さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

屋根の断熱~上田の蚕室造りの民家改修工事~

2014年01月07日 | 現場7~上田市 蚕室造り民家の改修

昨年のお盆過ぎから本格的に工事の始まった

上田市にある蚕室造り古民家の改修工事。

 

工事が予想以上に早く進みまして

ブログで工事の様子を紹介する間も無いくらい忙しい現場でした。

  

工事期間は今年の春まで予定していたのですけども、

あれよあれよと工事が進み

昨年末には仮使用出来る状態にまでになりまして

Photo

神棚に年神様を迎える準備も昨年末に何とか整い

新年を迎えて頂くことが出来ました

  

ということで、

工事のまとめとして

まだ竣工はしていませんけども、

昨年の様子を何回かに分けて

UPしていきたいと思います

 

さて、

寒冷地における古民家の改修と言えば

古民家に暮らしたことのある人にとっては

誰もが暖かく住まえるようにしたい

と願うものです。

それくらい

寒冷地での古民家生活は本当に厳しい。

 

一方で、

瓦葺き2階建ての古民家の場合ですが

夏、2階が暑くてたまらない

という声も非常に多く聞かれます。

 

古民家だから夏は涼しい

と思われがちですが

必ずしもそうとは言い切れないのが実情。

 

今回の改修計画でも

お施主さんからのご要望の一つに

冬の寒さ対策と同時に

夏の2階の暑さ対策もありました。

P1020182

(こちらは2階。改修前 ↑)

   

そこで、

ご提案したのが屋根の外張り断熱です。

天井の上に断熱材を入れる天井断熱ではなく、

屋根の野地板と屋根瓦の間に

断熱材の層をサンドイッチみたいに設けるやり方です。

 

こうすると、2階の天井面(野地板現わし)は

そのまま活かせることになります。

Photo

2階 工事途中。

天井面は既存のままです。

  

 

しかし、

こちらの蚕室造りの古民家。

間口が2階だけでも12間もあります。

Dscf0025

改修前の外観 ↑

建物が大き過ぎて写真に納めきれません!

  

しかも、

屋根瓦は十数年前に葺き替えたばかりで

とても綺麗な陶器瓦屋根・・・

P1280090

この屋根を断熱材を入れるために

また改修するというのは、、、

勿体ないと思うところではありましたが、

費用対効果はそれなりに見込める実感が

今までの設計事例で感触を得ていたので

屋根の外張り断熱をオススメしました。

 

そうは言いましても

この大きな古民家。

屋根だけで87坪もある大屋根ですから

その屋根を外張り断熱するとなると

瓦を全部一旦降ろして工事を進める事になり

屋根の葺き替え+断熱工事

となりまして、

それ相応の費用が掛かります。

基本設計段階の概算時で、ウン百万円。。。

当時のご予算の約1/5を占めてしまう程でした。

うーむ。

 

ですので設計段階では

屋根の全面断熱化はやらない方向で進んでおりました。

 

ところがです。

工事着工直前の工事費の調整段階で

ご予算が色々な事情で増えまして(?!)

屋根の外張り断熱をやることになったのです!

お施主さんにしてみれば

一大決心だったのではないかと思います

 

   

既存の屋根瓦を降ろしている様子。 

P1020795

古い鬼瓦。

残念ながら状態が悪く

新しい鬼瓦に交換することになりました。

 

P9239352

既存の瓦を一旦降ろします。

 

P1020803

こちらが今回、屋根に使った断熱材です。

相シャクリ加工された断熱材を使うようにしています。

アキレスQ1ボードRZ

http://www.achilles.jp/product/construction/insulation/q1-board/

 

P1320397

既存屋根下地の上に断熱材を敷き込み、

その上に通気層を設けます。

 

P1320407

通気層の上に新しい野地板。

 

P1320428

ルーフィング。

 

P1320649

瓦桟。

 

そして降ろした既存の瓦を葺き直します。

P1020934

P1030817

妻側から見て

白木の部分(登り淀)が新たに断熱材を敷き込んだ部分ですので

屋根の嵩が高くなったことが一目で分かりますね。

 

 

このような断熱工事をすることで

建物が断熱材で蓋をするような格好になり

夏、屋根面から室内への日射の影響を緩和することが出来ます。

また冬は、室内からの熱が屋根から外へと逃げていくのも防げます。

つまり保温性が増すわけです。

 

昨年末に

お施主さんの楽しみにされていた薪ストーブも設置されました

P1040413

ヨツールのF3。

とっても素敵です。

クラシカルなデザインのエナメル塗装の艶感と

玄昌石の炉台の質感が

とっても似合ってます

  

薪ストーブ自体は小型ですが、

床暖房が改修部分のほぼ全面に敷設されているので

きっと暖かい部屋になると思われます。

床暖房は残念ながら昨年末までに

使える状態にならなかったのですが、

この薪ストーブを焚いてみてその効き具合から

お施主さんは断熱工事の効果を実感されつつあるようでした

 

床暖房はまだですが、

とりあえず薪ストーブが昨年末に

間にあって良かったです。

 

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