子とアン」に戻るんだけど、公式サイトで恒例のクランクアップの動画を観ようと思い行ってみると、なんとスピンオフで、「朝市の嫁さん」というドラマが放送されるという情報を発見した。

これは楽しみだなあ。


森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』あらすじと感想

2014年10月05日 | 本(小説)

「夜は短し歩けよ乙女」や「有頂天家族」など、一人称で独特の語り口を駆使して、面白くも不思議な世界を描き出す森見登美彦の『ペンギン・ハイウェイ』を読む。

本作は2010年の第31回日本SF大賞を受賞している。

“日本で一番ノートを書く小学4年生”を自負するぼくは、ある朝不思議な出来事に遭遇する。

おしゃべりな妹と学校へ向かっている途中、空地の真ん中に突然たくさんのペンギンが現れたのだ。

あのペンギンたちはどこからやってきたのか。

ぼくはさっそくノートに記録し、ペンギンの研究を始めることに。

次々と起こる怪現象を、同級生のウチダ君とハマモトさんの三人で協力し、謎を究明していくが・・・。

小学4年生にして、既に手が回らないほどの研究を抱えているという、秀才を自認するあおやま君の語りで展開していくストーリー。

時に自身の知識をひけらかし、常に冷静に行動しようとする、鼻持ちならない小学生が主人公という、「20世紀少年」でいうところのケンヂではなく、オッチョを主人公に据えているところは、やはりこの作家にいつも感じるところだけど、主人公に自身を投影してるんだろうねえ。

たぶんこんな小学生だったと思うなあ(勝手に)。

同じ研究好きのちょっと気の弱いウチダ君と、あおやま君に負けないくらいの秀才ぶりを見せる活発な女の子ハマモトさんに、いじめっ子のガキ大将のスズキ君と、よくあるおなじみの学園物の設定に新鮮味はないが、SF映画の傑作「惑星ソラリス」をモデルとして書かれたこの作品は、思いがけず迷い込んだトワイライトゾーンへのワクワクと、魅惑的なイマジネーションを掻き立てる。

そこへあおやま君が憧れを抱くお姉さんを加えることで、初恋の甘酸っぱいテイストがちりばめられる。

このお姉さんに向けられるあおやま君のほのかな恋ごころが、おっぱいを含め執拗に語られ、このくどさが森見節だよなあ、なんてファンを気取ってしまうが、とにかく序盤からなかなか進展がなく、全体的にかなりまったりした感が漂う。

でもこれも作家の計算であり、それまでがすべてフリであったように、ラストへ向けて事態は怒涛の急展開を見せると、読後に訪れる静かなる哀愁に包まれた温もりは、しばらく噛みしめていたくなるほどの素晴らしい余韻を与えてくれる。

上手いなあ。

ただ小学生が主人公ということと、内容がSF風なので、読んでてジュブナイル感が強く、若干対象年齢が低く感じる。

だいたいこんな素敵なお姉さんが小学生など相手にするはずがないのだから(笑)