昨年からやっている上田の古民家リフォーム現場。
昨年には終わるだろうと思っていたのですが、
またもや年を越してしまいまして
(毎年同じ事を書いている気がする....)
今も工事は続いております
上田の現場については昨年9月に仕上げの色決めについて書いたっきりになってましたので
実に4ヶ月振りの更新
(インスタでは随時近況をUPしておりますので、もっとリアルタイムに知りたい方はこちらからどうぞ#栖風采現場24)
さて!その後、どのように仕上がったかと言いますと
と
その前に
塗装やクロスの色決めについては前回までのブログに書きましたが、
左官仕上げの色決め等についてはまだでしたので
先に 左官仕上げの話を書いておこうと思います。
まず、
お施主さんの奥様が求めていらっしゃる内装のイメージは、どちらかと言えば異国的な雰囲気でした
とはいえ、リフォームしているこの家は、日本の伝統家屋な古民家。
明治40年築の信州上田の蚕室造りのとてもしっかり造られてるいい古民家
お施主さんご夫妻は、この伝統家屋な古民家の風情を大変気にいっていらっしゃいます。
なので、
南側に位置する和室や座敷はそのまま。
奥座敷と上座敷(奥座敷の畳だけは交換する予定)
今回のリフォームは主に【北側のお部屋】と【水回り部分】の改修に止めるのですが
これだけ純和風なお座敷が何部屋もあるのですから
北側の内向けのお部屋は、和風に捉われず、お施主さんの趣味に合わせましょう!
という感じで進めて参りました
趣味を活かした家づくり
お施主さんがご希望するイメージを、提示していただいたネット上の画像や情報を元に、
私も情報収集しながらそのイメージを共有できるよう努めておりました
イメージ・キーワードとして浮上してきたのが、
な、なんと
モロッコ
ほ、ほほぅ.....
正直、日本的なものが染みついている私には
モロッコ的?な異国デザインセンスなどは一つも持ち合せていなくて スミマセン。。。
お施主さんのこんな感じが好き!と教えてもらったモロッコのホテルのインスタをフォローしたりして
なんとかイメージを掴みたいとネット上の画像を日々眺めたり
あと、こんな感じ↓の、穴のような棚が出来ませんか、というご相談を受け
面白い~!
こちらは、松本市の旧四賀村にある古民家カフェKajiyaさん。
けど、これってもはや設計デザインの域ではなく
造形美術的といいますか、、、
私にはこんな美術センスなど無いし、、、
正直、どうしようかと若干途方に暮れる、みたいな
とにかく、お施主さんのイメージを感じるためにも、古民家カフェのKajiyaさんは見てみよう!と思い、
昨年の6月頃でしたが、通院帰りのついでスタッフと一緒に見学という口実で行きました
このようにしてお施主さんのご希望を伺いながら実際に計画に落とし込むのですが、
しかし、イメージ写真のような棚を造ろうと思っても、
計画している間取りの制約上、作れる空間が限られてしまい、
残念ながら今回の古民家リフォーム計画プランでは設ける場所がありませんでした。
その代わり、床の間よりも奥行きの狭い「押板(おしいた)」のような棚なら何とか作れそうでしたので
穴のような棚は無理としても「洞床(ほらどこ)」みたいにすることなら出来るという説明をしたところ
洞床
ほらという響きが、お施主さんの心を掴みまして、
じゃ、洞床みたいなアールな壁でつくる棚で!、となりまして
一応、方向性を決めたのですが
やはりそこは、押板 や 床の間 な感じではなく、あくまでご要望は棚。
洞床なデザインと、Kajiyaさんの穴の棚と、モロッコ的な感じと、
さて、これらをどう融合させればいいのか
私はこの通り、日本的なデザイン知識しか持ち合せていない・・・
でも、ここでふと思ったのですが
洞床なんて茶室、数寄屋造りの用語じゃないですか。
数寄屋造りのテイストなんて、私もお施主さんも一つも求めていないのに、
お施主さんのご希望を、私の知る限りの日本デザインで翻訳してみると
なぜか、数寄屋がヒントになるという不思議!
天井仕上げ材も
最初は 和紙クロス を選んでいたのですが、
打ち合わせの会話の中で、
こんな素材もあるんですよ~と、
何気に事務所にあった網代の建材見本をお見せしたら
網代素敵、いいですね~
と、お施主さんの奥様。
網代天井は日本の和風数寄屋造りに使われる意匠。
そして網代建材は価格的に え?! と躊躇するものばかり。
なので、安易に勧められるものではありません。
でも、お施主さんの網代を見た時の目の輝きを見れば、
何とか取り入れてあげたくなるもので、
そこでまたワタクシ、毎度のことながら電卓叩きながら、建材屋さんに問合わせしまくり
運よく廃番予定の在庫品をお手頃?価格で何とか入手
建材屋さんからは、今時、こういう高級数寄屋建材を使う家なんてめったにないよ~
なんて言われ、
いえ、別に高級にするつもりもなく、数寄屋造りにするつもりも毛頭なく、
実はモロッコ風なイメージにするために選んだんですよ、
と建材屋さんに説明しても 営業マンは「???」という反応。
でしょうねぇ、、、
誰もが仕上がりを想像出来なかったと思います。
そしてこれが今回の網代天井♪
メーサー網代(廃番在庫品)
そして網代板の繋ぎ目部分(ジョイナー)は
数寄屋建材の中から選ぶと本当に数寄屋っぽくなってしまうので
どうしようかと悩んでいたら、現場監督なうちの旦那の提案で 竹すべり を代用することに!
あ!それいいかも
お施主さんもそれなら!と快諾
で、話を棚に戻しますが、
洞床な数寄屋デザイン?と、Kajiyaさんの穴の棚と、モロッコ的な感じと、
さて、これらをどう融合させればいいのか、、、
悩みつつ何枚かスケッチを書き、
お施主さんと何度か打ち合わせをして
一応、こんな感じで絵は承諾を得ました、が
そこからがまた大変で
①壁の出隅 ②壁の入隅 ③天井と壁
の取合は、
洞床風?モロッコ風?にするため丸みをつけることにしてまして
図面にはその丸み(R寸法)を書いてませんケド(現場で考えようと思って)
寸法の違うR(半径)が3方から合わさると、どうなるんだ?!
という問題が
下地を作る大工さんが悩んでしまい、
現場監督の旦那と喧々諤々
で、やっと何とか解決できた入隅のR!
↓ ↓ ↓
お、お、お、、、
いやもう本当に頭下がります。
そして、一番の難所、3つの違うRが合わさる部分は
こうなりました↓
ここまでくると、大工さんの造作仕事の域を超えてるような気がします
何とか下地はここまでになりました。
そしてようやく左官仕上げ
本題です^^;;
壁は、真壁の部屋だけ左官で仕上げる予定にしてありまして、
まず、お施主さんにどんな色合いにしたいかを打ち合わせし
網代天井の部屋の壁の色は、淡いピンク系、
厨房の壁の色は、辛子色というか、黄土色系、
になりました。
とても優しくて淡く綺麗な色をチョイスされるお施主さんの奥様。
うん!いい感じになりそう。
何となくモロッコ風になりそうな色合い♪
壁の色見本(メーカーに試作サンプルを作ってもらいました)
色も決定し、
さて、いよいよ左官工事!
棚の下地造作が昨年12月の上旬まで掛ったので
左官工事は年末差し迫った時期になってしまいました。
メーカーさんで試作してもらった色見本の調合レシピに則って、これら色粉を配合。
ピンク系の壁色
塗りたてはこんな感じでした。
辛子色、黄土色系の壁色
こちらも塗ったばかりですが、既に乾き始めています。
現場ではストーブを夜通し焚いて、室温を保つようにしていました。
数日後、そろそろ壁が乾いた状態が見れるだろうと現場へ行きまして
確認すると、ちょっと気になる白いムラ発見・・・
見たところ、下地の吸い込みムラ、乾燥ムラでもなさそうですし、
撹拌ムラでもなさそう。
下地のアクが出てきた訳でもなく、
下地の違い(土壁、ボード下地)によるものでもない。
室温は施工当時、ストーブはずっと夜も消さずに養生していたし、
施工標準仕様に則って施工したというのに
どうしてこうなったのか、未だ解明せず。
さて、どうしたものかと、まずは左官屋さんに見解を伺い、
次にメーカーにも問い合わせ、
お施主さんにも状況を取り急ぎ説明し
対応を検討中。。。
大人達が、うーん と唸っているところで
一番の見せ場 洞のような棚 で
子ども達が無邪気に遊びはじめました☆
もうもう何て可愛いんでしょう
思わず写真を沢山撮ってしまいましたよ
2020.12.30
可愛すぎる
問題になっている壁のムラが
モロッコ風?異国的おおらかな仕上がりにも見えるくらい絵になってる感じがしますネ
さて、現場はあともう少し!
というところで、年を越しまして
あとは建具を待つのみ~
(問題の壁のムラをどうするかも・・・)
ブログを拝見して、参考にしたいと思います。
さいふうさいブログにコメント下さいまして有難うございます。
さらら様は東御市に移住されるのですね! それは同じ東御市民として大変嬉しいです☆ さいふうさいブログ、さらら様にお役に立てれば幸いです。
近々、首都圏から東御市に移住することになり、東御市に関することをあれこれと調べていましたところ、栖風采さまのブログを発見しました。以前から、いづれ古民家を再生して住めたら、とぼんやり考えていましたので、とても興味深くブログを拝見させていただきました。
すてきな建物がたくさんありますね。海野宿にはまだまだこのような物件があるのでしょうか。
歴史ある古民家の写真を見ているだけで、妄想が膨らみワクワクしてきました。いつか古民家を再生して住むという夢に向かって、ちょっと具体的に動いてみようかな、と思いはじめています。
まずは、東御に移住して落ち着いてからですけど。
また、ブログを拝見させていただきますね。