Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 39(鍋島柳文七寸皿)

2020-01-20 23:16:00 | 古伊万里
古伊万里の大先輩であるDr.kさんのところで、「後期鍋島染付山水絵中角皿」が紹介されていましたので
それに便乗してウチの傷物鍋島も紹介することにしました。
「藍鍋島柳文七寸皿」です


鍋島らしい渋めの発色の品で、柳の葉のバランスの取れた絵付けは、やはり同時代の伊万里とは一線を画しているように感じます。


図録で見ると、後期鍋島の柳文は何種類かあるようで、柳が二本描かれているものや、柳の下の岩文の部分に
川が描かれている品も存在するようですが、この品が一番スタンダードな柳文かも知れません。
岩の部分も丁寧な絵付けになっていますね


さて、この品はどのあたりの時代の品でしょうか?
普通に考えれば、いわゆる天保鍋島の可能性もあるんですが、この品を扱っていた業者さんによると
高台部分の櫛歯文が輪郭を描いてから塗っている点、さらには岩の部分の描写が丁寧である点から推測すると
19世紀でも早い時期(文化文政期)、あるいは中期末の天明~寛政といった時代の可能性がある、とのことでした。

確かに櫛歯文は後期~幕末の品よりは、均整の取れた丁寧な描き方であるようには思えます。

傷物であるが故にウチへやって来た品ですんで、完璧さが最大の売りである鍋島としては残念物とも言えますが
そこは「傷物でも鍋島」という納得ができる品であることも確かです。