ブリットの休日

大好きな映画や小説の感想や日々の他愛ない話と、
聴神経腫瘍と診断された私の治療記録。

火野正平さんをしのんで

2024年11月23日 | 日記・エッセイ・コラム

 今週の水曜日、お昼過ぎになにげにスマホでネットニュースを見ると、

”【訃報】火野正平さん、75歳”

という文字が目に入る。

「えっ!」

持病の腰痛で「NHKにっぽん縦断 こころ旅」のロケ参加は中止になってたことは知っていたが、あまりに急な訃報に悲しさと切なさがこみ上げ一気に力が抜けてしまう。

私は「こころ旅」が大好きで、そのなかでみせるどんなときでも変わらない自然体の正平さんが大好きで、植物や生物に向ける優しい表情に照れ笑い、そして綺麗な女性を見たときにスイッチが入る表情に、高いところが苦手で怯える表情に・・・。

チャリオに乗ってひたむきに走ってる正平さんの姿に、癒やしと元気をもらってたんだろうな。

芸能人の方が亡くなったというだけで、自分がこんな気分になってしまうんだと自分でちょっと驚いている。

 そこで、前に地元に正平さんがロケに来て、食事した場所へ行って同じものを食べようということになった(^^)

まず創業60年以上地元のみんなに愛され続けている老舗中華料理店へ行ってみる。

11時半頃に入ったがほぼテーブルは満席で、店員の人に相席でと言われたが、ちょうど終わったばかりで片付け中のテーブルがあり、そこへ座らせてもらう。

ここはお昼は定食が人気で、周りを見てもほぼ定食だったが、私の注文はもちろん正平さんと同じ「天津飯」だ。

ふわっふわの卵にたっぷりとかかったトロトロのあんは、見た目より塩っ気もおさえられていてあっさり。

一口口に入れるともう止まらない(^^;)

ノンストップで食べ終わってしまった。

お店でそんなことはしたことなかったが、ごちそうさまといって合掌。

 続いて昨日、同僚がネットで探し出してくれたカレー店へ行く。

メインの国道から一本中に入った道沿いの一角に隠れ家のようにひっそりとたたずむお店を発見。

クラシックの音楽が流れる店内は意外に広く、大きなテーブルに年配の女性が3人と別のテーブルに男性がひとり食事中なだけで、他に客はいなかったこともあり店内の静けさに落ち着いたモダンな雰囲気がいきなり心地いい(^^)

ここは当たりかも、なんて思っているとすぐに店員の女性が近寄ってきて、さらに奥の客席に案内される。

丸いテーブル席に座り、すぐ横の大きな窓からは緑とテラス席も見えている。

店員の女性からメニューを渡されたタイミングで、思い切って聞いてみる。

「まえに火野正平さんがここで食事されましたよね、どれを食べたんでしょうか」


まずサラダが出てきたんだけど、リンゴに芋にエンドウ豆にといろんな具が入っていて、なんて手の込んだサラダなんだと感心する。

そして正平さんが絶賛したカレーが出てきた。

”無添加で小麦粉を使わず、90%以上野菜でとろみをつけた”

というこだわりのルーは、スパイシーさの中にもしっかり甘みがあり、ここまで繊細な味わいのあるカレーはちょっと今までにない程のおいしさで感動だった。

食べ終わりレジへ向かうと、レジ横に飾ってあった正平さんと店員さんたちが一緒に写った写真と、正平さんの似顔絵に”火野出没注意!”なんて書かれた丸い金色のステッカーを発見(^^)

店を出たときは、いいものを食べたという満足感と、なんともいえない幸福感がじわじわと沸いてきた。

こんな素敵なお店に出会えたのも正平さんのおかげかな(^^)

あと、写真を見たら分かるんだけど、箸に赤い紐(糸?)が結んであって、この意味を店員さんに聞こうと思ってたんだけど、すっかり忘れてしまっていた、残念(涙)

何かの縁かなあ~、なんて勝手に感じこっそり持って帰る(^^;)

 今もため息が出てしまうが、正平さんのご冥福を心よりお祈りいたします。


NHK ドラマ10『宙わたる教室』

2024年11月16日 | TV(ドラマ)



 NHK連続テレビ小説『おむすび』の、朝からギャルになるとかどうとか、高校生の恋愛を見せられるとか、いったい何を見せられているんだろうという、あまりにどうでもいい展開に、日に日に落胆していたところに、素晴らしいドラマを発見。

同じNHKのドラマで、22時台に放送されるドラマ10の最新作『宙わたる教室』がいい。

 大学の助教授をやめ、東新宿高校定時制に新しく赴任してきたという、ちょっと変わった理科教師の藤竹(窪田正孝)が、家庭内の事情や障がいを抱えた生徒たちとふれあい、科学部を立ち上げて学会発表を目指すというストーリー。

伊与原 新の同名小説が原作で、作者が学生時代に教授から聞いたある実話が元になっているとのこと。それは、

大阪府立の定時制高校の科学部の生徒たちが発表した「重力可変装置で火星表層の水の流れを解析」という研究が、「日本地球惑星科学連合大会・高校生の部」で優勝し、その手作りの滑車による「微小重力発生装置」が東京大学の教授の目に留まり、なんと「はやぶさ2」の基礎実験に活用されたという実話。

 今現在第6話まで放送されてるんだけど、いろんな事情を抱えながらも学びたいという一心で学校へやってくる生徒たちの自身との葛藤と、その学びたいという意欲をくみ上げ優しく見守る藤竹先生との信頼関係が、とにかく素敵でたまらなく胸を打つ。

人生において学ぶということの尊さ、同じ目標を目指して一緒に歩いてくれる同志との出会いがもたらす勇気。

 第3話で、火星探査車オポチュニティがNASAが想定した約3ヶ月という活動限界をはるかに超えて、15年間稼働していたといい、そのオポチュニティが後ろを振り返って火星の地表に出来たわだちが遠くまで写っているという写真をみて、心が傷ついて学校の屋上にある決意でいた女生徒に、藤竹が語りかけるシーンがある。

”「火星の荒野にたったひとりぼっち、オポチュニティのわだちを孤独の象徴と捕らえる人もいるかも知れない、でも僕には少しでも前に進もうと懸命に生きたあかしに思えるんですよ」”

振り返ってネガティブになるんじゃなく、それでも今ここまで来たという自分の努力を自分で認めてあげて、さらに前に踏み出そう、なんて応援メッセージを感じる。

このドラマを観ていると、そんな前向きになれる素晴らしい言葉がちりばめられていて、心が軽くなり新たに踏み出そうとする勇気と情熱を与えてくれる。

全10話なので、あと4話も残っててほんとに楽しみなドラマ(^^)

「トクサツガガガ」とか「正直不動産」とか、夜10時とか11時頃にあるNHKのドラマって、たま~にいいのやるんだよねえ(^^)

さらにNHKは、来週の月曜からあの「カムカムエヴリバディ」の再放送が始まる。

ますます『おむすび』に辛く当たってしまうかも(^^;)


また耳に水が入ったように聞こえる・・・

2024年11月09日 | 聴神経腫瘍

 先日2年半ぶりのMRI検査を受け、耳の状態も悪いながらほぼ変わらないということで、プレドニンなのど服用していた薬を止めようということになり、プレドニンの副作用も気になっていたのでホットしたのも束の間、なんとその3日後に、突発性難聴が再発した。

風呂場でお湯を入れているときに、その水しぶきの音が耳にこもり、しばらくほっとけば治ると思っていたのに一向に治らない。

前に薬を服用中にも一回同じような症状が出たが、2日ぐらいで元に戻ったので、今回もまあ治るだろうと思っていたが治らない。

しかも、薬を打ち切っていたので、頼みの綱のプレドニンがあと14錠しか残ってなくて、とりあえずそこから2日間一日2錠を飲んで、若干治った感じになったが、まだ少し音がこもった感じに聞こえ、自分の喋る声が響く感じが残っていた。

この残り10錠でどうしようかと思いながら、毎日1錠ずつ飲み様子をみていたが、どうもよくならない日が続く。

薬も残り少なく、聞こえも朝は治った感じになるんだけど、ちょっとずつ耳鳴りが大きく鳴り、指をこすった音は聞こえるが、人の声とかがこもったように聞きづらくなっていった。

ほんともう、疲れちゃってもういいかなあ、どうせこの先同じようなことが続くんだろうからって、あきらめそうになる。

それでもやっぱり、後から病院行っとけばよかったって後悔したくないという気持ちが大きくなり、木曜日に病院に連絡し、今日受診することにした。

その予約の電話の時、受付の女性に、「残りのプレドニンがあと3錠あるんだけど、この3錠いっぺんに飲んでもいいか先生に聞いて欲しい」というと、すぐに連絡を取ってくれて飲んでもいいとの返事をもらう。

そして今朝は、いっぺんにプレドニンを3錠飲んだのがよかったのか、いつになく耳の調子がよく、なんなら行かなくてもいいかも、なんて思いがよぎるが、薬の残りがなくなっていたので、やっぱり病院へ行くことに。

さっそく聴力検査だが、やはり調子がよく、小さい音が聞こえている手応えを感じる。

そして担当の先生との問診となり、「もう来ちゃいました」という私の挨拶をスルーして先生は、「心配してたんですが、聴力は変わってませんね」という。

オージグラムを見せてもらうが、前回とほぼ一緒でとりあえずホットする。

そこで、前回腫瘍が水で膨らんで少し大きくなっていたことから、自分なりにネットで調べて気になっていたことを先生に聞いてみた。

この水を含んだ状態をのう胞化というのを調べていたので先生に、

「のう胞化すると放射線は効果がないという情報があったんですが、どうなんでしょうか?」

ここで先生の表情が一瞬かたまり、いきなり椅子から立ち上がり、ちょっと離れたところで「鼻かみますね」といってマスクをずらし鼻をかむ。

明らかに、「ネットでちょっとかじったあやふやな情報をよく私にぶつけてきたな」という感じで、ちょっと怒ってる空気が(^^;)

言う前にどういう反応するか興味があったが、やっぱりまずかったかな・・・ハハハ・・・(^^;)

先生は戻ってきてゆっくり目の前の椅子に座り直すと、

「私はそうは思いません、どちらかというと放射線の方が効果があると私は思います」

といい、ここから専門用語が立て続けに出てよく分らなくなったが、続けて

「のう胞化ですが、放射線によるのう胞化と、前庭神経鞘腫によるのう胞化は違います」

という言葉をなんども繰り返し説明する。

 そして、またいつもの薬を3ヶ月分処方することになる。

・プレドニン5mg
・レバミピド10mg
・トコフェロールニコチン酸エステルカプセル100mg
・メチコバール500μg
・リセドロン酸Na75mg

プレドニンの服用についてはまた心配になったので、

「また同じように聞こえが悪くなったら、いっぺんに3錠とか4錠とか飲んでいいんですか」

と聞いてみると、先生はまさかの

「そこはお任せします、もうだいたい分りますよね」

といわれる。

「・・・」

さらに今回、のう胞化している要因が、微小出血によって水を吸っているという状況かも知れないので、その出血を停める薬として、「ちょっと試してみたい薬がある」といい、

・トラネキサム酸250mg

を処方される。

この新しい薬の副作用もなんか気になったので聞いてみると、

「風邪薬とかに入ってるやつで、私もたまに飲みますけどそんなに強い薬ではないです」

といい、さらに

「他にもいろいろ試したいんですけど、人体実験じゃないんで」

なんて言い出す。

このトラネキサムもある意味実験的に処方してるなと確信する。

 次は2月に受診を予約し、処方箋をもって薬局へ向かう。

両手でいっぱいになるほどの薬の量に、「ものすごい量ですよね」と薬局の人と一緒に苦笑い。

薬局の人に、

「今回新たにトラネキサムが入ってますけど、先生はなんておっしゃってましたか」

と聞かれたので、

「なんか試してみたいと言ってました」

と答え、また一緒に苦笑いを交わす(^^;)

この日の診察代は770円で、薬代がなんと4560円。

 レジ袋に入った山盛りの薬の重さを感じながら駐車場に歩いているうち、薬がなくなったときの心細さが蘇り、知らないうちにとんでもない薬依存症になってた、なんて思いながらもちょっとほっとしている自分がいた。

 帰りの車の中、新しくCDに録音したスティングの『Until…』に、ユーミンの『やさしさに包まれたなら』と松田聖子の『白いパラソル』に癒やされていく(^^)


スティング『Until…』

2024年11月04日 | 音楽


 久しぶりにメグ・ライアンの映画が観たくなり、ヒュー・ジャックマンと共演したロマンティック・コメディ『ニューヨークの恋人』(01)を観る。

 舞台は19世紀のニューヨークで、英国貴族オルバニー公爵レオポルド(ヒュー・ジャックマン)は一族のため、お金持ちの令嬢と結婚しなくてはならなかったが、パーティー会場に紛れて不審な動きをする男を追いかけているうちに、現代のニューヨークへタイムスリップしてしまう。

一方、ニューヨークの広告会社で働くケイト(メグ・ライアン)は、最近恋人と別れたばかりで仕事にも疲れ果てていたところに、見知らぬ世界で戸惑っているレオポルドと出会う。

ケイトは最初、貴族の衣装を着た素性のわからないレオポルドを不審に思うが、次第に惹かれあっていく。

時空を超えた恋は成就するのか・・・。

 なあんてストーリーで、最初はお互いうまくいかないんだけど、最後は・・・、っていう王道のラブストーリー(^^)

その幸福感MAXで迎えるエンドロールで流れてきたのが、スティングの『Until…』。

ギターが奏でるワルツのリズムの心地よさに、気が付けば曲に合わせて自然に体が左右に揺れていた(笑)

誰にも見られなくてよかった、なんて思うくらい(爆)

 スティングといえば、ポリスの頃の『見つめていたい』から始まり、映画「レオン」の『Shape of My Heart』や、『Englishman In New York』に『Fields of Gold』など、アルバムまで買ってよく聞いていたんだけど、この『Until…』は聞いたことがなかった。

 この映画を観たことで、過去にさかのぼってスティングの聞いたこともなかった曲を初めて聞けたことが、ただ嬉しい(^^)