海野宿ひな祭りの開催している間は、現場が観光スポット化しておりました海野宿丸屋改修工事(古本カフェ)
2月下旬には改修範囲の解体工事がだいたい終わりまして、こんな感じになりました。
床下が露わになった途端に、現場はもの凄いカビ臭に襲われ
現場では空気の入れ替えをしようと、表の格子戸を全部とっぱらって風通し~~~
すると、このように観光客が物珍しそうに覗きこんでいきます(笑)
海野宿で現場やってると、まぁこんな調子なものですから、
ちょくちょく観光客が現場を覗き込んだり、時折入ってきたりで
「何やってるの?」
と尋ねられれば、大工さんはその都度
「古本カフェになる予定なんですよ~」
と答え、
そのうち、大工さんも観光客相手に
「どこから来たんすか?」
みたいな話になり
なんだかんだと話が盛り上がる?
これじゃ、仕事になりませーん(笑)
ま、それは置いときまして、
解体工事を終えてみると、例のごとく、いろいろ問題が
建物がよろんでいるので、このように建物の荷重を受けて潰れている土台とか、
手前の土台は白アリ等で朽ちているし。
床下の空気の通りがあまり良くなかったり、雨水の処理がうまく出来ていないせいか、床下がかなり湿気っぽい部分もある。
建材で隠されていた部分を剥いでみると、案の定この有様。
柱と土台がボロボロです。
この建物は平成18年度に一度、修理工事が補助金でなされていますが、
修理、どこまでやったの?という感じ。
軸組の修理まではやってなかったのかもしれません。
どうしてこんなになってしまったか、ですよ。問題はね。
一つは基礎部分のコンクリートの打ち方。
土台の側面に被るようにコンクリートで押さえられてる。
典型的な臭いものに蓋的なやり方。
あーあ。全く駄目駄目なやり方です。
これ保存修理でやったの?だとしたら問題大アリです。修理でも何でもないです。
しかも、この壁の裏は道路(御蔵小路)なんですけど、そのアスファルトが醜い。
だれだ!こんなやり方のアスファルトやったのは!(怒) ↓
簓子下見板がアスファルトに埋まっちゃってます。
おいおい
下見板、交換できないじゃない!
しかも
こんなんじゃ木部が腐るじゃん~
あーあ
どうしたら木が腐るかって、分かってないんだよね~
こんな施工、誰がやったの? 恥を知れ!ですよ。ホンマに。
室内側はコンクリート基礎、 道路側はアスファルトに サンドイッチ された土台はどうなるかって
そりゃー 腐るにきまってるしね。
しかし、
もう今更、どうしようもないです。
しかも、今回のカフェ工事でこの軸組を直す費用は予定しておりません。
もし直すとすれば、外壁腰部分の壁を全部カットして落として、柱の根継ぎ、土台交換、基礎工事、全部やらないと直りません。
となると、工事費は軽く数百万掛る訳ですよ。
でも本来なら数百万でも難しいかもしれない。
建物の不陸を直してやらないとおかしな荷重があちこちの柱に掛っていて、変形はしてるし座屈を起こしているし。
どこかでこの現状を把握・理解をして、どのような修理計画をとっていくか、という全体的な提案が
これまで一切、されてきていないこの保存修理事業。
それが問題なわけです!
教育委員会が機能していなかったのなら、良心的な業者は居なかったのか?
いやそれ以前の問題かもしれない。直し方がそもそも分からないのかも。
所有者に今までどんな説明がされてきたのだろうか。
ただ見た目を綺麗にすればいいんだったら、そんなの保存修理って言わないんだよ。
だからいつまで経っても、本質的に建物が活かされないんだよ。
全くもぉ。イライラ
だからと言って、建物を借りてカフェをオープンしようとしているオーナーに
軸組みの修理費を負担させるのは、酷です。
そうかといって、建物の所有者に、今すぐ修理しましょう!とは言えません。
さて、どうするか。
取りあえず、教育委員会にも報告し
この状況を見てもらいました。
こちらは白アリにやられてる柱と梁
よくこういう土間コンクリート付近から白アリにやられます。
コンクリートの下面からそっと白アリが侵入してくるので、なんでもコンクリートで手っ取り早くに塞ぐのは考え物なんです。
しかも、そのコンクリートが吸湿して冷えて結露して、カビます。
昭和の一時期、土間に薄っぺらいコンクリートを流すのが流行って
見た目は一時的は綺麗になったかもしれないけど
その後、湿気や水分に悩まされる事になるんです。
で、雨漏れも無いのにいつも土間が濡れている現象となり、カビて臭くなる。
原因は薄っぺらいコンクリート。
コンクリート流すなら、きちんと地業をして水はけをよくしてから打たないと。
今回はこのコンクリート剥がして、もう一度やり直しますけど
結構、大掛かりです。
なので、改修費用もそれなりに掛ってしまいます。
ちょっとカフェやりたい、な割に
結構な工事費になるのは、
古民家の場合、修理費用を多少でも盛り込まないといけない場合が多いからなのですが
そこら辺が、カフェを夢見る若いオーナーさん等には苦しいかもしれません。
ちなみに、こちらの古本カフェのオーナーさんは定年を迎えられた方で
ある程度、資金もご用意されての開業計画でした。
それでも古民家を改修してのカフェ工事には、予算調整は必要でしたし
ただカツカツな予算では計画しておりませんでしたので、
こんなヤバい状況下でありながらも、なんとか現場で工夫してやりくりしながら工事を進めている次第です。
えいえいおー!
ところで、オーナーさんは、
藤井厚二の聴竹居がお好きだと仰ってたので
私的にはナイス~なオーナーさんでございます!
建物に興味のある方に、こういう古い建物を使って貰えるというのは
単なる商用利用としてではなく、建物を大事にして頂けると思いますし、
よいオーナーさんに巡り合えた丸屋さんは良かったなぁ、と思いましたデス!